2024年8月22日木曜日

複式簿記

複式簿記を勉強しようかなと思っていたら,それは群論で理解できるとの託宣が空から降ってきた。そういうのが好きだ。

早速,調べてみた。ところで,生成AIに尋ねることを「調べる」といって良いのだろうか。
Q(koshix):
複式簿記が代数学の群であるとはどういう意味ですか。その場合,群をなしている集合は何の集合であり,定義されている演算はどのようなものですか。また,単位元と逆元はどうなりますか。 
A(ChatGPT-4o):
複式簿記が代数学の群(Group)であるということは、複式簿記の操作や構造が群の公理を満たしているということです。群の基本的な定義に基づいて、複式簿記を群として解釈する際のポイントを説明します。

群の定義
群とは、集合 $G$ とその上の二項演算 ∗ に対して、以下の4つの公理を満たす代数構造のことです。
1.結合律(Associativity):任意の $a, b, c \in G$について,$(a*b)*c = a*(b*c)$ が成立する。
2.単位元(Identity element): $G$ の中に単位元 $e$ が存在して、任意の$ a \in G $について,$e*a = a*e = a$ が成立する。
3.逆元(Inverse element):任意の $a \in G$について,$a * b = b * a = e$を満たす元 $b \in G$ が存在する($b = a^{-1}$)。
4.閉性(Closure):任意の $a, b \in G$について,$a*b \in G$ である。

複式簿記における群の解釈
1.集合 $\ G$
・複式簿記では、資産、負債、収益、費用、純資産といった「勘定科目」の集合が存在します。この勘定科目が群を構成する集合 $G$ に相当します。
2.演算 $\ *$
・演算としては「仕訳」が相当します。仕訳とは、ある勘定科目から他の勘定科目への「移動」を意味します。したがって、群の演算 $*$ は「ある仕訳と別の仕訳を組み合わせて新しい仕訳を作る操作」と解釈できます。
3.単位元 $\ e$
・単位元は群の要素と何らかの操作を行ってもその要素を変化させない要素です。複式簿記の文脈では「無操作」、すなわち資産や負債に何も影響を与えない操作が単位元に相当します。これは「仕訳を行わない」という状態を表します。
4.逆元 $\  a^{-1}$
・逆元は、仕訳による操作を元に戻す操作に相当します。例えば、「ある勘定科目に借方として100円を記入する」という仕訳の逆元は「同じ勘定科目に貸方として100円を記入する」仕訳です。これによって、仕訳の効果が打ち消され、元の状態に戻ることになります。

群の公理の適用
1.結合律:仕訳は連続して適用されても、その順序が変わっても同じ結果を得られるため、結合律が成り立ちます。
2.単位元の存在:「無操作」の仕訳は、どの仕訳とも組み合わせても仕訳内容を変えないため、単位元が存在します。
3.逆元の存在:各仕訳に対して、その効果を打ち消す逆の仕訳が存在するため、逆元が存在します。
4.閉性:すべての仕訳は、勘定科目の集合内での操作であるため、仕訳を適用した結果もまた勘定科目の集合内に留まります。

結論
複式簿記を群と見なす場合、勘定科目の集合が群をなす集合に対応し、仕訳の操作が群の演算に相当します。単位元は「無操作」、逆元は「仕訳の逆操作」として解釈できます。この解釈によって、複式簿記の構造が代数学の群の性質を持つことが理解できます。

2024年8月21日水曜日

好適環境水

A谷君から電話で,好適環境水を聞いたことがあるかとのお尋ね。岡山理科大学工学部の山本研究室で開発された,海水魚を淡水で養殖するための技術らしい。
Q(koshix):
好適環境水と海水魚の淡水養殖の関係についてできるだけ新しい知見を教えてください。

A(Claude 3.5 Sonnet):
最新の知見について説明いたします。好適環境水と海水魚の淡水養殖には興味深い関係があります。

好適環境水は、海水魚を淡水で飼育するために開発された人工の水です。主な特徴として:
1.ミネラルバランス:海水に近いイオンバランスを持ちながら、塩分濃度は淡水レベルに抑えられています。
2.pH調整:海水魚に適したpHレベルに維持されています。
3.浸透圧管理:魚の体内環境に近い浸透圧を実現しています。

最近の研究や実践から得られた新しい知見には以下のようなものがあります。
1.種の多様化: 従来は困難だったマダイやヒラメなどの高級魚種の淡水養殖が可能になってきています。
2.成長速度の向上:好適環境水を用いることで、一部の魚種では海水養殖よりも成長が早くなる例が報告されています。
3.病気耐性の向上:適切に管理された好適環境水では、魚の免疫システムが強化され、一部の疾病に対する耐性が向上する可能性が示唆されています。
4.環境負荷の軽減:内陸部での養殖が可能になり、沿岸環境への負荷を減らせる可能性があります。
5.省スペース化:閉鎖循環システムとの組み合わせにより、より効率的な養殖が可能になっています。
6.味質の変化:一部の魚種では、好適環境水で育てた魚の味や食感が海水養殖のものと微妙に異なるという報告があります。これは新たな付加価値となる可能性があります。
7.遺伝子発現の変化:好適環境水で飼育された魚の一部で、海水中とは異なる遺伝子発現パターンが観察されています。これは長期的な適応メカニズムの解明につながる可能性があります。

これらの知見は、水産業の持続可能性向上や食糧安全保障の強化に貢献する可能性があります。ただし、まだ研究段階のものも多く、実用化にはさらなる検証が必要です。

図:DALL-E3による好適環境水のイメージ

まだ現役ドクターとして毎日働いているA谷君から電話があるといつも「毎日何してるん」
と尋ねられる。自分は,暇で困っているということはなくて,どこへも出かけなくても情報のインプットとアウトプットで精いっぱいである。毎日ご飯を食べてトイレに行くのと同じ状況であって,特に困っていることはない。もちろん,身体を動かさないことでフレイルになるという心配はあるのだけれど。

