2022年9月29日木曜日

2022年9月28日水曜日

2022年9月27日火曜日

2022年9月26日月曜日

2022年9月25日日曜日

ひまわりキッズ

1994年に100校プロジェクトがはじまってしばらくしたころ,理科教育メーリングリストに次のような話題を提供したことがある。

インターネットを活用した学校間コラボレーションのアイディアだ。全国の学校で,日時を定めて校庭から一斉に真上の空にデジタルカメラを向けて撮影し,その画像をつなぎ合わせて,下から見た日本列島の天気の全体像を調べようというものだ。

気象衛星ひまわりは赤道上の静止軌道から日本上空の雲の分布を撮影することができるが,逆に下から見るとこれがどう見えるかを,インターネットコラボレーションの力で確かめてみたい。名付けて「ひまわりキッズ」プロジェクト。

残念ながら,口先だけで実行力がともなわなかったので,実現には至らなかった。そうこうしているうちに内田洋行がデジタル百葉箱(現,IoT百葉箱)を売り出して,そちらに注目が集まることになる。そういえば,すでにteiten2000という渡辺先生がはじめたプロジェクトがあったからかもしれない。

ひまわりキッズで検索すれば,いまは天理市の子育てサークルなどが出てくるのであった。


写真:ひまわり8・9号のイラスト(Wikipediaから気象庁の画像を引用)

2022年9月24日土曜日

横尾先生

横尾先生といえば,森田研でお世話になった横尾由松先生。福井医科大学の転出されるまでは,毎年の研究室のハイキングには必ず参加されていた。コースの終わりに自動販売機で缶ビールを買ってグイッと飲まれる姿がなかなかよかった。

昨日,大阪教育大学でお世話になった天文学の横尾武夫先生(1939-2022)の訃報を目にした。和歌山大学観光学部長の尾久土正己さんが Facebook に投稿していた。9月14日になくなられたようだ。地学教室(天文)と物理学教室ということで,それほど接点があったわけではないが,ほとんどいつもぼやきながらニコニコ笑っていたけれど,ときどきはわけがわからないことで怒っていたのを憶えている。

1984年に福江さんが着任したときに,横尾先生に寺田町の飲み屋の2階の座敷に誘われた。木立さんは京大物理だったから理解できるのだが,なぜ私にもおまけで声をかけたのだろうか。理学科の学生を連れた一泊旅行で西はりま天文台を訪れたときは,学生が隠れて飲酒して事故になるのを防ぐために特別にOKと笑いながら説明していた。いまではできないけれどなかなかよい判断だった。

横尾先生が講座主任のときに,技術教室がからんだ人事があり,物理分野の代表だった自分のところにやってこられて,あれこれと相談したことがあった。いろいろと気配りされる先生だった。退職されるころに(理科の送別懇親会の日だったかもしれない),帰りの電車で事務官の方と三人いっしょになって,なりゆきで大和八木駅の高架下で一杯飲んでいこうということになった。横尾先生は榛原におすまいだったので,まれに一緒になることがあったのだ。

横尾先生のエピソードについては,福江さんの退官記念冊子寄稿文に詳しい。でもなぜ1999年?2004年ではなかったのか。もともとは還暦記念冊子に掲載した文なので,5年ずれていたということか。それにしても,福江さんのホームページには横尾先生退職のあたりの記事がみあたらない・・・


写真:地学教室メンバー1984(福江さんの寄稿文から引用...なつかしい)

追伸:定金先生が,天文月報2022年11月号にかいた追悼文を見つけた。

2022年9月23日金曜日

超歌舞伎

近所の方から行けなくなったチケットが回ってきたので,京都南座の超歌舞伎2022に行くことになった。 

わりと前の席だったが,過去の松竹座歌舞伎公演などとは客層の様子が明らかに違う。平均年齢が若く,もちろん女性優位だけれどもビジネスマン風の人もちらほらと。DWANGOやNTTがスポンサーだからなのか。しかも,みんな手には結構大きなペンシルライトなるものを持っている。後で説明があったけれど(超歌舞伎2022 Powered by NTT 大向う付オリジナルペンライトの使い方),4000円もするらしい。

音響効果(PA)の音が老人の耳にはきつすぎてたいへんだった。初音ミクの存在感はそれほどなかったが,中型や大型プラズマディスプレイ,中型スクリーンへのプロジェクション,前面半透過大スクリーンへの投射など,これでもかという方法を組み合わせていた。

中村獅童はサービス精神たっぷりだったけれども,歌舞伎だと思ってみると物足りないかもしれない。かといって,新しい実験的なメディアの挑戦だといえるかというとそうでもない。ボストン・ダイナミックスのロボットがみんなでとんぼを切るとか,劇場内をドローンウォームが飛び回って龍をつくるとかでないとインパクトに欠ける。

