2020年10月31日土曜日

学会声明

 津田大介さんが日本学術会議問題での学会声明をまとめていたが,500学協会(会長,理事会等からのものを含む)くらいから声明がでているとのことだ。インターネットでざっと検索したところ,250くらいは見つかった。しかし,工学系学会,医学系学会,スポーツ系学会からごく一部を除いて全く出ていなかった。日本天文学会([0]の97学協会には含まれている)にも学術会議批判派がいたため,産経新聞やネトウヨメディアなどでさっそく重用されていた。以下は完全なリストではないので注意すること。

日本学術会議 第25期 幹事会 記者会見資料(2020.10.29) http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo302-kaikenshiryo.pdf 

[0]日本学術会議 第25期推薦会員任命拒否に関する緊急声明(97学協会,2020.10.21)
https://www.jps.or.jp/information/docs/seimei_scj20201021.pdf
[1]日本科学史学会 会長声明「日本学術会議新会員候補6人の任命拒否について」
https://historyofscience.jp/blog/2020/10/13/会長声明%E3%80%80「日本学術会議新会員候補6人の任命/
[2]日本18世紀学会 政府による日本学術会議新会員任命拒否についての声明
https://www.jsecs.jp/post/20201007
[3]日本イスパニヤ学会 第25期日本学術会議新規会員の任命拒否に抗議し、同会議の要望を支持する声明
http://www.gakkai.ne.jp/ajh/sobre_nosotros/25.html
[4]科学技術社会論学会 内閣総理大臣による第25期日本学術会議会員候補の任命拒否について
http://jssts.jp/content/view/313/70/
[5]イタリア学会 日本学術会議会員任命拒否についてイタリア学会による声明
http://studiit.jp/pdf/声明文(理由付き).pdf
[6]ジェンダー法学会 緊急声明:日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望を支持する
http://jagl.jp/?p=1055
[7]人文地理学会 日本学術会議第25期新規会員任命にかかわる声明
http://hgsj.org/news/20201012seimei/
[8]日本社会福祉学会 「日本学術会議の新会員推薦6名の内閣総理大臣による否認」に関する会長声明文
https://www.jssw.jp/activity/statement/
[9]社会政策学会 日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明
https://jasps.org/wp/wp-content/uploads/2020/10/学術会議問題学会声明文20201024.pdf
[10]美学会 日本学術会議会員任命拒否に関して
http://www.bigakukai.jp
[11]「女性・戦争・人権」学会 日本学術会議会員候補の任命拒否に対する抗議声明
https://www.war-women-rights.com/アピール/2020年/日本学術会議会員候補の任命拒否に対する抗議声明/
[12]日本特別ニーズ教育学会 日本学術会議新規会員候補の任命拒否に関する抗議声明
https://www.sne-japan.net/gakujutukaigi-seimei
[13]日本教育学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明
http://www.jera.jp/20201007-1/
[14]日本教育経営学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する声明
http://jasea.jp/news/「日本学術会議第25期新規会員任命に関する声明」/
[15]日本教育方法学会 日本学術会議の新会員候補者6名の否認問題に関する声明
https://www.nasem.jp/site/wp-content/uploads/2020/10/d6ddb2f07092cbf61249eeb0ae399f4d.pdf
[16]日本生命倫理学会 日本生命倫理学会は、日本学術会議の要望書の趣旨に賛同いたします
https://ja-bioethics.jp/news/2226/
[17]日本学校教育学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明について
http://www.jase.gr.jp/日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明/
[18]社会主義理論学会 菅内閣の第25期日本学術会議の一部会員任命拒否に対する抗議声明
http://sost.que.jp/myweb_004.htm
[19]教育史学会 日本学術会議への政治介入に関わる教育史学会理事会声明
http://kyouikushigakkai.jp/info/2020/1005112318
[20]日本教師教育学会 日本教師教育学会声明
https://jsste.jp/index.php/download_file/view/551/515/
[21]日本宗教学会 日本学術会議新規会員の任命拒否問題に関する声明
http://jpars.org/archives/4510
[22]日本建築学会 日本学術会議に関する緊急声明
https://www.aij.or.jp/jpn/databox/2020/201013Seimei.pdf
[23]日本アフリカ学会 JCASAによる日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明
https://african-studies.com/jaas-news/20201021/
[24]日本経営学会 日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明
http://keiei-gakkai.jp/wp-content/uploads/2020/10/201014seimeibun.pdf
[25]経済理論学会 政府による日本学術会議への介入強化に対する抗議声明
https://jspe.gr.jp/ja/node/187
[26]日本平和学会 日本学術会議会員任命拒否に関する緊急声明
https://www.psaj.org/論説-声明/日本学術会議緊急声明/
[27]日本時間学会 第25期日本学術会議新会員任命拒否に対する声明
http://timestudies.net/?page_id=1459
[28]日本認知心理学会 日本学術会議の推薦会員任命拒否に関する声明
http://cogpsy.jp/wp/wp-content/uploads/gakujutsukaigi_seimei_cogpsy.pdf
[29]日本地理学会 日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する声明文
https://www.ajg.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/b0cded3345db9cfe01571ff9b13026b0.pdf
[30]法制史学会 日本学術会議第25期新規会員任命問題に関する声明
https://www.jalha.org/jimukyoku/
[31]仏教文学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する声明
http://bukkyoubun.jp/statement/2020.html
[32]説話文学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する声明
http://www.setsuwa.org/announcement2.html
[33]明治維新史学会 日本学術会議問題に関する明治維新学会理事会声明
http://www.ishinshi.jp/wordpress/?p=1153
[34]日本EU学会 日本学術会議第25期新規会員6名の任命拒否に関する声明
http://www.eusa-japan.org/?p=3337
[35]日本フランス語教育学会 日本学術会議会員任命拒否に対する日本フランス語教育学会声明
https://sjdf.org/blog/2503
[36]社会事業史学会 内閣総理大臣による第25期日本学術会議会員候補の任命拒否に対する抗議声明
http://shakaijigyoushi-gakkai.com
[37]日本女性学会 日本学術会議会員任命拒否に関する声明
https://joseigakkai-jp.org/appeal/1569/
[38]日本家政学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明
http://www.jshe.jp/oshirase.html
[39]日本美術教育学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明
http://www.aesj.org/nc2/htdocs/?action=common_download_main&upload_id=486
[40]こどもと自然学会 日本学術会議第25期 新規会員任命に関する緊急声明
https://kodomotosizen.jimdofree.com
[41]幼児教育史学会 日本学術会議 第25期新規会員任命に関する緊急声明
https://youjikyoikushi.org
[42]日本福祉教育・ボランティア学習学会 会長声明「第25期日本学術会議の会員任命にあたって」
http://www.jaass.jp/archives/1181
[43]日本生活指導学会 菅首相による日本学術会議会員の任命拒否に関する声明
http://jasg.m47.coreserver.jp/main/2020/10/05/菅首相による日本学術会議会員の任命拒否に関す/
[44]日本教育社会学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明
http://www.gakkai.ne.jp/jses/2020/10/07190000.php
[45]日本環境教育学会 日本環境教育学会会長声明
https://jsfee.jp/general/message-from-president/436
[46]日本カリキュラム学会 日本学術会議新規会員任命拒否に関する声明
http://jscs.b.la9.jp/news/doc/201006_statement.pdf
[47]大学評価学会 菅首相による日本学術会議会員の任命拒否に関する声明
http://www.unive.jp/seimei/seimei_20201012.pdf
[48]大学教育学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する大学教育学会からの緊急声明
https://daigakukyoiku-gakkai.org/site/wp-content/uploads/2020/10/urgent_statement2020.pdf
[49]教育哲学会 「日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明」について
http://pesj.matrix.jp 
[50]教育思想史学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明
http://www.hets.jp/seimei20201006.pdf 
[51]教育史学会 日本学術会議への政治介入に関わる教育史学会理事会声明
http://kyouikushigakkai.jp/info/2020/1005112318
[52]日本アニメーション学会 第25期日本学術会議新規会員6名の任命拒否に関する抗議声明
https://www.jsas.net/archives/906
[53]日本歴史学協会 菅首相による日本学術会議会員の任命拒否に強く抗議する(声明)(日本歴史学協会他 38学協会)
http://www.nichirekikyo.com/statement/statement20201018.html
[54]日本社会学理論学会 日本学術会議新規会員任命拒否についての声明
http://sst-j.com/?p=681
[55]工業経営研究学会 日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明
http://asimj.jp/wordpress/?p=2800
[56]日本教育法学会 日本学術会議会員候補者任命拒否問題に関する会長声明
http://jela1970.jp/statement20201017.pdf