自分の回りの親戚や友人などの多くは,仕事や趣味がなくて暇そうにしている老人のことを心配してくれる。もしかすると,人間は毎日一定の目的を持って行動しなければならいのだと考えているのかもしれない。このあたりはもう少し検討の余地がある。人間にとっての好適環境とはなんだろうか。続く。

[1]好適環境水とは(千葉科学大学)
[2]アクア東条(Wikipedia)


2024年8月20日火曜日

橿原市昆虫館

夏休みのイベントです。橿原市昆虫館を30年ぶりに訪れた。

ゴキブリの飼育と放蝶温室で有名だった。今もその部分は申し分なかった。しかし,いかんせん設置後35年も経つと,施設や展示の旧さが目に付くようになってしまう。いまどきの博物館はより洗練された展示方法をとっている。

それでも,新館の特別生態展示コーナーで,学芸員の方が蝶の飼育方法やマダガスカルゴキブリを手に乗せて説明してくれるところは,非常に興味深かった。まあ,隣に展示されていたカメとスッポンと金魚の関連性については若干問題があったかもしれない。

放蝶温室のオオゴマダラやツマムラサキアゲハは,温室で回収した卵を別の飼育環境に移動して,一匹ずつ幼虫から蛹に育てて,温室に返すという手間のかかる作業をされているとのことだった。放蝶温室を最初に見学したのは,池田市に住んでいた40年前に訪れた伊丹市昆虫館だった。

せっかくの昆虫館なので,既存展示のリニューアルとか,博物館グッズコーナーの充実などをすればよいのだろうけれど,予算は限られている。維新県政では,県の支援も絶対無理だろう。日本全国何処も貧すれば鈍す状態を着々と進んでいる。



写真:橿原市昆虫館の放蝶温室(2024.8.20撮影)

2024年8月19日月曜日

若者世代のリアリティ

東京都知事選挙(6)からの続き

成蹊大学の伊藤昌亮さんの分析「若者世代のリアリティ 石丸現象とTikTok」がWEB世界(岩波書店)で公開されていた。なかなか興味深い論説だった。

東京都知事選挙における石丸伸二の躍進について,ネット戦略にその原因を求めることについて菅野完は否定的な見方をしていた。確かに,旧勢力のメンバーが選挙運動の実際を担っていたことが大きいのは間違いないが,それでも若年層における支持率の高さや菅野自身が認めていた投票所に行列ができるような朝の風景の分析には不十分なのだった。

伊藤は,TikTokのいいねについての定量的な分析を踏まえて,石丸がどのように若者達の心をつかんだのかを詳細に検討している。これまでの様々な石丸現象の説明よりは格段に精度が上がっているような気がする。

その論説をChatGPT-4oにまとめさせると次のようになった。
Q(koshix):
何が書いてありますか?
(略)
Q(koshix):
事実内容やデータと論理の筋道と考察をもう少し詳しく説明してください。

A(ChatGPT-4o):
このPDFの記事「石丸現象とTikTok――若者世代のリアリティ」は、2024年7月の東京都知事選挙で石丸伸二氏が若者世代から大きな支持を得た背景と、その要因を分析しています。以下に、記事の内容をさらに詳しく解説します。

1.石丸現象の概要と選挙結果
背景:石丸伸二氏は、安芸高田市長としての経験を生かし、従来の既得権益層や古参議員との対立を強調した選挙キャンペーンを展開しました。
選挙結果:石丸氏は、特に若者世代からの支持を集め、蓮舫氏を上回る票数を獲得し、都知事選での大躍進を果たしました。
2.ネット戦略とTikTokの役割
ネット戦略:石丸氏は、YouTubeやTikTokなどのネット動画を積極的に活用し、自身の政治的メッセージを広く発信しました。特に、対立を煽るような「劇場型」演出が、若者の間で共感を呼びました。
TikTok分析:伊藤教授は、YouTubeではなくTikTokに焦点を当て、動画の「いいね」数に着目することで、若者が石丸氏に共感する理由を分析しています。特に、「老害批判」「マスメディア批判」「若者応援」の3つのメッセージがTikTok動画で支持を集めていることが示されています。
3.投票前後の「いいね」率の変化
投票前:投票前の動画では、「老害批判」と「若者応援」のメッセージが多くの「いいね」を獲得していました。これらのメッセージは、石丸氏が既得権益層との対立を強調し、若者の権利を守ろうとする姿勢を示していました。
投票後:投票後には、「マスメディア批判」の動画が特に多くの「いいね」を集めました。石丸氏がマスメディアに対して強硬な姿勢を取ったことが、支持者に強い印象を与えたと考えられます。
4.応援型メッセージと自己啓発的なアプローチ
自己啓発的な内容:石丸氏のTikTok動画には、勉強の仕方や仕事のテクニックなど、日常生活での成功を支援する自己啓発的な内容が多く含まれていました。政治的な議論よりも、若者が日常的に直面する課題に対する実用的なアドバイスが重視されています。
前政治的領域:伊藤教授は、石丸氏のアプローチを「前政治的な領域」と呼び、伝統的な政治的な言説から距離を置き、むしろ日常生活に密着した問題解決を強調するものだと述べています。これは、自己責任や自助努力を重視するネオリベラリズム的な考え方と一致しています。
5.ネオリベラリズムの内面化とリベラリズムの額面化
経済的な右派:石丸氏のアプローチは、ネオリベラリズムに基づくものであり、政治的な調整を回避し、個々人の自己実現を重視する姿勢が見られます。この点で、経済的には右派的な立場にあると考えられます。
文化的な左派:一方で、石丸氏はジェンダーやエスニシティに関する問題ではリベラルな立場を示しています。ただし、これは表面的なものであり、深く内面化されたものではないと分析されています。
6.成長が困難な時代における成長戦略としての自己啓発
若者の成長戦略:石丸氏は、自己啓発を通じた自己実現を成長戦略の一部として掲げています。これは、社会全体の成長が見込めない時代において、若者が個々に成長を目指すための手段として機能していると分析されています。
投資と成長の関係:ただし、投資を通じた自己実現は劣悪なものであり、石丸氏の「応援メッセージ」はより本来的な意味での成長戦略として若者に受け入れられたとされています。
7.社会的弱者への配慮の欠如とその影響
矛盾点:石丸氏のアプローチには、社会的弱者への配慮が欠けている点が批判されています。彼の「老害批判」が、若者を応援するための正当なものとされている一方で、そのメッセージが社会的に弱い立場にいる高齢者や他の社会的弱者への攻撃に転化する危険性が指摘されています。
リベラリズムと福祉政治の欠如:石丸氏のアプローチは、福祉政治を軽視し、自己責任に基づくネオリベラリズムを強調していますが、これは持続可能な社会を構築する上で問題があると論じられています。
8.社会全体への示唆と「若者世代化」の影響
永遠の若者:伊藤教授は、現代社会では中年世代も「若者世代化」しているとし、成長と自己実現の欲求が満たされない状態が続いていると指摘しています。石丸氏を支持した中年世代には、こうした状況に置かれた人々が多かったと考えられます。
結論:最終的に、石丸現象を通じて、現代日本社会が抱える問題がより鮮明に浮き彫りになると結論づけています。リベラル派が成長戦略を軽視し、文化政治に重点を置きすぎている点も、今回の選挙結果に影響を与えたと考えられています。

