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2021年4月17日土曜日

Antonia Brico

 録画してあった映画「レディ・マエストロ」を観た。英語タイトルは「The Conductor」だったので,この日本語タイトルはなんだかなあだったが直訳にならないのはやむを得ないかもしれない。アメリカ映画かと思ったが,マリア・ペーテルス監督の2018年オランダ映画だった。史実に基づいた伝記映画であり,最初期の女性指揮者であるオランダ系移民のアントニア・ブリコ(1902-1989)が主人公である。

上記の日本語版ウィキペディアに詳しいあらすじがあるので,これを読めばどんな物語かは正確にわかる。普通このような実録映画のエピローグでは,主人公が先駆者として道を切り拓いたおかげで,現在のその領域の隆盛があるということで,めでたしめでたしとなる。しかし,この映画では,アントニア・ブリコがベルリン・フィルを指揮した1930年から90年経っても,世界の主要な20のオーケストラの主席指揮者には女性はいないし,世界の指揮者ベスト50にも女性がいないという結果を示して終わっている。

指揮や音楽の場面は今ひとつ惜しかったが,ニューヨークの貧しい移民街や家庭の風景はハリウッド映画ではないオランダ映画的なリアリズムが見られたかもしれない。

2021年2月12日金曜日

ライブ・アンダー・ザ・スカイ

 チック・コリアが 79 歳でなくなったというニュースが飛び込んできた。MacBook Proに入っている リターン・トゥ・フォーエヴァーを聴いて追悼している。ライト・アズ・ア・フェザーもある。

1979年の7月25日(水)に大阪の万博記念公園特設屋外会場(エキスポランド側だった)で開催された,ライブ・アンダー・ザ・スカイには,チック・コリアも参加していた。調べたが,東京公演(雨の田園コロシアム)の話はみつかるが,大阪公演の情報はインターネット上にほとんどない。どういうこと。1979年はドクター2年のときで,吹田キャンパスの阪大核物理センターの大型計算機でひと仕事済ませた後の夕方,大切なチケットを手に,一人で歩いて会場に向かった記憶がある。

V. S. O. P. クインテット(ハービー・ハンコック,フレディ・ハバード,ウェイン・ショーター,ロン・カーター,トニー・ウィリアムス)と,ハービー・ハンコック=チック・コリアのデュオだったはずだ。チック・コリアのピアノも良かったが,その日一番凄かったのは,夕暮れの夏空に吸い込まれていくフレディ・ハバードのトランペットの音だった。

終演後のアンコール時の舞台でチック・コリアが踊っていたのも印象的だった。バスで千里中央・蛍池経由で帰宅した。


2020年6月26日金曜日

平沢進(2)

平沢進(1)からの続き

セグウェイの話題と平沢進の話題がなにやらからまっていた。youtubeをちょっと見たところセグウェイは見当たらないのだけれど,どうなっているのかな。

平沢進のアルバムをざっとながめてみて,アマゾンでの評価数を()に,平沢進の人気おすすめランキング15選の順位を[]にいれて,アルバムタイトル以外の気になった曲名を付加したものが次の表だ。「救済の技法」とか「賢者のプロペラ」とか「白虎野」の評判がよさそうかな。ほとんどどれも同じにきこえる瞬間があって困ったものだけれど,なんだかはまってしまいそう。youtubeでかなりの楽曲が聴けるのがありがたい。

1 1989  時空の水(31)[7] ハルディンホテル
2 1990 サイエンスの幽霊(21) 世界タービン
3 1991 Vierual Rabbit(23)[8] バンディリア旅行団
4 1994 AURORA(17)[14] トビラ島
5 1995 Sim City(40)[15]
6 1996 SIREN(26)[5]
7 1998 救済の技法(86)[2] TOWN-0 PHASE-5 庭師キング
8 2000 賢者のプロペラ(39)[3] ロタティオン
9 2003 BLUE LIMBO(24)[12] 高貴な城
10 2006 白虎野(68)[4] パレード
11 2009 点呼する惑星(51)[11]
12 2012 現象の花の秘密(70)[*]
13 2015 ホログラムを登る男(86)[5]

