2020年8月2日日曜日

SIRモデルとK値(2)

SIRモデルとK値(1)からの続き

新規感染者数の累計に対する微分方程式において,$\beta(t)=\beta e^{-\alpha t} $と仮定すると,
$\dfrac{dJ}{dt} = \beta e^{-\alpha t}J$であり,その解は,$J = J_0 \exp [ \frac{\beta}{\alpha} (1 - e^{- \alpha t}) ]$ となる。

ゴンペルツ関数を $f_G(x) = \exp[ - e^{-x}]$と定義して,$ \frac{\beta}{\alpha}=e^{\alpha t_0}$とおくと,

$J = J_0 \exp [ e^{\alpha t_0} (1 - e^{- \alpha t}) ]  =  J_0 \exp [ e^{\alpha t_0}  - e^{- \alpha (t-t_0)}) ]$
$= J_1 \exp [- e^{- \alpha (t-t_0)}] = J_1 f_G(\alpha (t-t_0))$ ただし,$J_1 = J_0  \exp [ e^{\alpha t_0}]$ とおいた。

これから,$K(t)=1-J(t-\tau)/J(t) = 1-f_G(\alpha (t-\tau -t_0))/f_G(\alpha (t-t_0))$となり,
$K(t) = 1 - \exp[-(e^{\alpha \tau}-1) e^{-\alpha(t-t_0)}]= 1 - f_G(x_k)$とかける。
ただし,$x_k=\alpha (t - t_0 - \delta t),\ \delta t = \frac{1}{\alpha} \log (e^{\alpha t})$ である。

ゴンペルツ関数の微分は,$f'_G(x) = e^{-x} f_G(x)$ であるから,K値の微分は,
$K'(t) = -\alpha e^{-x_k} f_G(x_k)$ となる。つまり,$K(t)=f_G(x_k)=1/2$のとき,
$e^{-x_k}=\log2$が成り立ち,$K'(t) = -\alpha \frac{\log 2}{2}$となる(なお,このモデルにおいて$K'(t)$の絶対値が極大値をとるのは,$f_G(x_k)=1/e, x_k=0$のときである)。

中野モデルを数理的に解析した秋山に従えば,中野モデルでの減衰係数$k \ (0<k<1, 1-k \ll 1)$は  $ \alpha = -\log k $ に対応していた。
$\therefore K' =  \frac{\log 2}{2} \log k =  \frac{\log 2}{2} (k-1) = \frac{1}{2.88}\ (k-1)$
つまり,$k = 1 + 2.88K'$ という中野が導いた現象論的関係式が得られる。

2020年8月1日土曜日

SIRモデルとK値(1)

ゴンペルツ関数からの続き

(復習)
(1) 阪大の中野らは,新型コロナウイルス感染症が拡大する時期の指標としてK値を導入し,その勾配がある範囲で一定になることをみつけた(ここまではOK)。さらにこれが普遍的な現象であると主張した(これはどうよ)。
(2) 東工大の秋山は,中野のモデルを数理的に解析してK値の定性的な振る舞いがゴンペルツ関数で表現されることを導いた。さらに,K=0.5におけるK値の勾配の式が中野モデルと一致することを示した(これは大丈夫)。
(3) 京大基研の大西らは,感染者数の増大の単純な微分方程式で,係数を指数関数にとることにより,感染者数やK値がゴンペルツ関数で表現されることを示した(これも大丈夫)。さらに,各国の感染拡大期の感染者数がこの普遍的なゴンペルツ関数で表されるとした。

K値はその出発点が完全な現象論だったとしても,一定の背景があることが示された。ただし,その適用条件や特性を無視して性急に政策に適応することへの批判は多い。


感染症のSIRモデルは次の非線形連立微分方程式で表すことができる。ただし,人口Nの
集団における感受性保持者(Susceptible)をS(t),感染者(Infected)をI(t), 隔離者・回復者をR(t)として,S(t)+I(t)+R(t)=Nは一定とする。また,$\beta$を感染者1人1日当りの伝搬感染者数,$\gamma$を感染者の回復率(その逆数が平均感染期間)であるとすれば,

$\dfrac{dS}{dt} = -\beta \dfrac{S}{N} I$
$\dfrac{dI}{dt} = \beta \dfrac{S}{N} I - \gamma I$
$\dfrac{dR}{dt} = \gamma I$

初期条件として,感染者$I(0)$が非常に少ないところから感染が拡大する場合を考え,$I(0) \ll S(0)$とする。このとき$S/N \sim 1$であり,元の微分方程式系は次のように近似できる。

$\dfrac{dS}{dt} = -\beta I$
$\dfrac{dI}{dt} = (\beta - \gamma) I = -\gamma (1 -  R_0) I$
$\dfrac{dR}{dt} = \gamma I$

ここで,$R_0 \equiv \beta/\gamma$ は基本再生産数とよばれる定数であり,$1 < R_0$のとき感染者数は指数関数的に増大し,$1 > R_0$ならば感染者は減少する。