[57]日本生活学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明
http://lifology.jp/2020/10/17/202010statement/
[58]日本弁護士連合会 日本弁護士連合会 日本学術会議会員候補者6名の速やかな任命を求める会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/201022.html
[59]日本障害者協議会 日本学術会議への人事介入に対する声明
http://www.jdnet.gr.jp/opinion/2020/201013.html
[60]萬葉学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する声明
http://manyoug.jp/news/日本学術会議第25期新規会員任命に関する声明
[61]日本オーラル・ヒストリー学会 日本学術会議会員任命拒否についての理事会声明
http://joha.jp/council/1050
[62]日本自然保護協会・日本野鳥の会・世界自然保護基金ジャパン 自然保護の観点から日本学術会議会員の任命拒否に抗議する声明
https://www.wbsj.org/inform/info-20201013-2/
[63]日本オリエント学会 日本学術会議会員の任命問題に関する声明
http://www.j-orient.com/info/seimei_20201015/
[64]日本中央アジア学会 日本学術会議会員任命拒否問題に関する声明
http://www.jacas.jp/seimei2020.pdf
[65]日本学校ソーシャルワーク学会 日本学術会議の新規会員候補の任命拒否に関する学会声明
https://www.jssssw.jp/images/20201016.pdf
[66]日本有機農業学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明
https://www.yuki-gakkai.com/2020/10/第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明/
[67]日本キリスト教史学会 日本学術会議推薦拒否問題について
http://www.kirishin.com/2020/10/13/45656/
[68]日本基督教学会 日本学術会議第25期新規会員任命拒否に関する声明文
http://www.kirishin.com/2020/10/13/45656/
[69]日本リメディアル教育学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明
http://www.jade-web.org/info/「日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声/
[70]日本村落研究学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明
https://www.rural-studies.jp/seimei20201009.pdf
[71]社会文化学会 日本学術会議新会員に対する任命拒否に抗議し撤回を求める
https://japansocio-culture.com/declaration/declaration_20201008/
[72]国際ジェンダー学会 日本学術会議第 25 期会員候補者 6 名の任命見送りに関する抗議声明
http://www.isgsjapan.org/pdf/201006_protest.pdf
[73]日本フェミニスト経済学会 日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明
http://jaffe.fem.jp/statement2020
[74]女性労働問題研究会 「日本学術会議」への学問の自由を侵害する政府の介入に抗議します
http://ssww.jp/wp-content/themes/hpb20S20191212172431/img/file7.pdf
[75]日本スポーツとジェンダー学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望を支持する
https://jssgs.org/archives/3182 
[76]日本ジェンダー学会 緊急声明:日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望を支持する
https://jp-gender.jp/wp/
[77]日本土壌肥料学会 日本学術会議「第25期新規会員任命に関する要望書」を支持する声明
http://jssspn.jp/info/secretariat/20201015.html
[78]日本昆虫科学連合 日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望書の内容を支持する声明(17学協会)
http://www.insect-sciences.jp/ja/
[79]日本社会学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明
https://jss-sociology.org/news/public/council/20201005post-10909/
[80]日仏社会学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明
https://nichifutsu-socio.com/news/post-1438/
[81]日本青年心理学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する意見表明
https://www.jsyap.org/post/日本学術会議第25期新規会員任命に関する意見表明
[82]国際芥川龍之介学会 日本学術会議会員任命拒否に関する声明
https://akutagawagakkai.web.fc2.com/seimei.pdf
[83]日本政治学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する声明
http://www.jpsa-web.org/2020/10/25.html
[84]日本森林学会 第25期日本学術会議新規会員の任命に関する声明
https://www.forestry.jp/activity/dir-info/25.html
[85]経済学史学会 日本学術会議会員候補6名の任命拒否に対する経済学史学会幹事会声明
https://jshet.net/news/whats/seimei/
[86]日本地域福祉学会 会長声明
http://jracd.jp/file/20201001_kaityoseimei.pdf
[87]日本図書館情報学会 声明
https://jslis.jp/2020/10/21/statement/
[88]日本言語学会 日本学術会議「第25期新規会員任命に関する要望書」についての声明
http://www.ls-japan.org/modules/news/details.php?bid=589
[89]経済地理学会 日本学術会議第25期新規会員推薦者の任命拒否に対する声明
https://www.economicgeography.jp/20201011/2575/
[90]比較経済体制学会 日本学術会議会員任命拒否に抗議する緊急声明
http://www.jaces.info/info_files/201019_seimei.pdf
[91]日本協同組合学会 日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明
https://www.coopstudies.com
[92]日本社会教育学会 ⽇本学術会議第25期会員候補者任命に関する声明
https://www.jssace.jp/blogs/blog_entries/view/42/972830da350c1798e59d8bde627e9016?page_id=958
[93]表現文化論学会 第25期日本学術会議新規会員の任命拒否に抗議する学会声明
https://www.repre.org/news/2020/10/6/
[94]昭和文学会 日本学術会議推薦候補任命拒否に関する学会としての対応について(第二報)
http://swbg.org/wp/?p=1773
[95]社会思想史学会 日本学術会議推薦者の任命拒否についての声明
http://shst.jp/gakujutsukaigi-ninmei-seimei/
[96]全日本民主医療機関連合会 日本学術会議会員候補の任命拒否に抗議し撤回を求める
https://www.min-iren.gr.jp/?p=41288
[97]日本映像学会 日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する抗議声明
https://jasias.jp/archives/7609
[98]政治経済学・経済史学会 日本学術会議第 25 期会員候補の選任に関する声明
https://seikeishi.com/wp-content/uploads/2020/10/日本学術会議第25期会員候補の選任に関する声明.pdf
[99]関西社会学会 日本学術会議会員任命拒否に対する声明
https://www.ksac.jp/2020/10/05/日本学術会議会員任命拒否に対する声明/
[100]日本地方自治学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する緊急声明
http://www.jaslg.org/06/kinkyu_seimei_20201008.html
[101日本ポピュラー音楽学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明
https://www.jaspm.jp/?p=3213
[102日本NPO学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する日本NPO学会理事会声明
https://janpora.org/news/201006.html
[103日本フランス語フランス文学会 政府による日本学術会議新会員任命拒否に対する声明文
http://www.sjllf.org/jokrhybjo-261/
[104日本犯罪社会学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する会長声明
http://hansha.daishodai.ac.jp/topics/seimei.html
[105ジェンダー史学会 日本学術会議第25期新規会員任命拒否に関する声明
http://ghaj.jp
[106]日本労働社会学会 日本学術会議会員候補の任命拒否に対する抗議声明
https://jals.jp/blog/?p=743
[107日本パグウォッシュ会議 日本学術会議会員任命拒否に関する声明
https://www.pugwashjapan.jp/seimei-20201004
[108日本文化人類学会 第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する緊急声明
http://www.jasca.org/news/scj.html
[109]日本法哲学会 日本学術会議会員任命拒否問題に対する声明
http://www.houtetsugaku.org
[110日本宗教系諸学会連合 日本学術会議新規会員の任命拒否について(18学協会)
http://jfssr.jp
[111日本哲学系諸学会連合 日本哲学系諸学会連合(JFPS)共同声明(10学協会) http://philosophy-japan.org/wpdata/wp-content/themes/child/file/jfps_joint_statement.pdf
[112]上代文学会 抗議声明
[113]日本近代文学会 「日本学術会議」に対する政治介入に抗議し、会員任命拒否の撤回を求めます
[114中世文学会 日本学術会議第25期新規会員任命に関する要望
[115日本近世文学会 日本学術会議会員任命拒否に関する見解
[116]日本社会文学会 「日本学術会議」に対する政治介入に抗議し、会員任命拒否の撤回を求めます
[117日本文学協会 日本学術会議第25期新規会員任命拒否にかかわる緊急声明
[118全国大学国語国文学会 日本学術会議第25期会員任命に関する声明
[119]日本思想史学会 日本学術会議会員任命に関する声明
[120]民主主義科学者協会 日本学術会議会員の違法な任命行為に抗議し、直ちにその是正を求める
http://minka-japan.sakura.ne.jp/main/wp-content/uploads/2020/10/e2924bfbbdbab1b6ab381f716da0c11a.pdf
[121]現代歌人協会 日本学術会議の新会員任命拒否に反対する声明
[122]日本考古学協会 日本学術会議会員任命をめぐる問題に関する声明

