片岡梅林は梅の香りがして,白梅,白梅,紅梅,白梅とまばらに花盛りだった。さらに歩くと奈良国立博物館の裏手の仏教美術資料研究センターの横を抜けて東大寺の参道入口までやってくる。ここまでくるとあたりは冬枯れの鹿と外人観光客でいっぱいだ。鹿のフンを掃除してくれているおばさんと,中国語のピンポンの中をかき分けて南大門をくぐり,右に曲がり丘を越えて左に曲がると,喫茶スペース工場跡事務室に到着した。
普段はあまり営業していないらしいが,無事にそこで昼食にありつけることになった。乳酸菌飲料のフトルミンの製造や,食料菌類の研究をしていた工場が製造を中止して30年後,今から15年ほど前に工場跡のカフェとしてオープンしたものだ。外観は今にも壊れそうな昔ながらの古びた建物である。
奈良市の登録有形文化財喜多家住宅(主屋・蔵・離れ)と旧長壽會細菌研究所(工場・製品庫)から成り立っている。大正末期から昭和初期に立てられた建物だ。主家の方はモダンなデザインの洋館だが公開していないのかもしれない。
写真:喫茶スペース工場跡事務室立ち入り禁止区画
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