このように、伊藤昌亮教授は石丸現象を若者世代のリアリティとして分析し、その背景にある社会的、経済的な要因について論じています。また、石丸氏の戦略やアプローチが一時的な支持を得ることには成功しているが、長期的には社会的な弱者への配慮が不足しているため、持続的な支持を得るのは困難であるという考察がなされています。

図:「上記にふさわしくて,あまり説明的でない抽象的なイメージを下さい」
の回答 by DALL-E3・・・なんだろうこのSは。


2024年8月18日日曜日

AIサイエンティスト

Sakana AI はGoogleの2人の研究者が2023年8月に,東京で始めたスタートアップである。それが先日,AI サイエンティスト というシステムを開発した。arxivに185ページの論文(The AI Scientist: Towards Fully Automated Open-Ended Scientific Discovery)が出され,十分なリソースさえあれば,Githubで試してみることもできる。

最初に人間が問題となるテーマを与えれば,あとは仮説を設定して数値実験して結果を求め論文を書いて評価するところまで自動化されるのだ。シンギュラリティサロンの松田先生によれば,人間では論文1本200万円かかるところを,AI Scientistならば,$15=2000円でできるということだ。もっとも,清水亮さんが実際に試したところは,生成AIのAPI使用料がかさむので,1本数万円はかかりそうだとのこと。

問題は,お金だけではなく,これによってどこまで科学が人間と独立に進化するかなのだ。実際の自然現象と結ぶには仮想実験でなくて,リアルの実験が必要となるから,それはまた次のステップの課題となるが,それでも非常に大きな一歩には違いない。

論文の概要を訳してみると次の通りである。
Q(koshix):
次の論文概要を分かりやすく和訳してください。

A(Claude 3.5 Sonnet):
はい、喜んでこの論文概要を分かりやすく和訳します。
人工知能(AI)による自動的な科学的発見に関する画期的な研究についての概要です: 
「人工知能の大きな課題の1つは、科学研究を行い新しい知識を発見できるAIエージェントを開発することです。最新のAIモデルは既に人間の科学者を補助する目的で使用されていますが(アイデア出し、コード作成、予測タスクなど)、それらは科学的プロセスの一部しか担っていません。
本論文では、最先端の大規模言語モデル(LLM)が独立して研究を行い、その成果を発表できるようにする包括的な枠組みを初めて提案しています。我々は「AIサイエンティスト」と呼ばれるシステムを紹介します。このシステムは、新しい研究アイデアを生み出し、コードを書き、実験を実行し、結果を視覚化し、完全な科学論文を執筆してその発見を説明し、さらに評価のための模擬査読プロセスを実行します。
理論的には、このプロセスを繰り返すことで、アイデアを反復的に発展させ、成長する知識のアーカイブに追加していくことができます。これは人間の科学コミュニティのような働きをします。
我々は、この手法の汎用性を示すために、機械学習の3つの異なる分野(拡散モデリング、Transformerベースの言語モデリング、学習動態)に適用しました。各アイデアは実装され、1本あたり15ドル未満という低コストで完全な論文に仕上げられました。これは、我々の枠組みが研究を民主化し、科学の進歩を大幅に加速させる可能性を示しています。
生成された論文を評価するために、我々は自動レビューアを設計・検証しました。このレビューアは論文の評価において人間に近い性能を達成することが示されています。AIサイエンティストは、この自動レビューアの判断によると、トップレベルの機械学習会議での採択基準を超える論文を生成できます。
このアプローチは、機械学習における科学的発見の新時代の幕開けを意味します:AIエージェントの変革的な利点をAI自体の研究プロセス全体にもたらし、世界の最も困難な問題に対して無限の手頃な創造性とイノベーションを解き放つ世界に我々を近づけます。
我々のコードはhttps://github.com/SakanaAI/AI-Scientistでオープンソース化されています。」 
この研究は、AIが科学研究のプロセス全体を自動化し、人間の科学者と同様に新しい発見を行える可能性を示しています。これは科学の進歩を加速させ、研究をより手頃で民主的なものにする可能性があります。




