2020年1月29日水曜日

プログラミング的思考(2)

プログラミング的思考(1)では,小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議の議論の第1回と第2回の様子を検討したが,第3回についてはよくみていなかった。

ここが,「プログラミング的思考」と「コンピューテーショナル・シンキング」の分岐点になっているので,もう少し読み込んでみた。前回,第3回議事録ではプログラミング的思考が26回でてくるが,コンピューテーショナル・シンキングは消えたと書いた。消えていませんでした。これだから文部科学省の官僚はせこいのである。第2回で優勢だった「コンピューテーショナル・シンキング」より「プログラミング的思考」の方が行政用語としてふさわしいと判断したので,議事録では前回カタカナ表記だったものを英文表記の Computational Thinking(8件出現)に改めていたのだった。正しい官僚制なら表記は統一するのが本来の姿だろう。

「コンピューテーショナル・シンキング」が使いにくいというのはよく理解できるのだけれど,姑息な繕い方だ。桜の会の答弁を彷彿とさせる官僚的な悪知恵というふうに邪推してしまう私が哀れである。まあ,議事録の段階なので会議中は文字化されていないのだから細かい話ではある。

本質的な問題に戻ります。要は「プログラミング的思考」が会議の中でちゃんと定義されていないということだ。発言者によるそれぞれの主観で語られた言葉が,便利だったのでそれぞれの主観によって受け止められつつ,官僚的な取りまとめのプロセスを経ることによって,まったく変質してしまったというのが今回の状況だと思える。

大阪電気通信大学工学部の兼宗進さん:
たくさん出てきていますプログラミング的思考というものについて,議論の中で出てきたのが,定義が分からないものですから,簡単に教えていただければということと,海外ではComputational Thinkingというのがかなりキーワード的に使われているんですが,それと何か関連した概念なのか,それとも,全く別に,今回の議論から出てきたものなのかということで,御確認お願いいたします。
文部科学省の大杉教育課程企画室長が堀田主査と相談した結果として,例の定義をつくったようで,「1回目,2回目の議論の中で,複数の先生方から,Computational Thinkingの重要性を御発言いただいたことを踏まえて,それをプログラミング的思考という形で,しかも,小学校教育ということを踏まえて,少し表現を工夫しながら,御相談しながら置かせていただいているものでございます」と答弁し,堀田主査も「よろしいですか」でとばしている。それ,あかんやろ。

マイクロソフトの中川哲さん:
あとは,Computational Thinkingというのは,前回の私の発表の中でも用いさせていただいた言葉なんですけれども,参考情報としては、よく日本語では、コンピュータ的思考というような言い方をされます。でも、事務局の皆さんがこの言葉を使わなかったのは、「コンピュータになれと言ってるの?」というような誤解を生むのかなという懸念があるのも容易に想像できます。一方,プログラミング的思考という言葉も、耳当たりはいいんですけれども,内容がComputational Thinkingとイコールなのかというとそうでもなく,Computational Thinkingは,アメリカでは比較的頻繁に用いられている言葉ですので,例えば,Computational Thinkingの中では,データの収集・分析・表現というのはものすごく言われるんですけれども,そういうところはこの取りまとめの中では余り触れられていません。という観点から言うと,プログラミング的思考というのは、Computational Thinkingと比べて,例えば、データに関しては触れていないんですよということなのか,ここは言葉の定義をしっかりとする必要があるなというのは,私も後から見て感じました。
やはり,違和感ありありである。 堀田主査はこれも華麗にスルーして議論を収束させた。

2020年1月28日火曜日

プログラミング的思考(1)

小学校のプログラミング教育がそもそも何を狙っているかという話。

プログラミング教育の欠点(2)でみたように,小学校学習指導要領の中には,「プログラミング」というキーワードが登場した。そして,この小学校学習指導要領の解説総則編の第3章 教育課程の編成及び実施,第3節 教育課程の実施と学習評価,1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善,(3)  コンピュータ等や教材・教具の活用,コンピュータの基本的な操作 やプログラミングの体験(第1章第3の1の (3))に,「プログラミング的思考」という重要謎キーワードが以下のようにしてプログラミング教育の本質として使われている。

プログラミング教育とは
子供たちに,コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら,将来どのような職業に就くとしても,時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するもの
プログラミング的思考とは
自分が意図する一連の活動を実現するために,どのような動きの組合せが必要であり,一つ一つの動きに対応した記号を,どのように組み合わせたらいいのか,記号の組合せをどのように改善していけば,より意図した活動に近づくのか,といったことを論理的に考えていく力
この言葉が,登場したのは平成28年(2016年)に開催された,小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議である。

第1回で,ヒアリングによばれた東京大学大学院工学系研究科特任准教授の松尾豊さんが,「プログラミング的な考え方を身に付けるというのを、非常に簡単なやり方でやることが重要なんじゃないかなというふうに思います」と発言し,ヤマハ株式会社事業開発部の隅井淳一さんが音楽教育とからめて「プログラミング的な考え方」といっている。

