2022年2月6日日曜日

反知性主義(2)

反知性主義(1)からの続き

問題は,大阪・関西である。橋下徹と大阪維新によって,反知性的主義的な空気が横溢している。 かつて,上岡龍太郎が関西のテレビ界のご意見番だった時代があった。いまでは,右翼的な政権擁護発言や陰謀論発言によって,ホンコンを中心とした吉本軍団が報道バラエティ番組を牛耳っており,吉村とのタッグで連日洗脳活動を続けている。維新が関西の議席を席捲するわけなのだ。

橋下は,自らの言動への批判に対して「学者のいうことなんて」と反知識人的な言辞を振りまいて対抗した。そして,大阪府立国際児童文学館を解体し,文楽協会に対する大阪府・市の補助金をだまし討ちのような形で引き上げ,大阪人権博物館をつぶした。公共空間を民営化の名のもとに売り渡し続けた。それが松井,吉村によって継続されている。

橋下とそのまわりの維新メンバーらが,民族差別や病弱者差別をふりまくさまは,ほとんどナチスの前兆現象と重なって見えてくる。トランプや安倍を例にあげるまでもなく,反知性主義とレイシズムは容易に結合する。

町山智弘水道橋博士との対談で指摘していた話が興味深かった。1961年に来日したデイヴィッド・リースマンが日本には反知性主義がないことに驚いていたが,国民の多くがドストエフスキーの小説に親しんでいるような知性的な国は他にはなかったとの見立てだ。この知的・文化的な集積の中で日本の高度成長も可能になった。

その文化的な集積の中心であった関西には1500年の歴史があって,畿内は常に東国よりも文化的に上位に位置していた。ところが,大阪維新の台頭によってこれが見る影もなくなってしまった。大阪には本来豊かな文化的風土があったのだが,いつのまにか,最近の吉本芸人による下品な笑いが大阪の文化だといわれるまでになってしまった。

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