来年度の統計物理学の準備をしている。
先日購入したばかりだが,阪大の湯川諭さんの統計力学の教科書はなかなか読みやすいと思ったが,その師匠の菊池誠「統計力学のはじめの一歩」も結構よかった。これまでテキストに指定されてきた,講談社基礎物理学シリーズの北原・杉山の統計力学は取っつきにくかったが改めて見直すと丁寧でやさしそうだ。高橋康さんの統計力学入門は好感が持てるけれど・・・,あれこれ目移りするのでなかなか講義ノートがまとまらない。
とりあえず,ミクロカノニカル集団で出会う最初の関門が,半径Rのd次元球の体積Vd(R)の導出だ。これは次のようにd−1次元球面を動径方向に積分して求めることができる。ただし,半径Rのd−1次元球面積は,その次元を考慮して,Sd(R)=cd Rd−1で与えられるとする。cdは幾何学的な係数である。
Vd(R)=∫R0Sd(r)dr=∫R0cd rd−1dr=cdRdd
したがって,幾何学的な係数であるcdが求まれば良いわけだ。これを計算するために,r2=x21+⋯+x2dとして,次のガウス積分を利用する。
∫∞−∞dx1⋯∫∞−∞dxd e−(x21+⋯+x2d)=∫∞0cd rd−1 e−r2dr
l.h.s.=(∫∞−∞e−x2dx)d=√π d=πd/2
r.h.s.=cd∫∞0rd−1e−r2dr=cd∫∞012td/2−1e−tdt=cd2Γ(d2)
∴cd=2πd/2/Γ(d2),∴ Vd(R)=πd/2RdΓ(d2+1)
[1]超球の体積
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