最後に撮影タイムというのがあって,自由に撮影できるという趣向がよかった。まあ,DWANGOの作戦にまんまと乗せられているのかもしれない。


写真:超歌舞伎2022最後の撮影タイムのようす(2022.9.23撮影)

2022年9月22日木曜日

同志社大学京田辺キャンパス(2)

同志社大学京田辺キャンパス(1)からの続き

はやいもので,あれからちょうど2年経った。同志社大学の京田辺キャンパスを訪れるのは2回目だが,来週からいよいよ非常勤の対面授業(2コマ連続…orz)が始まる。

今日は,教室のAV設備の説明を受けるため,智真館1号館2FのAV準備室前に10:00に集合の予定だった。正門を入ってすぐ左に交隣館という建物があり,最初はここが目的地かと思っていた。受付の方にきくと,この1Fは非常勤講師の控室になっており,コピー機やロッカーの使用方法など説明を聞くことができた。

目的地の講義棟である智真館1号館は同じような教室が一様に並んでいてAV準備室がどれだかわからないし誰も人が見当たらない。案内板には教室番号しか書いていない。あせってウロウロしているとようやくスタッフの方に発見された。自分の講義予定の教室は電気工事中だったので,同様の設備の教室で説明を受けた。

教卓にはカセットテープと音声入出力端子からなる,30年前の設備がきれいに保存されていてまだ使えるとここと。大阪教育大と似ているが,鍵のかかっていないボックスにAV設備がある。60人規模の教室には60インチの液晶テレビが1台だけで,天吊りプロジェクターはなかった。ワイヤレスマイクもなし。そのかわり,常勤スタッフは2名配置されているらしい。

15分ほどでていねいな説明が終ったので,理工学部の担当の先生へ挨拶にうかがったが,不在のようだった。

平端から北に大和西大寺まで15分,大和西大寺−平城−高の原−山田川−木津川台−新祝園−狛田−近鉄宮津−三山木−興戸が30分,興戸から上り坂を10-15分で京田辺キャンパス

平端から南に大和八木まで15分,大和八木−真菅−松塚−大和高田−築山−五位堂−近鉄下田−二上−関屋−大阪教育大前が30分,大阪教育大前から上り坂を10-15分で柏原キャンパス

非常に対称的なルートになっている。高の原と大和高田が対応し,新祝園と五位堂が対応する。キャンパスまで上り坂のところも同じだ。果たしてあと1年半体力が続くかな・・・


写真:同志社大学京田辺キャンパスの図書館(2022.9.22撮影)


2022年9月21日水曜日

半経験的質量公式

原子核の液滴模型にもとづくベーテ・ヴァイツゼッカーの半経験的質量公式は,原子核の結合エネルギーを質量数Aと陽子数Zの関数として与えるものだ(後期の授業開始が迫っており,準備に追われてこんなものまで引っ張り出すことに…)。

質量公式といえば,森田先生の友達だった早稲田大学の山田勝美先生を思い出す。いろいろお世話になったことも。ベータ崩壊の大局的理論から,精密な質量公式の導出へとつながる研究に進み,日本の原子核理論分野ではユニークな位置にいたような気がする。

ベーテ・ヴァイツゼッカ—の質量公式からペアリング項を除いた束縛エネルギーの表式は次のようになる。
$ B(A,Z) = a_\mathrm{V} \cdot A - a_\mathrm{O} \cdot A^{2/3} - a_\mathrm{C} \cdot  \frac{Z^2}{A^{1/3}} - a_\mathrm{S} \cdot \frac{(N - Z)^2}{A} $
順に,体積項,表面項,クーロン項,対称項となっている。

教科書にあるような,一核子当たりの束縛エネルギー$B(A)/A$のグラフを書くためには,陽子数と質量数の関係$Z(A)$が必要である。これは,$\frac{d}{dZ}B(A,Z)=0$を与える$Z^*(A)$として求まり,
$Z^*(A)=\dfrac{A}{2+ a_\mathrm{C}/(2 a_\mathrm{S}) A^{2/3}}$となる。

ここで,$a_\mathrm{V}=15.8,\ a_\mathrm{O}=17.8,\ a_\mathrm{C}=0.70, \ a_\mathrm{S}=23.3$ という経験値(単位はいずれも MeV)を代入すると,

b[a_, z_] := 
 15.6 a - 17.2 a^(2/3) - 0.70 z^2/a^(1/3) - 23.3 (a - 2 z)^2/a
sol1 = NSolve[D[b[a, z], z] == 0, z];
z[a_] := z /. sol1[[1]]
e[a_] := b[a, z[a]]/a
v[a_] := 15.6
o[a_] := v[a] - 17.2 a^(-1/3)
c[a_] := o[a] - 0.70 z[a]^2/a^(4/3)
s[a_] := c[a] - 23.3 (1 - 2 z[a]/a)^2
Plot[{v[a], o[a], c[a], s[a]}, {a, 1, 216}, PlotRange -> {0, 20}]
sol2 = NSolve[D[e[a], a] == 0, a]
z[a] /. sol2[[2]]

