2025年12月23日火曜日

選択的夫婦別氏制度(3)

選択的夫婦別氏制度(2)からの続き

高市は維新と組んで選択的夫婦別氏制度に替えて旧姓使用の法制化に向かった。あの人自身の氏の変更の経緯をみると典型的な「なんだかなぁ〜案件」である。

世間に溢れるネトウヨ的言説は,歴史歪曲の感情論だとラベリングして,まともな選択的夫婦別氏制度反対論などは存在しないものだと思いこんでた。この自分の考えをChatGPTで補強しようと尋ねたところ,以外な方向に話が展開していった。以下はそのファーストステージの記録である(もちろん以下の内容すべてに同意できているわけではない)。


Q(koshix):
日本における選択的別姓制度への反対派の中で,人権と経済と事実と理性に基づいた合理的な反対意見は存在していますか?

A(ChatGPT-5.1):
はい、日本の選択的夫婦別姓制度への反対論の中にも、「感情論や伝統論」ではなく、①人権、②経済、③事実、④理性(制度設計)に基づいた“合理性を持つ反対意見”は確かに存在します。ただし結論から言うと、それらは多くの場合「全面否定」ではなく、制度設計上の重大な懸念提示という形を取っています。

以下、論点別に、学術・行政実務・法制度の現場で実際に出ている“合理的反対論”だけを整理します。

1.【人権ベース】「子どもの人権」との衝突という論点
(大人の権利 vs 子どもの権利)
反対派の中で最も理性的とされるのがこの立場です。

(1) 論点
選択的別姓が導入されると、
・兄弟姉妹で 姓が異なる可能性
・親子で 姓が異なる可能性
が制度的に常態化する。
日本社会では現在も「姓=家族単位での識別情報」として機能しており、学校,医療,災害時,行政手続,などで「同姓=家族」という前提が実務的に使われている。

(2) 合理的反対の核心
> 成人の「自己決定権(アイデンティティ権)」の拡張が
> 子どもの「不利益を受けない権利」と衝突する可能性がある
これは感情論ではなく、国連子どもの権利条約(子の最善の利益)との整合性という、かなり硬い人権論です。
特に
・学校でのいじめ・混乱
・親の離婚・再婚時の姓の分断
・災害時の家族確認
については、実証データは海外に一部あるが、日本型社会では未検証という慎重論があります。

2.【経済合理性】「制度移行コスト」が極めて大きいという反対
これは官僚・自治体実務者・IT業界から出ている反対論です。
(1) 主張の要点
選択的別姓を本格導入すると、以下がすべて再設計対象になります:
・住民基本台帳
・マイナンバー
・税・年金・健康保険
・戸籍システム
・金融機関本人確認システム
・病院の患者管理DB
・学校教育管理システム

(2) 合理的反対の核心
> 「国全体のID管理インフラを根本改修するコストが、
>  便益に見合うかの費用対効果分析が未実施である
これは感情ではなく、公共投資としての費用対便益(B/C)問題です。
推計ベースでは:
・国+自治体+民間を合わせた 移行コストは数兆円規模
・しかも 単年度ではなく10年以上の移行期間
にもかかわらず、
・そのコスト負担主体(国・自治体・企業・個人)
・誰がどの便益を得るか
について、定量的な評価がほぼ存在しない点が合理的反対理由になっています。

3.【事実ベース】「海外は別姓が主流」という言説への反証
賛成派がよく言うのが「先進国はほとんど別姓」という主張ですが、これには事実誤認が含まれるという反対論があります。
(1) 実際の制度分布(簡略
・完全別姓強制:スペイン・中国(一部)
・同姓強制:日本
・選択制:ドイツ・フランス・韓国など
しかし「選択制=別姓が主流」ではなく:
・ドイツ:約90%が同姓
・フランス:日常使用名と戸籍名が分離
・韓国:戸籍姓は別だが、家族単位の社会制度は別設計
つまり:
> 日本のような“戸籍+住基+社会保障が完全統合されたID制度”を持つ国は、実はかなり特殊であり、
> 単純な国際比較で「遅れている」と言うのは事実に基づかない
というのが、この論点の合理的反対です。

4.【理性・制度設計】「戸籍制度との論理矛盾」問題
これは法学者(特に家族法・行政法)側の反対論です。
日本の戸籍制度は:
・「一つの戸籍=一つの氏=一つの家族単位」
という 論理的に極端に一貫した構造 を持っています。
ここに選択的別姓を入れると:
・同一戸籍内に複数の氏
・親子で氏が異なる
・戸籍の検索・係累追跡が困難
という 制度論理の自己矛盾が生じます。
(1) 合理的反対の核心
> 選択的別姓は、単なる「姓の自由化」ではなく、
> 日本の戸籍制度を “別の制度に置き換える”に等しい法改正
にもかかわらず、
・戸籍をどう再定義するのか
・系譜・相続・親権・扶養をどう再整理するのか
の 制度設計図が提示されていないという点が、理性的反対として指摘されています。

5.【社会実証】「導入すれば自然に差別は減るのか?」という懐疑
賛成派はしばしば:
> 「別姓を認めれば、女性差別は解消される」
と主張しますが、反対派の合理的反証は次です。
・韓国:戸籍上は完全別姓 → しかし男女賃金格差・管理職比率は日本と同程度
・フランス:通称名自由 → 家事労働分担格差は残存
・ドイツ:選択制 → 共働き格差は依然大きい
つまり:
> 姓の制度変更と、ジェンダー不平等の縮小に、強い因果関係は実証されていない
というのが、「実証主義」に基づく合理的反対の一つです。

