芥川龍之介が「蜘蛛の糸」を発表して百年。高二の秋の文化祭,クラスの仮装行列のテーマが 蜘蛛の糸だった。お釈迦様の極楽タワーの竹を近所から切り出し,地獄の焔と煙の絵を描いた。犍陀多に続いて蜘蛛の糸(登山部の赤いザイル)に群がる地獄の亡者だったころ。
2023年8月28日月曜日
SLIMプロジェクト
2023年7月16日日曜日
GRAPE
2023年7月3日月曜日
満月
2023年1月7日土曜日
はぐれ惑星
Q:天の川銀河系にある恒星の総数,惑星の総数,自由浮遊惑星(はぐれ惑星)の総数を教えてください。A:天の川銀河系には、恒星の総数が約100億個、惑星の総数が数百億個と言われています。また、自由浮遊惑星(はぐれ惑星)の総数は、まだ正確には分かっていませんが、数十億個と推定されています。天の川銀河系は、銀河系の1つで、地球が属する銀河系です。銀河系は、恒星、惑星、小惑星、彗星、星雲などが含まれる天体系で、その大きさは広大です。天の川銀河系は、その中でも比較的小さい銀河系であり、銀河系全体に比べると、恒星や惑星の数が少なめです。
2022年6月27日月曜日
太陽フレア
NHKニュースで太陽フレアの危機が取り上げられていた。
なんでも,2025年は太陽活動が活発になり,太陽フレアが2週間続き,ケータイも繋がらなくて大変なことになるという説だった。なんとなく胡散臭かったので確認してみる。
太陽活動は11年周期で変動しているが,その本質は,太陽の自転による磁場の22年周期変動である。11年で太陽極磁場のNSが逆転するが,絶対値を考えると活動値(黒点数,太陽フレア頻度,太陽放射量)の周期は11年ということになる。活動期には,黒点数や太陽フレア頻度が増加し,太陽放射も0.1%程度強くなる。
1843年にドイツの天文学者シュワーベによって,太陽活動周期(黒点周期)が発見され,スイスの天文学者ウォルフの研究から1755-1766年が第1周期とされた。最近のピーク年と周期番号を並べると,1981年(第21周期),1992年(第22周期),2003年(第23周期),2014年(第24周期),2025年(第25周期)となるので,2025年という時期は正しそうだ。
ただし,フレア頻度は活動極小期に比べて1桁増えるが,爆発の大きさ自体は周期と直接関係しない。
ところで,近年の太陽活動をみると,22周期,23周期,24周期と次第に活動が衰えており,黒点数も近年になく減少している。大規模太陽フレアも24周期にはほとんど発生していない。それでは,このたび25周期の危険性に警鐘を鳴らしている根拠はなんなのだろうか。
ニュースになったのは,6月21日に,総務省の宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会が報告書を公表したからだ。そこでは,一般的な太陽活動への監視態勢や対応体制の構築ポリシーについて議論すると同時に,100年に一度の大きな太陽フレアがあったときにどんな影響が考えられるかを評価(シミュレーション)したものだった。
つまり,2025年の太陽フレア予報に重点があったわけではなかったのだ。ニュースの取り上げ方と受け止め方は本当に難しい。ましてや,忖度まみれの政治経済関係のニュースはどうなのだろうか。情報系の人たちはメディアリテラシーと簡単にいうけれど,結局,個別分野の知識に基づきながら,事実とデータを積み上げ読み解いて分析することでしか,相対的に正しい事実には接近できない。
2022年6月19日日曜日
ブラックホールシャドウ(2)
ブラックホールシャドウ(1)からの続き
2019年4月のEHTによるブラックホールシャドウのニュースは,ブラックホールの実在性を見える形で表現するエビデンスとして注目を集めた。2022年5月には,同じEHTグループにより天の河銀河中心のブラックホール いて座A*についても史上二番目の観測例として報道された。
ところで,2019年の段階でこの研究結果に対して疑問を呈している人がいた。国立天文台の三好真さんだ。銀河中心のブラックホールを発見したグループの一員であり,その結果は2020年のブラックホールに関するノーベル物理学賞でも紹介されている。彼が,2019年10月の段階で,M87星雲のブラックホールシャドウの結果に疑義を呈した。
詳細な論文である "The jet and resolved features of the central supermassive black hole of M 87 observed with EHT"が,The Astrophysical Journalにアクセプトされたとのことだ。牧野淳一郎さんも共著者に入っている。さてその結論は次のようなものだった(先月のニュース)。
(1) 中心核構造はリングではなく,コアとノットさらに第三成分がある。