{{a -> 4.66671*10^7}, {a -> 61.2878}}
27.4402

この近似式では,A=61,Z=27 が核子当たり結合エネルギー最大の核種となる。実際は鉄Fe(A=56, Z=26)なので少しズレている。

当初は,自分でグラフを書くには,$A=2Z + k Z^2$という近似が簡単かなと考えていた。鉛Pb(A=208, 82)を代入すれば,$1/k=153$から$Z(A)=-153+\sqrt{153^2+153 A}$ となる。概ねよい近似ではあるが,それほどメリットはなかった。


図:ベーテ・ヴァイツゼッカ—質量公式による核子当たり結合エネルギー
(上から,体積項,−表面項,−クーロン項,−対称項)

2022年9月20日火曜日

ウェルビーイング

日本の国がどうにもこうにもうまくいかなくなって30年。経済(円・GDP)も,科学技術(製造業・大学)も,学校教育も共倒れの様相を呈している。そんなわけで,政府自民党はスローガンをウェルビーイング(GDW)に持ってきたようだ(ブータンか)。これに例の怪しさ満点の持続可能な開発目標(SDGs)と,デジタルトランスフォーメーション(DX)を組み合わせた三本の矢的な合わせ技のことを思うと何が何だか状態になる。

中央教育審議会の教育振興基本計画部会(第7回)が9月20日15:00-17:00に開催されるが,その会議資料がめずらしく事前に公開されていた。それによると,次期の教育振興基本計画のコンセプトは次のようなものである。
〇予測困難な時代の象徴としての新型コロナウイルス感染症拡大による影響とロシアのウクライナ侵略による国際情勢の不安定化,浮き彫りになった課題と学校・教育の役割,学びの変容
〇誰一人取り残さず,すべての人の可能性を引き出すための教育の実現に向けて,個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実,学習者(学修者)主体の学び等の充実を図り,日本型ウェルビーイングの概念整理を踏まえた上で,多様な個人のウェルビーイングの実現を目指す。また,共生社会の実現・地域コミュニティの再構築に向けて,個人と社会のウェルビーイングの実現をつなぐ学校や社会教育施設の役割・機能を重視する。
〇少子化・人口減少の中で、持続可能な社会の発展を生み出していく人材を育むため,主体的に社会の形成に参画し,生涯にわたって学び続ける学習者としての基盤を学校教育において培うとともに,社会や時代の変化に応じて課題を発見・解 決するための学びをいつでも受けられる教育・社会環境を整備する。
〇コロナ禍を契機としてデジタルが飛躍的に社会に浸透。将来の社会基盤に変化を もたらすデジタルトランスフォーメーションを教育・学習全体の中に組み込む。 
〇これらを通じた価値創造により,人間中心社会としての Society 5.0 の実現を目指す。
クラクラしますね。教育の目標が日本型ウェルビーイングに設定されていた。例の3本の矢がみごとに組み合わさり,経産省へのゴマ擂りキーワードSociety 5.0 に着地させている。経産官僚に支えられていた安倍官邸はもう終ったはずなのに。

ウェルビーイングで検索してみると,いつの間にかすごいことになっている。そもそも主観的な概念を政策決定の中心に据えるというのも,客観的指標の改善がほとんど不可能になっているのを認めているようなものだ。しかも内閣府はWell-beingという英語表現をそのまま使っている。まあ,2000年のITが発端だったかもしれないが,SDGs,Society 5.0,カタカナ語でも間に合わず,そのうち政策キーワードは英単語だらけになりそうだ。

ある意味,東京オリンピック2020,大阪万博2025や来週の国葬儀だけにとどまらず,電通的なマーケティング・パブリシティ第一の思想が政府全体に浸透しきっているということなのかもしれない。日本会議・統一教会の反ジェンダー・男権家族思想の自民党宗教右派への浸透に匹敵するような話である。そんなわけで,ほとんど悪びれもせずに,提灯持ち的なウェルビーイング関連論文が量産され始めており,この方向性を正当化しているのが見て取れる。


写真:Memeplex(画像生成AI)が吐き出したイメージ
(keywords-> Well Being, Sustainable Development Goals and Digital Transformation of Japan)


2022年9月19日月曜日

ホモキラリティ(1)

理学部の4回生の研究室配属で原子核の森田研を選んだのは,そのころパリティ非保存や時間反転非保存などの不思議さに興味を引かれたのと,素粒子の内山研は本格的すぎて難しそうだったというあたりだ。 原子核物理という観点で見ると,核構造や核反応の主流とはほど遠い原子核の弱い相互作用という辺境分野だったので,後々苦労したのかもしれない。

