生成AI(LLM)に何から何まで頼り切る生活をしていると、課金の話が気になってくる。APIを叩くほどお金が飛ぶし、その勘定は「トークン」という妙な単位でなされる。そこでChatGPTに、各社の1トークンが何ドルなのか、この3年半でどう変わったのかを聞いてみた。
トークンとは、AIが文章を処理する最小単位で、ざっくり単語の一部のようなものだ。各社のAPIは入力トークンと出力トークンを別価格で売っており、一般に書くほう(出力)が読むほう(入力)より高い。オーダー感覚はこうだ。
1トークンは「数百万分の1ドル」程度、1ドルでは「数万~数千万トークン」買える。
・フロンティア級(GPT-5.5、Claude Opus級):入力100万トークンあたり5ドル前後、出力25~30ドル前後。
・実用主力級(Claude Sonnet、Gemini Pro級):入力2~3ドル、出力12~15ドル前後。
・廉価大量処理級(Gemini Flash-Lite級):入力0.1ドル、出力0.4ドル前後。
トークンはもはや単なる「文字量の単位」ではなく、AI屋台の食券だとChatGPTは言う。屋台ごとに一皿の大きさが違うので、同じ食券1枚でも腹の満たされ方がまるで違う。なかなかうまい比喩だ。
おもしろいのは、この3年半の値段の動きだ。1ドルで買える入力トークン数の概算推移はこうなる。
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時期 |
1ドルで買える入力トークン |
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2022年末 |
約5万 |
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2024年初 |
約200万 |
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2026年現在 |
約1000万 |
この3年半で、安いモデル同士なら1ドルで買えるトークンはざっと200倍。ムーアの法則どころの騒ぎではない。ただし「同じ知能のトークンが200倍安くなった」わけではない。安いのは小さいモデルの軽いトークンで、深い推論をするモデルのトークンはいまでも高い。値段の世界は「安価な大量処理」と「高価な深い推論」に分岐した。
さて、ここからが本題。トークンがこれだけ「数えられて値段のつく量」になってくると、将来ドルやユーロに代わる世界共通通貨にならないか、という妄想が湧いてくる。
トークンは通貨の条件をいくつか満たす。正確に数えられ(計量可能)、生成には電力とGPUと時間がかかる(希少性)。ただし価値の安定だけは絶望的だ。3年半で200分の1になる単位など、通貨としては最悪のデフレで、「トークン本位制」は成り立たない。
そこで視点を変える。価値が下がるのは「素のトークン」の話だ。もし「ある基準モデルが基準時間で生成する標準1トークン」のようなものを単位として固定できたらどうか。金本位制ならぬ計算本位制である。トークンの背後にあるのは電力(エネルギー)と計算(労働の代替)だから、マルクスの労働価値説をもじってトークン価値説とでも呼べる。AIが世界の知的労働の相当部分を担えば、「いくらトークンを消費したか」がそのまま「どれだけ知的労働を投下したか」の尺度になる。
もちろん夢見がちな話だ。価値の安定、決済の信頼、国家の裏付け、そして「標準皿」を誰が定義し保証するのか――メートル原器を決めるのと同じ難しさが山ほどある。それでも、20世紀が石油を巡って動いたなら、21世紀は計算(トークン)を巡って動くのかもしれない。各国は早くも「ソブリンAI」「計算資源の確保」と言い始めている。エネルギー安全保障ならぬ計算安全保障の時代だ。とすれば、トークンが準通貨的な戦略物資になる未来も、そう荒唐無稽ではない。
「1トークン=0.1円」が新聞の経済欄に載る日が来るかは分からない。ただ、食券を握って屋台街を歩きながら、それが世界通貨になる日を夢想するのは、ちょっと楽しい。夢を見るのは無料だが、トークンは無料ではない。
(注:ChatGPTとの対話をもとに,Claudeに,自分のスタイルを見せて,ブログ記事として完全に書き下ろしてもらったもの。)
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