2022年5月7日土曜日

摩擦のあるカルノーサイクル(1)

エントロピーがわからないからの続き

熱力学の第二法則と仮に導入したエントロピーの違いを明らかにしたい。普通の教科書ではクラウジウスの原理やトムソンの原理によるわけだが,そのためには,不可逆過程の考察が必要となる。その一番簡単な例は,力学でもなじみのある摩擦現象だと思う。

摩擦現象は力学的に細かく詰めて考えると何だか複雑で面倒なことになるが,とりあえず,摩擦現象は運動や仕事が熱に変換されて,力学的エネルギーが熱エネルギーとして環境中に散逸する過程だと考えることにする。環境中の熱エネルギーが直接集まってきて力学的エネルギーになるような現象は,巨視的には観察されないので,摩擦現象は不可逆過程である。

そこで,これまで練習してきたカルノーサイクルに摩擦を導入すれば,理解がしやすいのではないかと考えた。どの教科書をみてもそんな具体的な議論はされていない。クラウジウスやトムソンにしたがって,より抽象的な熱機関(可逆機関,不可逆機関)の組み合わせでの議論が進んでいくわけだ。

というわけで,より具体的な摩擦のあるカルノーサイクルを構成してみることに(続く)。

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