図:AI Scientistの上記論文から引用

2024年8月17日土曜日

経度問題

EarPodsをはめたまま昼寝をしていた。いつの間にか,山田五郎面白い話が聞こえてきて目が覚めた。彼の趣味の一番は時計だったのか。どうりで話が詳しいのだ。

大航海時代後の大英帝国では,船がどうやって自分の位置(経度)を正しく測定するかというのが重要な問題となった。それが1714年の経度法につながった。

Q(koshix):
経度問題の歴史的経緯に関する蘊蓄をお願いします。

A(Claude 3.5 Sonnet):
経度問題の歴史的経緯について説明いたします。これは航海と地図作成の歴史において非常に重要な課題でした。

1.問題の背景:
経度を正確に測定することは、船舶の位置を特定し、安全な航海を行うために不可欠でした。緯度の測定は比較的簡単でしたが、経度の測定は長年にわたり困難な課題でした。
2.初期の試み:
16世紀から17世紀にかけて、様々な方法が提案されました。例えば、木星の衛星の動きを観測する方法などがありましたが、海上での実用性に乏しいものでした。
3.経度法の制定:
1714年、イギリス議会は経度法を制定し、実用的な経度測定方法を開発した者に多額の賞金を提供することを決定しました。
4.ジョン・ハリソンの貢献:
時計職人のジョン・ハリソンは、精密な航海用時計(クロノメーター)の開発に取り組みました。彼は約30年の歳月をかけて、H1からH5までの5つの時計を製作しました。
5.クロノメーターの成功:
ハリソンのH4は1761年と1764年の航海試験で優れた性能を示し、経度問題の実用的な解決策となりました。
6.影響と普及:
ハリソンの技術は徐々に改良され、19世紀には多くの船舶でクロノメーターが標準装備となりました。これにより、航海の安全性と効率が大幅に向上しました。

この歴史的経緯は、科学技術の進歩が実際の問題解決にどのように貢献するかを示す興味深い事例です。経度問題の解決は、航海技術の発展だけでなく、精密機械工学の進歩にも大きな影響を与えました。

Q(koshix):
ハリソンの物語にはもっと紆余曲折があったのではないでしょうか

A(Claude 3.5 Sonnet):
ご指摘の通りです。ジョン・ハリソンの物語には多くの紆余曲折がありました。より詳細に説明いたします。

1.困難な始まり:
ハリソンは田舎の大工の息子として生まれ、正式な教育を受けていませんでした。彼の時計製作の技術は独学で身につけたものでした。
2.最初の挑戦:
1730年代、ハリソンは最初の海洋時計H1を製作しましたが、これは重すぎて実用的ではありませんでした。その後、H2、H3と改良を重ねましたが、いずれも満足のいく結果を得られませんでした。
3.H4の breakthrough:
1759年、ハリソンは画期的なH4を完成させました。これは従来の時計とは全く異なる、ポケット時計サイズの革新的な設計でした。
4.試験航海と論争:
1761年と1764年の試験航海でH4は素晴らしい性能を示しましたが、経度委員会は更なる試験を要求しました。これはハリソンにとって大きな失望でした。
5.政治的な障害:
経度委員会の一部のメンバー、特に王立天文台長のネヴィル・マスケリンは、天文学的方法を推奨しており、ハリソンの機械式解決策に反対していました。
6.賞金獲得の遅延:
ハリソンは何度も賞金の支払いを要求しましたが、委員会は新たな条件を付け加え続けました。これにより、ハリソンは完全な賞金を受け取るのに数十年を要しました。
7.王室の介入:
最終的に、ハリソンはジョージ3世に直接訴えかけました。王の支持を得て、1773年に議会は特別法を制定し、ハリソンに残りの賞金を支払うことを決定しました。
8.晩年の苦闘:
ハリソンは80歳を過ぎてようやく正当な評価を得ましたが、その時には既に健康を害していました。彼は1776年に83歳で亡くなりました。
9.遺産と再評価:
ハリソンの業績は、当時は十分に認められませんでしたが、後世になってその重要性が再評価されました。現在では、彼は航海技術と時計製作の革新者として高く評価されています。

ハリソンの物語は、革新的なアイデアが既存の権威や制度と衝突する際の困難さを示しています。同時に、粘り強さと信念の力を表す感動的な物語でもあります。



写真:ジョン・ハリソンのH1(SEIKOから引用)

[1]経度の歴史(Wikipedia)
[2]ジョン・ハリソン(Wikipedia)
[3]クロノメーター(Wikipedia)


2024年8月16日金曜日

大仏鉄道

天理軽便鉄道からの続き

奈良市内をクルマで回ると,大仏鉄道記念公園という大仏駅の跡地を通ることがある。

大仏駅は,1898年(明治31年)に,当時の関西鉄道の加茂駅−大仏駅の終着駅として設置された。次の年には奈良駅までつながるのだが,関西鉄道が奈良鉄道を買収して木津経由路線を確立すると,1907年(明治40年)には大仏線は廃止されてしまった。

学研都市の木津や平城山あたりやをクルマで通るときにも遺構がちらほら見られる。


図:運行わずか9年の幻の鉄道(たびよみから引用)

[1]大仏鉄道研究会(WebArchive)
[4]大仏鉄道(近代化遺産ある記)

幻の路線『大仏鉄道』   その廃線の記憶を辿って

2024年8月15日木曜日

天理軽便鉄道

夕方のテレビに近所の様子が映っているとの連絡で早速チャンネルを変えた。

ファミリー公園近鉄平端駅の辺りで,リポータがモチャモチャしていた。テーマは,天理軽便鉄道の跡地めぐりだった。法隆寺の近くにある木戸池の中央には軽便鉄道の跡を示す堰堤が残っている。

天理軽便鉄道は,JRの法隆寺駅近辺から,JRの天理駅までを結んだ狭軌ガソリン車による軽便鉄道である。1915年(大正4年)に開業した。新法隆寺−安堵−額田部−二階堂−前栽−天理の駅が設けられた。1922年(大正11年)には,天理軽便鉄道は廃止されて大阪電気軌道に移管,平端駅−天理駅間が広軌電化された。残る新法隆寺駅−平端駅間は,1945年(昭和20年)に運転中止その後廃止された。

天理教の勢力拡大に伴う大正普請で,多くの人の流れが発生したが,当時は大阪湊町駅−奈良駅−丹波市(天理)駅と,2時間半もかかっていた。そこで法隆寺駅で降りて天理まで歩く信者が多かったため,この軽便鉄道の敷設に至った。ところが,いざ開通してみるとそれほど利用者は多くない。帰りはみな別コースで奈良見物などをしたものだから,採算はとれなかったようだ。

うちの最寄り駅の近鉄天理線二階堂駅はその時代からあるわけだ。


図:天理軽便鉄道の路線図(奈良県立図書情報館から引用)