森田先生は,研究室の冷蔵庫に粘菌を飼っていた。一度チラッとみたことがあるが,ビーカーかシャーレに黄色い塊のようなものが入っていた記憶がかすかにある。タンパク質を形成するアミノ酸はほとんどすべて左旋性を持っているが,その原因として生命進化の生合成過程に光の円偏光による反応非対称性が影響しているという説がある。原子核のベータ崩壊におけるパリティ非保存に由来した電子の偏極が,円偏光の代わりの役割を果たすという話があったらしい。まあ,詳細は別にして,弱い相互作用のパリティ非保存が生命のキラリティと関係しているのではないかという問題意識だ。

そこで,なぜ粘菌を飼っているのかという説明なのだけれど,森田先生から聞いたような気もするが,右耳から左耳に話が素通りしてしまって記憶に残っていない。良く考えるとわからない話だ。粘菌の何を観察すればどんな結論が出るのだろうか。


夜,放送大学の特番をみていたら,東京理科大学の硤合憲三先生が発見した不斉自己触媒反応ホモキラリティの話をやっていた。1995年に発見された反応はある種の鉛の有機化合物を対象としたものだが,100万分の1以下の差しかない鏡像異性体の混合物から,不斉自己触媒反応を数ステップ繰り返すだけで一方の側が99.5%含まれる状態にまで到達することができるというものだ。

この反応が生命タンパク質アミノ酸の不斉合成の話に直接繋がるかどうかはわからないものの,このようは化学反応過程が存在することを最初に発見したことの意義は大きい。

なお,ホモキラリティとは,キラル分子(鏡像異性体が存在する分子)においてエナンチオマー(片側の鏡像異性体)だけが存在していることを表わす。地球上の生命のタンパク質を構成するアミノ酸においてはL体のみが,糖質ではD体のみが存在している。

ここから粘菌の話を思い出したのだった。

2022年9月18日日曜日

大気の偏光

アミノ酸の旋光性の話を考えていたとき,太陽光の大気による偏光の原因がなぜかという疑問が派生した。ミツバチが散乱光の偏光から太陽の方向を割り出して帰巣するという話を聞いたことがあったのを思い出したからだ。

これは空気分子によるレイリー散乱が,電気双極子散乱だとすれば簡単に理解できるようだ。太陽から地球に届く光は偏っていないが,太陽方向に対して90度の方向にある大気から散乱されて自分の届く光があったとする。この横方向からの光は散乱体である分子の電気双極子散乱によるものだとする。その強度は,太陽光で誘導される電気双極子の方向から測った角度(0〜π)の正弦の二乗に比例する。このため,横方向からの光では,進行方向QPに垂直な縦偏光成分(散乱前の縦偏光)だけが寄与し,QP方向に振動する電気双極子からの偏光成分(散乱前の横偏光)は寄与しないことになる。

簡単な説明図を描いてみようとしたところ,途中で挫折しかかった。どうもTikZの使い方が十分に会得できていないことに問題がある。戒めのために晒しておこう。ああ,なんと美しくないコードなのだろう。プログラミング教育が必要なわけだ…orz(\tikzmathのところでで追加の変数を定義しただけでエラーがでるという隘路に嵌まってしまった。わかったら教えてください>未来の自分へ)


図:太陽光のレイリー散乱と偏光の説明用(青:縦偏光,赤:横偏光)

\begin{tikzpicture}
%\tikzstyle{every node}=[font = \large];
\filldraw (0,0) circle(1pt) node[below right]{O};
\filldraw (8,8) circle(1pt) node[below right]{P};
\filldraw (12,4) circle(1pt) node[below right]{Q};
\draw[step=1.0, dotted] (-2,-4) grid (14,10);
\draw[cyan](-2,0)--(14,0);
\draw[cyan](0,-4)--(0,10);
\draw[cyan](-1,-1)--(10,10);
\draw[cyan](4,-4)--(12,4);
\draw[cyan](12,4)--(8,8);
%\draw (0,0) arc (180:0:1.4cm and 2cm);
\foreach \t in {1,...,19}
{
\tikzmath{
\x = 0.1*\t;
\y1 = \x; \y2 = \x + 1.5*sin(\x*90);
\z1 = \x; \z2 = \x - 1.5*sin(\x*90);
}
\draw[thick, blue] (\x,\y1)--(\x,\y2);
\draw[thick, red] (\y1,\x)--(\y2,\x);
\draw[thick, blue!30!white] (\x+2,\z1+2)--(\x+2,\z2+2);
\draw[thick, red!30!white] (\z1+2,\x+2)--(\z2+2,\x+2);
\draw[thick, blue] (\x+4,\y1+4)--(\x+4,\y2+4);
\draw[thick, red] (\y1+4,\x+4)--(\y2+4,\x+4);
\draw[thick, blue!30!white] (\x+6,\z1+6)--(\x+6,\z2+6);
\draw[thick, red!30!white] (\z1+6,\x+6)--(\z2+6,\x+6);
\draw[thick, blue] (\x+4,\y1-4)--(\x+4,\y2-4);
\draw[thick, red] (\y1+4,\x-4)--(\y2+4,\x-4);
\draw[thick, blue!30!white] (\x+6,\z1-2)--(\x+6,\z2-2);
\draw[thick, red!30!white] (\z1+6,\x-2)--(\z2+6,\x-2);
\draw[thick, blue] (\x+8,\y1)--(\x+8,\y2);
\draw[thick, red] (\y1+8,\x)--(\y2+8,\x);
\draw[thick, blue!30!white] (\x+10,\z1+2)--(\x+10,\z2+2);
\draw[thick, red!30!white] (\z1+10,\x+2)--(\z2+10,\x+2);
\draw[thick, blue!30!white] (\x+8,-\x+8)--(\x+8,-2*\x+\z2+8);
\draw[thick, blue] (\x+10,-\x+6)--(\x+10,-2*\x+\y2+6);
}
\end{tikzpicture}