$\beta$が定数でなく時間の減少関数であれば感染増大が抑制される。これを表わすために,$\beta$を$\beta(t)$としたときの,$R_t \equiv \beta(t)/\gamma$を実効再生産数とよぶ。

$I(t)$は感染者数であり,回復者の分は減少していく。一方新規感染者数の累計を$J(t)$とすれば
これは,ある集団において単調増加して収束する。そこで,上記微分方程式から減少項
$\gamma I$を除いたものが,$J(t)$に対する微分方程式だと仮定する。
$\dfrac{dJ(t)}{dt} = \gamma R_t J(t) = \beta(t) J(t)$

このとき$\bar{R}$値,$L$値,$K$値を次のように定義する。なお,$\tau=7$であり,時間の単位は日とする。
$\bar{R}(t) = J(t)/J(t-\tau) > 1,\  L(t) = \log \bar{R}(t) > 0,\ K(t) = 1-\dfrac{1}{\bar{R}(t)} < 1$





2020年7月31日金曜日

女帝 小池百合子(2)

女帝 小池百合子(1)からの続き

斎藤美奈子森達也web掲示板談話第105回が,『女帝 小池百合子』を読んで という斉藤から森へのメッセージであった。二人とも1956年生まれで新潟県立新潟高校の同級生だったとか。

「この本を褒めた人は,(1)じつはきちんと読んでいない,(2)都知事選前の時流に流された(リベラル陣営に忖度した・選挙で彼女を落選させたかった),(3)そもそも本を読む力がない,(4)そもそも性差別主義者である,のどれかではないかと思います。」として,「女帝 小池百合子」と石井妙子を強く批判していた。

著者の石井妙子は「おそめ」の件で評価していたけれど,考えてみれば,自分では読んでおらず,松岡正剛や菅野完の情報でしか判断していなかった。立ち読みしたエジプトの下りでも微妙な違和感を感じたのだけれど,それより,小池百合子憎しの気分が優先していたのは事実なので,自分の場合は上の4項目がすべて当てはまりそうだ。

斎藤美奈子は,東京新聞のコラムがときおりtwitterに放流されてきて,ほとんど同意できる内容なので相対的に信頼できるようにも思う。斎藤美奈子の判断の方が正解に近いのかもしれない。

[1]『女帝 小池百合子』石井妙子(千浦僚,2020.7)
[2]小池百合子氏と『モダンガール論』(香山リカ,2020.7)
[4]小池百合子はモンスター?(斎藤美奈子,2020.8)
[7]『女帝 小池百合子』を読む(1)(2)(井戸まさえ,2021.1)


2020年7月30日木曜日

中干し

近所の田んぼの水が干されている。

奈良県農業研究開発センターの,水稲「ヒノヒカリ」をつくりこなすための7つのポイント,によれば,「3.水管理:登熟向上のために!中干しは必要な茎数を確保した後 に,軽くひび割れするぐらいまでで7日程度実施する(7/中〜下)」ということなので,ちょうど今がその時期のようだ。

今年は,稲の大害虫であるスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)が大発生していて,田んぼやその周辺には毒々しい赤い卵が目立つのだけれど,大丈夫なのだろうか。



写真:朝の散歩で撮影した近所の田んぼの様子(左 2020.7.28 / 右 2020.7.13)

2020年7月29日水曜日

ひまわり

もうすぐ梅雨が明けそうだが,列島の各地を線状降水帯の豪雨が襲い,コロナの第一波第二幕の波は人口密集地に達している。今年は冷夏の予想もあって,夏のひまわりの存在感はうすいのかもしれない。

 ひまわりというと金沢市立野田中学校のシンボルであった。

久しぶりにホームページをのぞいてみると,金沢子どもかがやき宣言と野田中学校の目指す学校像がいきなり出てきて,あれあれとなったが,ちゃんと生徒信条は残っていました。

<生徒信条>
一.いつも太陽にむかって咲く ひまわりのように 明るく正しく生きよう
一.たくましく生長する  ひまわりのように  雄々しく元気に伸びよう
一.大きな輪になって咲く ひまわりのように  みんな仲良く協力しよう

有側友雄先生というハンプティ=ダンブティに似た先生がいた。野田中の「ぬし」のような威厳をもった先生だった。生徒指導というか道徳教育の核となり校長先生を差し置いて存在感を発揮していた。全校集会などで悪童どもへにらみをきかせるわけだ。その有側先生は,我々1年生の習字の授業も担当していたが,その最初の授業のときに指名されて,教卓の上に掲げられている生徒信条を読むようにといわれた。

「一(いち) いつも・・・」といったところでストップがかかり,これは一(ひとつ)と読むのだ,と訂正された。生徒信条はクラスの朝礼で毎日発声していたような気もするが,毎朝間違っていたのかもしれない。

有側先生が学年全員の前で講話をすることが何回かあったが,その1回は非常に強く印象に残っている。君たちにとって,頭,体,心,で一番大切なのは何かという問いが投げ掛けられた。幼い中学生の自分は,人間は命あっての物種なので,「体」かなと思ったが,有側先生はそれが「心」であるということをはっきりと語った。そうだったのか,と衝撃を受けた。衝撃を受けるほうがおかしいような気もするが,まあそんなものなのである。



