「聞くうちに蝉は頭蓋の内に居る」 (篠原梵 1910-1975)
芥川龍之介が「蜘蛛の糸」を発表して百年。高二の秋の文化祭,クラスの仮装行列のテーマが 蜘蛛の糸だった。お釈迦様の極楽タワーの竹を近所から切り出し,地獄の焔と煙の絵を描いた。犍陀多に続いて蜘蛛の糸(登山部の赤いザイル)に群がる地獄の亡者だったころ。
2022年8月14日日曜日
2022年8月11日木曜日
国立大学のLMS一覧
高等教育研究センター(2)からの続き
阪大全学教育推進機構教育学習支援部の村上正行さんによれば,今回の京都大学の高等教育研究開発推進センターの廃止は,予算の問題というよりむしろ学内政治の問題に起因するらしい。そこで気になったのが競合するシステムが京大内に存在するのかということ。
京都大学の情報基盤を管理・運用しているのは,情報環境機構である。沿革によれば,2002年に大型計算機センターと総合情報メディアセンターを統合した,学術情報メディアセンターが設置された。その後,2005年に京大の5機構の1つとして,情報環境機構が設けられ,徐々に組織整備が進められた。組織図によれば,学術情報メディアセンターとは別組織だが,機構の一部はその建物を利用している。
しかし,高等教育研究開発推進センターは,情報環境機構の組織図に明示的には現れてこない。情報環境機構では,LMSのSAKAIを利用したPandAなどが運用されていて,授業資料の配付などはこの中に閉じこめられていた。そもそも,OCWやMOOCとは別方向のベクトルになっている。
なお,国立大学のLMS一覧がまとめられていたので,紹介する。大阪教育大学は,多数派の(無料で安上がりの)moodleを使っている。SAKAIを使っているのは,京大と名大,
[1]国立大学のLMSの一覧(たれにゃんこ)
2022年8月10日水曜日
画像生成AI(1)
AI技術の応用が浸透しつつある。その一例として,自然言語処理と画像生成を組み合わせて,短文やキーワードのセットから画像(絵画,写真,デザイン)を生成するモデルがはやっている。
代表的なものが,OpenAIというイーロン・マスクがかんでいる非営利団体がつくった,DALL·E 2(ダリ)である。2021年にDALL·Eが公開され,1年後にその解像度が倍になった。凄いクオリティの絵や写真を大量に生成することができる。
かつて,AI(+ロボット)× BI(=ベーシックインカム)の時代になれば,人間は単純労働から解放されて,創造的な活動に専念できるという話があったかもしれない。現実には,創造的な活動や知的活動の方がAIに奪われてしまい,人間に残されたのは,被階級支配と低賃金単純労働だけだということになりそうだ。
それはすでに,小松左京の「五月の晴れた日」にという短編で預言されていた。読み始めは,優雅に芸術論をたたかわす人間と機械的に動くロボットの下僕の話のように始まるが,やがて,人間というのはアンドロイドであり,ロボットのように描写されていた側が反乱を起こす人間だという種明かしがされる。そこには,人間の業とでもいうべき進歩への渇望と,それが招来する混乱を阻止すべく保守的にプログラムされたアンドロイドが対比されていた。
「五月の晴れた日」は,ハヤカワSFシリーズ(銀背)の3136「神への長い道」に収録されていた。高校時代,この短編集を米島君に貸したときに,「神への長い道」「極冠作戦」「4次元ラッキョウ」などに○をつけて渡したが,彼は「五月の晴れた日」の良さがわからないのかといったものだった。確かにそのとおりなのである(黄金分割が 1:√2 としていたのはご愛嬌)。
DALL·E 2に類似したシステムとして,GoogleのImagen,MicrosoftのNUWA-Infinity,DiscordのMidjourneyなどがある。クオリティはいまいちだけれど,DALL·E mini からスピンアウトして誰でも無料で使えるシステムがcrayonである。早速試してみた。いまのところ,256x256の解像度である。
2022年8月9日火曜日
マックス・ボルン
オリビア・ニュートン・ジョン(1948-2022)が亡くなった。
