福島第一原子力発電所からのALPS処理水放出の代替案として,水蒸気放出の可能性があった。これを議論する前提として,福島県浪江の気候を調べた。このために,GPT-4,Bard,Perplexity,Bing,に尋ねるといずれもそれらしい答えが返ってきた。思わず,この4つのデータを平均して使おうかと思ったが,しばし思いとどまった。
正しいデータは,気象庁にあった。過去の気象データ検索の中に,各地のデータや平年値(過去三十年間の平均値)がおさめられている。浪江(福島県) 平年値(年・月ごとの値)は次のようになった。ただし,浪江のように湿度データがない地点もある。そこで,同じ,福島県浜通りの南側にある小名浜のデータで代替する。
これらのデータを使うと水面からの水蒸気の蒸発速度(mm/day)を求めることができる計算サイトがいくつかある。必要なインプットは,気温(℃),相対湿度(%),気圧(hPa->1013.25hPa),液温(℃),風速(m/s),水面の代表的な長さ(m->10m) である。
水温が気温と一致している場合と,水温が気温より5度高い場合を次の表に示す。
気温 | 湿度 * | 風速 | 晴日 ≧40% | 蒸発量 | 蒸発量+ | |
1月 | 2.2 | 58 | 2.0 | 22.5 | 0.15 | 0.30 |
2月 | 2.7 | 59 | 2.0 | 20.6 | 0.16 | 0.31 |
3月 | 5.7 | 62 | 2.2 | 19.5 | 0.19 | 0.38 |
4月 | 10.7 | 68 | 2.1 | 17.9 | 0.22 | 0.43 |
5月 | 15.5 | 76 | 1.8 | 16.5 | 0.22 | 0.51 |
6月 | 18.8 | 83 | 1.5 | 11.7 | 0.17 | 0.50 |
7月 | 22.6 | 86 | 1.3 | 11.4 | 0.17 | 0.53 |
8月 | 24.0 | 84 | 1.4 | 14.9 | 0.22 | 0.62 |
9月 | 20.6 | 80 | 1.4 | 12.2 | 0.22 | 0.56 |
10月 | 15.1 | 75 | 1.4 | 14.9 | 0.19 | 0.45 |
11月 | 9.7 | 69 | 1.6 | 19.1 | 0.17 | 0.38 |
12月 | 4.7 | 62 | 1.8 | 21.0 | 0.17 | 0.32 |
全体 | 12.7 | 72 | 1.7 | 201.9 | 0.19 | 0.45 |
年平均しても,それぞれ 0.19mm/dayと0.45mm//day程度だった。実際には,もう少し大きいかもしれない。[1]によれば,福島の緯度 37.3度にある湖だと750mm/year ≒ 2mm/day 程度にはなるようなので。続く・・・。
[1]湖面や海面の蒸発(近藤純正)
[2]こぼれた水は何時間で乾くか(化学工学資料,伊東章)
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