第2回では,ソニー・グローバルエデュケーション代表取締役社長の礒津政明さんが,コンピューテーショナル・シンキング=プログラミング的思考として,
プログラミング教育の本質が何であるかというと,御存じのとおり,コーディングというよりは,プログラミング的思考,先ほどもありましたが,コンピューテーショナル・シンキングと言われているところがプログラミング教育の本質ではないかと考えておりまして,この部分を強めるのが,プログラミング教育のあるべき姿だと感じているところです。
さらに,
少しまとめますと,いわゆるコンピューテーショナル・シンキング,プログラミング的思考というのは,日本の算数では,ある意味,既に内包されていまして,これ自体がプログラミング科目と言ってもいいんじゃないかというのが我々の結論です。
なお,この場で最初に,コンピューテーショナル・シンキングという言葉を持ち出したのは, その前に発言したマイクロソフト業務執行役員シニアディレクタ ーの中川哲さんだ。
コンピューターをよく理解している方がコンピューター屋とお話をして新しいインダストリーを作っていくということも,十分有効なことではないかなと思います。これをコンピューテーショナル・シンキングという考え方で分類されていて,アメリカの方ではよくお話をされていらっしゃいます。
こんな風にして,コンピューテーショナル・シンキング=プログラミング的思考がプログラミング教育の柱になる考え方として取り入れられていくことになる。 最後のほうにだめおしで,帝京大学教育学部で数学教育の清水静海さんが,次のようにまとめた。
論理的思考力や創造性,問題解決能力等の育成という大変広い視点からの整理と,それからコーディング,プログラム言語の方に寄り添った二つを例示されておりますけれども・・・プログラミング思考とかコンピューテーショナル・シンキング,これをこの二つの間に入れるべきではないかと。
コンピューテーショナル・シンキングが17回,プログラミング(的)思考 が8回登場した。

ところが,第3回では,コンピューテーショナル・シンキングという言葉は消えて,プログラミング的思考に用語が統一された。「プログラミング的思考」は議事録には26回,とりまとめ案には19回登場している。文科省の事務方や主査がこちらの用語でまとめることにしたのだろう。本来の流れでは,コンピューテーショナル・シンキング=プログラミング的思考だった。ここから,有識者会議で登場していたコンピューテーショナル・シンキングの概念からかなりずれた意味のプログラミング的思考(文部科学省が定義)の概念がはじまることになる。

2020年1月27日月曜日

フラッグシップ大学(2)


文部科学省の中央教育審議会のワーキンググループが,「Society5.0時代に対応した教員養成を先導する教員養成フラッグシップ大学の在り方について(最終報告)」を公表した。

教育再生実行会議は,安倍内閣の閣議決定による私的諮問機関であり,このような装置を用いて教育政策が恣意的に進められてきた。その第十一次提言が「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革について(第十一次提言)(令和元年5月17日)」である(参考資料)。

これを受けて,中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループが最終報告をまとめた。その概要は,冒頭で次のように紹介されている。
☆Society5.0時代に対応した,教員養成を先導するフラッグシップ大学(例えば教員養成の指定大学制度等)を創設する。
☆ STEAM教育や,児童生徒がICTを道具として活用することを前提とした問題発見・解決的な学習活動等についての高い指導力を 有する教員の育成を促進する。
つまり,フラッグシップ大学が具体的に何をすることが求められているのかというと,「Society5.0時代にふさわしい教員養成カリキュラムの研究開発(教科横断的なSTEAM教育・プログラミング 教育,AIやビッグデータ等に対応した特別の授業内容、指導方法等)」であり,普通だと概算要求プロジェクトとして公募をかけるような案件だ。

それが,新しいカテゴリーの大学をつくる(期限付きのようだが)ような話に持ち込んでいるのは,これをテコとして教員養成系大学の再編統合やコントロールにさらに手を突っ込みたいという文部科学省の意志の表現だと思う。もっとも,これまでもずっとそのための誘導政策は進めてきているが,肝腎のところで文科省の根性が足りないため,10年以上もずるずるとひっぱってきたわけだ。

あいかわらずのナンダカナー案件だが,いちおう行方は気になっている。


2020年1月26日日曜日

徳勝龍

奈良県奈良市出身の大相撲力士,西前頭17枚目の徳勝龍が令和2年の1月場所で優勝した。20年ぶりの幕尻優勝,98年ぶりの奈良県出身力士の優勝で話題になった。ちなみに東前頭筆頭の遠藤9勝6敗で殊勲賞,西前頭5枚目の炎鵬は8勝7敗で残念ながら技能賞を逃した。西前頭11枚目の輝は10勝5敗でらくらくと炎鵬に勝っていた。千秋楽のテレビにはしがみついて見ていたけれど,正大と御嶽海からはじまって,貴景勝と徳勝龍の対戦,優勝インタビューまで目を離せなかったし,久々の感動ものだった。