1974年ごろに最初のヒットが出ているが,すでに洋楽ポップスを聴かなくなっていた時期だ。したがって,復習してみたけれどほとんど知らない曲だった。同世代の歌手でもメリー・ホプキン(1950-)ならば,1968年に悲しき天使がヒットしたので,ちゃんとキャッチアップしていたのだけど。
オリビア・ニュートン・ジョンが,行列力学の創始者の一人マックス・ボルン(1882-1970)の孫だというのは,有名な話だ。ボルンは,量子力学の確率解釈で良く知られているが,そもそもヴェルナー・ハイゼンベルク(1925-1976)が最初に発見した量子規則が,当時,物理学ではあまり使われていなかった行列の形で表現できることを指摘したのがボルンであり,1925年のボルン・ヨルダンや1926年のボルン・ハイゼンベルク・ヨルダンの論文で,量子力学の基本原理が確立したわけだ。
オリビア・ニュートン・ジョンはマックス・ボルンの娘イレーネの子供であるが,息子グスタフの子供にも,人類学者・音楽家のジョージナ・ボルンと,俳優のマックス・ボルン(フェリーニのサテリコンに出演)がいる。ひ孫も含めてなんだか芸能人がたくさん輩出されているのだった。
2022年8月8日月曜日
高等教育研究センター(2)
高等教育研究センター(1)からの続き
8月4日,京都大学の高等教育研究開発推進センターの廃止のお知らせが公開された。2022年9月30日を持って廃止されたあと,コンテンツの一部は,教育学研究科高等教育学コースのHPに移管されるとあるが,ほとんどはそのまま無残にも捨てられるようだ。廃止されるセンタースタッフの所属は上記の教育学研究科に確保されている。
今後のICT活用教育関連の各プラットフォームの対応について,は,JMOOC(gacco)のうち,国際高等教育院附属データ科学イノベーション教育研究センターから提供する講義のみ継続ということで,その他は全滅なのである。
(1) 京都大学OCW
(2) MOOC(edX)
(4) JMOOC(gacco)
(5) サポートサイト(CONNECT)
確かに,あれもこれもと欲張ってゴチャゴチャしていたので,整理が必要であったかもしれない。OCW閉鎖への対応についてはアナウンスがでているが,以下の回答に関係者の無念さがにじんでいる。
京都大学のOCWは今後どうなるのですか
10月以降の状況については当センターではお答えしかねます。OCWは今世紀に入りオープンエデュケーション/教育のオープン化と呼ばれるムーブメントの中で広がってきた取り組みで,2019年にはユネスコでOER*勧告(ICTを利用した教育のオープン化に関わる教材のグローバルな普及促進に関する勧告)が全加盟国の一致でなされています。今後、国内でも教育のオープン化に関わる取り組みが広がってくると思われます。2005年の立ち上げ以降,その一端を担ってきた本学のOCWがこのような形で失われることは残念でなりません。
[1] 京大OCW閉鎖の件に寄せて:これからの可能性だったものの一つ(digitalnagasaki)
2022年8月3日水曜日
イチカ
天理市のデジタル地域通貨「イチカ」が8月1日からスタートした。
各戸には案内が送付されるということだったが,ようやく届いた。MilaboのPrairieというアプリを使ったもので,さっそく登録してみると,愛媛県西条市と奈良県天理市が選択肢としてでてきたので,このアプリを使ったものとしては全国で1-2例目になる。
地域通貨アプリは他にもあるが,chiicaが9市町村で導入されている。regionPAYは大阪のキャンペーンで利用された例が1件あるだけで,現在は利用が停止されてる。全国の地域通貨のリストがあったが,2017年で更新が止まっていた。
天理市のデジタル地域通貨では,3000ポイント(=3000円分)が各市民に付与されて,10月31日まで有効となっている。コロナ禍に対する生活支援と地元消費喚起が目的であり,ボランティア活動や健康増進活動ともリンクさせるようだ。
なお,スマートフォンの利用が難しい高齢者などの場合は,紙のクーポン券が発行されている。
2022年8月2日火曜日
高等教育研究センター(1)