2020年10月30日金曜日

幻想の未来

手元にある筒井康隆の「幻想の未来 」(角川文庫)は1971年の文庫初版だった(山下洋輔の解説だ)。それまでは,ハヤカワ・SF・シリーズ(1957-1974)等に閉じ込められていた日本のSFが,大手出版社の文庫本を通じて拡散していく過程の嚆矢となったもののうちの一冊だ。その後「アフリカの爆弾」や「にぎやかな未来」と続いていった。「幻想の未来」が寺町大通りに出たところの藤沢書店に並んだのを見つけたときは,欣喜雀躍で早速購入したのを憶えている。

「幻想の未来」は筒井康隆の若書き(1968年)の中編だ。Ⅰ 前意識期−後期,Ⅱ 分意識期−前期,Ⅲ 分意識期−中期,Ⅳ 分意識期−後期,Ⅴ 汎意識期−前期,Ⅵ 汎意識期−後期,Ⅶ 静生代−合意期,というサブタイトルに比べて,中身はとっ散らかっている。それでもこの当時は楽しく読んだし,未来を夢見ることができた。

2020 大阪市廃止特別区設置住民投票(11月1日)・アメリカ大統領選挙(11月3日)
2021 名古屋市長選挙(4月23日)・衆議院議員総選挙(10月21日までに)
   東京オリンピック(7月23日〜8月8日)・東京パラリンピック(8月24日〜9月5日)
  (大阪市廃止を勲章として橋下が国政に乗り出し,竹中平蔵や高橋洋一と日本会議を
   組み込んだ,維新・菅自民連立政権が成立するのが最悪のシナリオか。その過程
   で国内の言論や表現の自由度は一層低下して,反知性主義とヘイトと分断が日常化。
   トランプ再選が組み合わされ日本の憲法改正・核武装や中国との武力衝突も視野に)
2022 第26回参議院議員通常選挙(7月22日)
2023 大阪府知事選挙・大阪市長選挙・大阪府議会議員選挙(4月7日)・堺市長選挙(6月9日)
2024 愛知県知事選挙(2月3日)・東京都知事選挙(7月5日)・アメリカ大統領選挙(11月)
2025 特別区設置(1月1日)・第27回参議院議員通常選挙(7月28日)