自分がテレビで観戦するスポーツで最も時間の多いのは大相撲だ。夫婦でよくみる。石川県からは相撲に強い力士が多く輩出されるからだ。富山県は前乃山くらいだけど。高校野球やプロ野球でもときどき松井秀喜のような選手が出てくるので目を離せない。スポーツは自分の中ではローカル・パトリオティズムと直結しているのであった。だからオリンピックはいやなのである。

奈良県出身の力士というのは誰かと思ってしらべると,鶴ヶ濱という名前がでてきたが,3名のうちで優勝したのは,1922年の東前頭4枚目鶴ヶ濱増太郎のようだった。相撲の起源は古代の奈良にあるのだけれど,相撲発祥の地として桜井市の相撲神社と葛城市(當麻町)のけはや座が争っている。これを機会にキャンペーンを繰り広げると良いかもしれません。

NHKの夕方の番組,ニュースホット関西や奈良ナビのスポーツコーナあたりで奈良県出身力士の勝敗情報が流れている。徳勝龍は十両あたりでいまひとつの成績だけど,とりあえずしょっちゅう目にしていたのだが,こんな日を迎えることになるとは,世の中何が起こるか分からない。



2020年1月25日土曜日

電子イオンコライダー(2)


そもそも,電子イオンコライダーの物理とは何だろうと思っていくつか資料を調べてみた。標語は結局こういうことだった。"The Next QCD Frontier − Understanding the glue that binds us all" なわけで,まあ,自分があまりよく分かっていないので,あまりおもしろいと感じてこなかった深部非弾性散乱だ。後藤さんによると,(1) パートン分布関数測定の精密化,(2)  核子・原子核のトモグラフィー,(3) グルーオン飽和,(4) 原子核内部でのハドロン化,なのでなんだかわくわくしない。

[1]The Electron-Ion Collider (BNL)
[2]The Electron-Ion Collider(JLab)
[3]A Large Hadron electron Collider at CERN(CERN)
[4]Electron‐Ion Collider (EIC) 計画と その物理(後藤雄二)
[5]An Assessment of U.S.-Based Electron-Ion Collider Science(2018)
[6]Electron Ion Collider: The Next QCD Frontier - Understanding the glue that binds us all (2014)
[7]eRHIC Design Study: An Electron-Ion Collider at BNL(2014)
[8]A Large Hadron Electron Collider at CERN: Report on the Physics and Design Concepts for Machine and Detector(2012)
[9]Electron Ion Collider User Group

2020年1月24日金曜日

湯川秀樹(2)

湯川さんといえば,大学院時代のゼミや博士論文審査会などは,理学部南の原子核実験施設の2F(1Fの高さにある)の入口を入ってすぐ右の雑誌室の隣にある湯川記念室で行っていた。この部屋の黒板の上には湯川さんの写真(下記参照)がかかっていた。大阪大学総合学術博物館湯川記念室のサイトのフォトギャラリーのA1ですね。あ,これは阪大提供の写真なので京大基研のようなうるさい条件はなくて,クレジットだけで使えるのか。湯川記念室はその後,阪大附属図書館に新たに部屋を設けられ,秘書(重永さん)もつくことになり,現在に至っている。

湯川さんを見たことが1度だけある。理学部物理の4回生のときに,毎回ゲストをよんで1時間くらいその専門分野の話を聞く授業があった。理学部5階のD501という階段教室で行われるが,誰でも参加して話を聞くことができるため,ノーベル賞2回受賞者のジェームス・バーディーン(1908-1901)のときなどは満席だった。湯川さんのときもそうだった。ただ,自分が湯川さんの話を聞いたのが,4回生のときだったのか大学院生のときだったのははっきり憶えていない。湯川さんはすでに京都大学を定年退職していて,病み上がりだったのかなんだかで,長いあごひげをはやしていた。で,なんの話をしたのかはまったく記憶にない。たぶん,あまりおもしろくなかったのです。

自分の所属していた森田研究室は,伏見研を引き継いだ内山研から派生しているので,湯川さんの流れを引いていることになる。また,研究内容も原子核における弱い相互作用と中間エネルギー物理であり,中間子交換流の話などまさにテーマのつながっているわけだった。したがって,いつも湯川ポテンシャルと戯れている人もいるのだった。

写真提供:大阪大学湯川記念室




2020年1月23日木曜日

湯川秀樹(1)

阪大の橋本幸士さんがツイートしていた。
「今日は湯川さんの誕生日とのこと。113年前の今日、湯川秀樹は生まれた。1世紀前の物理に想いを馳せるのに良い日である」
ということで,1月23日は湯川秀樹の誕生日である。

橋本さんが阪大の総合学術博物館の湯川記念室へのリンクを張っていた。なかなか良い仕上がりのページになっている。湯川秀樹の論文や資料,写真などが紹介されている。阪大の湯川記念室で所蔵しているものに加えて,小沼先生らが京大の基礎物理学研究所を基点に資料収集整理されたものの一部が阪大で公開されているようだ。論文や資料などはダウンロードすることもできるが,メールアドレスを登録してパスワードを請求する必要がある。早速試してみたが,登録の目的をきかれるのがちょっと面倒である。また,京大基礎物理学研究所のクレジットが入ったものを使う場合は,事前の許諾が必要である。

