2020年7月9日木曜日

圈論入門(1)

現代思想7月号の特集「圈論の世界」を読むための準備として,谷村省吾さんの「物理学者のための圈論入門(2017)」を斜め飛ばし読みした。気になったフレーズだけを抜き出してみる。

1.はじめに
(これは講演録なのね。)

2.三種の矢
「圏論 の道具を一言で言い表すと,「圏論は 3 種の矢からなる」と言えると思います」
(なるほど,[対象+射」=圈,圈:対象・射→関手→圈:対象・射,関手→自然変換→関手,というのが基本的道具立てなのか。対象は集合とは限らない,射は写像とは限らない)

3.普遍性
「ある圏の一部分あるいは全体の,すべての各対象に対して唯一のやり方で働き掛ける対象や射があれば,それは普遍性を持つと言われるのです」
(もうひとつピンとこない)

4.圈論の考え方
「圏論の対極には集合論があります・・・圏論では,元や集合の存在に先立って,射の存在を認めるのです」「対象と射の意味づけ・解釈が, 他者との関係性・文脈・コミュニケーション・ネットワークを通して行われるというあたりが,複雑な世界を記述する豊かな表現力が圏論に備わっている」
(そうなのか)

5.圈論の御利益
「量子トポスあるいはトポス量子論という理論が提案され ています・・・群の表現論も圏の概念を使うと大幅に整理できます」
(そうなのか)

6.圏の定義
「圏(category) とは,対象 (object) と射(arrow, morphism) の集まりで,以下の条件を満たすものです」
 (1) 射には始域と終域とよばれる対象がある。
 (2) 始域と終域が一致する2つの射の合成射が一意的に定まる。
 (3) 三連の合成射に対して結合律が成り立つ。
 (4) 各対象ごとに恒等射が存在する。
(これに加えて,図式,パス,可換図式,などが説明される。自然数を対象とした,大小関係や剰余関係の例がわかりやすい。有向グラフと圏の違いをはっきりとさせておくのが吉)

7.関手
「ある圏と別の圏との連動に注目したい場合や,抽象的な対象からな る圏を具体的な対象からなる圏に写し取りたい場合は,関手という道具を用います」
(共変関手と反変関手があることが説明される。ベキ集合の話は上の空で流す)

8.自然変換
「関手が対象に対象を (a ⇝ F a),射に射を (f ⇝ F f ) 対応させ るのに対して,自然変換は対象に射を (a → ̇Ta )対応させます」
(そうなのか)

9.普遍射
「圏の内部構造をうまく浮かび上がらせる道具で ある普遍射という概念を説明して,この講演を終わりたいと思います」
(十分理解できなかったのだけれど,会社の組織と会社に属さない個人が,相互作用してジョブを実行するという例えが妙に納得できた。すばらしい)

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