エントロピーがわからないからの続き
熱力学の入門的教科書を手元に並べて呻吟している。
そういえば,教養課程で物理学科の専門科目として大学1年のときにクラス担任の国富信彦先生が担当したのが「物理学要論?」だった(科目名も忘れてしまった)。そこで,最初につまづいたのが応力テンソルと準静的過程だった。熱力学の初歩のところでは,覆水盆に返らずの話をしながら準静的過程の説明があったので,これは可逆過程なのか不可逆過程なのかどうなっているの?と混乱したのだった。
さて,並べているやさしい教科書は以下のとおり1.フェルミ熱力学(エンリコ フェルミ,三省堂 1973)
2.熱・統計力学(戸田盛和,岩波書店 1983)
3.熱・統計力学の考え方(砂川重信,岩波書店 1993)
4.熱学入門(藤原邦男・兵藤俊夫,東京大学出版会 1995)
5.ゼロからの熱力学と統計力学(和逹三樹・十河清・出口哲生,岩波書店 2005)
フェルミには準静的過程というワードは出てこない。それに相当するものは熱平衡状態をつないでいく可逆過程で考えるという立場だ。戸田さんは,この本(熱力学)で扱う可逆過程は準静的過程に限定すると注意している。砂川さんは,力学的な過程も可逆過程に含め,可逆過程は必ずしも時間反転してたどる必要がないとしている。準静的過程は可逆過程の集合に含まれる。藤原さんや和逹さんは,可逆過程=準静的過程としている。
広島大学の戸田昭彦さんは準静的過程と可逆過程に対してもっと細かな議論を展開していた。
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