AI技術の応用が浸透しつつある。その一例として,自然言語処理と画像生成を組み合わせて,短文やキーワードのセットから画像(絵画,写真,デザイン)を生成するモデルがはやっている。
代表的なものが,OpenAIというイーロン・マスクがかんでいる非営利団体がつくった,DALL·E 2(ダリ)である。2021年にDALL·Eが公開され,1年後にその解像度が倍になった。凄いクオリティの絵や写真を大量に生成することができる。
かつて,AI(+ロボット)× BI(=ベーシックインカム)の時代になれば,人間は単純労働から解放されて,創造的な活動に専念できるという話があったかもしれない。現実には,創造的な活動や知的活動の方がAIに奪われてしまい,人間に残されたのは,被階級支配と低賃金単純労働だけだということになりそうだ。
それはすでに,小松左京の「五月の晴れた日」にという短編で預言されていた。読み始めは,優雅に芸術論をたたかわす人間と機械的に動くロボットの下僕の話のように始まるが,やがて,人間というのはアンドロイドであり,ロボットのように描写されていた側が反乱を起こす人間だという種明かしがされる。そこには,人間の業とでもいうべき進歩への渇望と,それが招来する混乱を阻止すべく保守的にプログラムされたアンドロイドが対比されていた。
「五月の晴れた日」は,ハヤカワSFシリーズ(銀背)の3136「神への長い道」に収録されていた。高校時代,この短編集を米島君に貸したときに,「神への長い道」「極冠作戦」「4次元ラッキョウ」などに○をつけて渡したが,彼は「五月の晴れた日」の良さがわからないのかといったものだった。確かにそのとおりなのである(黄金分割が 1:√2 としていたのはご愛嬌)。
DALL·E 2に類似したシステムとして,GoogleのImagen,MicrosoftのNUWA-Infinity,DiscordのMidjourneyなどがある。クオリティはいまいちだけれど,DALL·E mini からスピンアウトして誰でも無料で使えるシステムがcrayonである。早速試してみた。いまのところ,256x256の解像度である。
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