写真:ヒマワリ(2020.8.3撮影)

2020年7月28日火曜日

GPT-3

しばらく前から,GPT-3が話題になっていた。星暁雄さんの解説「革命かパンドラの箱か,新AIツールGPT-3の波紋」がわかりやすかったので要約してみる。GPT-3はサンフランシスコにある非営利組織のOpenAIが開発して2020年6月に公開したAIツールである。OpenAIは,オープンソースと親和性の高い安全な人工知能への道を探ることを目的としている。

GPT-3をひとことでいうと,英単語や短い文章をインプットすると,関連する「それらしい」テキストを自動生成するツールである。文章以外に,プログラムコードや楽譜を自動的に生成すこともできるため,大きな反響をよんでいる。

その仕組みは,"Language Models are Few-Shot Learners"という論文で報告されている。1兆語からなるきわめて巨大な例文集を元に,1750億種類の変数を持つ「言語モデル」に言葉と言葉の関連の度合いを記憶させておき,この「言語モデル」に対して「数種類の実例と課題文」を与えると,それらしい文章を出力するものである。すべては公開されていないが,APIによって短い例文で試してみることはできるようだ。フェイクニュースや差別的表現が簡単に作り出されることなどまだまだ課題は大きいのかもしれないが,汎用的なAIへの一つのステップ。

2020年7月27日月曜日

ゴンペルツ関数

K値再訪からの続き

K値という名の中野さんモデルが主張する振る舞いの根拠として,ゴンペルツ関数(Gompertz function)とよばれる二重指数関数について言及されているものがいくつか見られる。

東京工業大学の生命情報科学の秋山泰さんは,中野さんの提案があってまもなく「累積感染者数の変化に関する新たな指標「K 値」の利点と欠点について(2020.5.10)」で,中野さんのモデルの根拠につながる議論をしている。また,京大基礎物理学研究所の原子核理論の大西明さんのグループは,"Universality in COVID-19 spread in view of the Gompertz function (2020.6.18) "という論文をmedRxivに投稿している。これは,各国の新規感染者数がゴンペルツ関数でユニバーサルに表現できるというものだ。中野さんといい大西さんといい原子核分野の(実験と理論ではあるが)物理屋さんはなぜCOVID-19に引かれるのだろうか。あるいは,Qiitaでは@BMJrさんが「COVID-19 数理モデル 〜 SIR と Gompertz と K値の関係〜(2020.6.30)」という詳しい記事を書いている。

一方,東京海洋大学の勝川俊雄さんは「K値による予測を使うべきでない理由(2020.7.13)」で,ゴンペルツ関数を用いて新規感染者数を予測することに対し,① 現在始まりつつある第二波がゴンペルツ曲線に従うとは限らない,② 現在の限られたデータから,ゴンペルツ曲線のパラメータを推定しても精度は低い,という2つの理由で警告している。さらに,牧野さんが紹介していたのが「K値は擬似科学」・・・なかなか激しい。

例えゴンペルツ関数を持ってしても,牧野さんのいうように,K値(という名の中野モデル)をこの度の事象全域にあてはめることは無謀だと思うのだけれど(まあそうはいっていないのだろうが,だからオフセットを取り続けてグダグダになる),むやみに否定してもそれほど生産的ではない。識者の皆様には,上記あたりにも目を通した上で反論をガードしつつ,その政治・社会的な側面をギリギリと詰めて大阪に充満する維新のよどんだ空気を一掃してほしい。

2020年7月26日日曜日

8億年前の小惑星シャワー

大阪大学理学研究科の寺田健太郎さんが,ネイチャー・コミュニケーションズ に出した論文,"Asteroid shower on the Earth-Moon system immediately before the Cryogenian period revealed by KAGUYA" が話題になっていた。阪大のホームページに詳しい説明がある。

日本の月周回衛星のかぐやが撮影したデータから,直径20km以上のクレータ59個を調べてその周辺に存在する直径が0.1-1kmの微小クレーターのサイズ分布などから,形成年代を推定した結果,8個またはモデルによっては17個の形成年代が8億年前となった。これは偶然では考えられないため,この時期に破砕された小惑星のシャワーが月−地球軌道周辺に降り注いだと考えられるというものだ。

8億年前に破砕した小惑星は100km以上の直径を持ち,一部は地球型惑星や太陽に落下し,一部は小惑星帯に残り,さらに一部は地球近傍小惑星へと軌道進化したようだ。

どうやって形成年代測定するのかを調べてみると,東京大学の諸田智克さんの論文がたくさん出てきた。諸田さんは金沢生まれで金沢大学の地球科学でドクターをとっている。寺田さんのネイチャー論文の共著者にも諸田さんの名前があった。ファーストオーサは寺田さんだけれど,むしろ彼が研究の中心ではないのか。それにしては,東大には記事が出ていない。はやぶさのタッチダウンの話がでたところだからか。


図 月面クレータの形成年代分布(阪大ホームページより引用)