この他にも,北沢さん,橋本さんや細谷さんの話とか,湯川さんが内山さんに出したはがきの筆跡鑑定から読み解く人物像などの記事もあってとてもおもしろいのだ。

[1]阪大理学部の創設と湯川秀樹(齋藤吉彦)
[2]理学部を語る(大阪大学理学友倶楽部)


2020年1月22日水曜日

電子イオンコライダー(1)

アメリカ合衆国のエネルギー省(DOE)が,次期加速器計画である電子イオンコライダー(EIC)の建設候補地を,ブルックヘブン国立研究所(BNL)に決定し,今後10年間に2000億円程度かけて建設する模様である。この計画は,80%偏極した5-18 GeVの電子と70%偏極した275GeVの陽子または100 GeV/uのイオンのコライダーである。

そうか,アメリカ合衆国の加速器施設を持った国立研究所はすべて,DOEの管轄だったのか。そういえば,2013-2017年のオバマ時代のDOE長官がMITで電子散乱の研究をしていたアーネスト・モニツ(1944-)だった。物理学者がDOE長官なのかと思ったけれど,DOEの歴史をみればむしろ自然だったのかもしれない。

ブルックヘブンのeRHIC計画は,対抗馬だったトマス・ジェファーソン国立加速器施設(JLAB)のJLEICを退けて,新施設の建設を勝ち取った。電子散乱といえば,CEBAFが有名だったのだが,これがJLABとして引き継がれていた。こちらのほうは,75-80 %偏極した3-12 GeVの電子(CEBAFを使う)と80%偏極した40-100 GeVの陽子または16-40 GeV/uのイオンのコライダーである。

一方,欧州原子核機構(CERN)のほうも負けていない。Large Hadron electron Collider (LHeC)を考えていた。こちらは60 GeV電子と7 TeV陽子または2.7 TeV鉛イオンのコライダーであり,将来的には10 TeV陽子とのコライダーになることも想定されている。


2020年1月21日火曜日

AI美空ひばり

NHKがお金をかけて,美空ひばりをAIで蘇らせる企画番組を製作し,2019年の9月に「NHKスペシャル AIでよみがえる美空ひばり」として放映された。その時点では見逃していたが,年末の紅白で使うためのプロモーションとして再放送されたほうを見た。いやー,映像のほうは全然ダメだったが,歌声についてはなかなか感動した。秋元康はそのビジネスモデルも含めてまったく好きじゃないのだけれど,1989年の「川の流れのように」はそこそこ良かったで,2019年の「あれから」も同程度によいと思った。さっそくiTunes Storeでダウンロードする始末だ。

ところが,ネット上では,有識者による批判の声が後を絶たない。うーん,なんでそこまで否定するのかしら。その場合,2018年の映画「ボヘミアン・ラプソディ」はどうするというのだろうか。これまでも多くの伝記映画がつくられており,あるいは故人についての様々な歴史を掘り起こして再現する物語が書かれていると思うのだが,その辺はどうでしょうか。

もちろん,機械学習とその周辺技術の進化によって,実在の人物とまごうかたなき存在を表現することが可能になりつつあるので,それについての倫理的な問題群はてんこ盛りでやってくるのだろう。あるいはそれを敏感に察知したカナリアたちが根源的で感情的な反発を様々な理論で武装して表現しているのかもしれない。それにしても「美空ひばりを冒涜するな」だとかそのエクストリームで「ファンを冒涜するな」とまでいいだすのにはちょっと首を捻らざるを得ない。

大学に入ったころは,美空ひばりを一番嫌いな歌手として得意げにあげていた。たぶん,演歌の持つ土着で非合理で自民党のような雰囲気を代表するものとしての「美空ひばり的な何か」に対する反発だったのではないか。その後,マンドリンクラブのK君による都はるみの涙の連絡船に感動するという話や,キダ・タローさんによる美空ひばりの絶賛やら,後年の岡林信康との逸話などによって,自分の美空ひばりに対する考え方はまったく変わってしまい,リスペクトするようになっていた。

2020年1月20日月曜日

1987,ある闘いの真実

韓国の全斗煥(チャン・ドゥファン)政権末期,1987年の6月10日デモから6.29宣言が出るまでの,大統領の直接選挙制改憲要求を中心とした運動が六月民主化抗争である。これによって第六共和制憲法が成立し,大統領の直接選挙が実現して1988年2月には盧泰愚(ノ・テウ)が大統領になる。

この背景には,1月15日のソウル大学校学生の朴鍾哲(パク・ジョンチョル)が警察による拷問で死亡した事件とそれに係わる隠蔽工作の発覚,4月13日の「今年度中の憲法改正論議の中止」と「現行憲法に基づく次期大統領の選出と政権移譲」を主旨とする「4・13護憲措置」の発表,5月27日の野党も含む広範な反政府勢力を結集した「民主憲法争取国民運動本部」の結成,6月9日の延世大学校学生の李韓烈(イ・ハニョル)が警察の催涙弾直撃を受けて重体(7月5日に死亡),などの事件が起こっている。

