風姿花伝の序には,「聖徳太子秦河勝に仰せて且は天下安全の為且は諸人快楽の為六十六番の遊宴をなして 申楽 と号せしより」 と申楽の由来が書かれており,第四神祇の節にはより詳しく記されている。それで,面霊気という妖怪も登場するくらいだ。
その六十六番という数はどこからきたのか。祇園祭の起源における鉾の数と紐付いていた令制国の数なのかと考えたくなる。しかし,聖徳太子(厩戸王)の皇太子在位は593-622年であり,令制国の確定は,大化の改新(乙巳の変)645年から大宝律令701年の間らしいので関係はないように思える。
令制国一覧によれば,壱岐と対馬を嶋として除くと以下のように六十六カ国になる。(大国; 上国; 中国; 小国の順),(畿内,近国,中国,遠国の色分け)
畿内(5):大和・河内; 山城・摂津; *; 和泉。
東海道(15):伊勢・武蔵・上総・下総・常陸; 尾張・三河・遠江・駿河・甲斐・相模; 安房; 志摩・伊賀・伊豆。
東山道(8):近江・上野・陸奥; 美濃・信濃・下野・出羽; *; 飛騨。
北陸道(7):越前; 加賀・越中・越後; 若狭・能登・佐渡; *。
山陰道(8):*; 丹波・但馬・因幡・伯耆・出雲; 丹後・石見; 隠岐。
山陽道(8):播磨; 美作・備前; 備中・備後・安芸・周防・長門; *。
南海道(6):*; 紀伊・阿波・讃岐・伊予; 土佐; 淡路。
西海道(11): 肥後; 筑前・筑後・豊前・豊後・肥前; 日向・大隅・薩摩; (壱岐・対馬)。
0 件のコメント:
コメントを投稿