我々の世代でセクトというと, 学生運動を担った新左翼のセクトが想起されるが,このたび問題になっているのは,フランスのセクトである。このたびというのは,安倍元首相暗殺事件における「カルトと政治の関係」の件だ。「政治と金の関係」というバズワードに匹敵する微妙な用語かもしれない。
セクトとは,宗教社会学的な価値中立な用法の他に,日本語でのカルトとほぼ同義で,通俗的に犯罪や危険とともに用いられる用法があり,ここでは後者を問題にする。人民寺院,ブランチ・ダビディアン,太陽寺院,オウム真理教などの事件が続いた後,1995年にフランスの国民議会に「フランスのセクト」という報告書が提出された。これを受けて2001年に「反セクト法」が成立する。当初は「セクト的な団体」を対象にしたものだったが,その後「セクトの逸脱行為」を取り締まる姿勢へ転換した。
そのセクトの逸脱行為とは次のようなものである。
(1)精神的不安定化(2)法外な金銭要求(3)元の生活からの意図的な引き離し(4)身体の完全性への加害(5)児童の加入強要(6)何らかの反社会的な言質(7)公序への侵害(8)多大な司法的闘争(9)通常の経済流通経路からの逸脱(10)公権力への浸透の企て
なるほど,統一教会の活動には十分にあてはまっている。
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