これらの一連の事件を史実に基づいて構成し,2017年に公開された映画が張俊煥(チャン・ジュナン)監督「1987,ある闘いの真実」である。30年前の出来事であるが,韓国の民主化運動の熱気が伝わってくる。それは北朝鮮との緊張関係を背景とした反共政策の苛烈さと対応している。そして,それが韓国ジャーナリズムと現在の日本のジャーナリズムの違いを際立たせてもいる。通常国会が始まったが,NHKの岩田の解説に反吐が出そうになる。映画はとてもうまく作られていておもしろかった。日本アカデミー賞を6部門も受賞した「新聞記者」と比べると良いかもしれないが,軍配はチャン・ジュナンにあげたい。

ある意味,日本はぬるま湯であり,かつ茹でガエルであり,そのなかで肥大化した社会の慣性が世襲化の進行=既得権益の確保を温存している。これに対抗するグローバリズムに支えられた新自由主義は右翼的セクターを巻き込んで,基本的人権や民主的な組織を破壊し続けている(既得権益を持つ勢力と直交しているわけではない)。

2020年1月19日日曜日

科学者の墓

京都の八坂神社円山公園の南に,親鸞聖人の墓所(東本願寺)がある大谷祖廟とそれに隣接する東大谷墓地が続いている。朝永振一郎の墓もその一角にある。湯川秀樹の墓は知恩院の裏山らしい仁科芳雄の墓は東京都府中市の多摩霊園だが,その横にも朝永振一郎の墓碑があるようだ。

[1]科学者の墓(世界恩人巡礼大写真館)
[2]物理学者の墓を訪ねる(山口栄一)
[3]科学者の魂を探して(日経xTECH)
   自由な研究風土が開いた物理学大国への道
   日本の物理学と技術イノベーションのルーツ
[4]ウエストミンスター寺院(ロンドン)
[5]パンテオン(パリ)
[6]ヴァルハラ神殿
[7]ガリレオの墓(全優石)
[8]ドイツの切手に現れた技術者科学者たち(関東化学)
   (2)グーテンベルグ
   (3)コペルニクス
   (5)ケプラー
   (6)ゲーリケ
   (8)ライプニッツ
   (9)オイラー
  (10)カント
  (14)ガウス
  (21)フラウンホーへル
  (22)キルヒホッフ
  (24)ヘルムホルツ
  (25)レントゲン
  (26)ツァイス・アッベ・ショット
  (29)ハーン
  (31)プランク
  (34)アインシュタイン



(写真:東大谷墓地にて 2020.1.18撮影)

2020年1月18日土曜日

芳泉湯

小学校4年生から5年生にかけて,寺町の自宅を新築することになった。その数ヶ月の間笠舞の借家に一家で退避したのだが,使えるのは二階だけで部屋が狭い。そこで,自分だけは自宅のすぐそばにあるおばあちゃんの家に疎開することになった。応接間を勉強部屋として与えられ,寝るのは仏壇の前でおばあちゃんと一緒だった。土曜日曜には借家の父母のもとに通った。

寺町から長良坂を下って川沿いに上がり,上菊橋を渡ってそのまま進むと猿丸神社にぶつかる。ここを右に迂回して,やや登り勾配の道をさらに行くと右手に古い家があった。当時子どもは10円だった北鉄バスに乗ったこともあるが,寺町から歩いても20-30分で着く。

先ほどの道をさらに進むと左に大きく曲がって小立野台地を登る坂道になり,次の右に曲がる角の左手に銭湯があった。芳泉湯という名前で坂上からの眺望もよく,ゆったりした湯船の明るい風呂だった。父に連れられ,妹といっしょに何度か通った記憶がある。銭湯の前の道をさらに進むと金沢大学医学部附属病院前の石引の交差点に達する。

NHKの日曜美術館皆川明ミナ・ペルホネンが紹介されていて,店がどこにあるのかと調べていたら,金沢の石引2丁目にある大正時代の町屋を利用した渋い店が見つかった。グーグルマップで確認すると,先ほどの芳泉湯からすぐのところにある。だが,芳泉湯はもうなかった。かろうじて,痕跡の物置が確認できる程度だ。近くには石引温泉亀の湯という銭湯が新しい道沿いにできていた。

2020年1月17日金曜日

三角関数と双曲線関数

mathtodonで@Sun_Pillar@mathtod.online(サンピラー)さんが出していた問題をちょっと改変するとこんな感じだった。

$f(x) = \sin x + \csc x + \cos x + \sec x + \tan x + \cot x$ と
$fh(x) = \sinh x + \csch x + \cosh x + \sech x + \tanh x + \coth x$の
極小値は一致することを示せ。ただし,$ 0 < x < \pi/2$とする。

