水中の物体を空気中からみると浮き上がって見えるのは,屈折率が異なった媒質の間を光が進むときに,光路が屈折することによる典型的な現象である。
昔,理科教育メーリングリストで,水中にある物体が浮き上がって見えるときに,その像ができるのはどの位置かということが話題になった。物体を通る鉛直線ℓを含む断面でみれば,視点からみてℓより手前に結像する。一方,これを上から俯瞰してみれば,水平方向では媒質が一様なので,同じ高さにある両眼と物体を結ぶ光線の射影は曲がらない。したがって,像はℓ上に存在することになる。
これは,物体の物理的な結像位置が水平方向と鉛直方向で異なっているということで理解できる。実際の見え方は,人間がこれを脳の中でどのように処理するかに依存するのだろう。
とりあえず,「鉛直線ℓを含む断面でみれば,視点からみてℓより手前に結像する」ことを下図で確かめる。なお空気に対する水の屈折率をnとする。
水中の物体Pから出た光が水面に入射する角度を αおよび α′=α+δα とし,出射する角度をβおよび β′=β+δβ とする。スネルの法則から n=sinβsinα=sinβ′sinα′ なので,sinβ=nsinα から,cosβ⋅δβ=ncosα⋅δα であることに注意する。
Q点及びQ'点を通って虚像を結ぶ破線の式は,y=cotβ(x−dtanα),y=cotβ′(x−dtanα′)となる。その交点が像の座標となる。δαとδβ を微少量として,tanα′=tan(α+δα)=tanα+δαcos2α,および,cotβ′=cot(β+δβ)=cotβ−δβsin2β が成り立つ。
これから,−δβsin2βx=δαcos2αdcotβであり,xd=−sinβcosβcos2αδαδβ=−nsinαncosαcos2βcos2α となる。
したがって,xd=−tanα(1−n2sin2αcos2α)
これにより,n=1では,xd=−tanαから,点Xはℓ上になる。また,n>1では,xd>−tanα から点Xはℓより手前に位置することになる。
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