2006 Paprika(31)[9]
2010 突弦変異(31)[*]
2010 変弦自在(39)[13]
2014 Arch Type(43)[1]
2016 Ash Crow(64)[10]

核P-MODEL
2004 ピストロン(52)
2013 Giponza(73)
2018 回=回(83)

2020年6月20日土曜日

平沢進(1)

犬も歩けば棒にあたる。今日は平沢進(1954.4.1-)にあたった。Twitterでみた「賢者のプロペラ」が頭痛に効くというのがきっかけ。JASRACと喧嘩しているところもよろしい。オフィシャルウェブサイトには無料ダウンロードページもあった。4月1日生まれだと同学年になるのかな。さっそくyoutubeのhirasawasusumuもチャンネル登録してみる。

2020年6月15日月曜日

ジーン・シモンズ

ロックグルーブKISSジーン・シモンズの番組が放映されていた。もう70歳なのに,20kgの衣裳をつけて口から火を噴いていた。舌が長いのだ。たいへんだ。KISSのイメージの特徴的な顔の隈取りデザインはジーン・シモンズの顔のものだった。

KISSは1973-74にブレイクしているが,そのころはもう洋楽ポップスはあまり聴かなくなっていた。そもそもあの手のハードロックはちょっと苦手だったし。ジーン・シモンズはユダヤ人であり,後にニューヨークに移住した母親がナチスの強制収容所の生き残りであった。

2020年5月20日水曜日

丘シカ地下イカ坂

テレビからとつぜん不思議な歌が聞こえてきて思わず引き込まれてしまった。みんなの歌のアニメーションのフレーバーがかつて愛読したスズキコージ+片山健の「やまのかいしゃ」なのである。たぶん今,全国的にサラリーマンの気分はほげたさんになっている。

曲名と歌手を調べてみると,SAKANAMONの「丘シカ地下イカ坂」だった。歌詞はこんな感じである。

いきなり,上れ上れ上れ・・・上り坂上れ,下れ下れ下れ・・・下り坂下れときて(もうここが衝撃ですね),丘の上の家にすむシカと地下の家にすむイカがサカの途中で遊ぶという物語だ。で,最後は,さよならは寂し坂,会えるのは楽し坂というのが結論。

2020年1月21日火曜日

AI美空ひばり

NHKがお金をかけて,美空ひばりをAIで蘇らせる企画番組を製作し,2019年の9月に「NHKスペシャル AIでよみがえる美空ひばり」として放映された。その時点では見逃していたが,年末の紅白で使うためのプロモーションとして再放送されたほうを見た。いやー,映像のほうは全然ダメだったが,歌声についてはなかなか感動した。秋元康はそのビジネスモデルも含めてまったく好きじゃないのだけれど,1989年の「川の流れのように」はそこそこ良かったで,2019年の「あれから」も同程度によいと思った。さっそくiTunes Storeでダウンロードする始末だ。

ところが,ネット上では,有識者による批判の声が後を絶たない。うーん,なんでそこまで否定するのかしら。その場合,2018年の映画「ボヘミアン・ラプソディ」はどうするというのだろうか。これまでも多くの伝記映画がつくられており,あるいは故人についての様々な歴史を掘り起こして再現する物語が書かれていると思うのだが,その辺はどうでしょうか。

もちろん,機械学習とその周辺技術の進化によって,実在の人物とまごうかたなき存在を表現することが可能になりつつあるので,それについての倫理的な問題群はてんこ盛りでやってくるのだろう。あるいはそれを敏感に察知したカナリアたちが根源的で感情的な反発を様々な理論で武装して表現しているのかもしれない。それにしても「美空ひばりを冒涜するな」だとかそのエクストリームで「ファンを冒涜するな」とまでいいだすのにはちょっと首を捻らざるを得ない。

大学に入ったころは,美空ひばりを一番嫌いな歌手として得意げにあげていた。たぶん,演歌の持つ土着で非合理で自民党のような雰囲気を代表するものとしての「美空ひばり的な何か」に対する反発だったのではないか。その後,マンドリンクラブのK君による都はるみの涙の連絡船に感動するという話や,キダ・タローさんによる美空ひばりの絶賛やら,後年の岡林信康との逸話などによって,自分の美空ひばりに対する考え方はまったく変わってしまい,リスペクトするようになっていた。

