2025年12月26日金曜日

マイクロアグレッション

12月3日の兵庫県知事記者会見における斉藤知事の発言が一部で問題になっていた。兵庫県政を正常に戻す会のスタッフが,記者会見を見て気がついたものだ。「障がい者の方が自らつくられるアート」の部分を問題視している。

早速LLMにきいてみる(安直)。これが正確に指摘できたのは,Perplexityだけであった。Geminiに至ってはすべて問題なしということで,ちょっとかなり問題あり案件だ。

A(Perplexity 抜粋):
1.「障がい者の方が自らつくられるアート」に関する記述
「障がい者の方が自らつくられるアートですね、ま、ユニバーサルアートというふうに…」
懸念点:
障がい者“の方が自ら”つくられる」と強調している点には、「障がいがある人が創作できること自体が特別・驚くべきことである」という含意が読み取られかねません。
これは「能力を過小評価した上での称賛(ableist microaggression)」の一種で、意図せず「健常者と比べて劣っている前提」や「特別な努力を要する存在」というニュアンスを生むことがあります。
改善例:
「障がいのあるアーティストの作品によるユニバーサルアート」などと、主体を「障がい」ではなく「アート活動」や「作品」に置く言い換えがより平等な表現です。

Q(koshix):
下記の質問に対する,7つの異なるLLMの回答を与えます。共通点・矛盾点・欠落点をすべて整理し、それらを統合して,より正確でバランスの取れた“合成回答(参考解)”を作ってください。事実やデータと科学や論理などの根拠に基づいた結論を導いてください。もし必要なら、各モデルの長所・短所も明示して構いません。
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Q(koshix):
以下のやり取りの中で,マイクロアグレッション(注:意図的か否かにかかわらず、政治的文化的に疎外された集団に対する何気ない日常の中で行われる言動に現れる偏見や差別に基づく見下し侮辱否定的な態度のことの観点から問題になる点がもしあれば指摘してください。

読売新聞記者
ありがとうございます。それから発表外で何点、項目外で何点か伺います。えっと、まず、昨日の県議会の方に、(知事:うん。)えっとー、来年度新しく開校する特別支援学校(知事:うん。)ですね、えっと、こちらを設置するための条例案が提出されました。えっと、特別支援学校の現状について、えー、今どのような問題意識があるのかというのと、えー、新しくできる、加古川清流特別支援学校をどのような学校にしていきたいかという意気込みをお願いします。

知事
はい、あのー、昨日の提案理由説明でも説明さしていただきましたが、あのー...
、次の4月から、あー、県立加古川清流特別支援学校を開校します。ま、これは、あのー、東播磨地域において、えー、特別支援学校に在学する生徒・児童が、やっぱり増加してるということで、狭隘化ですね、あの、教室が人数が増えるに伴って狭くなってるという課題が、あの、かつてから問題になってました。ですので、えー、地元の市や町と連携しながらですね、あの、今回の清流特別支援学校をはじめとして、狭隘化対策を、ま、順次やらしていただいてるという状況です。ま、今回は、あのー、加古川市にご協力をいただきまして、えー、平荘小学校の、まあ、あと、校舎をですね、あの、改修さしていただいて、えー、整備さしていただいております。あのー、こういった形で新しく整備するもの、そして、現在使われてるところを拡張するものなどですね、あの、順次、えー、対応をしていくという形で、えー、できるだけ早く狭隘化対策をしっかりやっていきたいというふうに思いますし、えー、それと共に、えー、ま、地域にとっても、えー、賑わいや集まり、交流ができるようなスペースにしていくということが大事だと思いますので、えー...、生徒児童さんが作ったクッキーなどをですね、提供するようなカフェであったりとか、ま、あとは、あのー、ま、私が、かなりちょっと、こう、お願いしてたんですけども、あの、障がい者の方が自らつくられるアートですね、ま、ユニバーサルアートというふうに、この間、あの、阪神の優勝を記念して、片山工房さんが贈呈していただきましたけど、ま、そういった、あの、ユニバーサルアートを展示するスペースも、あの、施設の壁などに、えー、作っていただけるようにしてますので、ま、そういった賑わいであったりとか、あー、障がい者アートの、ま、芸術文化の発信拠点に、えー、この特別支援学校が、一方でなっていくということも目指していきたいというふうには考えてますね。
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(A:ChatGPT,B:Gemini,C:Claude,D:Grok,E:Kimi,F:DeepSeek,G:Perplexityの7回答を添付)


A(ChatGPT-5.1):
以下、ご指定どおり 7つの回答(A〜G)を統合・比較したうえでの“合成評価” を提示します。結論は「悪意なき善意型マイクロアグレッションが複数、構造的に埋め込まれている」という点で A・C・E・F・G が本質的に一致し、Bのみが体系的に過小評価、Dは事実性の弱い“炎上予測”を過剰に付加している、という整理になります。

(中略)

1.評価
B(Gemini)
→ マイクロアグレッション概念を「露骨な侮辱表現」に限定する狭義解釈に留まり、現代障害学・批判的障害研究の水準を反映していない。
D(Grok)
→ 炎上事例の提示はあるが、具体事実の検証不十分・印象論が強い。
A・C・E・F・G
→ 国連障害者権利条約、インクルーシブ教育理論、inspiration porn批判など、学術的水準に最も整合的。

2.結論(統合版)
本件の知事発言および記者質問には、明確な悪意・露骨な差別・侮辱表現は認められない。しかし同時に、現代の障害者権利論・インクルーシブ教育・批判的障害学の基準に照らすと、以下の「善意型・構造的マイクロアグレッション」が複数確認される。

◎構造的に問題となりうる点(確定)
・過剰な丁寧化(「障がい者の方」「生徒児童さん」)による他者化
・特別支援学校を「地域の賑わい装置」として正当化する構図
アートを「障がい者属性」で分類する属性先行評価
・クッキー等の軽作業が象徴的に強調され、就労の多様性が不可視化される点
・教育の主体(学習・発達・進路形成)より、社会への“役立ち”が前面に出ている点
◎これらが「マイクロアグレッション」に該当する理由(理論的根拠)
・国連障害者権利条約 第24条(教育権)
・障害の社会モデル(social model of disability)
・Inspiration Porn 批判(Stella Young)
これらはいずれも、「障害者の価値は“役に立つこと”で測られるべきではない」という原則を共有している。本件発言は、意図せずこの原則と緊張関係を持ってしまっている。

3.総合最終評価
|観点————————————|判定 —————|
|明白な差別         |× 存在しない |
|善意型マイクロアグレッション| ✓ 複数存在  |
|教育権の優先性       |△ 相対的に弱い|
|他者化・感動消費の構造   |△ 潜在的に存在|
|行政としての配慮意図    | ✓ 明確に存在 |

最終的な一文要約(CaT統合要約)
本件発言は差別的意図を伴わない善意の行政説明であるが、現代の障害者権利論の観点からは、「障害のある人々を地域活性化や感動資源として位置づけてしまう構造的マイクロアグレッション」が複数内在しており、表現の再設計が望まれる。


図:nano Banana Pro によるマイクロアグレッションのイメージ


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