奈良県民になって30年,奈良の名所も一通り訪れた。ときどきテレビでは,鹿せんべいを買った人が鹿に追いかけられて往生している場面が映る。これを見て,あ〜素人だぁ(こどもならしかたないけど)と即席奈良県民は余裕のよっちゃんで笑っていた。
さて,夏休みの孫たちを連れて,久しぶりに奈良公園で鹿にせんべいを与える行事が勃発した 。バーバの指示で,一束200円に値上げされてしまったせんべいを二束,乾いた寡黙な婆さんから購入した。おつりの百円玉をもらった瞬間を合図に,近くで待機していた鹿チームがどわっと押し寄せてきた。
しかも,そのうちの数頭の牡鹿はとても立派で綺麗な角を持っていて,ぐいぐいぐいと迫ってくるのだ。鹿の角切りは秋の行事であり,今は,春に生まれた仔鹿が鹿苑を出て公園デビューしたばかりの時期。発情期ではなさそうなので,そこまで危険はないのかもしれない,が,しかし鹿の角は怖い。
昔,六甲山牧場に金沢から出てきた母親を連れて行ったことがある。牛といっしょに記念撮影をしようと近づいたところ,気分を害した牛に思い切り尾てい骨を突かれてしばらく痛かった。それ以来,互いに気持ちが通じにくい偶蹄目はちょっと苦手だ。
Wikipediaの鹿せんべいの記事では,食糧が不足する冬の時期の方が危ないと書いてあるが,まったく関係ありません。自分が鹿にせんべいをやるターンだったら,その場で包みを破って,ワアキャアいいながら片づけてしまえばいいようなものの,今回はこの二束の鹿せんべい,なんとか孫のすーちゃんまでバトンを繋がなければならない。
一番大きな角の鹿に迫られ,小突かれ,服を引っ張られながら,ようやくかーかへのバトンタッチに成功した,が,鹿はそんなこと関知しないので統一教会への追及の手を緩めない。クネクネ歩きでなんとかそれをかわしながら,鹿せんべい売り場の婆さんから70mほどでようやく彼らのテリトリー境界を越え,かろうじて脱出に成功した。
教訓:鹿せんべいを甘く見てはいけません。
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