[1]天理軽便鉄道(奈良県立図書情報館)
[2]天理軽便鉄道(近代化遺産ある記)
[3]天理教と軽便鉄道(田舎暮らしdeほっ)
[4]天理軽便鉄道法隆寺線(廃線探索写真集)
[5]天理軽便鉄道の廃線跡(セピア色の線路)


2024年8月14日水曜日

オリンピック

2024年パリオリンピック が終った。

なんだかんだブツブツ文句を垂れながらも,結構テレビを見ていたかもしれない。ニュースダイジェスト以外だとスケートボードとかスポーツクライミングとか卓球とか。

昔は,日本人が出ていない種目でもそれなりに中継していたような気がしたが,最近は日本人がメダルを取りそうな注目種目だけが集中的に放映されて,ゆとりのないナショナリズムとお涙頂戴物語による感動ポルノの押し売りに終始するテレビなのだった。まあ,表裏の商業主義五輪が行き着いた終着の浜辺なのである。

さて,この「平和の祭典」の間も,ガザへの攻撃や,ウクライナでの戦闘は続いたままだ。しかもロシアやベラルーシは国として排除される一方,イスラエルは国旗をかかげている。そもそも,国家間で闘われるスポーツ競技というのは戦争の昇華形態ともいえるかもしれないのだから,それが不完全に機能して,戦争と平和の重ね合わせの状態が実現しているということだろう。

今回の2024パリオリンピックの競技種目は330種目近くあるらしいが,これを競技の性格で分類してみる。(1) 時間速度)を競うもの(陸上水泳他132種目, 40%),(2) 人間同士が闘うもの(柔道他66種目,20%)(3) 技能・芸術表現を競うもの(体操他44種目,13%),(4) 球技ゲーム(卓球他33種目,10%),(5) 非球技や混合形態でポイントを競うもの(射撃他28種目,9%),(6) 長さを競うもの(跳躍・投擲 16種目,5%),(7) 重さを競うもの(ウエイトリフティング 10種目,3%)となる。

格闘技や本来軍人男性を対象としていた馬術,射撃,アーチェリーなどは昇華形態の中でもより戦争に近いイメージを喚起する。

さて,日本のメダルは金20,銀12,銅13なのだけれども,これが,(2) 人間同士が闘う格闘技系(レスリング,柔道,フェンシング)に相当偏りすぎている。金:銀:銅=3:2:1のウェートを付けて再規格化すると,(2) 格闘技系 57%,(3) 技能芸術系 27%,他は5%以下となった。

こうしてみるともう少し別のタイプの種目があってもいいかもしれない。質量を摩擦のある面で移動する競技とか,一定距離で質量を比較する投擲種目とか。綱引きもいいように思うけどなあ。あるいは,eスポーツを含む脳の戦い,四則演算の暗算とか積分計算とか,短期記憶力とか,AIに置き換えられてしまい,行き所を失った人間の脳の力を競い合う方向しか思い浮かばない。



図:格闘技のイメージがなかなか定まらないDALL-E3

2024年8月13日火曜日

注目論文数

8月9日(金),科学技術・学術政策研究所(NISTEP)科学技術指標2024を公開した。早速ニュースで取上げられていたのは,注目度の高い論文数(上位10%)の国際順位である。昨年度と同様に過去最低の13位ということだった。研究開発費や研究者数などは,世界3-5位の水準なのだけれど,それに比べて目立つので毎年取上げられることになる。

今から,6年前の定年直前の9月に,奈良学園高校で出前授業をしたことがある。タイトルは20世紀の物理学−原子核の発見がもたらしたもの−なのだが,そこで,このデータを取上げて日本の科学の水準の危機を訴えたことがある。そのときは上位10%の論文数は世界第10位だった。

上位10%の論文というのは,自然科学の各分野の論文を被引用数の大きな順に並べたものの上位10%の論文について,各国の機関別寄与割合を集計した数である。実際には,各分野の引用慣行を補正するための,分野ごとの論文数の正規化が行われている。

各国の人口と研究者数や論文数には相関があるので,報道されている論文数を人口で割ったものを求めてみた。報道されているもとの論文数では,日本は第13位だけれど,人口比をとれば,第20位にまでランクダウンする。なお,上位1%でも12位から20位にダウンする傾向は同じだった。
 
 No国名人口(万人)10%論文数人口比(/万人)
122シンガポール5801,5202.621
217スイス8702,0712.380
37オーストラリア2,6705,1511.929
414オランダ1,7402,8781.654
521スウェーデン1,0701,5651.463
63英国6,8008,8501.301
78カナダ3,9104,6541.190
86イタリア5,8706,9431.183
925ベルギー1,1701,3371.143
102米国34,18034,9951.024
115ドイツ8,3307,1370.857
1211スペイン4,7503,9910.840
139韓国5,1704,3140.834
1423台湾2,3601,5110.640
1510フランス6,4904,0830.629
1615サウジアラビア3,7502,1400.571
171中国142,52064,1380.450
1812イラン8,9803,8820.432
1924ポーランド4,0201,4910.371
2013日本12,2603,7190.303
2118トルコ8,6302,0520.238
2219エジプト11,4501,8260.159
2316ブラジル21,7602,1310.098
2420パキスタン24,5201,6960.069
254インド144,1707,1920.050

もとのデータが論文数で25位までの範囲だけが示されているので,人口比データでは上位となる国のいくらかは取りこぼしているかもしれない。例えば,上位1%データではデンマークが第4位にランクインしてポーランドがランクアウト。ロシア,イスラエル,オーストリア,アイルランド,ギリシャ,ノルウェー,フィンランド辺りは取りこぼされているかもしれない。


2024年8月12日月曜日

世界の解像度(3)

世界の解像度(2)からの続き

Googleで世界の解像度を検索すると,amazarashiミュージックビデオが最初に出てくる。秋田ひろむの歌詞はなかなかよいのだけれど,音楽にはもうひとつ入り込めない。

さきほどの,PLaMoの結果を,Claude 3.5 Sonnet や ChatGPT-4o と比較してみる。昨日は,Claude 3.5 Sonnet が使えなくなっていたので焦ったが,今日の午前には Claude 3 Haiku まで回復し,午後には再び Claude 3.5 Sonnet が使えるようになっていた。どういうことだろうか。使いすぎ?