2020年10月29日木曜日

大阪市廃止まであと3日

かつて大阪市に本部のあった大学で学び,大阪市にある大学に勤務していたものとして,大変残念な事態に至っている。

2008年にあの橋下徹を大阪府知事に担ぎ上げたがために,2010年には大阪維新の会が結成されてしまった。その後,公明党の寝返りによって大阪市廃止・特別区設置住民投票が実施されたが,2015年5月17日の住民投票によってこれは否決された。

否決を受けて「もう二度とやらない」といった橋下の舌の根もに乾かないうちに,2015年11月の大阪府知事・大阪市長ダブル選挙で松井・吉村が当選してしまう。そして,2019年4月の統一地方選挙に立場を入れ替えた吉村・松井が再び当選したことによって公明党が完全に賛成側に回わり,ついに2020年11月1日の2回目の住民投票を迎えることになる。

「大阪都構想」賛否真っ二つ…“市消滅”なら大阪はもうダメかもしれない(大前治,弁護士,2020.10.23)

記者座談会 大阪市廃止仕掛ける黒幕は誰か 外資や財界の代理人・維新(長周新聞,2020.10.24)*

「大阪都構想」で大阪市民は大損する…これは時代遅れの構想だ(左藤章,自由民主党衆議院議員,2020.10.26)

大阪市4分割ならコスト218億円増 都構想実現で特別区の収支悪化も 市試算(毎日新聞,2020.10.26)

いわゆる「大阪都構想」についての大阪市民の理解度に関する調査結果 〜都構想の制度内容等を、賛成派ほど誤って認識している〜(京都大学レジリエンス実践ユニット,2020.10.27)*

「大阪都構想」は世紀の愚策…いよいよ大阪が「終わる」かもしれない(畑中章宏,作家,2020.10.28)

大阪都構想「1.1兆円の財政効率化」に実現可能性なし(幸田泉,作家,2020.10.29)

大阪都構想で“敵認定”された「大阪の公務員」、彼らが語った「やりきれぬ思い」(松本創,ノンフィクション・ライター,2020.10.29)



*追伸 2020.11.1

2020年10月28日水曜日

IPSJ MOOC

2022年度から実施される高等学校の必履修科目「情報I」にプログラミングが導入されることから,情報処理学会が教員研修や授業で利用できる動画教材(IPSJ MOOC)を順次公開している。文部科学省が「高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材」を公開していて,この第3章,第4章に準拠しているようだ。

教育用のプログラミング言語としてはpythonを用いている。50年前のFORTRAN,BASICから始まり,CやPascalを経由してJavaやJavascriptをかすめながらここに至っている。自分のgoogleアカウントでGmailにログインした後,Google Colaboratory で学習することになっている。

2020年10月27日火曜日

多核種除去設備等処理水

蟹甲殻類大腿部歩脚身取出器具みたいな用語である。

 多核種除去設備等処理水(ALPS処理水,ただし処理しきれなかった核種を含む)のことをトリチウム水とよんで,よってたかって安全だというのがキクマコらの手口。おしどりマコが「【福島第一】測定員不足、計器故障、二次処理の実験もされないまま議論は大詰めに【ALPS処理水】」で,細野豪志のデマを叩き潰していた(時間順序はべつとして)。

トリチウムのベータ崩壊は,ニュートリノ質量の問題でも馴染み深い遷移だ。大阪教育大の1999年の物理の入試問題でも出題したことがある。1970年代に設置された富山大学トリチウムの研究センター(現在の水素同位体科学研究センター)の記事を読んだ当時から,トリチウムの安全な取り扱いは非常に難しいものだという印象を持っていた。トリチウムのベータ崩壊は半減期が12.3年で,ベータ線の最大エネルギーが18.6 keVだけれど,生体分子の水素と置き換わる可能性があるからだ。ところがいつの間にか安全な核種の代表みたいな触れ込みになってしまった。

おしどりマコのいうように実は敷地内に貯蔵タンクの設置可能な場所がまだ十分あるのならば,これを37年貯蔵して放射能を1/8にしてから(他の核種で汚染されていないものを)順次放出ということもあるのかもしれないがどうなのだろう。

一方,炭素年代測定でおなじみの,14C(半減期が5730年で,ベータ線の最大エネルギーは156keV)もALPSで除去できていないらしい。これも大阪教育大の2001年の入試問題で出題した。超微細状態からのミューオン捕獲でも取り上げた核種だ。

2020年10月26日月曜日

市制

現在ある「市」という自治組織は,1888年(明治22年)に公布された市制によってスタートしている。1889年に市制が施行されたのは次の40市(東京,京都,大阪,堺,横浜,神戸,姫路,長崎,新潟,水戸,津,名古屋,静岡,仙台,盛岡,弘前,山形,米沢,秋田,福井,金沢,富山,高岡,松江,岡山,広島,赤間関(現下関),和歌山,徳島,高松,松山,高知,福岡,久留米,熊本,鹿児島,佐賀,岐阜,甲府,鳥取)である。

この時点で,札幌,青森,福島,宇都宮,前橋,千葉,浦和,大宮,長野,松本,大津,奈良,山口,宮崎,那覇などはまだ市ではない。例えば奈良は人口2万4千人の奈良町(町村制)だ。なお,市制・町村制に連動する府県制は1890年に施行されている。

なお,Wikipediaによれば,1888年12月31日の人口は以下の通り。
1 東京市 東京府 1,389,684
2 大阪市 大阪府 476,271
3 京都市 京都府 279,792
4 名古屋市 愛知県 162,767
5 神戸市 兵庫県 135,639
6 横浜市 神奈川県 121,985
7 金沢市 石川県 94,257
8 仙台市 宮城県 90,231
9 広島市 広島県 88,820
10 徳島市 徳島県 61,107
うーん,金沢市と徳島市が脱落したのか・・・

東京市,大阪市,京都市は,市制特例が適用された。すなわち,特例として市制の一部が適用されず,市長の職務は府知事が代行した。このため自治権を与えられなかった三大都市は自由民権派の働きかけによってこの回復を図り,1898年に特例は廃止された。この度の「大阪市廃止・特別区設置」謀略は,実に122年ぶりの逆コースを目指していることになる。