2020年7月25日土曜日

K値再訪

中野さんのK値から2ヶ月半

牧野淳一郎さんが中野貴志さんのK値について言及している。「K値による「予測」は,その数学的構造から必ず,対策しなくても早期に収束する,という楽観的な予測をだすものになっており,そのため対策が不要,事態は深刻ではない,と信じたいメディアや自治体によって取り上げられる,という構造になっているように思われるが,予測事態はこのためにつねに「早期収束する」としか予言できない,実際の予言能力をもたないものになっている」

まあそうだわな。K値はたんなる定義(新規陽性者数累計の1週間差分比率)なので,しょぼい定義だとしても(だれでも簡単に公開データから求められるという長所もある)それ自身に責任はない。問題は,中野さんがその当時の複数のデータをみて,K値の収束パターンは簡単な共通の関数形に落とし込めるとしたところにある。ちょっと考えれば無理筋とわかるのに。

中野君が京大物理の同級生だったという野尻美保子さんもしきりに警告している。ふりむかない中野君に業を煮やした野尻さんは,対抗して f. o. 値(fatal outcome projection) という量を提案した。これは新規陽性者数の年代別分布に死亡率の重みをかけたものなので,K値よりも役に立ちそうである。なんといっても下手な予測をしないところがよい。予測があるとすれば,これを見た人が感じる変動の時間スケールについての直感によるものなので,害は少ない。

K値は,新規陽性者数累計が増加するにつれて感度が悪くなるので,あまり役にたたないように思われる。確かにそのとおりなのであるが,実際にはこの度の日本の第二波というのか第一波の第二幕というのか,これを検知することはできているので,あまり馬鹿にしなくてもいいのにかわいそうだなとは思う。中野説への反論は,実際のデータで単純に収束しない例をあげればいいだけかしら。

図 欧米のK値(4/1-7/23@2020)

最近のデータでは,アメリカ,メキシコ,ブラジルが K=0.1あたりのグループを形成し,ヨーロッパは0.05以下に概ね収束している(最近微増気味)。英国は途中でWHOへの報告データが変更されたので負の値をとっていることに注意する。


図 アジアのK値(4/1-7/23@2020)

香港,東京,日本のK値が この3週間,K=0.05あたりからはじまって,K=0.2をこえる勢いで増加中である。中野さんのいうK値の単調な減衰は感染初期のある時期に見られるだけだ。

追伸:宮沢孝幸がtwitterで大阪のK値の推移というグラフを公開している。6/28に0.9あたりでスタートしているのだけれど,累積値の初期値をどこに取ってリセットしているのだろう。その前後の類似グラフをみると6/24ということなのか。よくわからないが非常に恣意的にみえる(カットオフ色々試したけど K=0.6 前後が3週間ほど続いて今に至るという答えしか出ない・・・)。


2020年7月24日金曜日

赤摂也

高校の数学の時間に,理数科の担任の松川一雄先生が,赤摂也の名前を出したことがある。たぶん,我々の先輩で東大の数学にすすんだ凄い数学者なんだというニュアンスだったと思うが,いつものように記憶はあいまいである。大学に入り理工書の棚を定期的にチェックするようになると培風館の赤白の数学全書のシリーズ本のトップに赤摂也の「集合論入門」を見かけるようになり,その名前はしっかりと定着したのだがその集合論の本は買わなかった。

この度,整列集合の比較定理をなるべく簡単に説明している資料がないかとネット空間をさまよっていたら,赤摂也の名前が出てきた。培風館の「集合論入門」はたいへんよいとあったので,どうしようか。調べてみると,赤摂也先生は昨年の11月に93歳で亡くなられたようだ。金沢市出身なのでたぶん間違いないはずだけれど,金沢一中との関係にふれた記事はない。

なお,松川一雄先生,楠禎一郎先生,谷口澄雄先生が連続して(金沢泉丘高校の理数科の担任の順ではないか)石川県立金沢西高等学校の校長を務められている。一代とんでその次には地学の竹守熈先生も。



写真:赤摂也先生の肖像写真(筑摩書房「現代数学概論」から引用)

2020年7月23日木曜日

カリーニングラード

欧州のSpotify利用可能国をみていたら,ポーランドの北でバルト三国との間に小さな空白地帯があった。あれ?こんなとこに国があったっけと,調べてみたらロシアの飛び地のカリーニングラード州であった。その主要都市はカリーニングラードで,そもそもはドイツ騎士団がつくった東プロイセンの中心都市であるケーニヒスベルクだった。そこは,カント,オイラー,ヒルベルトの出身地であり,あの一筆書きで有名なケーニヒスベルクの橋はここにある。


図 ケーニヒスベルクの橋(Wikipediaより引用)


2020年7月22日水曜日

順序集合(3)