Q(koshix):
「世界の解像度」という比喩的な表現があります。その意味をよく吟味しながら深くていねいに掘り下げて分析して整理した結果をできるだけわかりやすく説明してください。

A(Claude 3.5 Sonnet)
「世界の解像度」という比喩的表現は、私たちが世界をどれだけ細かく、鮮明に、そして正確に認識できるかを表現しています。この概念を深く掘り下げて分析すると、以下のような側面が浮かび上がってきます:

1.知覚の精度 「世界の解像度」は、まず私たちの五感による知覚の精度を指します。例えば
・視覚:どれだけ細かいものまで見分けられるか
・聴覚:微細な音の違いをどこまで聞き分けられるか
・触覚:微妙な質感の違いをどこまで感じ取れるか
これらの感覚の鋭さが高いほど、世界の「解像度」は高くなります。

2.認知の深さ 単に感覚で捉えるだけでなく、その情報をどれだけ深く理解し、意味づけできるかも「解像度」に関わります
・物事の因果関係をどこまで把握できるか
・複雑な現象の背後にあるメカニズムをどこまで理解できるか
・抽象的な概念をどれだけ具体的に捉えられるか

3.知識の広さと深さ 世界に関する知識の量と質も「解像度」を左右します
・様々な分野についてどれだけ幅広い知識を持っているか
・それぞれの分野についてどれだけ専門的な知識を持っているか
・新しい情報をどれだけ迅速に吸収し、既存の知識と関連付けられるか

4.視点の多様性 同じ事象を異なる角度から見る能力も「解像度」を高めます
・文化的、社会的、経済的など、様々な文脈から物事を捉えられるか
・他者の立場に立って考えることができるか
・時間軸を長くとって物事の変化を見ることができるか

5.創造性と想像力 既知の情報を超えて、新しい可能性や未知の領域を思い描く力も「解像度」の一部です
・既存の概念を組み合わせて新しいアイデアを生み出せるか
・現実には存在しないものを想像し、具体的にイメージできるか
・問題に対して多角的なアプローチを考案できるか

6.自己認識 自分自身についての理解の深さも、世界の「解像度」に含まれます
・自分の感情や思考パターンをどこまで客観的に把握できるか
・自身の強みと弱みをどれだけ正確に認識しているか
・自分の行動が他者や環境に与える影響をどこまで理解しているか

7.倫理的判断力 状況の倫理的側面を認識し、適切に判断する能力も「解像度」の一部です
・行動の倫理的影響をどこまで予測できるか
・複雑な状況下で、正しい選択を見極める力があるか
・異なる価値観や倫理観の間でバランスを取れるか

「世界の解像度」を高めることは、単に情報を詳細に把握するだけでなく、その情報を多角的に理解し、創造的に活用し、そして倫理的に判断する能力を磨くことを意味します。これは生涯にわたる学習と経験の積み重ねによって達成される、終わりのない成長プロセスだと言えるでしょう。
この「解像度」が高まれば高まるほど、私たちは世界をより鮮明に、より深く、そしてより正確に理解し、それに応じてより適切に行動することができるようになります。それは個人の成長だけでなく、社会全体の発展にもつながる重要な概念なのです。



Q(koshix):
「世界の解像度」という比喩的な表現があります。その意味をよく吟味しながら深くていねいに掘り下げて分析して整理した結果をできるだけわかりやすく説明してください。

A(ChatGPT-4o):
「世界の解像度」という比喩的な表現は、物理的な画像解像度を指すわけではなく、物事や現実をどのように細部まで理解し、認識するかという意味で使われます。この表現を深く掘り下げて分析することで、以下のようなポイントが浮かび上がります。

1.解像度と認識の関係
物理的な解像度:まず、解像度という言葉は、本来、画像や画面の鮮明さを測るために使用されます。解像度が高いほど、画像は細部までくっきりと見えます。逆に解像度が低いと、画像はぼやけて詳細が失われます。
比喩的な解像度:この物理的な概念を「世界の解像度」に転用すると、人々が世界や現実をどれだけ詳細に理解し、認識できるかを指します。高い「世界の解像度」を持つということは、細かな部分まで理解し、他者の視点や複雑な現象をも包括的に捉える能力があることを意味します。
2.「世界の解像度」が高いとはどういうことか
多様な視点の理解:高い解像度は、異なる文化、背景、価値観を理解する力とも言えます。世界は複雑で、多様な視点が存在します。解像度が高い人は、単一の視点や表面的な理解に留まらず、複数の視点から物事を見ることができるのです。
情報の精査と洞察力:高い解像度には、情報を精査し、そこから洞察を得る力も含まれます。これは単に多くの情報を知っているだけでなく、その情報の本質を見抜き、正確に理解する能力です。データや事実だけでなく、その背後にある文脈や意味を理解する力が求められます。
3.「世界の解像度」が低い場合の影響
偏った認識:低い解像度は、世界を部分的にしか理解できない状態を表します。視点が狭くなりがちで、他者の意見や異なる考え方を排除しやすくなります。その結果、偏見やステレオタイプに基づいた認識が強まることがあります。
表面的な理解:また、解像度が低いと、複雑な問題を単純化しすぎる傾向が生じます。例えば、社会問題や歴史的な出来事を深く掘り下げず、表面的な理解で済ませることで、誤解や不十分な判断に繋がることがあります。
4.「世界の解像度」を高めるためには
教育と学び:「世界の解像度」を高めるには、幅広い知識と経験が必要です。これは教育や学習を通じて、さまざまな視点や概念に触れることが基本となります。
・批判的思考:情報をそのまま受け取るのではなく、批判的に考える習慣を持つことも重要です。情報源の信頼性を確認し、複数の視点から物事を考えることで、より高い解像度を持って世界を理解できるようになります。
共感力の育成:他者の立場や感情を理解しようとする共感力も解像度を高める要素です。共感力を養うことで、より多くの人々の視点や経験を理解し、世界をより詳細に見ることができるようになります。
5.結論:「世界の解像度」の重要性
「世界の解像度」という比喩は、私たちが世界をどれだけ深く、正確に理解できるかという能力を指すものです。これは、情報の量だけでなく、その情報をどれだけ意味深く洞察できるか、どれだけ多様な視点を受け入れられるかにかかっています。高い「世界の解像度」を持つことは、より広い視野と深い理解を可能にし、個人だけでなく、社会全体の健全な発展に寄与します。