2020年10月25日日曜日

令和の日本型学校教育

 中央教育審議会の初等中等教育分科会の答申の中間まとめ「令和の日本型学校教育」の構築を目指して 〜全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現〜」が10月7日にでていた。

(1) 学校教員の過重負担労働の問題,(2) 外国人教育・特別支援教育・児童生徒支援の問題,(3) ICT教育の問題,などにどのように対応するかが例によって総花的に取り上げられている。これまでは,学校教員の過重労働を軽減するため,チーム学校による外部人材の活用で教員は授業へ力を注ぐという話だった。ところが,コロナ禍を奇貨として教員数を増やすための論理構築の都合上,いつの間にか「日本型教育」の強みは,学校が子供の生活を丸抱えしているところにあるという話にすりかわっていた。英語教育とプログラミング教育の重しを膝の上にのせたままで。ここにきて破綻が確実な教員免許更新制についても,腰が引けながらも再検討を言い出している。

2020年10月24日土曜日

科学技術・イノベーション基本法

 10月23日の日本外国特派員協会の記者会見において,菅首相により日本学術会議会員への任命を拒否された6名がそろって意見表明を行った。記者会見に参加したのは芦名定道・京都大教授(宗教学),岡田正則・早稲田大教授(行政法学),及びオンラインで,小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学),松宮孝明・立命館大教授(刑事法学)。また,宇野重規・東京大教授(政治思想史)と加藤陽子・東京大教授(日本近代史)はメッセージで意見を明らかにした。

加藤陽子さんのメッセージは東京新聞の記事になっているが,これを引用しておく。

 今回の任命拒否を受けて感じたのは第1に,2011年施行の公文書管理法制定まで有識者として関係してきた人間として,法解釈の変更なしには行えない違法な決定を菅義偉首相がなぜ行ったのか,意思決定の背景を説明できる決裁文書があるのか、政府側に尋ねてみたい。

 任命拒否の背景を考える際に留意すべきなのは,拒否された6人全員が学術会議第1部(人文・社会科学)の会員候補だったこと。日本の科学技術の生き残りをかけるため1995年に制定された重要な法律に科学技術基本法というものがあるが,この法は今年25年ぶりに抜本的に改正され「科学技術・イノベーション基本法」となった。改正前の法律では「人文・社会科学」は,科学技術振興策の対象ではなかった。つまり法律から除外されていた分野だった。しかし,新法では人文・社会科学に関係する科学技術を法の対象に含めることになった。

 世の中のSNS上では「役に立たない学問分野の人間が切られた」との冷笑的な評価があったが,真の事態は全く逆で,人文・社会科学の領域が,新たに科学技術政策の対象に入ったことを受けて,政府側が改めてこの領域の人選に強い関心を抱く動機づけを得たことが事の核心にあると,私は歴史家として考える。新法の下では,内閣府の下に「科学技術・イノベーション推進事務局」が司令塔として新設されるという。自然科学に加えて,人文・社会科学も「資金を得る引き換えに政府の政策的な介入」を受ける事態が生まれる。

 日本の現在の状況は,科学力の低下,データ囲い込み競争の激化,気候変動を受け「人文・社会科学の知も融合した総合知」を掲げざるを得ない緊急事態にあり,ならば,その領域の学術会議会員に対して,政府側の意向に従順でない人々をあらかじめ切っておく事態が進行したと思う。

 「科学技術」という日本語は,意外にも新しい言葉であり,1940年8月,総力戦のために科学技術を総動員した際に用いられ始めた言葉だった。このたび,政府は「科学技術・イノベーション」という新しい言葉を創ったが,国民からの負託がない,官僚による科学への統制と支配は国民の幸福を増進する道ではない。私は学問の自律的な成長と発展こそが,日本の文化と科学の発展をもたらすと信じている。

ここで登場する科学技術・イノベーション基本法2021年4月1日施行,1995年施行の科学技術基本法を改正したもの)がまさに日本学術会議法にとってかわるものとして措定されている。
総合科学技術・イノベーション会議は内閣総理大臣を議長として,6名の関係閣僚,7名の有識者(うち6名は非常勤議員),1名の関係機関の長(これが日本学術会議会長=梶田さん)から構成されている。つまり日本学術会議の実質はすでに換骨奪胎されてこちらに奪われている。

[1]内閣府設置法(2000年改正で総合科学技術会議を内閣府に設置)

2020年10月23日金曜日

大阪市立精華小学校

 名古屋大学名誉教授の福井崇時(ふくいしゅうじ)先生(1923-2018)は,阪大物理出身で福井宮本の放電箱で有名だ。福井先生は大阪市生まれで,1930年に大阪市立精華小学校に入学している。その一節を引用するとつぎのようになる。

校舎は地下1階、地上4階の鉄筋構造。・・・地階と 便所を除き、全室の床、廊下、階段の床も板張り、壁も高さ1メートル程は化粧板の板張り(年2回油 引きがされた)。階段の手摺も丁度良い高さに木材の覆い、格好の滑り台となった。廊下も含めて全室に ラジエーターがあるスチーム暖房。地階から4階までのエレヴェーターが2個所(生徒は単独では乗れ ない)。理科、音楽、図画、工作の特別教室と畳敷きの作法教室があった。グランドピアノが4階の講堂、 1階の雨天体操場、音楽教室、幼稚園と計4台。・・・机は特製。・・・この特製机の一番の特徴は、生徒の座高と脚の長さに合わせて、それぞれの高さが調節できる構造になっていることである。学年の初めと夏休み開けに校務員さんが予め 身体検査で測定されている各自の座高と膝下の長さとに合わせて調節してあるが、微調整のため教室へ 来て下さる。1年後に進級すると教室も代わる。新学期には既に高さが調整された机に生徒個々の名前 が書かれた紙を貼り並べられていた。

 大阪市立精華小学校,現在は統合移転されて大阪市立南小学校になってしまい,その跡地は売却されて見る影もない。一方,京都の番組小学校では,明倫小学校や龍池小学校のようにその跡地が保存・再利用されている例もある。かつての日本は初等教育にここまで力を注いでいたということだ。大阪では維新を始めとする「新自由主義」の信者達によって公共財の売却の餌食となってしまった。そしてその大阪市も日本に先駆けてまもなく終焉を迎えようとしている。

[1]精華小学校の写真(Twitter ブンチョウママさんより)
[2]私の精華小学校写真展(Facebookより)

2020年10月22日木曜日

ハンスト(2)

