2025年12月25日木曜日

選択的夫婦別姓制度(5)

選択的夫婦別姓制度(4)からの続き

10〜15年かかるというのはあんまりなので,セカンドオピニオンを求めてみた。もちろんこれは高市が姑息に導入しようとしている旧姓使用の法制化とは本質的に異ったものである。
Q(koshix):
以下の最適解を評価してください。もっと早くできませんか?
(ChatGPTの最適解を添付)

A(Gemini 3):
提示された「実装可能な最適解」は、日本の行政システムや戸籍の実務を熟知した上で書かれた、極めて堅実で「大失敗しないため」のプランです。ITコンサルタントが政府に提案書を出せば、そのまま通りそうなレベルです。

しかし、ご指摘の通り「10〜15年は長すぎる」です。

なぜこんなに時間がかかる設定なのかを分析し、「リスクを許容して期間を劇的に短縮する(3〜5年で完了させる)ためのアプローチ」を提示します。

1.なぜ「10〜15年」もかかる提案になっているのか?(ボトルネック分析)
この提案が時間を食っている最大の要因は、以下の2点に「完璧」を求めているからです。

(1) 「氏」をシステムの主キー(検索キー)から完全に排除しようとしている
現在、多くのシステム(銀行、自治体の古いシステム等)は「カナ氏名+生年月日」などで本人確認や名寄せを行っています。「まずマイナンバーで全システムをリファクタリング(改修)してから、運用を開始する」という手順を踏むと、システム改修だけで5〜8年かかります。

(2) 「世帯単位」の戸籍概念を維持しつつ、ID化しようとしている
戸籍の構造自体を「ID型」に変えるのは巨大プロジェクトです。これを待っていると法改正が施行できません。

2.もっと早く(3〜5年で)実現するための「高速化プラン」

システムを完璧に直してから制度を始めるのではなく、「現行システムをごまかしながら使い、法的に有効性を保証する」アプローチをとれば、劇的に短縮可能です。

これを「法的エイリアス(別名)先行型」と呼びます。

(1) 「通称使用」を「法的な本名」と定義し直す(Year 1)
システム改修を待たず、民法と戸籍法だけ先に変えます。
ハック: 戸籍上の「氏」は変えず、身分証明書(マイナンバーカード等)の「旧姓併記」欄などを、「法的効力において本名と完全に同等とする」という一条を法律に加えます。
効果: 銀行や企業は、システム改修(カラムの追加等)を待つ必要がありません。「氏名欄」にその人が名乗りたい方の姓を入力すれば、それが法的に有効な契約となるため、今のシステムのまま運用開始できます。

(2) 「マイナンバーAPI」による本人確認の外部化(Year 1-2)
各企業が自社システムを改修するのを待つのではなく、国が「氏名変換API」を提供します。
仕組み: 銀行等の窓口で、「戸籍姓」と「使用姓(旧姓)」が食い違っていても、マイナンバーカードをカードリーダーにかざせば、国(J-LIS)のサーバーが「これは同一人物の有効な氏名です」と True を返すAPIを用意します。
効果: 民間企業は「自社のDB構造」を変えずに、フロント(窓口アプリ)にAPIを噛ませるだけで対応完了となります。

(3) 戸籍の「家族ID」は仮想化する(Year 2-3)
戸籍の構造変更(一戸籍一氏の原則撤廃)は時間がかかるので、裏側でやります。
ハック: 表面上は「夫婦別々の戸籍(単独戸籍)」を作ってしまいます(これは現行法でも可能です)。 その上で、システム内部でだけ「この単独戸籍Aと単独戸籍Bは夫婦である」というリンク情報(仮想の家族ID)を持たせます。
効果: 「同じ戸籍に入っていないと家族じゃない気がする」という情緒的な問題は残りますが、住民票の発行や税金の計算などの「実務」は、このリンク情報だけで即座に対応可能です。

3.高速化プランによるタイムライン(最短コース)
フェーズ 期間 アクション(高速版) ユーザー体験
(1) Ph.1 法的突破 1年目
・法改正成立
・「旧姓」も「契約・登記可能な正式名」と定義
・マイナンバーカードへの旧姓併記義務化
法律上、どちらの姓を使ってもOKになる。
システム上は「通称」扱いのままだが、契約は有効。

(2) Ph.2 API連携 2年目
・国が「氏名検証API」を公開
・銀行、クレカ会社はAPI導入だけで対応完了
・新規婚姻者は「最初から別姓」選択可に
銀行窓口で「どちらの姓にしますか?」と聞かれ、選んだ方で口座を作れる。
裏側のDBは古いままかもしれないがユーザーには見えない。

(3) Ph.3 追いつき 3〜5年
・行政システムのリプレース(順次)
・古い「名寄せ」ロジックの廃止
・マイグレーション完了
完全に社会定着。
特別な手続きなしで、当たり前に別姓が使える。

4.高速化のリスクと評価
「ChatGPT-5.1」の案(15年プラン)と、この「高速化案(5年プラン)」の違いは、「システム的な綺麗さ」を優先するか、「ユーザーの権利実現」を優先するかです。

高速化案のデメリット(リスク)
(1) 現場の混乱: システムの裏側と表側で名前が違うケースが発生するため、窓口担当者が混乱するリスクがあります(「画面では田中ですが、手元の書類は佐藤ですね? OKです」という運用など)。
(2) 名寄せミス: 旧姓と新姓が混在する過渡期に、同一人物のデータが分散する(借金や納税の管理漏れ)リスクが若干高まります。これはマイナンバーの徹底活用でカバーが必要です。

5.結論
提示された「最適解」は行政側の都合を配慮しすぎています。「まず法的な効力を与えて(Year 1)、システム整合性はAPIで辻褄を合わせ(Year 2)、完全なDB改修は後追いでやる(Year 3-5)」というアジャイルな手法をとれば、5年以内の完全移行は十分に可能です。

これは技術の問題ではなく、「過渡期の多少の混乱を行政が許容できるか(泥をかぶれるか)」という政治的決断の問題になります。


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