このように「世界の解像度」という表現は、現代社会における複雑な問題の理解や対話の質を高めるために非常に重要な概念です。

図:DALL-E3による印象派風の世界の解像度

2024年8月11日日曜日

世界の解像度(2)

世界の解像度(1)からの続き

ディープラーニングの研究開発を行うスタートアップ企業のPreferred Networks(PFN 2014-) ,今はもうないが,かつてChainerという深層学習フレームワークで一斉を風靡した。そのPFNがPLaMoという100Bの国産LLMを開発した。10月ごろまで有効な無料β版のトライアルに応募してみた。

これまで,国産のLLMとしては,東大の松尾研からでたベンチャーELYZAによるELYZA LLMがあって,簡単なデモチャットサイトを公開していたが,ChatGPT,Gemini,Claude等に比べるとかなり見劣りがしてあまり使う気になれなかった。


このたびのPLaMoである。第一印象はたいへんよろしかった。昨日はこんな感じだった。
Q(koshix):
「世界の解像度」とは何かについて説明してください

A(PLaMo):
「世界の解像度」という言葉は、個人の心理状態や認知能力が、世界をどのように経験し、認識し、理解するかに影響する程度を表現するのに使われます。言い換えると、それはさまざまな要因(感情的・認知的スキル、経験、背景知識など)により、世界をどれだけ詳細に、また正確に見ることができるか、ということを指します。

より高い世界の解像度は、以下のようなことを意味します。

詳細への気づき:高解像度の世界では、より多くの細部に気づき、観察することができます。色彩、テクスチャ、形状、パターンなど、低解像度の世界では見過ごしてしまうようなものにも気づくことができます。
パターンの認識:高解像度の世界では、物事の関連性、パターン、構造をより簡単に認識することができます。複雑な状況を素早く把握し、抽象的な概念を理解し、未来の出来事を予測することができます。
感情の理解:感情的な解像度が高いと、自分自身や他者の感情をより深く理解し、表現することができます。微妙な感情の変化に気づき、それに応じて行動や接し方を調整することができます。
視点取得:高解像度の世界では、他者の視点、感情、動機をより良く理解することができます。これにより、共感や社会的なつながりが強化されます。
自己認識:個人の解像度が高いと、自分自身の感情、思考、行動についてより深く理解することができます。強みや弱み、動機、バイアスを認識し、自己成長や自己調整に役立てることができます。
認知の柔軟性:高解像度の世界では、複数の視点から物事を見たり、複雑な問題を様々な角度から分析したりすることができます。また、新しいアイデアに対してオープンマインドで、創造的な問題解決や意思決定ができます。
内省と自己反省:高解像度の世界では、自分の思考プロセス、信念、価値観を定期的に振り返り、それらが自分の経験にどのように影響しているかを考えることができます。これにより、自己成長や自己改善につながります。

簡単に言うと、世界の解像度とは、私たちが世界をどの程度細かく、正確に、そして深く理解しているかを測るものです。それは私たちの認知能力、感情的な経験、背景知識などによって決まり、それらは私たちの人生における様々な領域での経験や成果に大きく影響します。

今日は少し別の聞き方をしてみる。
Q(koshix):
「世界の解像度」という比喩的な表現があります。その意味をよく吟味しながら深くていねいに掘り下げて分析して整理した結果をできるだけわかりやすく説明してください

A(PLaMo):
「世界の解像度」というのは、「あなたが世界についてどれだけ多くの詳細まで、どれだけ明瞭に知っているか、あるいは理解しているか」ということを表現する際の比喩です。もともと、解像度とは画像の鮮明さや、画面や画像がどれだけ細かく描写できるかということを指すものです。

これを比喩的に世界にあてはめているわけですが、この場合の解像度は次のような要素で構成されます。

知識の幅と深さ
 解像度が高いということは、知識が豊富であり、物事を多面的に捉えているということになります。一つの事象に対して多くの情報を持っており、全体像を把握し、細部まで注意を払うことができる能力があるということです。
観察力、洞察力の鋭さ
 どれだけ注意深く観察し、分析し、解釈できるかということも解像度を左右します。パターンを見つけ、問題点を見極め、事態がどのように進展するかを予測する能力に関連します。
経験の深さ
 様々な経験を積んでいるかどうかも、解像度に大きく影響します。経験は世界について多くを学ぶための貴重な手段であり、知識だけではわからないことや、実際に体験しないと身につかない感覚や感受性を養います。多様な経験によって培われた感度や判断力は、表面的でない深い理解をもたらします。
視点の多さ、柔軟さ
 一つの視点だけでは、どうしても物事の見方が偏ってしまいます。解像度が高い人は、様々な視点から物事を見ることができるため、より広い視野を持つことができます。自分の考えや価値観にとらわれず、多角的に検討する柔軟さも備えています。
感情知能の高さ
 感情知能とは「自分自身と他者の感情を理解し、コントロールする能力」のことです。解像度に感情知能が含まれるのは、感情を認識し、理解することが、世界をより深く理解するための重要な要素だからです。単に相手の言動を観察するだけでなく、その背景や感情の動きを読み取り、共感する能力がある人は、人や世界についてより詳しい理解を持っているといえます。

以上のように、「世界の解像度」というのは、単にどのくらい多くの情報を知っているかということではなく、物事を多角的に観察し、認識し、分析する能力を総合したものを指す表現といえます。この能力が高い人は、理解力や判断力が優れ、他者とのコミュニケーションや協働が円滑に行えると考えられます。


図:DALL-E3による小学校低学年の「世界の解像度」

2024年8月10日土曜日

世界の解像度(1)

