新型コロナウィルスオミクロンBA.5株(BA.4はどこに行った?)による感染者数がこのところ急増している。その一方で,近鉄大和西大寺や祇園祭は人であふれているらしい。
京大の西浦博さんは過去の経験で懲りたのか,ポルトガルの分析グラフを解説するだけで,本邦の数値予測をマスコミには見せていない。KEKの野尻美保子さんも仕事先のヨーロッパで感染して忙しいらしく,以前のような感染者の重症度重み付きグラフを出していない。
名古屋工業大学のグループによるAI予測の結果が,7月8日にNHKで取り上げられていた。それによれば,東京では7月25日に18,000人のピークを迎えるという。実際には,7月15日に19,000人であり,たった1週間先もまともに推定できていなかった。感染症数理モデルの専門家をよんでこないとだめじゃないの。タイトルにAIがあればよいという発想がアウトだ。
そんなわけで,素人が,費用0円,手計算で第7波のピークを予測することにする。
図:新規感染者数の増減率の常用対数値(2021.7.7 - 2022.7.13)
NHKによる都道府県別新規感染者数の日々データから,前週値との新規感染者数の比率を増減率とする。これを1週間移動平均した値の対数値をプロットしたものが上図になる。図のピークは新規感染者数グラフの変曲点を表わし,正の値が続いている間は感染者数が増加している。第6波の増加期間は約60日であり(コロラド博士の9週間=63日ピーク説と符合),この山の増加率の常用対数値はピークを挟んでほぼ1次関数で増減している。
第7波が始まったのは約1ヶ月前の6月中旬であり,7月中旬にはすでに増加率はピークを越えてしまった。増加率の絶対値は前回より小さい(4割程度)が,開始からピークまでが30日というのは前回と同じだ。増加率の減少過程も前回同様だと仮定すれば,8月13日のお盆前まで新規感染者数は増加が続くことになる。
そこで東京について,3つの場合について計算してみる。7月中旬のピーク以降,(A) 3週間で増加率の常用対数値が一様に減少して0になる。(B) 4週間で増加率の常用対数値が一様に減少して0になる。(C) 5週間で増加率の常用対数値が一様に減少して0になる。例えば,7/17 の1.4万というのは前週の新規感染者数の平均値を表わしている。
(A) では,7/17 1.4万,7/24 2.1 万,7/31 2.5万,8/7 2.6万 → 8月第1週でピークの2.6万人/日
(B) では,7/24 2.2万,7/31 2.9 万,8/ 7 3.4万,8/14 3.5万 → 8月第2週でピークの3.5万人/日
(C) では,7/24 2.2万,7/31 3.1 万,8/ 7 3.9万,8/14-21 4.4万 → 8月第3週でピークの4.4万人/日
ということになる。全国に換算する場合は7倍して,それぞれ,(A) 18万人/日,(B) 24万人/日(C) 31万人/日が第7波のピークの値ということになる。
まとめれば,使用する元データは,NHKの新規感染者数から得られた対前週増減率の7日間移動平均だけ。仮定する理論は,その対数値が幅60日の三角波になっている第6波の経験値だけ。その結果は,8月の初旬〜中旬に全国20〜30万人/日でピークとなるということ。
(付録)計算方法: 7/17(東京1.4万人/日)における一日当たり新規感染者数の対前週増加率は,10^0.25=1.8倍である。そこで,(A)では,0.25/3≒0.08として,10^0.17=1.48,10^0.09=1.23,10^0.01=1.02と毎週減少する,(B)では,0.25/4≒0.06として,10^0.19=1.55,10^0.13=1.35,10^0.07=1.17,10-0.01=1.02と毎週減少する,(C)では,0.25/5≒0.05として,10^0.20=1.58,10^0.15=1.41,10^0.10=1.26,10^0.05=1.12,10^0.00=1.00と毎週減少するとして,上記の予測値を得た。
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