京都大学の教育に関する情報共有・情報発信をしてきた高等教育研究開発推進センターが9月末で廃止されるとのこと。組織としては廃止されるとしても業務は移管されて残るのだろうと思っていたら、OCWやMOOCやCONNECTも含めてほとんどの業務がそのまま廃止の予定だという。
東北大学
http://www.ihe.tohoku.ac.jp
大学教育研究センター(1993-)
高等教育開発推進センター(2004-)
高度教養教育・学生支援機構(2014-)
東京大学
https://www.he.u-tokyo.ac.jp
大学総合教育研究センター(1996-)
[全学センター→学内共同教育研究施設(2019-)]
名古屋大学
https://www.cshe.nagoya-u.ac.jp
https://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/link/jpcenter.html( 国内の高等教育研究センター)
高等教育研究センター(1998-)
京都大学
http://www.highedu.kyoto-u.ac.jp
高等教育教授システム開発センター(1994-)
高等教育研究開発推進センター(2003-)
?(2022-)
大阪大学
https://www.celas.osaka-u.ac.jp
https://www.tlsc.osaka-u.ac.jp
全学共通教育機構(1994-)
大学教育実践センター(2004-)
全学教育推進機構(2012-)
2022年8月1日月曜日
変体仮名
変体仮名をmacOSで表示させるべくあれこれ調べたがうまくいかなかった。もちろんiPadOSではだめだ。
調べてみると,Unicode変体仮名フォントをインストールするだけでよいとある。Unicode10.0で規格化された変体仮名を収録したフォントが UniHentaiKana であり,IPAmj明朝フォント(Ver.004.01)の変体仮名グリフのみを取り出してUnicodeのコードポイントを与えたものだ。
UniHentaiKana-Regular.otfをインストールした結果,フォントリストには現れ,Chrome,JeditΩ,TextEdit,Memo,Pages,KeyNote,egword Universal2 などでは表示できたが,Safari,MS Word,PowerPointではうまくいかない。Safariでは,.cssファイルを,* { font-family: UniHentaiKana; },としてこれを指定したがそれでもだめだった。
というわけで,以下のテーブルはうまく表示されないかもしれない。
あ=安: 安𛀂 愛𛀃 阿𛀄 惡𛀅
い=以: 以𛀆 伊𛀇 意𛀈 移𛀉
う=宇: 宇𛀊𛀋 憂𛀌 有𛀍 雲𛀎
え=衣: 衣𛀑𛀒 江𛀁 盈𛀏 縁𛀐 要𛀓
お=於: 於𛀔𛀕 隠𛀖
か=加: 加𛀘 佳𛀗 可𛀙𛀚 嘉𛀛 我𛀜 歟𛀝 賀𛀞 閑𛀟 香𛀠 駕𛀡 家𛀢
き=幾: 幾𛀤𛀥 喜𛀣 支𛀦 木𛀧 祈𛀨 貴𛀩 起𛀪 期𛀻
く=久: 久𛀫𛀬 九𛀭 供𛀮 倶𛀯 具𛀰 救𛀱
け=計: 介𛀲𛀳 希𛀴 氣𛀵 計𛀶 遣𛀷 家𛀢
こ=己: 古𛀸 故𛀹 許𛀺 期𛀻 子𛂘
さ=左: 乍𛀼 佐𛀽𛀾 左𛀿 差𛁀 散𛁁 斜𛁂 沙𛁃
し=之: 之𛁄𛁅 事𛁆 四𛁇 志𛁈 新𛁉
す=寸: 受𛁊 壽𛁋 數𛁌𛁍 春𛁎𛁏 須𛁐𛁑
せ=世: 世𛁒𛁓𛁔 勢𛁕 聲𛁖
そ=曽: 所𛁗𛁘 曽𛁙𛁚 楚𛁛 蘇𛁜 處𛁝
た=太: 堂𛁞 多𛁟𛁠 當𛁡
ち=知: 千𛁢 地𛁣 智𛁤 知𛁥𛁦 致𛁧 遅𛁨
つ=州: 州𛁩𛁪 津𛁫 都𛁬 徒𛁭
て=天: 亭𛁮 低𛁯 傳𛁰 天𛁱𛁲𛁳 帝𛁴 弖𛁵 轉𛁶 而𛂎
と=止: 土𛁷 度𛁸 東𛁹 登𛁺𛁻 砥𛁼 等𛁽 徒𛁭
な=奈: 南𛁾 名𛁿 奈𛂀𛂁𛂂 菜𛂃 那𛂄𛂅 難𛂆
に=仁: 丹𛂇 二𛂈 仁𛂉 兒𛂊 爾尓𛂋𛂌 耳𛂍 而𛂎
ぬ=奴: 努𛂏 奴𛂐 怒𛂑
ね=祢: 年𛂒𛂓𛂔 根𛂕 熱𛂖 禰祢𛂗 子𛂘
の=乃: 乃𛂙 濃𛂚 能𛂛𛂜 農𛂝
は=波: 八𛂞 半𛂟 婆𛂠 波𛂡 盤𛂢𛂣 破𛂤 者𛂥𛂦 葉𛂧 頗𛂨
ひ=比: 悲𛂩 日𛂪 比𛂫 避𛂬 非𛂭 飛𛂮𛂯
ふ=不: 不𛂰 婦𛂱 布𛂲
へ=部: 倍𛂳 弊𛂴𛂵 遍𛂶 邊𛂷 邊辺𛂸 部𛂹
ほ=保: 保𛂺𛂻 報𛂼 奉𛂽 寶𛂾 本𛂿𛃀 豊𛃁