このあたりが難所で遭難しかかっている。

整列集合の比較定理
:2つの整列集合,(W,≦)と(W',≦')があるとき,つぎの3つの順序同型関係のうちいずれか1つだけが成り立つ。
 (1) W W'
 (2) a' ∈ W' が存在して(一意的に定まり),W ≃ W'〈a'〉
 (3) a ∈ W が存在して(一意的に定まり),W〈a〉 ≃ W'
つまり
 (4) 「a ∈ W とa' ∈ W' が存在して (それらが一意的に定まり)W〈a〉 ≃ W'〈a'〉 ということはない」ということを暗黙に意味しているような気がするけど・・・。つまり,(4) はどんな整列集合にたいしても自明なんだけれど,そうではない,どちらかあるいは両方の整列集合の切片はとらなくてもいいんだぁということを主張しているのかな。

Wが有限集合でW'の濃度がそれより大きいならば (2) ,W'が有限集合でWの濃度がそれより大きいならば (3),WとW'の濃度が等しければ (1) が成り立つという直観的なイメージはあっているのだろうか。あるいは,整列集合の切片は有限集合という直感は正しいのかしら。あるいは,整列集合の濃度はたかだか可算な集合のそれと同じと考えてよいのか。→※


整列集合の比較定理の証明は,松坂本も内田本も準備のための補題がごちゃごちゃとあって,なかなかすっきりと頭に入ってこない。

補題2(松坂本):整列集合Wからそれ自身への順序単射をfとすると,Wのすべての元についてf(x)  ≧ x が成り立つ(これはなんとかわかる)。

補題3(松坂本):整列集合Wは,その任意の切片と順序同型にはならない(それはそうだろう)。また,a,bをWの異る2元とすると,W〈a〉とW〈b〉は順序同型にならない(それはそうだろう)。

補題4(松阪本):整列集合WとW'が順序同型ならば,Wの任意の切片W〈a〉に対して,順序同型となるようなW'の切片W'〈b〉が存在し,bはaに対して一意的に定まる(そうなのか)。

定理3(松坂本103p):整列集合WとW'が順序同型ならば,WからW'への順序同型写像は一意的に定まる(そうなのか)。特に,Wからそれ自身への順序同型写像は,W上の恒等写像Iwの他にない。

※追伸
整列可能定理:任意の順序集合は適当な順序をとることによって整列集合にできる。・・・がーん。



2020年7月21日火曜日

順序集合(2)

順序集合(1)からの続き

整列集合:(W,≦)を全順序集合として,その空でない部分集合がいつも最小元をもつ場合,(W,≦)を整列集合という。有限の全順序集合や,順序関係として普通の大小関係を考えたときの自然数の集合は整列集合であり,整数の集合や有理数の集合は整列集合でない。

直前の元と直後の元:順序集合Aの任意の元a,bについてa<bかつ,a<x<bとなるAの元xが存在しないとき,aはbの直前の元,bはaの直後の元であるという。整列集合Wについては,その任意の元aに対して,a<bとなるbが存在すれば,整列集合の定義からaの直後の元が存在する。

切片:Wを整列集合として,その一つの元をaとする。aより小さなWの元全体の集合を,Wのaによる切片といい,W〈a〉で表す。つまり,W〈a〉 = {x| x∈W,x<a}である。a=min Wのときは,W〈a〉 = φとなる。また,aが直前の元を持つならばそれは,a* = max W〈a〉 とかける。

超限帰納法:整列集合Wの元に関する命題Pについて,次のことが示されれば,PはWのすべての元について成り立つ。「(1) Pがx = min Wについて成り立つ。(2) ∀a∈W かつ a≠ min W として,∀x∈W<aについてPが成り立つ ⇒ Pはaについて成り立つ」これは自然数に対する数学的帰納法の一般化であり超限帰納法とよばれる。


2020年7月20日月曜日

順序集合(1)

順序関係:同値関係は,反射律+対称律+推移律から成り立っていた。順序関係は,反射律+反対称律(aRb,bRa ⇒a=b)+推移律から成り立つ。順序関係の例として,大小関係,整除関係,包含関係などがある。大小関係にならって,順序関係を表す記号を ≦ とする。

順序集合:集合Aにある順序 ≦ が定められたとき,それらの組(A,≦)を順序集合,Aを台集合という。Aのどの2元にも順序が定められているとき,≦ はAの全順序であるといい,(A,≦)を全順序集合という。

順序写像:2つの順序写像(A,≦)と(A',≦')があって,AからA'への写像fがある。Aの任意の元,a,bに対して,a≦b ⇒ f(a) ≦' f(b)が成り立つとき,fを順序写像という。

順序同型写像:順序写像において,f(a) ≦' f(b) ⇒ a≦b も成り立つ場合,fは単射になり,これを順序単射という。fが順序単射でさらにAからA'への全射でもある場合,fをAからA'への順序同型写像であるという。

順序同型:順序集合(A,≦)から順序集合(A',≦')への順序同型写像fが存在するとき,両者は順序同型であるといい(A,≦)(A',≦')と表記する。順序同型関係は,反射律,対称律,推移律を満足する同値関係である。順序同型ならばAとA'には全単射fが存在するのでAとA'は対等関係(A〜A')になる。その逆は必ずしも真ではない。

双対順序:順序集合(A,≦)があるとき,Aの元a,bに対して,b≦aのときに限り,a≦' bとして関係 ≦' を定義する。これもまたAにおける1つの順序を与えるが,≦' を ≦ の双対順序とよんで, ≦' = ≦^{-1} と表記する。また,(A,≦^{-1})を,順序集合(A,≦)の双対順序集合とよぶ。