えー,ホントかなと思ったが,数値計算してみると確かにそうだ。その極小値は一瞬 $2\pi = 6.28319$ に見えたが,落ち着いて考えると,ともに,$2+3\sqrt{2}=6.24264$となった(ただし,これを与える$x$の値は,$f(x)$と$fh(x)$では異なる)。

さらに,$f(x)$ では $y = \tan x$とおき,$fh(x)$ では $y=\sinh x$とおくと,

$f(x(y))= \dfrac{y}{\sqrt{1+y^2}} +  \dfrac{\sqrt{1+y^2}}{y} +   \dfrac{1}{\sqrt{1+y^2}} +  \sqrt{1+y^2} + y + \dfrac{1}{y}$

$fh(x(y))= y + \dfrac{1}{y} +   \sqrt{1+y^2} + \dfrac{1}{\sqrt{1+y^2}} +  \dfrac{y}{\sqrt{1+y^2}} +  \dfrac{\sqrt{1+y^2}}{y} $

となって,両者は一致する。さらにこの関数を$y$で微分して因数分解したものが以下の$h(y)$であり,$h(y)=0$となる$y=1$が極小値を与える。

$h(y) = \dfrac{y-1}{y^2(1+y^2)^{3/2}} \Bigl\{(1+y+y^2+y^3)\bigl(\,1+\sqrt{1+y^2}\,\bigr)+y^4 \Bigr\}$

つまり,関数の極小値を与える条件とその値は,$f(x)$では,

$\tan x = 1 \quad \therefore x = \pi /4 = 0.785398,\quad  f(x) = 2 + 3 \sqrt{2} $

であり,$fh(x)$では,

$\sinh x = 1 \quad \therefore x = \log(\sqrt{2} + 1) = 0.881374, \quad fh(x) = 2+3 \sqrt{2}$

となる。というわけで与えられた三角関数と双曲線関数の極小値は一致した。

三角関数と双曲線関数の間には次の対応があるというのが鍵だった。
\begin{equation}
\begin{aligned}
\sinh x  & \longleftrightarrow \tan x \\
\dfrac{1}{\cosh x} & \longleftrightarrow \cos x \\
\tanh x & \longleftrightarrow \sin x
\end{aligned}
\end{equation}
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
In[1]:= f[x_] := Sin[x] + Cos[x] + Tan[x] + Csc[x] + Sec[x] + Cot[x]
In[2]:= g[x_] = D[f[x], x]
Out[2]= Cos[x] - Cot[x] Csc[x] - Csc[x]^2 + Sec[x]^2 - Sin[x] + 
 Sec[x] Tan[x]

In[3]:= Factor[c - c/s^3 - 1/s^2 + 1/c^2 - s + s/c^3]
Out[3]= ((c - s) (-c^3 - 2 c^2 s - 2 c s^2 - s^3 + c^3 s^3))/(c^3 s^3)

In[4]:= a = x /. Solve[Cos[x] == Sin[x] && x > 0 && x < 1, x, Reals][[1]]
Out[4]= -2 ArcTan[1 - Sqrt[2]]
In[5]:= fa = f[a] // FullSimplify
Out[5]= 2 + 3 Sqrt[2]

In[6]:= fh[x_] := 
 Sinh[x] + Cosh[x] + Tanh[x] + Csch[x] + Sech[x] + Coth[x]
In[7]:= gh[x_] = D[fh[x], x]
Out[7]= Cosh[x] - Coth[x] Csch[x] - Csch[x]^2 + Sech[x]^2 + Sinh[x] - Sech[x] Tanh[x]

In[8]:= cc = Sqrt[1 + ss^2]
Out[8]= Sqrt[1 + ss^2]
In[9]:= Factor[cc - cc/ss^2 - 1/ss^2 + 1/cc^2 + ss - ss/cc^2]
Out[9]= (1/(ss^2 (1 + ss^2)))(-1 + ss) (1 + ss + ss^2 + ss^3 + ss^4 + Sqrt[1 + ss^2] + ss Sqrt[1 + ss^2] + ss^2 Sqrt[1 + ss^2] + ss^3 Sqrt[1 + ss^2])

In[10]:= b = x /. Solve[Sinh[x] == 1 && 0 < x && x < 1, x, Reals][[1]]
Out[10]= ArcSinh[1]
In[11]:= fb = fh[b] // Simplify
Out[11]= 2 + 3 Sqrt[2]

In[12]:= N[{a, b, f[a], fh[b]}]
Out[12]= {0.785398, 0.881374, 6.24264, 6.24264}
In[13]:= Plot[{f[x], g[x], fh[x], gh[x]}, {x, 0, Pi/2}]
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図 三角関数f(x) 双曲線関数fh(x)とそれらの微分 g(x) gh(x) のグラフ