2022年9月17日土曜日

三次元極座標のラプラシアン

座標変換して三次元の極座標のラプラシアンを求めるのは,面倒な計算アルアルのトップにくるやつである。こんなかんじ直交曲線座標系の一般式に代入すれば,どうということもないけれど,そこに到達するまでがたいへん。

2次元極座標のラプラシアンを2回使うのがスマートだという話があったので,試してみる。

第1段階(xy平面の2次元ラプラシアンの計算)
$x = \rho \cos \phi, \  y = \rho \sin \phi \ $に対して,$\dfrac{\partial^2}{\partial x^2}+\dfrac{\partial^2}{\partial y^2} = \dfrac{\partial^2}{\partial \rho^2}+\dfrac{1}{\rho}\dfrac{ \partial}{\partial \rho}+ \dfrac{1}{\rho^2 } \dfrac{\partial^2}{\partial \phi^2}$ となる。

これは,$\nabla_{xy} = \bm{e}_x \dfrac{\partial}{\partial x} +  \bm{e}_y \dfrac{\partial}{\partial y} = \bm{e}_\rho \dfrac{\partial}{\partial \rho} +  \bm{e}_\phi \dfrac{1}{\rho} \dfrac{\partial}{\partial \phi}$ の内積$\nabla_{xy}\cdot \nabla_{xy}$を計算すれよい。

ただし,$ \bm{e}_\rho = (\cos \phi,\ \sin \phi),\  \bm{e}_\phi = (-\sin \phi,\ \cos \phi)\ $より,$\dfrac{\partial \bm{e}_\rho}{\partial \phi} = \bm{e}_\phi,\ \dfrac{\partial \bm{e}_\phi}{\partial \phi} = -\bm{e}_\rho\ $を用いる必要がある。内積の左の$\nabla_{xy}$が右の$\nabla_{xy}$の中にある基底ベクトルを微分するところから$\dfrac{1}{\rho}\dfrac{ \partial}{\partial \rho}$の項が出てくる。

第2段階(z軸を含む2次元ラプラシアンの計算)
$\rho = r \sin \theta, \  z = r \cos \theta \ $に対して,$\dfrac{\partial^2}{\partial \rho^2}+\dfrac{\partial^2}{\partial z^2} = \dfrac{\partial^2}{\partial r^2}+\dfrac{1}{r}\dfrac{ \partial}{\partial r}+ \dfrac{1}{r^2 } \dfrac{\partial^2}{\partial \theta^2}$ となる。

これも,$\nabla_{\rho z} = \bm{e}_\rho \dfrac{\partial}{\partial \rho} +  \bm{e}_z \dfrac{\partial}{\partial z} = \bm{e}_r \dfrac{\partial}{\partial r} +  \bm{e}_\theta \dfrac{1}{r} \dfrac{\partial}{\partial \theta}$ の内積$\nabla_{\rho z}\cdot \nabla_{\rho z}$を計算すればよい。

この結果,$\dfrac{\partial^2}{\partial x^2}+\dfrac{\partial^2}{\partial y^2}+\dfrac{\partial^2}{\partial z^2} =   \dfrac{\partial^2}{\partial r^2}+\dfrac{1}{r}\dfrac{ \partial}{\partial r}+ \dfrac{1}{r^2 } \dfrac{\partial^2}{\partial \theta^2}+\dfrac{1}{\rho}\dfrac{ \partial}{\partial \rho}+ \dfrac{1}{\rho^2 } \dfrac{\partial^2}{\partial \phi^2} $となる。

あとは,$\rho = r \sin \theta \ $とすればほぼOKだが,問題は,$\dfrac{\partial}{\partial \rho}$であり,ここを,$r,\ \theta$で書き直す必要がある。すなわち,二変数合成関数の偏微分の公式から,