 菅野完の官邸前ハンストは20日目を迎えた。その後の記事をいくつか探してみた。10/12には「日本学術会議任命拒否問題・菅野完ハンスト11日目のスピーチ」や「日本学術会議への人事介入へ抗議する 菅野完・緊急スピーチ」があり,10/14のHARBOR BUSINESS Onlineには,藤倉善郎による「日本学術会議問題。官邸前で可視化される法治国家の崩壊」が載っている。10/19にデモクラシータイムスの池田香代子によるインタビュー「著述家菅野完さんはなぜ2週間超のハンストを続けるのか」があった。田中龍作によるBLOGOSの記事も続いている。ツイキャスの配信はここからも見えるが,ドクターストップが近いかもしれない。

追伸1:「菅野完氏 ハンストライブキャスより 初めての呼びかけと現時点での総括」(2020年10月19日)

追伸2:フランス人記者からのインタビュー「菅野完氏 外国人記者からのインタヴュー 2020年10月21日 #日本学術会議への人事介入に抗議する #ハンストの現場から」,「菅野完氏 ハンストライブキャスより 初めての呼びかけと現時点での総括(2020年10月21日)」

追伸3:「菅野完氏 ハンストライブキャスより :娘に脅迫状が来た〜官邸に勝って学術会議に負けた・・」(2020年10月24日)

追伸4:官邸前に登場した新しい戦い「本を読むことが抵抗だ」:田中龍作ジャーナル(2020年10月25日)

追伸5:日本学術会議問題、菅野完氏がハンストで伝えたメッセージ法を破った内閣総理大臣に対する「戦い」はどうあるべきなのか:論座,藤倉善郎(2020年10月28日)

[1]日本学術会議への人事介入は何が問題か三春充希:みらい選挙プロジェクト
[2]求められる為政者の度量

2020年10月21日水曜日

大学入学共通テストの再編

 2021年1月から新たに実施される「大学入学共通テスト」。これまでの6教科30科目を2025年から7教科21科目に再編するという案が出ている。むむむ。理科の基礎科目統合はどんなイメージだろう,問題選択制かなあ。


【現行 6教科30科目】
[国語1]国語
[地理歴史6]世界史A・世界史B・日本史A・日本史B・地理A・地理B
[公民4]現代社会・倫理・政治経済,倫理政治経済
[数学6]①数学Ⅰ・数学Ⅰ数学A
     ②数学Ⅱ・数学Ⅱ数学B・簿記会計・情報関係基礎
[理科8]①物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎
     ②物理・化学・生物・地学
[外国語5]英語(リーディング/リスニング)・ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語

【新規 7教科21科目】 [国語1]国語
[地理歴史・公民6]地理総合地理探究・歴史総合日本史探究・歴史総合世界史探究・
           公共倫理・公共政治経済・地理総合歴史総合公共
[数学3]数学Ⅰ・数学Ⅰ数学A・数学Ⅱ数学B数学C
[理科5]物理基礎化学基礎生物基礎地学基礎・物理・化学・生物・地学
[外国語5]英語(リーディング/リスニング)・ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語
[情報1]情報

2020年10月20日火曜日

fj.books

 fjのアーカイブはgoogle などいくつか見てきたが,Unified fj NetNews archive渡邊克宏)は知らなかった。1992年は1/3程度,1996年以前は2/3程度しかarchiveできていないということだが,幸いにも1992年5月の自分の最初の投稿は見つかった。 

Path: galaxy.trc.rwcp.or.jp!sparky!uunet!ccut!wnoc-tyo-news!sranha!sranhb!okds1!koshi
From: koshi@okds1.osaka-kyoiku.ac.jp (Kunio Koshigiri)
Newsgroups: fj.books
Subject: Re: "zoku meian"?
Message-ID: <171 okds1.osaka-kyoiku.ac.jp="">
Date: 21 May 92 13:13:53 GMT
References: <43025 ntttsd.ntt.jp="">
Followup-To: koshi@cc.osaka-kyoiku.ac.jp
Distribution: fj
Organization: Osaka Kyoiku University
Lines: 14
Xref: galaxy.trc.rwcp.or.jp fj.books:2905
X-originally-archived-at: http://galaxy.rwcp.or.jp/text/cgi-bin/newsarticle2?ng=fj.books&nb=2905&hd=a
X-reformat-date: Mon, 18 Oct 2004 15:18:22 +0900
X-reformat-comment: Tabs were expanded into 4 column tabstops by the Galaxy's archiver. See http://katsu.watanabe.name/ancientfj/galaxy-format.html for more info.
手元の本によりますと
+- - - - - - - - - - - - - - - - -+
「續 明暗」
著作者:水村美苗(約370ページです。)
発行所:筑摩書房(03-5687-2680:営業)
発行日:平成2年11月20日(初版第5刷)
ISBN4-480-80294-0 C0093
定価:2060円
+- - - - - - - - - - - - - - - - -+
私が購入したのは去年の2月ごろです。

越桐國雄@大阪教育大学
(Today's Diary: NeXT ni $750 no Mathematica wo yatto Install
site hotto sitetara $250 no Offer wo mitukete simatta; Sigh)

2020年10月19日月曜日

認証官

日本学術会議の会員6名に対する任命拒否にからみ,首相の菅義偉(1948-)と並んで 内閣官房副長官(事務)の杉田和博(1941-)の関与があったのではないかと囁かれている。警察庁の役職を歴任した杉田は,2004年に63歳で第二次小泉内閣の内閣危機管理監を退任して世界政経調査会会長として天下った。その後,2012年に71歳で第二次安倍内閣の内閣官房副長官(事務)に就任し,2020年の菅内閣の現在まで8年近くこのポストを続けて79歳に達している。

このポストは,自治省,警察庁,厚生省の事務次官経験者レベルで回しているようだ。1987年から1995年の8年7内閣にわたって石原信雄(自治省)が務めているが,それでも69歳で退任している。

2001年の第二次森内閣のときに,内閣法が改正されて内閣官房副長官は認証官となっている。認証官とは任免にあたって天皇の認証が必要な官吏である(通称であり法律用語ではない)。

日本国憲法第7条

第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

 5 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

ということで,内閣官房副長官は官吏なので国家公務員法を参照することになるが,これは,一般職ではなく特別職であるため,この法が直接適用されるわけではないので,その任免や基準についてはよくわからなかった。