N, Z, Q は互いに対等な全順序集合ではあるが,どの2つも順序同型ではない?と本にはかいてあるのだけれど,そもそもどんな順序を導入したかを書かずに,順序同型かどうかを判定することはできないだろう。どういうことなのか。


2020年7月19日日曜日

集合の濃度(2)

集合の濃度(1)からの続き

濃度の和:2つの集合A,Bに対してそれぞれの濃度を μ = card A,ν = card B とする。A∩B = φ が満足されるとき(いつでもこのようなA,Bあるいは対等で濃度の等しい集合を設定することができる),2つの濃度の和とよばれる演算を,μ + ν = card (A∪B)  によって定義する。

濃度の和が満たす法則:定義により,交換則,結合則,零元(空集合の濃度)の存在,などが満たされる。可算集合の濃度 ℵ_0 について,ℵ_0 =1+ℵ_0 =2+ℵ_0 =ℵ_0 +ℵ_0 が成り立つ。

濃度の積:2つの集合A,Bに対してそれぞれの濃度を μ = card A,ν = card B とする。2つの濃度の積とよばれる演算を,μ ν = card (A×B) によって定義する。ただし,A×Bは2つの集合の直積である。

濃度の積が満たす法則:定義により,交換則,結合則,単位元(要素が1つの集合の濃度)と零元の存在,分配法則などが成り立つ。例えば,card (×) = ℵ_0 なので,ℵ_0 ℵ_0 = ℵ_0 である。

配置集合:任意の集合A,Bにおいて,AからBへの写像fのすべての集合を配置集合といい,𝔉(A, B) または B^Aで表す。A,Bがm個およびn個の元を持つ有限集合の場合は,配置集合の元の数はn^m個になる(f(1)〜f(m)に重複を許して1〜nを当てはめる場合の数)。

濃度の冪:2つの集合A,Bに対してそれぞれの濃度を μ = card A,ν = card B とする。このとき, 2つの濃度の冪とよばれる演算を, ν ^ μ = card (B^A) によって定義する。ν ^ 1 = ν,1 ^ μ = 1などが成り立つ。

濃度の冪が満たす法則:0でない濃度に対して,普通の自然数の冪に対して成り立つ指数法則が成り立つ。例えば,λ^μ λ^ν = λ ^ (μ+ν),(μ ν) ^ λ = μ^λ ν^λ,(λ ^ μ) ^ ν = λ ^ (μ ν) など。また,card M = μ となる集合Mの冪集合の濃度は,card 𝔓(M) = 2^ μ > μ である。

無限濃度の演算則:有限の濃度を𝔫,可算の濃度を𝔞,連続の濃度を𝔠とすると,
 (1)  𝔫 ≦ 𝔞 ⇒ 𝔫 + 𝔞 = 𝔞
 (2)  𝔫 ≦ 𝔠 ⇒ 𝔫 + 𝔠 = 𝔠
 (3)  1 ≦ 𝔫 ≦ 𝔞 ⇒ 𝔫 𝔞 = 𝔞
 (4)  2 ≦ 𝔫 ≦ 𝔞 ⇒ 𝔫^𝔞 = 𝔠
 (5)  1 ≦ 𝔫 ≦ 𝔠 ⇒ 𝔫 𝔠  = 𝔠
 (6)  2 ≦ 𝔫 ≦ 𝔠 ⇒ 2^𝔠 = n^𝔠


2020年7月18日土曜日

集合の濃度(1)

集合族からの続き

前回の続きのキーワードは,「集合族・一般の直積・選出公理・関係・同値関係・同値律・類別・直和・同値類・商集合」ということで,61pの第2章 集合の濃度にはいる。

対等関係:集合Aから集合Bの全単射が存在するとき,BとAは対等であるといい,A〜Bと書き,A〜A,A〜B⇒B〜A,A〜B,B〜C⇒A〜C,が成り立つ

濃度:対等関係を集合の同値関係とみなして,「集合全体のあつまり」を同値類に類別できる。この同値類を濃度(基数)といい,集合Aの属する類の濃度(同値類の名前)をcard Aであらわす。そこで,A〜B⇔card A= card B(card Aはあたかも数のようにみえるが,この等号はいったいなにかしら)

濃度の大小:AからBへの単射が存在するとき,これを集合のあいだの関係とみなして,「大小関係」と名付け,card A≦ card B と表記する。card A≦ card Bでありかつ,card A= card Bでないときに,card A< card Bと表記する。

有限集合の濃度:有限集合Aの元の個数をn(これは自然数)として,card A = n と表記する。空集合φにたいしては,card φ = 0 と表記する。濃度の大小関係と自然数の通常の大小関係は対応している。

可算集合の濃度:自然数の集合をとして,card = ℵ_0と表記する。と対等な集合を可算集合あるいは可付番集合という。任意の有限集合の元の個数nに対して,濃度の大小関係としてn<ℵ_0 となる。整数の集合を,有理数の集合をとすると,card =  card = ℵ_0 である。