$\dfrac{\partial}{\partial \rho} = \dfrac{\partial r}{\partial \rho} \dfrac{\partial}{\partial r} + \dfrac{\partial \theta}{\partial \rho} \dfrac{\partial}{\partial \theta}= \frac{\partial \sqrt{\rho^2 + z^2}}{\partial \rho} \dfrac{\partial}{\partial r} + \frac{\partial \tan^{-1}(\rho/z)}{\partial \rho} \dfrac{\partial}{\partial \theta} = \sin \theta \dfrac {\partial}{\partial r}  + \dfrac{\cos \theta}{r} \dfrac{\partial}{\partial \theta}$

結果をまとめると,
$\bm{\nabla}^2 = \dfrac{\partial^2}{\partial r^2}+\dfrac{2}{r}\dfrac{ \partial}{\partial r}+ \dfrac{1}{r^2 } \dfrac{\partial^2}{\partial \theta^2}+\dfrac{1}{r^2 \tan \theta}\dfrac{ \partial}{\partial \theta}+ \dfrac{1}{r^2 \sin^2\theta} \dfrac{\partial^2}{\partial \phi^2}$

2022年9月16日金曜日

ファクターX

2年半前の2020年春,新型コロナ ウイルス感染症の蔓延が始まったころ,欧米諸国に比べて日本の感染者数や死亡数は圧倒的に少なかった。その原因は何かということで,あれやこれやの説があったが決定的な証拠がなくて,当初はファクターX(あるいはなぞなぞ効果 by コロラド先生)とよばれていた。

その後,優等生だったニュージーランドや韓国や台湾でも感染が急拡大してしまい,日本を含む東アジア太平洋地域の特殊性というのは,いつのまにか話題にならなくなった。

2022年夏の第7波のピークを過ぎた頃から,感染者数が過去に比べてかなり大きいにも関わらず,重症化率や致命率がそれほどでもないという理由で,様々な規制が緩和されようとしている。WHOも,コロナの終わりが視野に入ってきたと口走るようになった。

データアナリスト(マーケティングリサーチャー)の萩原雅之さんが,Our World in Dataから,日本の人口当たりの新規感染者数を世界と比較していたので,死亡数や致命率もあわせて確かめてみることにする。やはり,第6波以降の報告値は大きく変わってしまった。なんでだろう。




第1,2波では世界平均の1/10ほどだったものが,第3,4,5波では。2-3分の1程度になり,なぞなぞ効果は消えたといわれた。さらに,第6波では世界平均を上回り,第7波では逆に1桁近く日本の方が大きくなってしまった。現時点では主要国中,台湾,韓国,に続き第3位になっている。





死亡数でも感染者数と同様の傾向があるが,世界平均を上回るのは第5波からである。第7波では,人口当たり死亡数は世界平均を1桁近く上回り,現時点では主要国中第1位になっている。ほとんどニュースでは取り上げられていないけれど。そして,その日本の中でもダントツなのが維新に牛耳られている大阪





第1波から第4波の致命率は2〜5%もあって,行動制限も当然という状況だった。第5波には1%前後まで収まり,第6,7波にかけては0.1%のオーダーまで下がっている(たぶんそれでもインフルエンザよりは高い)。これがこのまま続くのかどうかは変異株の性質次第かもしれない。

東京における第7波の新規感染者数のピークは8月の第1週の3.3万人/日であった。現在まで,平均3.4%/日の割合で減少している。これが続けば,9月末には5700人/日,10月末には2000人/日,11月末には700人/日とおさまるペースだ。第8波については,変異株や冬場に向かう環境変化の効果次第でどうなるかわからない(なお,全国の値は東京の7-8倍程度である)。

2022年9月15日木曜日

学制百五十年

内田洋行の大久保さんが,9月5日の学制150年の式典に出席されたことをFaceBookに書いていた。この式典は地味なものだったのであまり大きなニュースにはならなかった。たぶん,みんな日本の教育の歴史的意義には関心がないのだろう。金儲けの道具として以外の側面には。

学制百五十周年記念式典次第

国歌演奏
開式の辞  文部科学副大臣 簗  和生
式  辞  文部科学大臣  永岡 桂子
教育者表彰 文部科学大臣表彰状授与
      (被表彰者 百五十五名)
       被表彰者代表 石崎 規生
天皇陛下おことば
祝  辞  内閣総理大臣  岸田 文雄
      衆議院議長   細田 博之
      参議院議長   尾辻 秀久
      最高裁判所長官 戸倉 三郎
閉式の辞  文部科学副大臣 簗  和生
待ち時間は長かったらしいが,式自体は簡素なものですぐに終ったとのこと。国立教育政策研究所では,明治150年のときには国立教育政策研究所教育図書館明治150年記念事業を行っていたが,今回はスルーしているようだ。

P. S. 某国葬儀の場合は,午前11時35分集合で,儀場内は缶・ペットボトル等手荷物持ち込み禁止,送迎バス乗車から献花終了まで5時間程度は食事ができないらしい。

[1]「学制150年記念シンポジウム・記念展示」の開催について(文部科学省,9/4/2022)
[2]学制150年 −学校がはじまる−(国立国会図書館)
[3]我が国の学校制度の歴史(国立教育政策研究所)
[4]学制百五十年史(文部科学省)
[5]学制百二十年史(文部科学省)
[6]学制百年史学制百年史 資料編(文部科学省)