内閣法には,第十二条で「内閣官房を置く」とし,第十四条で「内閣官房に、内閣官房副長官三人を置く。2 内閣官房副長官の任免は、天皇がこれを認証する」とあるだけだ。ということは,内閣官房副長官の任免は内閣の職権でおこなわれることから,内閣総理大臣が提案して閣議で決定されるということだろうと思われる。特別職として委嘱するので定年という概念はあてはまらないということか。

非常に重要なポストであるにもかかわらず,他の認証官と比べて制度が意図的に明確化されていないために,長期に渡って特定の人物が滞留する現象が起こるわけだ。

さて,元に戻れば,立教大学の中原淳が日本学術会議問題について語っているのが本質をついているような気がする。

本丸は、おそらく「大学」「メディア」「司法」。つまりは、この国の「言論」と「判断」だと思う。それらを政治のコントロールのなかに入れることが「本丸」だと思う。陰謀論のように感じられるかもしれないが、おそらく、そうだろう。。。学術会議は、その格好の「最初の餌食」だ。なぜなら、学術会議の功績は、世間からは遠い。世間からもっとも成果が見えにくいところをついて、世論を味方にして任命権の拡大解釈を行う。世論を味方にする最高の方法は「携帯電話の料金引き下げ」だ。それは、実現すれば、僕だって嬉しい(笑)。

しかし、これを背景にした「任命権の拡大解釈」こそが今後の「すべての既成事実」となりうる。「任命」を「任命拒否することも含む」と解釈しその理由もさして述べる必要なく「俯瞰的・総合的な判断で決めました」でよいのなら、あとは「やりたい放題だ」個人的には、今回の件を「既成事実」にして、この流れが「他の領域に拡大されること」を最も憂慮する。

すなわち、拡大されるのは、大学・メディア・司法。事実、政権の「任命」する職は少なくない。たとえば、国立大学の長は、文部科学省大臣の「任命」。NHKの長を選ぶ経営委員会は、国会をへて、内閣総理大臣によって「任命」。検事総長も内閣総理大臣による「任命」。下でどんな議論をしようが、上で「拒否できる」任命権が「任命拒否も含むと解釈できる」という「既成事実」をつくったならば・・・。きっとこの件は、長く禍根を残すと思う。



2020年10月18日日曜日

Google 日本語入力

 オンライン上のGoogle 日本語入力は聞いたことがあったような気がしていたが,ダウンロードしてMacにインストールできるようになっていた。評判を調べてみるとまあまあなのかもしれない。日本語IME(旧ことえり),ATOK,かわせみ2との比較記事もあった。これまではかわせみ2を使っていたがさして不便は感じていない。iOSはどうかと調べると,Gboardというアプリ経由になるようで評判も今一つであった。

追伸:中核派へのお笑い家宅捜索(毎日新聞)と並んで,昨日の中曽根葬儀の写真が話題だ。秋篠宮ファミリーが参列したようだ。招待により参加したのが結局1400人なのか650人だったのよくわからない。グレイのロングコートで不気味に並んだ自衛官の写真が日本の将来を暗示している。勲章を派手に並べた演出もきもち悪くて,日本の今日の崩壊過程の礎(原発・公的セクター破壊・対米従属軍拡)を築いたことがどこかから称賛されているのだろうと思われる。そして日本学術会議の梶田さんの腰砕けぶりにも非難轟々だが,野尻さんのいうように誰であっても結局同じようなものなのかもしれない。こうして確実に我々の自由は奪われていく。


写真:中曽根元首相・合同葬の会場入り口に並ぶ自衛隊の儀仗兵
 撮影:田中龍作(田中龍作ジャーナルより引用)


2020年10月17日土曜日

従一位

 2019年の11月29日に亡くなった中曽根康弘の内閣・自民党合同葬が,10月17日午後2時からグランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで開催される。3月15日に行われる予定だったものが,新型コロナウイルス感染症のために延期されていた。これにともなう公費支出や各省庁・学校,裁判所などへの弔意表明要請の通知に抗議が集中している。一方,これまでにも前例があるということで擁護する意見も出ているが,微妙に条件が異なるため丁寧に見る必要がある。

菅首相による新自由主義的再編の精神的シンボルとして位置づけれられるのかもしれないこの問題が,学術会議問題や対面授業問題とも共鳴・干渉して,大学へは暗黙の(むしろ明示的な)圧力となっている。

その中曽根は,没後に従一位に叙せられている。日本の位階制度をみると,第二次世界大戦後に生存者に対する叙勲は停止されていたが,1947年に位階令が改正されて復活している。

現行の位階は,正一位(しょういちい)から従八位(じゅはちい)までの16段階となっている。1960年以降に没後追賜で従一位(じゅいちい)に叙されたのは,鈴木貫太郎(1960正二位),吉田茂(1967正三位),佐藤栄作(1975従四位),中曽根康弘(2019従六位)の4人だけだ。なんだか生前の位階と比べるとインフレ気味に感じるのは気のせいか。他の内閣総理大臣らは正二位に並んでおり(注:宮澤喜一は大勲位も位階も辞退している),従二位に湯川・朝永・八木・長岡などの名前が見られる。松下幸之助・井深大・盛田昭夫は正三位(しょうさんみ)なのか。


[1]「中曽根首相「1億円合同葬」強行、しかも教育現場に弔意強要 菅政権は「前例踏襲」と説明するが、明らかに特別扱いが…」(リテラ,2020.10.17)
[2]内閣総理大臣の位階勲等(歴代内閣)
[3]美輪明宏 v s 中曽根康弘(堺からのアピール,2013.03.05)

2020年10月16日金曜日

平岡倭文重

平岡倭文重(ひらおかしずえ, 1905-1987)は,三島由紀夫(平岡公威,1925-1970)の母である。倭文重は,加賀藩の漢学者であった橋健堂(1822-1881)の孫だということで,三島と金沢の繋がりをもたらしている。なぜ,ここにたどり着いたかというと,桐野夏生と金沢の関係を探していたら,金沢市のホームページに,「文人が愛し魅了され、今も味わえる金沢の食」というのを見つけたからだ。三島と金沢の係わりについてはそれほど詳しく書かれていなかったが,「美しい星」の舞台が金沢(内灘)だとある。

「美しい星」といえば,高校1年のときに米島君にすすめられて,英語の高橋健先生(ESSの顧問でもあった)の授業中にこっそり読んでいたら,隠し読みの要領が悪くて叱られたことを思い出す。「美しい星」はその後,新潮文庫で落ち着いて読むことになるが,SF好きの高校生としても,まあそこまでおもしろくはなかった。

