2023年9月11日月曜日

放出総量

告示濃度比総和からの続き

第一は、処理水放出しなくても海に流出している放射性物質がおそらく事故以前の福島第一の年間放出管理目標値である2200億ベクレル/年くらいあって、これを減らすことが絶対的に重要だけど、そもそもこういう放出があること自体に国も東電も一切触れないのが問題、ということ。
トリチウムの事故以前の福島第一の年間放出管理目標値は22兆ベクレル/年(実績2.2兆ベクレル/年)だというのは,どこにでも書いてあるが,2200億ベクレル/年は探してもなかなか見当たらない。

ようやく,10年前のページ3.11東日本大震災後の日本に手がかりがあった。しかし原文のリンクを辿った経済産業省からは消されており,waybackmachineでかろうじて過去の記録がわかった。平成23年度原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について(経済産業省・原子力保安院)。なんとかしてほしい。

これによれば,事故前の福島第一原子力発電所の放射性液体廃棄物(3Hを除く)の年間放出管理値が,2.2E+11Bqとなっている(気体では希ガス 8.8E+15 Bq,ヨウ素131 4.8E+11 Bq)。原子炉7基の柏崎刈羽原子力発電所についで全国2番目に大きなレベルに設定されていた。

その上で,きちんとした計算がされていたのは【資料】ALPS処理水の海洋放出 「放出総量」(伊賀治)だ。それによると,トリチウムの22兆ベクレル/年を排出基準 1500Bq/Lでわった,希釈後アルプス処理水の年間放出可能量は,1467万t/年となる。

これにタンクJ1-C群の2次処理後の確認試験結果,C-14: 13Bq/L,Co60: 0.31Bq/L,Sr90: 0.35Bq/L,Y90: 0.35Bq/L,Tc99: 0.73Bq/L,Sb125: 0.11Bq/L,I129: 2.1Bq/L,Cs137: 0.45Bq/L をかけて,2倍して(希釈用の海水も同じ濃度で汚染されていると仮定)加えると,トリチウム以外の8核種の放射能の合計は,5100億Bq/年となっている。

告示濃度比総和は1に抑えられていて,現在の基準は満たしているとはいえるが,過去の自分たち自身の設定目標管理値は越えている。トリチウム排出についてはそれに従っているにも係わらず。だめだこりゃ。


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