2022年9月14日水曜日

COCOAの行方

COCOAログチェッカーからの続き

河野太郎デジタル大臣は,9月13日の記者会見で,厚生労働省が開発した新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)が近々サービス停止になると表明した。

自分がCOCOAをインストールして800日余り経過した。幸いなことにこれまで接触の報告はなかった。COCOAは当初から,そしてその途中でも散々ケチがついてしまったボロボロのシステムだった。4000万件ダウンロードされ,それなりの役目は果たす可能性はあったかもしれないが,本当に意味があったかどうかは検証されていない。

それにしても,せっかく開発した貴重なシステムをすべて水に流してしまうのか。確かに,コロナウイルス感染者の全数把握をやめた段階でMy HER-SYSが使えなくなるのであれば,連動してCOCOAからの陽性登録ができなくなるというロジックはわからなくもない。しかしながら,一端でき上がったシステムを簡単にチャラにしてしまうということに何の躊躇もないことに吃驚する。京大OCWの件と同じマインドがトップに染みついているわけだ。

デジタル庁がその管轄下に置きたがっているこの国のデータベースや情報システムの多くが利権を駆動力として立ち上がり,中抜きを重ねて一定の利益が回収できれば,伊勢神宮の式年遷宮のごとく新しく立て替えることに向かっていく。これが我が国のDXの本質のように見えてしまう自分の心は黒く染まっているのでしょうか。

P. S. なんで厚生労働省のシステムの話に,河野太郎が真っ先に口を突っ込んでいるの?


図:COCOAのアイコン(App Storeから引用)



図:COCOAの業務の流れ(東京新聞 2021/2/20 から引用)


[2]接触アプリCOCOAからの教訓(楠正憲)

2022年9月13日火曜日

迷路

 Togetterで,数学好きによる迷路の解法が紹介されていた。

(1) 迷路の道の部分をゴムで作って入口と出口を引っ張ると解が直線として現れる。

(2) 代数的方法(固有値を計算して)・・・ちょっとわかりませんでした・・・

(3) 画像編集ツールのバケツで色分けして2色の領域の間を進む。

(4) 行き止まりを順次塞いでいけば正解だけ残る(最優秀賞)。

升目データが与えられていれば(4)の計算が一番正統的だけれど,画像データだけしかない場合は(3) が最も強力だ。入口若しくは出口の両脇の壁を別の色のバケツでタッチすればよいだけ。場合によっては,中に島ができてうまくいかないことがあるかもしれない。

図:迷路の塗り分けによる解法の例

2022年9月12日月曜日

謹啓−?

公用文(2)タテ型コンテンツからの続き

各種世論調査の平均で反対が賛成を15ポイントあまり上回っているところに持ってきて,エリザベス女王の本物の国葬が8日前にブッキングされてしまったインケツな(by 菅野完)安倍晋三の国葬儀の参加者の方はなかなかうまらなくて,内閣府はあわててあちこちに岸田文雄名義の案内状を速達で締切日の上に手書き修正シールを貼って追加発送しているらしい。

国葬,速達で検索したら出てくるTwitterで話題の文面は「謹 啓/ 故 安 倍 晋 三 国葬儀を左記により挙行いたし/ ますので御案内申し上げます/   敬 具」というものだった。日時は令和四年九月二十七日(火)午後二時,場所は日本武道館,差出人名義は故 安 倍 晋 三 国葬儀委員長/内閣総理大臣  岸 田 文 雄,となっている。

話題の焦点は,書簡の挨拶の頭語(謹啓)と結語(敬具)の対応関係はこれでよかったのかというものだ。前略−草々,拝啓−敬具,謹啓−謹白 が普通なのではないかと喧しい。念のために調べてみると,(1) 公用文作成の要領には見当たらない。(2) 日本郵便だとどちらでもよいようだ。(3) 佐伯市の公文書作成の手引きでは,前略・冠省−早々・草々・不一,拝啓−敬具・敬白,謹啓・恭啓−謹言・謹白,となっていた。

実際の用例を,googleで数えてみると次のようなことなので,慣例的にもあながち間違いとはいえなかった。

前略 草々 +site:go.jp +filetype:pdf 320 hits
拝啓 敬具 +site:go.jp +filetype:pdf 3740 hits
謹啓 謹白 +site:go.jp +filetype:pdf 1270 hits
謹啓 敬具 +site:go.jp +filetype:pdf 362 hits
謹啓 敬白 +site:go.jp +filetype:pdf 247 hits
謹啓 謹言 +site:go.jp +filetype:pdf 39 hits
まあ,自分も生まれてこのかた,前略-草々と拝啓-敬具をあわせても両手で数えるほどしか使ったことがないので,あまり大きなことはいえないのだけれど,あちらこちらで構造・制度疲労が進んでいるわが国のことだから何が起こっていても不思議ではない気がしたのだった。