(2) 有名な M87 ジェット構造は,230GHz 観測においても存在するが,その強度は中心核の強度に比 べて桁違いに弱い。
(3) EHTC(the Event Horizon Telescope Collaborators )が報告した約40μasのリングは,データサンプリングのバイアスによる人為的な紛いものだとわかった。EHTのU-Vカバレッジは約 40 μas の空間フーリエ成分を欠き,約 40 μas のアーチファクト構造を生成している。
ようするに,注目を集めたM87ブラックホールシャドウのリング構造は間違ってるんじゃないのということだ。どうなることやら。
2022年6月10日金曜日
惑星直列
太陽系の地球を除く惑星を一直線上に隙間なく並べると,ちょうど地球−月の距離と等しくなるという話を見かけたので確かめてみた。
地球を除く7惑星の直径 [km] は,{水星,金星,火星,木星,土星,天王星,海王星}={4879.4, 12103.6, 6794.4, 142984.0, 120536.0, 51118.0, 49528.0}となる。また,地球−月の平均公転半径 [km]は,388440.0 である。
Mathematicaで次のコードを実行する。
d = {4879.4, 12103.6, 6794.4, 142984.0, 120536.0, 51118.0, 49528.0}水星をふくめると公転半径から少しはみ出すが,水星を除けばすっぽりとおさまった。
r = Table[Sum[d[[i]], {i, 1, k}] - d[[k]]/2, {k, 1, 7}]
g1 = Graphics[{Circle[{384400/2, 0}, 384400/2, {11 Pi/12, 13 Pi/12}],
Circle[{384400/2, 0}, 384400/2, {-Pi/12, Pi/12}]}]
g2 = Graphics[Table[Circle[{r[[k]], 0}, d[[k]]/2], {k, 1, 7}]]
g3 = Graphics[Table[Circle[{r[[k]] - d[[1]], 0}, d[[k]]/2], {k, 2, 7}]]
Show[g1,g2]
Show[g1,g3]
2021年11月13日土曜日
準衛星
準衛星とは,小惑星のうち,ある惑星を周回している衛星のように見えるもの。衛星と準衛星の区別は,惑星の重力圏にあるかどうかで判定され,ヒル圏の内側ならば衛星であり,外側ならば準衛星となる。
ヒル圏(ヒル半径)は,質量の大きな天体$M_1$と小さな天体$M_2$が,距離$r$で周回している時に,非常に軽い天体$m$が天体$M_2$からヒル半径$a (a \ll r)$の距離にあるとして,この$a$に対する条件から決まるものだ。
そのヒル半径 $a$ の位置にある小天体$m$には,天体$M_2$からの重力と,$M_2$に固定された$M_1$の周りの回転系における遠心力が$m$に加わるとして足したものが,天体$M_1$からの重力と釣り合うという条件から求める。
$\dfrac{G M_1 m}{(r-a)^2} = \dfrac{G M_2 m}{a^2} + m (r-a) \omega^2 , \ \ \ \omega = \sqrt{\dfrac{G M_1}{r^3}}$
この式で,$\dfrac{1}{(r-a)^2} \simeq \dfrac{1}{r^2}(1+\dfrac{2 a}{r})$と近似すれば,$\dfrac{3 a^3}{r^3} = \dfrac{M_2}{M_1}$が得られ,ヒル半径は,$a=r \sqrt[3]{\dfrac{M_2}{3 M_1}}$と求まる。
大陽質量を $M_1=2 \times 10^{30} {\rm kg}$,地球質量を $M_2=6 \times 10^{24} {\rm kg}$,地球の公転軌道半径を $r = 1.5 \times 10^{11} {\rm m}$ とすると,ヒル半径は $a=1.5 \times 10^9 {\rm m}$となり,月の公転半径の約4倍になる。
地球の準衛星の1つ((469219) 2016 HO3)が月のかけらではないかというアリゾナ大学の論文のが今日のポイントだ。2024年の打ち上げが計画されている中国の小惑星探査機鄭和がサンプルリターンに成功すればこの問題を検証することができるかもしれない。
2021年10月24日日曜日
ルーシー
木星の5つのトロヤ群小惑星を探査する宇宙探査機ルーシーが先週の土曜日(10月16日)にケープ・カナベラル宇宙軍基地から打ち上げられた。あれ,ケープ・カナベラルはケープ・ケネディに改名されていたのではなかったかと思ったが,どうなったのか。