2020年1月16日木曜日

コンビーフ

大学時代の実家からの仕送りにコンビーフが入っていることがあった。大学に入るまではあまり食べたことがなくて(野菜炒めに入っていたのかな)要領がよくわからなかったが,枕型の缶をねじ切って,フォークで生のままたべると,非常食としてあるいはビールのつまみとしてたいへん美味であることがわかった。たまに送られてきた食品の中に発見するとたいへん貴重でありがたいものである。

そのコンビーフの缶が廃止されるらしい。コンビーフの野崎産業は,合併後に川商フーズになっていて,その歴史がここにある。特殊な缶の製造設備なので更新するのが難しかったらしい。最近ほとんど食べていないけど,あの缶を空けるのはいやじゃなかった(むしろ楽しいよ)というのは家人の説である。


写真:最近入手したノザキのコンビーフ(2020.1.17撮影 追加)


2020年1月15日水曜日

基礎自治体 教育ICT指数サーチ

岐阜聖徳学園大学芳賀高洋さんが河合琢也さんのデータをもとにして,基礎自治体 教育ICT指数サーチというサイトを作った。久しぶりの大ヒットになりそうだ。芳賀さんらしいきめ細かい作り込みがうれしいし,実用的な価値も高い。さっそく奈良県教育研究所奈良県域GIGAスクール構想の実現のページからリンクされている。

学校での大量のコンピュータ管理は負荷が高すぎるので,一人一台の方向性はよいとしても,なんとか個人所有の端末へスライドさせながら軟着陸する方法を考えるのがよいと思う。発展途上国化しつつある日本ではなかなかそううまくはいかないのだろう。電子教科書談義が燃えていた10年前ならば,民主党政権のこども手当て利用案だとどうかとか夢想していたのだけれど。

P. S. 芳賀さんといえば,先日,NHKに千葉大学の三宅健次先生が映っていた。また,大学評価・学位授与機構の土屋俊先生は放送大学の記号論理学の最終回の4名対談にて例の調子で暴れており,思わず爆笑してしまった。

P. P. S. その記号論理学の授業の最終回では,対話的タブローチェッカーのタブ朗が宣伝されていた。

2020年1月14日火曜日

宇宙の加速膨張

韓国の延世大学校のチームによる宇宙の加速膨張についての見直しを迫る論文が出てちょっと話題になっている

ハッブル=ルメートルの法則によると,観測者から遠方の天体までの距離$D$と,観測者から見た宇宙の膨張によるその天体の後退速度$v$は比例する。この比例定数がハッブル定数$H_0$である。その後退速度が時間とともに増加しているというのが,宇宙の加速膨張である。

加速膨張は1998年に2つのチームによって発見された。いずれも,Ⅰa型超新星が固有の明るさを持つことを利用して,観測者からこれらの超新星まで距離を求めて赤方偏移による後退速度との関係を詳しく調べることで得られた結論である。これにより,パールマッターシュミットリースが2011年度のノーベル物理学賞を受賞した。

Ⅰa型超新星は,質量が太陽質量の1.38倍をチャンドラセカール限界とする白色矮星の超新星爆発によるものである。主に連星系の一方に連続的に物質が供給される過程でチャンドラセカール限界を越えて炭素燃焼過程により超新星爆発が起こる。この場合の超新星の質量がほぼ均一であるため,ピークの明るさが一定となるので標準光源として用いることができる。

延世大学校チームの論文は,このⅠa型超新星の明るさが一定であるという仮定が正しいかどうかを調べることで,従来の結果についての再検討を促したものである。Ⅰa型超新星の標準化された明るさは,星の種族,質量および局所星形成率と相関している可能性を示唆している。

しかし,これ以外のバリオン音響振動宇宙マイクロ波背景放射なども,宇宙の加速膨張から得られるダークエネルギーについての結論を支持しているので,まだ議論は続くようだ。


2020年1月13日月曜日

ab+bc+cd=n

Mathtodonに@antimonさんがこんな問題を出していた。

【問題1】S(n) を「 ab+bc+cd=n (a,b,c,d≥1) の整数解の個数」とする(例: S(5)=5 )。 S(k)=S(k+1) となる最小の整数 k(≥3)を求めよ。

【問題2】kを 問題1 の解とする時、S(S(S(S(S(k))))) を求めよ。

で,@栄造さんにならって,juliaで解いてみた。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
function s(n)
  m=0
  for b in 1:ceil(Int,(n-1)/2)
    for c in 1:ceil(Int,min((n-1)/2,n/b))
      for a in 1:ceil(Int,(n-c)/b-c)
        for d in 1 :ceil(Int,(n-a*b)/c-b)
          if n == a*b + b*c + c*d
#           println(a," ",b," ",c," ",d)
            m = m+1
          end
        end
      end
    end
  end
  return m
end