P. S. ロンドンのウエストミンスター寺院でのエリザベス女王の国葬は9月19日,ニューヨークでの第77回国連総会一般討論は9月21日〜27日,東京の日本武道館での安倍元総理大臣国葬儀は9月27日となっている。

2022年9月11日日曜日

Modern Quantum Mechanics

東北大学の堀田昌寛さんと玉川大学の中平健治さんの論争が迷走していた。 

堀田さんの教科書「入門 現代の量子力学」は最近人気の1冊だ。その第2章は二準位系の量子力学,第3章は多準位系の量子力学となっていて,最小限の物理的な実験事実から,量子力学の基礎的な原理を導いて,量子情報・量子測定まで至るというものだ。

これまでの量子力学のような特殊関数にがんじがらめになっているところはばっさり削っていて,情報科学の学生等をも視野に入れた非常にモダンで野心的な内容だ。まあ,自分にとっては,岩波書店の砂川重信先生(1925-1998)の量子力学の展開のほうが正典的でカッコよくみえるのだけれど。

中平さんは,堀田さんが説明している前提だけを使った場合,二準位系の量子力学の原理から多準位系の原理を導くことは数学的にはできていないということを主張した。一方,堀田さんは,教科書の補足文書を公開して前提を説明しており,物理的に検証な可能な前提条件の組み合わせで,二準位系の量子力学の原理が三準位系の量子力学でも成立することを証明できているのだとした。

たぶん,数学者と物理学者の証明という言葉の使い方と(公理からの演繹なのか,実験的に検証できる推論ならば証明とするのか,あたり),前提条件の理解に齟齬があるような気がするけれど,まあ相変わらずのよくあるやぎさん郵便コミュニケーションの一例かもしれない。

さて,それはどちらの言い分が正しいのかよくわからないが,堀田さんの教科書ではシュテルン=ゲルラッハの実験が二準位系の量子力学構築の出発点とされている。これは,桜井純(J. J. Sakurai)(1933-1982)が残した,Modern Quantum Mechanics(Adison-Wesley 1985)で展開された方法を踏襲したものだ。

大学院生のころ,桜井の Advanced Quantum Mechanics は,西島和彦(1926-2008)のFields and Particles と並んで精読した1冊だった。一方,大坪先生がすごくいいと褒めていたModern Quantum Mechanicsの方はとうとう読まずじまいに終った。ちゃんと勉強しておけば良かった。

堀田さんの教科書を眺めていると,桜井にはどう書いてあったのか気になって本棚から引っ張り出してきた。第1章の12行目でいきなりつまづいた。Davisson-Germer-Thompson experiment とあるのだ。あれ?電子線回折ならば,J. J. Thomsonの息子の G. P. Thomson (1892-1975)がここにくるのではないか。あちこち調べたけれど,Typoのような気がする。ところが,Modern Quantum Mechanicsの第三版でも直っていないのだ。うーん・・・。

2022年9月10日土曜日

未来人災ビジョン

デジタル社会の実現に向けた重点計画からの続き

経済産業省が今年5月にまとめたのが,未来人材ビジョンだ。ブログのタイトルは,指が勝手に人災に変換してしまったものだけれど,訂正するに忍びない。

このレポートは「DXと脱炭素」の両キーワードを前提に,AIの浸透による労働市場の両極化が進み,外国人労働者にも選ばれない国になっているという認識に立っている。そこで企業ができることは何かという問題設定をしながら,企業ができることというより,社会システム特に教育システムをぶっ壊せというNHK党的なメッセージを送るものだった。

日本の経済が凋落化をはじめたのは1990年代,経済産業省(METI)がまだ通商産業省(MITI)を名乗っていた時代からだ。経済再生政策の決定打に欠ける経済官僚たちは,100校プロジェクトを嚆矢として,硬直的な日本の教育システムに手を突っ込みたくてうずうずしていた。その気持ちはよくわかる。

この未来人材ビジョンでも,あいかわらず企業がまっとうな人材育成システムや多様性を持つ雇用システムを持たないことをこれでもかとデータで示しつつ,その課題を日本の教育システムに責任転嫁しようとしている。いや,世襲が続く日本の社会システムの硬直性が問題であるのはそのとおりなので,だから新自由主義右翼利権移転集団の日本維新の会がこれだけの隆盛を保っていられるわけだ。

その社会の硬直性に穴をあけて,一瞬光が差し込んだのが,20世紀から21世紀にかけてのインターネット革命だった。しかし,社会的な同調圧力が強すぎる日本では,これが逆に作用した。フロムの自由からの逃走というキーワードを情報選択困難症候群と組み合わせて使いたくなる。参議院選挙の結果も推して知るべしだった。