ケネディ暗殺1週間後の1963年11月29日に,NASAの発射管制施設はケネディ宇宙センターに名称が変更されている。マーキュリー計画やジェミニ計画では,隣接するケープカナベラル空軍基地の発射施設が使われていたので,小学生の自分にはケープ・カナベラルは馴染みの名前だった。そのケープカナベラルもケープケネディという地名に変更されたと思っていたが,地名の方は1973年に元に戻されたようだ。知りませんでした。
フロリダ半島中部東岸のこの地域は,ジュール・ベルヌの「月世界旅行」の中で発射砲が設置されたフロリダ半島中部西岸のタンパに近かったので,アポロ計画のころにはちょっとした話題になっていた。
さて,ルーシーという名称は最初期のアウストラロピテクス人骨のルーシーからきているということだが,これはさらにビートルズのルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズが由来ということで,なんだか巡り巡って複雑なことになっている。
2021年3月26日金曜日
宇宙寺院
お彼岸の正信偈の唱和の後で,いつものように住職のお話が始まった。彼は大変活動的な方で話題も豊富である。で,宇宙寺院の話が出てきた。調べてみると,醍醐寺が2023年に浄天院劫蘊寺という名前で人工衛星を打ち上げるらしい。なかなか画期的な話である。宇宙条約でも南極条約でも,軍事利用は禁止されているが,宗教利用についての言及はなさそうだ。
醍醐寺は真言宗なので,ご本尊の大日如来は宇宙と親和性が高い。これが浄土真宗になるとちょっと微妙らしい。阿弥陀様は西方浄土にいらっしゃるが,宇宙に出るとどちらを向いて仰ぐことになるのかウロウロしそうである。
各宗派がどんどん人工衛星を打ち上げて宇宙からお経やらコーランやら聖書の福音が降り注ぐのはどうかと思うが,すでにインターネット上では似たような状況になっているので,どうということはないかもしれない。それよりも,月基地や火星旅行で人が死んだ時の宗教的な取り扱いがややこしそうであった。
2021年1月22日金曜日
赤いシリウス
NHKのコズミックフロント☆NEXTは,非常にためになる科学番組である。先日放映された,「天狼星 シリウスのミステリー」もとても刺激的な内容だった。
シリウスは,オリオン座の三つ星を左に伸ばしたところのおおいぬ座にあり,太陽を除いて全天で最も明るい恒星(一等星)だ。地球から8.6光年の距離にあり,シリウスA(太陽と同程度の半径で太陽の約2倍の質量)とシリウスB(地球と同程度の半径で太陽と同程度の質量)からなる連星であり,明るい方のシリウスAは青白く光る主系列星である。シリウスBは非常に暗い白色矮星だ。
そのシリウスが,2千年前には赤く輝いていたという歴史的な文書がある。古代ローマの天文学者プトレマイオス(トレミー)のアルマゲストにその記載がある。超新星を除く普通の天文現象が数千年の時間スケールで起こるわけがないので,これはなんらかの比喩表現ではないかというのが定説らしい。
番組では,赤いシリウスが見えたのは事実であるという,科学的に根拠のあるいくつかの説が紹介されていた。シリウスにはシリウスCという別の三重連星があって,これがシリウスAに接近していたときに放出された物質が光を遮っていたという説や,桜井天体のように白色矮星であるシリウスBがヘリウムフラッシュによって一時的に赤くなったという説である。
シリウスは古代エジプトにおける暦の始まりを特徴づける天体であり,クフ王のピラミッドの南の回廊がシリウスが観測できる方向に伸びていたなど,いろいろとワクワクする話題が多いのだった。
2020年12月6日日曜日
はやぶさ2
はやぶさ2のサンプルリターンカプセルが,2020年12月6日にオーストラリアのウーメラ砂漠で無事に回収されたようだ。はやぶさ2本体は化学エンジン噴射プロセスTCM5により再び地球軌道を離脱した。1998KY26という小惑星に2031年7月に接近する予定である。
はやぶさ2がここまでで達成したこと(世界初)は以下の通り1.小型探査ロボットによる小天体表面の移動探査
2.複数の探査ロボットの小天体上への投下・展開
3.天体着陸精度 60 cm の実現
4.人工クレーターの作成とその過程・前後の詳細観測
5.同一天体2地点への着陸
6.地球圏外の天体の地下物質へのアクセス
7.最小・複数の小天体周回人工衛星の実現
2020年7月26日日曜日
8億年前の小惑星シャワー
2020年7月7日火曜日
領空の定義
2020年6月21日日曜日
部分日食
2020年6月16日火曜日
銀河系の知的文明
2020年1月14日火曜日
宇宙の加速膨張
ハッブル=ルメートルの法則によると,観測者から遠方の天体までの距離$D$と,観測者から見た宇宙の膨張によるその天体の後退速度$v$は比例する。この比例定数がハッブル定数$H_0$である。その後退速度が時間とともに増加しているというのが,宇宙の加速膨張である。