for k in 3:20
  println(k,":",s(k))
end

@time println(s(14))
@time println(s(s(14)))
@time println(s(s(s(14))))
@time println(s(s(s(s(14)))))
@time println(s(s(s(s(s(14))))))
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
3:1
4:2
5:5
6:6
7:11
8:13
9:17
10:22
11:27
12:29
13:37
14:44
15:44
16:55
17:59
18:68
19:71
20:81
44
  0.000135 seconds (38 allocations: 1.047 KiB)
319
  0.000084 seconds (36 allocations: 1.156 KiB)
4256
  0.001191 seconds (37 allocations: 880 bytes)
178474
  0.270975 seconds (187 allocations: 11.359 KiB)
13153386
788.437834 seconds (186 allocations: 10.188 KiB)

juliaをたまに使うと,割り算の整数化やかけ算記号が省略できないことなどでつまずく。工夫のないプログラムなので時間はやたらにかかってしまう。

2020年1月12日日曜日

パラサイト

1月10日の日本経済新聞の夕刊のシネマ万華鏡で「パラサイト 半地下の家族」が★5つで紹介されていた。これは「グエムル−漢江の怪物−」のポン・ジュノ監督による2019年の作品で第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めてパルムドールを受賞したものだ。

早速,夫婦で見に行きました。前年のパルムドールは,是枝裕和監督の「万引き家族」だったが,これも映画館で見て面白かった。最初はこれに似た雰囲気なのかと思っていたら,そうではなかった。いずれも東アジアの貧困を焦点化した面と家族の深い関係を示唆している部分があるのだけれども,ポン・ジュノはさらにそれを進める。

コメディタッチで前半が進むが,やがてカオスが到来する。半地下の家でWiFiの電波を求めなければ生活が成り立たない様子,周到な計画で近代化された韓国を象徴するようなモダンな豪邸に入り込んでゆく過程,激しい雨の中を帰る家族を待っていた水害と避難所のシーン,高級住宅地の豪邸の庭でのパーティーを2階から俯瞰している場面など,必要最小限の説明で分かりやすい物語が進むと同時に,予想できない展開が待っている。

韓国の社会や文化については,それなりに学習してきているのと,同じ東アジア文化圏のメンタリティーがあることで,感情移入はしやすい。自分としてのこの映画のポイントをまとめると,「人生は計画通りに進まない」「差別はにおいから始まる」の2点ということにしておく。

P. S. 今朝のNHKの7時のニュースでは,パラサイトが紹介され,ポン・ジュノと是枝裕和の対談が放映されていた。


2020年1月11日土曜日

関空第2ターミナル

家族が長い正月休みを終えてピーチ・アヴィエーションで帰るというので関西国際空港まで送ってきた。ピーチの飛行機は第2ターミナルから出発するので,第1ターミナルからの連絡バスで,初めて第2ターミナルに足を踏み入れた。連絡バスの中から,ターミナルビルを探していたが見当たらない。どこにあるのと思っているとやがて1階建てのプレハブのような第2ターミナルに到着した。国内線側はがらんとしていた。国際線側も同じ造りだったが,乗降客はやや多くてにぎわっていた。店もほとんどない。

それにしてもみすぼらしい建物だという印象。家族はみな,こんなもんでしょう,配管もオープンなのが最近のデザインだし,メンテナンスも楽でよい。機能的には問題ないという肯定的な意見。でも,自分が外国から訪れた観光客だったら,発展途上国の空港についたという印象を持ちそうで・・・つらい。仁川国際空港北京大興国際空港もこんなことはないのではと思うがどうなんだろう。

日本が本当に貧しくなったという印象を持ってしまった令和2年の正月。これで,東京オリンピック2020と大阪万博2025に莫大な税金を投入というのか・・・orz。日本は政治的にも経済的にも発展途上国への道を確実に進んでいる。



写真:関西国際空港第2ターミナルの国際線(撮影 2020.1.10)

2020年1月10日金曜日

カニカマ

NHKの「所さん!大変ですよ」でカニカマ特集をやっていた。カニカマ製造機がうつるというので,カニカマを1972年に始めて開発した石川県七尾市のスギヨかなと思っていたら,山口県宇部市のカニ風味蒲鉾製造機で世界70%のシェアを持つヤナギヤが映った。ヤナギヤは,フィッシュスティック型のカニカマを最初に作った広島県広島市の大崎水産からカニカマの機械製造の許可をもらって,カニカマ製造機を開発したようだ。

いまではカニカマ=スリミ(surimi)の最大の消費国はフランス(ついでスペイン)で,最大の生産国はリトアニアだ

スギヨといえば,小学校5年生のときの修学旅行で,海水浴場で有名な柴垣の海岸から羽咋市の気多大社能登金剛(巌門)をまわって(このへんの記憶は曖昧),七尾にあるスギヨの工場を見学した。おみやげに出来立てのビタミンちくわをもらった。昼食は小丸山城趾公園で,おばあちゃんが作ってくれたタケノコご飯といっしょにちくわを食べた。これが生涯で一番おいしかった竹輪である。当時は実家の新築工事中だったので,実家から500mのところにある寺町のおばあちゃんのうちに疎開していたのだった。おばあちゃんはちくわがおみやげにならなくて残念そうだった。


写真:スギヨのビタミンちくわのページから引用