6.まとめ:合理的反対は「存在する」が、否定の仕方が違う
合理的反対派は、こういう立場です:
・ ×「伝統が壊れるから反対」
・ ×「家族が崩壊するから反対」
ではなく、
・ ✔ 子どもの権利との衝突
・ ✔ 社会インフラ改修コストの過大性
・ ✔ 国際比較の誤用への批判
・ ✔ 戸籍制度の論理破綻
・ ✔ ジェンダー平等との因果未証明
といった **政策評価としての反対**です。
その意味で、
> 「選択的別姓には“賛成/反対”のどちらにも、
>  理性的で学術的な立場は存在する」
のが実態です。

もしよろしければ次の問いも、かなり本質的です:
・ 「選択的別姓は“人権問題”なのか、それとも“行政制度設計問題”なのか」
・ 「本当に解決すべき不平等は“姓”なのか、“労働・税・扶養制度”なのか」
ここまで踏み込んで整理することもできます。

なるほどね。

Q(koshix):
選択的別姓は“人権問題”なのか、それとも“行政制度設計問題”なのか

A(ChatGPT-5.1):
結論から先に言うと――
選択的夫婦別姓は「人権問題の顔をした、極めて高度な行政制度設計問題」です。
どちらか一方に純化すると、必ず議論が破綻します。以下、その理由を「法理・制度・現実」の三層に分けて整理します。

1.法理層:これは確かに「人権問題」でもある
まず、人権としての正当性は法理的には確実に存在します。
(1) 人権として主張されている内容
・氏名は人格権(人格的利益)の一部
強制改姓は
・アイデンティティの侵害
・職業上の実績・信用の断絶
・自己決定権の侵害
になりうる
実際に,研究者,医師,弁護士,作家,などで「改姓による実務的不利益」は現実に発生している
(2) 最高裁も「人格的利益」であることは認めている
2015年・2021年の最高裁判決でも、
・「氏の変更は人格的利益に影響する」
ただし
・「現行制度は直ちに違憲とはいえない」
という構造です。
つまり法的には:
> 人権性は認めるが、現時点では制度裁量の範囲内
という微妙な状態にあります。

2.制度層:しかし実体は「巨大な行政制度設計問題」
一方、現実の実装レベルでは、これはほぼ純粋な“国家情報インフラ再設計問題”です。

(1) 日本の「氏」の正体
日本の氏は単なる名前ではなく、
・戸籍(親族関係の確定)
・住民基本台帳(居住管理)
・税(納税主体)
・年金(保険料・受給履歴)
・健康保険(被扶養判定)
・医療DB
・金融本人確認
・学校・学籍管理
を すべて貫通する“国家横断IDキー” として使われています。
これは世界的にもかなり特殊な構造です。

(2) 選択的別姓を導入すると起きること
表面的には「氏が2つになる」だけに見えますが、実際には:
・親子で別IDキー
・扶養・保険・相続で「非同姓家族」が常態化
・戸籍の「一戸一氏」という論理が崩壊
・既存データベースのリレーション設計を全面変更
という、国家規模のデータベース正規化のやり直しが必要になります。
この点でこれはもはや:
> 人権問題というより「憲法×家族法×行政情報工学」の複合設計問題
です。

3.現実層:人権だけを前面に出すと「制度破綻」する
ここが最も重要です。
(1) ×「人権だから即導入すべき」という議論の問題点
人権論だけで進めると:
・コスト試算が軽視される
・行政現場の運用が置き去り
・子ども・学校・医療・災害対応の実装議論が後回し
・民間企業の本人確認実務が想定されない
結果として:
> 制度導入後に“弱者にしわ寄せが集中する”

例:
・学校現場の混乱
・医療現場の本人誤認
・災害時の家族確認遅延
・シングルマザーなどの事務負担増
という、人権の名で新たな不利益を生む逆転が起こりえます。

4.逆に「行政問題だけ」と切るのも間違い
一方、「面倒だから現状維持」という行政論だけに閉じると:
・旧姓使用の法的弱さ
・クレジット・契約・裁判手続での不整合
・キャリア断絶
・国際的な通名運用の不整合
などの 実害を放置することになる。
したがってこれは:
> 「制度が人権を吸収できていない状態」
という、まさに制度不全型の人権問題です。

5.正確な位置づけ(最も妥当な整理)
学術的に最も精度が高い整理はこれです:
> 選択的夫婦別姓は
> 「人格権としての人権要求が、国家基幹ID制度と正面衝突している稀なケース
である。
これにより、
・単純な「人権 vs 伝統」の対立でもなく
・単なる「行政の都合」でもなく
「個人の同一性の自由」と「国家の家族・身分・財政・福祉管理システム」の衝突点 に位置づけられます。

6.本質的な問いの言い換え(ここが核心です)
多くの議論は「別姓に賛成か反対か」で止まりますが、
本当に問うべきなのは次です:
> 日本は「家族単位の同一性管理国家」を続けるのか
> それとも「完全な個人単位ID国家」に移行するのか?
選択的別姓は、その 象徴的なスイッチ にすぎません。
実はこの問題の背後には:
・戸籍制度
・扶養控除
・第3号被保険者
・世帯単位課税
・家族保険
といった 戦後日本型“家族主義福祉国家モデル”の存続問題 が全て束ねて存在しています。

7.最終結論(厳密版)
・法的性質:✓ 人権問題である
・実装の本体:✓ 完全に行政制度設計問題である
・社会的本質:✓ 日本型「家族=行政単位」モデルの再設計問題である
したがって適切な扱いは:
> 「人権だから即導入」でも
> 「制度が大変だから無理」でもなく、
> “国家のID構造そのものをどう再設計するか”という
> 20年単位の制度工学プロジェクトとして扱うべき問題
です。
(後略・・・つづく)

なるほどね。



図:Geminiによる連理の枝,比翼の鳥


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