連続の濃度:実数の集合に対して,card = ℵ と表記し,これを連続の濃度という。対角線論法により,ℵ>ℵ_0 である。ℵ_0より大きな濃度をもつ集合を非可算集合という。

ベキ集合の濃度:任意の集合Mに対して,そのベキ集合を𝔓(M)とすると,card 𝔓(M) >card Mである。


2020年7月17日金曜日

集合族

巨大数のところで,超限順序数のωが登場して,1+ωとω+1が等しくないというロジックがでてくる。そういえば,松坂和夫の「集合・位相入門」ででてきたよなあ思いながら,よくわかっていなかったので,もう一度本をひっくり返してみると,44pの集合族のあたりからわかっていないらしいことがわかった。

そこまでに登場する主なキーワードは,「集合・元・空集合・部分集合・和集合・共通部分・補集合・ベキ集合・集合系・直積・対応・写像・全射・単射・全単射・逆写像・合成写像」であり,正確な定義や証明は十分身に付いていないものの,直観的にはある程度わかる。が,その先の,集合族・選出公理から集合の濃度,順序数とすすむにつれてどんどん霧がかかってくるのだった。

松坂和夫の本は,位相のところでつまづいたので,内田伏一の「集合と位相」も買って手元にある。この本の集合のところは薄すぎて,順序数についての必要な情報は残念ながら得ることができなかった。

ということで,超限順序数の加法と乗法が納得できるまで勉強する予定。

追伸1:きょうのあさイチにmiletがでていて,印象はとてもよかったのだけれど,歌は,自分にとってはCOCCOとか伊藤由奈の系列で,いいといえばいいけれど,平沢進には負ける。

追伸2:利権まみれの GO TO キャンペーンに固執して混乱を極める政治状況のなか,虫の知らせでたまたま見続けていた国会中継に参考人の児玉龍彦さんがでてきて「エピセンター」を強調していた。部分的には納得できる面もあるけれど,「除染」の二の舞いになるのではと不安がよぎった。いずれにせよNHKはこのへんを無視して尾身さんの物語を紡ぐだけ。

2020年7月16日木曜日

巨大数(2)

巨大数(1)からの続き


巨大数の表記法としてよく用いられるものの一つが,ドナルド・クヌースによる矢印表記(Up-Arrow-Notation)である。ここでは簡単のため,$\uparrow^n = \uparrow \uparrow \cdots \uparrow $と表記する。矢印はつねに右結合するものとして,その定義は,$a \uparrow^1 b = a^b$,$ a \uparrow^n 1 = a$, $ a \uparrow^{n+1} (b+1) = a \uparrow^n (a \uparrow^{n+1} b)$とする。


積:$a\times b = a+a+\cdots+a =  a \uparrow^0 b $ 

累乗:$ a^b = a \times a \times \cdots \times a  = a \uparrow^1 b = a \uparrow^0 a \uparrow^0 \cdots \uparrow^0 a  = a \uparrow^0 ( a \uparrow^1 (b-1) ) $

テトレーション:$ ^ba = a^{a^{a^{\cdots^{a}}}}  = a \uparrow^2 b = a \uparrow^1 a \uparrow^1 \cdots \uparrow^1 a = a \uparrow^1 ( a \uparrow^2 (b-1) ) $

ペンテーション:$ _ba = ^{^{^{^{a}\cdots}a}a}a = a \uparrow^3 b = a \uparrow^2 a \uparrow^2 \cdots \uparrow^2 a = a \uparrow^2 ( a \uparrow^3 (b-1) ) $

ヘキセーション:$ a_b = _{_{_{_{a}\cdots}a}a}a  = a \uparrow^4 b = a \uparrow^3 a \uparrow^3 \cdots \uparrow^3 a  = a \uparrow^3 ( a \uparrow^4 (b-1) ) $


 累乗:
$a^0 \equiv 1, \quad 0^b=0\ (b \neq 0),  \quad a^1=a, \quad 1^b = 1, \quad 2^2 = 4, \quad 3^3=27 $

テトレーション:
$^0a \equiv 1, \quad ^b0=\begin{cases} 1\ (b=even) \\ 0\ (b=odd) \end{cases},  \quad ^b1 = 1$
$^1a = a \uparrow^2 1 = a \uparrow^1 ( a \uparrow^2 0 ) = a \uparrow^1 1 = a$
$^2a = a \uparrow^2 2 = a \uparrow^1 ( a \uparrow^2 1 ) = a \uparrow^1 a = a^a$
$^3a = a \uparrow^2 3 = a \uparrow^1 ( a \uparrow^2 2 ) = a \uparrow^1 a^a = a^{a^a}$
${^2}2 = 2^{2} = 4, \quad {^3}3=3^{3^3}=3^{27}=7625597484987$

