写真:庄司薫四部作(撮影 2026.6.28)
庄司薫が4月5日に88歳で亡くなったことが,6月22日になって,中村紘子のホームページで報告され,その後新聞で少し取り上げられた。老衰だとのこと。一方,6月20日に,同じく老衰のため91歳で亡くなった美輪明宏の場合は,紅白歌合戦にも出演しNHKの番組にコーナーを持っていたため,テレビのニュースになっていた。
庄司薫が「赤頭巾ちゃん気をつけて」で芥川賞をとったのが,1969年上半期である。米島君の強い推薦があって,さっそく読みふけった。当時の高校一年生にはぴったりのテーマと文体だった。次に手に取ったのが,1970年の5月の「さよなら快傑黒頭巾」だ。自分には,これが一番しっくりきたかもしれない。当時,SF以外でもっとも真剣に読んだ小説が庄司薫だった。
1968年から1969年の大学紛争まっただなかの時代だ。田舎の高校生には遠い世界の話のようにも見えたが,片町で金沢大学の学生のデモにも遭遇した。1972年春の大学入試の時は,阪大の学費値上げ闘争ともろにぶつかって,厳しい入構チェックがあった。そんな時代。黒頭巾を読んで,無性に東京の街で生活したいと感じた。東京教育大学とか東京工業大学の赤本も買ってみたが,結局,総合大学の魅力で阪大の方がやや勝っていた。
庄司薫の四部作は,そのタイトルに「赤−黒−白−青」が埋め込まれている。これは中国の五行説に由来している。青=東=春(青龍),赤=南=夏(朱雀),白=西=秋(白虎),黒=北=冬(玄武)である。なお,残りの一つは,黄=中央=土用(麒麟)だ。この四部作といくつかのエッセイを出しただけで,庄司薫は文壇から消えてしまった。
P. S. 大相撲の土俵では南(正面)に向かって左=南東が赤房,右=南西が白房である。同じ視線方向(NHKのテレビ放送の視点)で,北(向正面)に向かって左=北東が青房(色は緑),右=北西が黒房になっている。
[1]初めての旅
[2]冷血(上):高村薫
0 件のコメント:
コメントを投稿