ま=末: 万𛃂 末𛃃𛃄 満𛃅𛃆 萬𛃇 麻𛃈 馬𛃖
み=美: 三𛃉 微𛃊 美𛃋𛃌𛃍 見𛃎 身𛃏
む=武: 武𛃐 無𛃑 牟𛃒 舞𛃓 无𛄝𛄞
め=女: 免𛃔 面𛃕 馬𛃖
も=毛: 母𛃗 毛𛃘𛃙𛃚 茂𛃛 裳𛃜 无𛄝𛄞
や=也: 也𛃝𛃞 屋𛃟 耶𛃠𛃡 夜𛃢
ゆ=由: 游𛃣 由𛃤𛃥 遊𛃦
よ=与: 代𛃧 余𛃨 與与𛃩𛃪𛃫 餘𛃬 夜𛃢
ら=良: 羅𛃭 良𛃮𛃯𛃰 等𛁽
り=利: 利𛃱𛃲 李𛃳 梨𛃴 理𛃵 里𛃶 離𛃷
る=留: 流𛃸 留𛃹𛃺𛃻 累𛃼 類𛃽
れ=礼: 禮𛃾𛃿 連𛄀 麗𛄁
ろ=呂: 呂𛄂𛄃 婁𛄄 樓楼𛄅 路𛄆 露𛄇
わ=和: 倭𛄈 和𛄉𛄊 王𛄋𛄌
ゐ=為: 井𛄍𛄎 居𛄏 為𛄐 遺𛄑
ゑ=恵: 恵𛄒 衞衛𛄓𛄔𛄕
を=遠: 乎𛄖𛄗 尾𛄘 越𛄚 遠𛄛𛄜 惡𛀅
ん=无: 无𛄝𛄞
より:ゟ
2022年7月31日日曜日
手計算による第7波ピーク予測(2)
手計算による第7波ピーク予測(1)からの続き
2週間前に感染者数の予測をしたが,おおむねこの範囲で推移しているようにみえる。
今週末(7/30土)の東京の週平均新規感染者数/日は,3.17万人/日である(ピークは7/28木の4.0万人)。先週末(7/23土)の同じ値は,2.30万人/日だったので,前週に対する平均の1週間増加率は,1.37である。この増加率が2週間後に0になるとすれば,週単位でみたら,来週末8/6土には,3.7万人/日(対前週増加率は1.18)でピークアウトする。
NHKが好きな名古屋工業大学の平田グループのAI予測では,8/6土に3.9万人/日ということで,まあ今回はこちらの値と一致しているが,AI予測の意味があるのかどうだか・・・。
それはそうと,ついに,日本の100万人当たりの新規感染者数/日が世界一になっている。Our World in Data の,Daily new confirmed COVID-19 cases per million people(1週間移動平均)である。日本と韓国がほぼ同様の振る舞いを見せて,ニュージーランドを追い越してしまった。
2022年7月30日土曜日
ネーミングライツ(2)
ネーミングライツの元にある命名権はそもそも誰にあるのか。
自分の名前の國雄は祖父がつけたらしい。自分の子どもたちは,若干雑音があったけれど,われわれ夫婦で決めた。これからの世代はほとんど親が子の名前を決めるのだろう。だからきらきらネームが流行ったりもする。
インターネットのドメイン名空間での命名権をめぐっても昔はかなりいろいろあった。ICANN がドメイン名空間の命名規則を決めている。そのjpドメイン配下は,JPNIC(いまではJPRS)が管理している。学校向けの ed.jp ドメインができるときの騒動は,そばに関係者がいたので間近で見ていた。あれだけがんばって獲得した ed.jp だったけれど,今どれだけ使われているかというと,なんだか微妙である(地元の天理市は,http://ed.city.tenri.nara.jp だから・・・)。
天体の命名は,国際天文連合(IAU)が行う(小惑星の命名法)。新元素の場合は,発見グループだったから,素粒子もそうなのだろうか,あるいはParticle Data Groupが調停する?化合物については,国際純正・応用化学連合(IUPAC)によって,命名規則が決まっているので,問題ないのかもしれない。生物の場合は,学名に対して,国際動物命名規則,国際藻類・菌類・植物命名規則,国際原核生物命名規則などが定まっており,献名という慣行もある。これらの命名規則を管理するのは,国際生物科学連合(IUBS)になりそうだ。
ネーミングライツに話をもどせば,2010年の大阪府からはじまって横断歩道橋の命名権が各地で売り出されている。いっそのこと,国道や高速道路のインターチェンジ区間に名前を付けて売り出せばいいではないかと思ったら,現職の官僚がそれに掠る話を書いていた。
例)国道8番ラーメン号線,国道24時間テレビ号線,国道7イレブン号線などなど。
[1]ネーミングライツに関する考察(木村俊介)
2022年7月29日金曜日
ネーミングライツ(1)
公共施設などの「名前」=命名権(ネーミングライツ)を売るのが流行っている。