2019年11月8日金曜日

TEAC LP-R550

TEACターンテーブル/カセット付きCDレコーダー LP-R550が壊れてしまった。先日,新大阪にあるTEAC修理センターに持ち込んだところ,修理不能のため,有料で新品のLP-R550USBに交換され送られてきた。家にあるレコードを聴くためのミニマムのセットである。

大学時代の下宿ではSONYのラジカセを愛用し,レコードを聴くのは自宅に帰省したときに限られていた。あ,そうではない。妹が隣棟の2Fに下宿していて,SONYのオーディオセットを買っており,レコードはそこで聴いていた。あれは,たぶん1978年に彼女が結婚した際に持って行ったはずだ。

1981年に自分が結婚したときには,テクニクスのシンプルなコンボを買った。父が亡くなる前にこれを金沢に持って行ったのは,レコードを聴いてもらうためだっただろうか。その後,廃棄して後継はSONYにしたのだが,こちらのほうは記憶にすらない。このころから購入したSONY製品の劣化が進んで,テレビやビデオなども軒並みにすぐ調子が悪くなった。

CDの時代になってレコードは聴かなくなったと思ったら,iPod全盛期を迎え,家族全員が持っていた。そのうちCDも買わなくなり,レンタルCDをダビングする時代になった。iPodはiPhoneに移行し,ついにstreamingの時代になってしまった。CDの全盛期は1985年から2005年までしか続かなかった。で,再びアナログレコードの復権である。かな?


    

写真:テクニクスの1980年頃のモデル(Technicsより),TEAC LP-R550USB(TEACより)

2019年9月21日土曜日

ハイパーソニック・エフェクト

BSで放送大学大学院の授業をやっていた。2017年の音楽・情報・脳で,国際科学振興財団上級研究員の河合徳枝先生が,インドネシアバリ島のケチャを題材に話を進めた。ハイパーソニック・エフェクトは非常に興味深いテーマであり,脳の報酬系やトランスの話も含め,SFの材料がごろごろところがっていた。

8 共同体を支える音楽
   音楽・共同体・インターメディア性・全員参加可能性
9 人類の遺伝子に約束された快感の情報
   脳の階層性・報酬系・快感誘起性情報要素・威嚇のシグナル
10 音楽による共同体の自己組織化
   自己組織化・報酬系・ガムラン・ケチャ
11 トランスの脳科学~感性情報は人類をどこまで飛翔させるか
   祝祭・トランスフィールド計測・脳波

大橋力(芸能山城組の山城祥二)が芸能山城組のサイトにハイパーソニック・エフェクトの解説文を載せている。大橋力,仁科エミ,河合徳枝らは,1994年に放送大学学園の紀要に「可聴域上限をこえる高周波の生理的・心理的効果(ハイパーソニック・エフェクト)について」という論文を書いており,このころから研究が進んでおり,バリ島のケチャもその格好の材料となっていた。

2019年5月2日木曜日

忌野清志郎

RCサクセション忌野清志郎(1951.4.2 − 2009.5.2)については,デビュー当時まったく視野の外にあって,存在を認識していなかった。

はじめて心に懸かった歌は「雨上がりの夜空に」だった。大学祭の日に研究室で仕事をしていると遠くから学生のグループが演奏しているのが聞こえてきて,その歌詞とリズムにいつの間にか引き込まれていた。それが,RCサクセションや忌野清志郎と結びつくのはずっと後のことだ。

雨上がりの夜空にと忌野清志郎がリンクした後でも,どんな人物かにはほとんど興味がなかった。記憶の中では日曜美術館だったが,そうでなくて「忌野清志郎,ゴッホを見に行く」というBSプレミアムの特集番組での彼の話ぶりや絵との向き合い方で,こんな人だったのかと驚いた。

やがて,遅まきながら,タイマーズのアルバム等を借りてダビングするに到る。