K値再訪からの続き
東京工業大学の生命情報科学の秋山泰さんは,中野さんの提案があってまもなく「累積感染者数の変化に関する新たな指標「K 値」の利点と欠点について(2020.5.10)」で,中野さんのモデルの根拠につながる議論をしている。また,京大基礎物理学研究所の原子核理論の大西明さんのグループは,"Universality in COVID-19 spread in view of the Gompertz function (2020.6.18) "という論文をmedRxivに投稿している。これは,各国の新規感染者数がゴンペルツ関数でユニバーサルに表現できるというものだ。中野さんといい大西さんといい原子核分野の(実験と理論ではあるが)物理屋さんはなぜCOVID-19に引かれるのだろうか。あるいは,Qiitaでは@BMJrさんが「COVID-19 数理モデル 〜 SIR と Gompertz と K値の関係〜(2020.6.30)」という詳しい記事を書いている。
一方,東京海洋大学の勝川俊雄さんは「K値による予測を使うべきでない理由(2020.7.13)」で,ゴンペルツ関数を用いて新規感染者数を予測することに対し,① 現在始まりつつある第二波がゴンペルツ曲線に従うとは限らない,② 現在の限られたデータから,ゴンペルツ曲線のパラメータを推定しても精度は低い,という2つの理由で警告している。さらに,牧野さんが紹介していたのが「K値は擬似科学」・・・なかなか激しい。
例えゴンペルツ関数を持ってしても,牧野さんのいうように,K値(という名の中野モデル)をこの度の事象全域にあてはめることは無謀だと思うのだけれど(まあそうはいっていないのだろうが,だからオフセットを取り続けてグダグダになる),むやみに否定してもそれほど生産的ではない。識者の皆様には,上記あたりにも目を通した上で反論をガードしつつ,その政治・社会的な側面をギリギリと詰めて大阪に充満する維新のよどんだ空気を一掃してほしい。
SIRモデルとK値(1)に続く
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