シャワーを浴びている最中,ふと「世界の解像度」という言葉が浮かんだ。

そのきっかけは生成AIにある。毎日のように生成AIを使って,未知の事柄を調べたり,ブログ記事を書いたり,論文や記事の要約を行っているうちに,少しずつ違和感が沈殿してきた。

生成AIが吐き出すテキストは,システムごとに多少違いがあるものの,創作場面におけるような特別な役割付与をしない限り,いずれも無難で平板な文章が連なっている。論争を呼びそうな表現はきれいにサニタイズされている。

その結果,せっかく要約された文章が心に響かず,知りたかったテキストの意味が手のひらに乗せた砂のように認識の指の間からこぼれ落ちていく。幾度問い方を変えて調べようが知識の積み重なっていく実感には繋がらない。

この現象は,生成AIに限らず,全ての知識をいつでも即座に検索して要約できてしまうという危うい状況に依存しているのかもしれない。かつて,論文をコピーして机に積み上げただけで,その内容を理解してしまったような錯覚に捕らわれたときと同じ状況だ。


我々の経験や知識の多寡によって,世界の見え方は異なってくる。例えば,同じドラマを見ても,背景知識や自分の経験がどれだけあるかによって,その内容の伝わり方や感じ方は大きく異なるだろう。その部分を強調するのがいわゆるオタクだ。しかも,その半分は言語の精度にかかわっている。

つまり,自分の操る言葉の範囲や精度や密度によって,ある概念や感情が意識の表面に浮き上がれるかどうかが決まり,世界の見え方が異なってくるはずだ。もちろん,残りの半分は言葉ではなく,意識下に潜在している。それらは言語野以外のニューロンによる身体的な経験と技能が担うのものだろうけれど,知的活動の多くは言語を媒介としているはずだ。

その重要な鍵を担う言葉の入力や出力に生成AIが関与することで,自分自身のものの捉え方やコミュニケーションの多くの場面で薄いフィルターがかかってしまうことになる。それが繰り返されれば自分の頭で考えるときでさえ,言葉を簒奪されてしまうかもしれない。毎日生成AIを使っていて沈殿してきたモヤモヤした気分は,その結果ではないかと疑っている。


生成AIの教育利用を危惧する意見に対しての反論がある。テキストを作成する能力を生成AIに代替させることで,それが身につかなくともよい。代わりにテキストの編集能力など,よりメタな新しい力が身につくはずだというのだ。自分もその意見に賛成していたのだけれど,言葉が思考と密接に繋がっている限り,どこか危険性は完全にぬぐうことができないことに改めて気がつく。

つまり,自分の心配事は,生成AIが自分の世界の解像度を落としてしまうのではないかということなのだけれど,どうだろうか。



図:世界の解像度 by DALL-E3

2024年8月9日金曜日

ABF

YouTubeで見かけた情報を調べてみるとWikipedia記事がなかった。そこで,Claude 3.5 Sonnet → Perplexity PRO → ChatGPT-4o と3段階でフィルタをかけて調整して生成した結果が以下の記事。自動化できるのだけれど,あえて人力で,ですます調からである調に変換する。もちろんこの記事の正確性は担保できていないが,正しい参照URLが示されており,これを人力で確認し追加している。

ABF(Ajinomoto Build-up Film)

**ABF(Ajinomoto Build-up Film)**は、味の素ファインテクノ株式会社が開発した半導体パッケージ用の層間絶縁材料である。主に、半導体チップと基板を接続する際の絶縁層として使用される。

概要
ABFは、エポキシ樹脂をベースとした熱硬化性の絶縁フィルムである。半導体パッケージの小型化、高性能化、高信頼性化に貢献する重要な材料として広く利用されている。

特徴
・高い絶縁性能:優れた電気絶縁性を持ち、半導体デバイスの信頼性向上に寄与する。
・低熱膨張係数:温度変化による寸法変化が小さく、熱応力の低減に効果的である。
・優れた平坦性:均一な厚みと表面平坦性を実現し、微細な配線パターンの形成を可能にする。
・高い耐熱性:半導体製造プロセスにおける高温工程に耐えうる耐熱性を有している。
・低吸湿性:湿気による特性変化を最小限に抑え、長期信頼性の向上に寄与する。

応用分野
ABFは主に以下の分野で使用されている:
・CPUやGPUなどの高性能プロセッサパッケージ
・スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス
・5G通信機器
・自動車用電子制御ユニット(ECU)

製造プロセス
ABFの製造プロセスは以下の主要なステップから構成されている:
・樹脂組成物の調製
・フィルム成形
・熱処理
・検査・品質管理

市場動向
半導体産業の成長に伴い、ABFの需要も拡大している。特に、5G通信やAI、IoTなどの先端技術分野における半導体の高性能化・小型化のニーズが、ABF市場の成長を牽引している。具体的な市場シェアや出荷金額は公表されていないが、90%程度の高い市場占有率を誇っている。

生産拠点と輸出
ABFの主な生産拠点は日本国内にある。以下は主要な生産拠点の一例:

・味の素株式会社の川崎工場(神奈川県川崎市)
・味の素ファインテクノ株式会社の群馬工場など各工場
製品の多くは日本から世界各地に輸出されており、特にアジア、北米、ヨーロッパの半導体メーカー向けに出荷されている。

技術動向
今後の技術動向として、ABFのさらなる高性能化と環境負荷低減が進められると予想される。具体的には以下のような技術開発が期待される:

・微細配線対応:さらなる微細化に対応した新材料の開発
・高信頼性:長寿命化と高信頼性を実現するための改良
・環境対応:環境負荷を低減するためのエコフレンドリーな製造プロセスの採用
・コスト削減:製造コストの低減と効率化
これらの技術開発は、5G通信、AI、IoTなどの先端技術分野での需要に応えるために行われます。

環境への配慮
味の素株式会社は、ABFの製造過程における環境負荷の低減に取り組んでおり、省エネルギー生産や有害物質の使用削減などを推進している。

参考文献  
[2]層間絶縁材料 - 味の素ビルドアップフィルム ABF"(味の素ファインテクノ株式会社)