加速膨張は1998年に2つのチームによって発見された。いずれも,Ⅰa型超新星が固有の明るさを持つことを利用して,観測者からこれらの超新星まで距離を求めて赤方偏移による後退速度との関係を詳しく調べることで得られた結論である。これにより,パールマッター,シュミット,リースが2011年度のノーベル物理学賞を受賞した。
Ⅰa型超新星は,質量が太陽質量の1.38倍をチャンドラセカール限界とする白色矮星の超新星爆発によるものである。主に連星系の一方に連続的に物質が供給される過程でチャンドラセカール限界を越えて炭素燃焼過程により超新星爆発が起こる。この場合の超新星の質量がほぼ均一であるため,ピークの明るさが一定となるので標準光源として用いることができる。
延世大学校チームの論文は,このⅠa型超新星の明るさが一定であるという仮定が正しいかどうかを調べることで,従来の結果についての再検討を促したものである。Ⅰa型超新星の標準化された明るさは,星の種族,質量および局所星形成率と相関している可能性を示唆している。
しかし,これ以外のバリオン音響振動や宇宙マイクロ波背景放射なども,宇宙の加速膨張から得られるダークエネルギーについての結論を支持しているので,まだ議論は続くようだ。
2019年12月28日土曜日
ベテルギウス
ところが,そのベテルギウスが最近2等星にランクダウンしそうとの話が伝わってきた。ベテルギウスは太陽質量の12倍(Wikipedia:en)の赤色超巨星である。約6.4年周期の変光星で明るさは0.0−1.3等級の範囲で変化するようだが,最近は1.5等級前後で低迷している。また明るくなればよいが,そうでないと楽しいことが起こるらしい。
太陽の20倍くらいの星の恒星内元素合成反応では,水素→ヘリウムの元素変換が終わりヘリウム→炭素になるあたりで赤色巨星になる。炭素→ネオンが1000年かかるが,ネオン→シリコンが1年,シリコン→鉄が2日で終了して超新星爆発する。このときネオン→シリコン反応で急激に収縮して暗くなるというので,もし現在の減光がネオン→シリコンであれば1年続いて我々が生きている間に超新星が見られるということになる,という説がtwitterで流布していた。本当かな?元素合成のシークェンスはおおむねあっているようだ。
オリオン座といえば,昔,忘年会の帰りに,オリオン座が冬空に映えるなあとおもいながら自転車をふらつかせていたら,頭から田んぼにつっこんだことを思い出す。まだ若かったので怪我もなく無事に帰宅できた。
(注)この現象は数年から10年に一度くらいの割合で発生しているようなので,心配する必要はないというか,残念であったというか・・・
[1]Stellar Evolution (Zucker,2010)
[2]CESAR Booklet ver. 2 (CESAR,2018)
[3]Plot a light curve(AAVSO米国変光星観測家協会)
[4]オリオン座のベテルギウスに異変,超新星爆発の前兆か(CNN.co.jp 2019)
[5]ベテルギウスの最期:超新星の徴候とその威力(ActiveGalactic 2010)
2019年11月29日金曜日
公転速度と公転周期
地球−月(M = 6.0 × 10^24 kg, R = 3.8 × 10^8 m)→(v= 1 km/s, T= 0.76 y)
太陽−地球(M = 2.0 × 10^30 kg, R = 1.5 × 10^11 m)→(v= 30 km/s, T= 1.0 y)
銀河中心-太陽(M = 2.2 × 10^41 kg,R= 2.6 × 10^20 m)→(v= 240 km/s, T= 2.0 × 10^8 y)
BH−"惑星"(M = 8.2 × 10^36 kg,R = 1.0 ×10^17 m)→(v=74 km/s, T=2.7 × 10^5 y)
[1]国立天文台,最新の観測による銀河中心〜太陽系の距離や回転速度を発表
[2]超大質量ブラックホール(Wikipedia)
2019年11月28日木曜日
ブラックホールの周りの惑星
ブラックホールの周りには降着円盤があることは,福江先生の得意分野でもあるので知っていた。そこに原始太陽系の形成モデルのシミュレーションを適用すると,銀河中心にあるような太陽の1000万倍の質量を持つ巨大ブラックホールのまわりのミクロな塵から,数億年をかけて,ブラックホール中心から10光年ほどのところに,地球質量の10倍程度の惑星が1万個以上形成されるというものだ。となりの惑星との距離は0.1光年のオーダーかな。生命が誕生するような熱源は確保できるのだろうか。SF作家の夢が広がるだろうか。
[1]K. Wada, Y. Tsukamoto and E. Kokubo, Planet Formation around Supermassive Black Holes in the Active Galactic Nuclei(2019.11.26)