ペンテーション(左下付き表現は独自): 
$_0a \equiv 1, \quad _b0=\begin{cases} 1\ (b=even) \\ 0\ (b=odd) \end{cases}, \quad _b1 = 1$
$_1a = a \uparrow^3 1 = a \uparrow^2 ( a \uparrow^3 0 ) = a \uparrow^2 1 = a $
$_2a = a \uparrow^3 2 = a \uparrow^2 ( a \uparrow^3 1 ) = a \uparrow^2 a = {^a}a $
$_3a = a \uparrow^3 3 = a \uparrow^2 ( a \uparrow^3 2 ) = a \uparrow^2 {^a}a = {^{^aa}}a $
${_2}2 = {^2}2 = 2^2 = 4, \quad {_3}3={^{^33}}3=^{7625597484987}3 $

ヘキセーション(右下つき表現は独自): 
$a_0 \equiv 1, \quad 0_b=\begin{cases} 1\ (b=even) \\ 0\ (b=odd) \end{cases}, \quad 1_b = 1$
$a_1 = a \uparrow^4 1 = a \uparrow^3 ( a \uparrow^4 0 ) = a \uparrow^3 1 = a $
$a_2 = a \uparrow^4 2 = a \uparrow^3 ( a \uparrow^4 1 ) = a \uparrow^3 a = {_a}a $
$a_3 = a \uparrow^4 3 = a \uparrow^3 ( a \uparrow^4 2 ) = a \uparrow^3 {_a}a = {_{_aa}}a $
$2_2 = {_2}2 = {^2}2 = 2^2 = 4$



2020年7月15日水曜日

巨大数(1)

昨年の現代思想の19ー12が「巨大数の世界」という特集だった。今月号(20-07)の「圏論の世界」に対応しているような。作品ということで,小林銅蟲の「寿司 虚空編」が掲載されており,「巨大数論」の著者で,巨大数研究家のフィッシュさんが重要な役割を果たしている。なかなか異色な特集号かもしれない。

巨大数を表現するための記法として,累乗(↑)が拡張された,テトレーション(↑↑),ペンテーション(↑↑↑)などのハイパー演算子がある。なかなかマニアックで奥が深い世界だ。

[2]Larg Numbers


2020年7月14日火曜日

Tikz-FeynHand

奥村さんがtwitterで,TeXでファインマン・ダイアグラムをかくパッケージを紹介していた。TikZ-FeynmanTikZ-FeynHandだ。前者はLuaTeXが必要だったが,後者ではその制限がないために,より使いやすくなっている。LuaTeXがなくてもコンパイルはできたのだが,Error when using TikZ-Feynman package のような図になってしまうのだった。

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\documentclass[uplatex,a4j,10pt]{jsarticle}

\usepackage{fancybox,boxedminipage,ascmac}

\usepackage{amsmath,amsthm,amssymb,bm}

\usepackage{amsfonts,amscd,mathrsfs}

\usepackage{cases,physics}

\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}

\usepackage[all]{xy}

\usepackage{tikz,tikz-cd}

\usetikzlibrary{shadows}

\usepackage{multicol}

\usepackage[version=3]{mhchem}

\usepackage{tcolorbox}

\tcbuselibrary{raster,skins}

\usepackage[compat=1.1.0]{tikz-feynhand} 

%\usepackage{tikz-feynman} 

%\tikzfeynmanset{compat=1.1.0}


\renewcommand{\labelenumi}{[\ \arabic{enumi}\ ]\ \ }


\setlength{\textwidth}{15cm}

\setlength{\oddsidemargin}{-1.0cm}

\setlength{\evensidemargin}{-1.0cm}

\setlength{\topmargin}{-2cm}

\setlength{\textheight}{24cm}


\begin{document}


\begin{center}

\textbf{tikz-feynman の使い方}\ (2020/07/12) \\

\end{center}


\begin{align*}

\int dx\; f(x) = \alpha 

\begin{tikzpicture}[baseline=(o.base)]

\begin{feynhand}

\vertex (a) at (-1,-1); \vertex (b) at (1,-1); \vertex (c) at (0,1);

\vertex [dot, blue] (o) at (0,0) {}; \propag [fermion, blue] (a) to (o);

\propag [anti fermion, blue] (b) to (o); \propag [fermion, blue] (c) to (o);

\end{feynhand}

\end{tikzpicture}

- 2i\,e 

\begin{tikzpicture}[baseline=-0.3cm]

\begin{feynhand}

\vertex (a) at (-1,-1); \vertex (b) at (1,-1); \vertex (c) at (0,1);

\vertex [dot, orange] (o) at (0,0) {}; 

\propag [photon, orange] (a) to (o); 

\propag [photon, orange] (b) to (o); 

\propag [photon, orange] (c) to (o);

\end{feynhand}

\end{tikzpicture}

\end{align*}


\vspace{1cm}


\begin{center}

\begin{tikzpicture}

\begin{feynhand}

\vertex [particle] (a) at (0,0) {e$^-$};

\vertex [dot] (b) at (2,0) {}; 

\vertex (c1) at (4,0.5); 

\vertex (c2) at (4,-0.5); 

\propag [fer] (a) to (b);

\propag [chasca] (b) to (c1);

\propag [chabos] (b) to (c2);

\end{feynhand}

\end{tikzpicture}

\end{center}

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図 tikz-feynhandの例