なんだかんだブツブツ文句を垂れながらも,結構テレビを見ていたかもしれない。ニュースダイジェスト以外だとスケートボードとかスポーツクライミングとか卓球とか。
昔は,日本人が出ていない種目でもそれなりに中継していたような気がしたが,最近は日本人がメダルを取りそうな注目種目だけが集中的に放映されて,ゆとりのないナショナリズムとお涙頂戴物語による感動ポルノの押し売りに終始するテレビなのだった。まあ,表裏の商業主義五輪が行き着いた終着の浜辺なのである。
さて,この「平和の祭典」の間も,ガザへの攻撃や,ウクライナでの戦闘は続いたままだ。しかもロシアやベラルーシは国として排除される一方,イスラエルは国旗をかかげている。そもそも,国家間で闘われるスポーツ競技というのは戦争の昇華形態ともいえるかもしれないのだから,それが不完全に機能して,戦争と平和の重ね合わせの状態が実現しているということだろう。
今回の2024パリオリンピックの競技種目は330種目近くあるらしいが,これを競技の性格で分類してみる。(1) 時間(速度)を競うもの(陸上水泳他132種目, 40%),(2) 人間同士が闘うもの(柔道他66種目,20%)(3) 技能・芸術表現を競うもの(体操他44種目,13%),(4) 球技ゲーム(卓球他33種目,10%),(5) 非球技や混合形態でポイントを競うもの(射撃他28種目,9%),(6) 長さを競うもの(跳躍・投擲 16種目,5%),(7) 重さを競うもの(ウエイトリフティング 10種目,3%)となる。
格闘技や本来軍人男性を対象としていた馬術,射撃,アーチェリーなどは昇華形態の中でもより戦争に近いイメージを喚起する。
さて,日本のメダルは金20,銀12,銅13なのだけれども,これが,(2) 人間同士が闘う格闘技系(レスリング,柔道,フェンシング)に相当偏りすぎている。金:銀:銅=3:2:1のウェートを付けて再規格化すると,(2) 格闘技系 57%,(3) 技能芸術系 27%,他は5%以下となった。
こうしてみるともう少し別のタイプの種目があってもいいかもしれない。質量を摩擦のある面で移動する競技とか,一定距離で質量を比較する投擲種目とか。綱引きもいいように思うけどなあ。あるいは,eスポーツを含む脳の戦い,四則演算の暗算とか積分計算とか,短期記憶力とか,AIに置き換えられてしまい,行き所を失った人間の脳の力を競い合う方向しか思い浮かばない。
図:格闘技のイメージがなかなか定まらないDALL-E3
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