大阪教育大学が,エスカレータの命名権をSKY株式会社に売った。国立大学の施設では,ホールや教室などの事例が多いが,エスカレーターは全国初めてとのこと。それはそうだろう,全長120mクラスのエスカレータがあちこちの大学にあるという話は聞いたことがない。
大阪教育大学ではすでに,附属図書館のまなびのひろばが,東京書籍 Edu Studioとなっているので,2例目となる。
日本の命名権導入施設一覧によれば,かなりの数の公共施設がネーミング・ライツを売っている。大学でも同様だ。3〜5年程度の契約で,年間100万円〜あたりが相場だ。一般のスポーツ施設や公共施設と違って,当該大学の固定された学生が見るだけだ。どこまで宣伝効果があるのかはちょっと疑問だ。
でも,もしそれが成立するのならば,すべての教室や研究室に名前をつけるとか,扉に日替わりで広告を出すようにすれば,1件/1ヶ月10万円としても毎月1000万円オーダーの収入が見込まれる。そのうち大学の中は広告媒体で汚染されまくることになるかもしれない。椎名誠のアドバードの世界はこうやって現実の未来に実現するのか。
いっそのこと大学ホームページもアフィリエイトで埋めたらどうか。あるいは,通学時の関係者には大学おそろいのTシャツを着せて,そこに宣伝を入れるという手もある。附属学校園も含めれば,教職員・児童生徒学生総数が1万人なのでこちらのほうが効果的かもしれない。
あるいは,キャンパス名称を売り出したほうがよいかもしれない。柏原キャンパス改め,柏原ケニスキャンパスとか,天王寺キャンパス改め,天王寺啓林館キャンパスとか。あるいはいっそのこと,大阪教育内田洋行大学にしたらどうか。
2022年7月28日木曜日
しかせんべい
奈良県民になって30年,奈良の名所も一通り訪れた。ときどきテレビでは,鹿せんべいを買った人が鹿に追いかけられて往生している場面が映る。これを見て,あ〜素人だぁ(こどもならしかたないけど)と即席奈良県民は余裕のよっちゃんで笑っていた。
さて,夏休みの孫たちを連れて,久しぶりに奈良公園で鹿にせんべいを与える行事が勃発した 。バーバの指示で,一束200円に値上げされてしまったせんべいを二束,乾いた寡黙な婆さんから購入した。おつりの百円玉をもらった瞬間を合図に,近くで待機していた鹿チームがどわっと押し寄せてきた。
しかも,そのうちの数頭の牡鹿はとても立派で綺麗な角を持っていて,ぐいぐいぐいと迫ってくるのだ。鹿の角切りは秋の行事であり,今は,春に生まれた仔鹿が鹿苑を出て公園デビューしたばかりの時期。発情期ではなさそうなので,そこまで危険はないのかもしれない,が,しかし鹿の角は怖い。
昔,六甲山牧場に金沢から出てきた母親を連れて行ったことがある。牛といっしょに記念撮影をしようと近づいたところ,気分を害した牛に思い切り尾てい骨を突かれてしばらく痛かった。それ以来,互いに気持ちが通じにくい偶蹄目はちょっと苦手だ。
Wikipediaの鹿せんべいの記事では,食糧が不足する冬の時期の方が危ないと書いてあるが,まったく関係ありません。自分が鹿にせんべいをやるターンだったら,その場で包みを破って,ワアキャアいいながら片づけてしまえばいいようなものの,今回はこの二束の鹿せんべい,なんとか孫のすーちゃんまでバトンを繋がなければならない。
一番大きな角の鹿に迫られ,小突かれ,服を引っ張られながら,ようやくかーかへのバトンタッチに成功した,が,鹿はそんなこと関知しないので統一教会への追及の手を緩めない。クネクネ歩きでなんとかそれをかわしながら,鹿せんべい売り場の婆さんから70mほどでようやく彼らのテリトリー境界を越え,かろうじて脱出に成功した。
教訓:鹿せんべいを甘く見てはいけません。
2022年7月27日水曜日
WEB5
Web3からの続き
前回はそもそものWeb3の説明を省いてしまったが,自分でもよくわからないし,調べてみてもまったくピンと来ない。なんとなくブロックチェーンのことかなと霧のかかった頭をひねるだけ。ところでTwitterでは次のような的確な説明があった。
@4niruddha:私からは今のWeb3界隈って,こんな風に見えているんですが,皆さんはどうでしょうか?
