中央教育審議会の教育振興基本計画部会(第7回)が9月20日15:00-17:00に開催されるが,その会議資料がめずらしく事前に公開されていた。それによると,次期の教育振興基本計画のコンセプトは次のようなものである。
〇予測困難な時代の象徴としての新型コロナウイルス感染症拡大による影響とロシアのウクライナ侵略による国際情勢の不安定化,浮き彫りになった課題と学校・教育の役割,学びの変容〇誰一人取り残さず,すべての人の可能性を引き出すための教育の実現に向けて,個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実,学習者(学修者)主体の学び等の充実を図り,日本型ウェルビーイングの概念整理を踏まえた上で,多様な個人のウェルビーイングの実現を目指す。また,共生社会の実現・地域コミュニティの再構築に向けて,個人と社会のウェルビーイングの実現をつなぐ学校や社会教育施設の役割・機能を重視する。〇少子化・人口減少の中で、持続可能な社会の発展を生み出していく人材を育むため,主体的に社会の形成に参画し,生涯にわたって学び続ける学習者としての基盤を学校教育において培うとともに,社会や時代の変化に応じて課題を発見・解 決するための学びをいつでも受けられる教育・社会環境を整備する。〇コロナ禍を契機としてデジタルが飛躍的に社会に浸透。将来の社会基盤に変化を もたらすデジタルトランスフォーメーションを教育・学習全体の中に組み込む。〇これらを通じた価値創造により,人間中心社会としての Society 5.0 の実現を目指す。
クラクラしますね。教育の目標が日本型ウェルビーイングに設定されていた。例の3本の矢がみごとに組み合わさり,経産省へのゴマ擂りキーワードSociety 5.0 に着地させている。経産官僚に支えられていた安倍官邸はもう終ったはずなのに。
ウェルビーイングで検索してみると,いつの間にかすごいことになっている。そもそも主観的な概念を政策決定の中心に据えるというのも,客観的指標の改善がほとんど不可能になっているのを認めているようなものだ。しかも内閣府はWell-beingという英語表現をそのまま使っている。まあ,2000年のITが発端だったかもしれないが,SDGs,Society 5.0,カタカナ語でも間に合わず,そのうち政策キーワードは英単語だらけになりそうだ。
ある意味,東京オリンピック2020,大阪万博2025や来週の国葬儀だけにとどまらず,電通的なマーケティング・パブリシティ第一の思想が政府全体に浸透しきっているということなのかもしれない。日本会議・統一教会の反ジェンダー・男権家族思想の自民党宗教右派への浸透に匹敵するような話である。そんなわけで,ほとんど悪びれもせずに,提灯持ち的なウェルビーイング関連論文が量産され始めており,この方向性を正当化しているのが見て取れる。
写真:Memeplex(画像生成AI)が吐き出したイメージ
(keywords-> Well Being, Sustainable Development Goals and Digital Transformation of Japan)
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