@shimy_net:Web2は情報技術屋が作ったものでWeb3は情報商材屋が作ろうとしているもの
@ito_yusaku:インターネットを検索すれば有益な情報が手に入ったのがWeb2.0の時代,インターネットで検索しても書籍を買ってもゴミのような情報しか手に入らくなった時代がWeb3
@AkioHoshi:
(1) 2014年版の延長のブロックチェーン技術文脈のWeb3
(2) 2021年版の投資文脈のWeb3
(3) 日本語圏の劣化版Web3ナラティブ
(4) ジャック・ドーシーのWeb5
@seagetch:Web3,というか分散技術は,既に社会の要請からして時代遅れだと思うんだよね…プラットフォーマーが居ない分散技術は1回ポストした情報を第3者が消すための(社会的活動を含む)コストが圧倒的に高くて,プロパガンダやフェイクがこれだけ蔓延っている時代にとても運用に耐えうると思えない…
なお,ジャック・ドーシー(1976-)は2006年にTwitterを立ち上げた人であり,WEB5(=WEB2+WEB3)を提唱している。まあ,いずれにせよ,Building an extra decentralized web that puts you in control of your data and identityというスローガンで,政府や企業には対抗できたとしても,人間の悪意の群れにどう対応するかについては答えが出ていないような気もする。
そもそも,ティム・バーナーズ=リー(1955-)のセマンティック・ウェブはどこにいったのよ。
2022年7月26日火曜日
Web3
今様の事どものめづらしきを,言ひひろめ,もてなすこそ,又うけられぬ。世にことふりたるまで知らぬ人は,心にくし。(徒然草 第78段の冒頭から)
というわけで,Web3(ウェブスリー)がバズっている。この流行り概念を解説するために,インプレスが出版した「いちばんやさしいWeb3の教本(第1章と2章が無料公開)」の内容があまりにもでたらめだったので,総スカン状態になって,ついに回収騒ぎまで発展した。
そもそものはじまりは,Web2.0(-2004-)であり,これが更にバージョンアップした概念として,Web3.0改めWeb3(小数点をつけないほうがモダンらしい)が喧伝されたということになる。このキーワードは,××2.0という表現の始まりであり,その後のSociety5.0などに続く悪癖の走りであった。
人のことはいえないもので,2006年から2008年にかけて「デジタル教材活用支援のための科学教育ポータルサイトのデザイン」で科研費を獲得した際のキャッチフレーズにWeb2.0を使わせてもらった。自分が書いた報告書によれば(記憶のかなただけれど)
科学教育におけるICT活用を推進するため,デジタル教材の学校教育現場での活用を促す「科学教育ポータルサイト」を開発する。このサイトは,Web2.0とよばれるウェブサービスの次世代技術(例えば,XMLを用いた利用者による情報分類,AJAXによるスムーズインターフェーズ,PageRank的なウェブページ評価,分散されたロングテール情報の収集,Wikipedia的な参加者信頼,RSS/ATOMによる情報通知システム,CMS/BLOGによるサイト管理の効率化)などの中から必要な技術を採用して,学校教員が利用しやすい,参加しやすい科学教育のためのポータルサイトのデザインを追求するものである。
という謳い文句だったが,Ploneベースのサイトにしたため,結局継続的に運用できなかった。