高校2年の秋に三島由紀夫が割腹自殺したというニュースが飛び込んできたのは,高校を抜け出して隣の食堂に昼ご飯を食べに行っていた米本良平君がテレビのニュースを見て知らせてくれたときだ。クラス全員が,えーっとなってしまった。三島由紀夫はときどき話題になることがあった。片町の裏通りの「たぬき」という洋食屋が三島のお気に入りだったという話を,これも米島君からきいたのかもしれない。

「たぬき」に行ったことがあるかと聞かれたが(その話が出た高校時代にはもうなくなっていたのかもしれない),小学校低学年のころに家族でコース料理を食べにいったことがある。じゃがいものポタージュというものが初めてだったので,その見かけにも味にも(味噌汁ではない白くておいしいスープなのだから)強烈な印象が与えられた。その他にも,はじめての和式水洗便所だとかはじめてのホットオレンジジュースだとか,なかなか素敵に刺激的な,しかし落ち着いた店だった。

2020年10月15日木曜日

夜の谷を行く:桐野夏生

 桐野夏生の「夜の谷を行く」を読了。そうか,立松和平の「光の雨」も読んでいなかったのだ。これが高橋伴明により映画化されたものはネットで部分的に見たような気もする。丁寧に読んだパトリシア・スタインホフの「死へのイデオロギー 日本赤軍派(岩波現代文庫)」は手元にある。この他の当事者らの著作群にはちょっと手が出ないが,山本直樹の「レッド(全8巻)」,「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ(全4巻)」,「レッド 最終章 あさま山荘の10日間(全1巻)」は読んでみたいと思っている。

さて,「夜の谷を行く」に戻る。弁護士の大谷恭子さんの解説を先に読んでしまったので,どうしても推理が先立ってしまい最後の着地が決まらなかった。そうでなくても桐野夏生の小説の終わり方はこんな感じなのだから。素材も展開も悪くはないが,自分が期待するのがもう少しだけ重いものなので,期待感と読後感の間にズレが生ずるのが桐野夏生だ。

これまでにも何冊か買っているが(おもわず読んでみたくなるテーマを取り上げるのがうまい),最初に図書館で借りて読んだ「OUT」が一番良かったかもしれない。

桐野夏生は1951年金沢生まれだが,父親は転勤族であり,3歳で金沢を離れていて仙台,札幌を経由して中学以降は東京で育っているようで,金沢との関係の痕跡がほとんど見えてこない。でも自己紹介には「金沢生まれ」とあるので,なんらかのこだわりがあるのかもしれないけれどよくわからない。

2020年10月14日水曜日

iPhone12

 Apple iPhoneの5GモデルであるiPhone12が発表された。4つの機種がある。5.4インチ2カメラの12 mini,6.1インチ2カメラの12,6.1インチ3カメラの12 Pro,6.7インチ3カメラの12 Pro Max だ。この前 SE2に更新したばかりなので,当分(数年)手を出すつもりはないけれど,今回のモデルチェンジはデザインもすっきりしているし,コンセプトもOK(大層なカメラも慣れてしまった)なので,昔だったら早速買っていたかもしれない。


写真:Apple のウェブサイトから引用


2020年10月13日火曜日

人間ドック(1)

 昨日は晴れ。大手前病院の人間ドックの受診日だった。今年度になって大阪市に出るのもこれが2回目か。そういえば,政令指定都市の大阪市の存続も風前の灯となっている。菅首相のもとで勢いづいている大阪維新に対し,なかなか有効な反撃の手だてが見つかっていない。

新型コロナ感染症対策が厳重になされている中での人間ドックだったが,受診者は例年より多かったかもしれない。なんだか混んでいた。なじみの職員が入れ替わっていたり,あいかわらず胃X線が荒っぽかったり,このごろ眼底検査の要領が悪かったり(こちらの目が濁ってきているのかな),聴力検査の説明がやけに丁寧だったり,心電図のペーストがべとつかなくなったり,なんとなく例年とは違う空気を感じる。ここでの診断も,共済組合の任意継続が終了するので今年限りかもしれない。

大阪城が見える見晴らしのよい12階のレストラン(職員食堂)の人間ドックサービスメニューが変更されていた。昨年までのうどん+おにぎりが,和定食,洋定食,やわらか食の三択になっており,洋定食を注文したところ,ななかなクオリティが高かった。

血液検査の速報値も出るようになった。あいかわらず悪玉コレステロールの値が高すぎる。


写真:12F職員食堂にて洋定食(2020.10.12 撮影)

2020年10月12日月曜日

ハンスト(1)

 菅野完が,菅政権による学術会議人事への介入に抗議して,10/2の午後から官邸前でハンストに入っている。前日あたりに,YoutubeのSEE IT NOW -LIVEで,この重大な事案にどうやって意思表示するかを語っていた。大袈裟太郎が,そのスタート時の様子を「菅野完ハンスト、密着ドキュメント」でライブ中継している。マスコミが当然のようにこれを取り上げない中,田中龍作ジャーナルが,本人にインタビューをしている。1週間目の10/9に,大竹まことゴールデンラジオ(室井佑月と青木理)が同じくオンラインインタビューを流していた。日本の大手メディアが完全に無視する中,海外メディアのARAB NEWSが "Japanese man goes on hunger strike in front of Prime Minister Suga's office" として紹介している。



P. S. 菅野完がどのような意図で抗議弾幕にエミール・ゾラの写真をいれているのかは不明(もしかしたらエミール・ゾラではないのかもしれない・・・)
P. P. S. 菅野完によれば,ドレフュス事件の故事にちなんでのゾラだとのこと。


2020年10月11日日曜日

坪枯れ

 10月6日の奈良テレビ放送のニュースによると,「稲刈り目前に,稲の「坪枯れ」被害深刻」ということだ。そういえいば散歩の途中でみる田んぼの多くに茶色く枯れて倒れた部分が目に付いて気にはなっていた。この原因は「トビイロウンカ」という害虫で,奈良県では次のような状況であるらしい。

県病害虫防除所によりますと、7月にウンカの発生が確認され、注意を呼びかけていました。そして、9月に入って県内で被害が目立ち始め、9月下旬に行った調査では、ウンカが発生している田んぼは全体の47%でしたが、10月上旬に行った緊急調査では50%を超えたといいます。

なかなか厳しいことになっている。

 


写真:奈良県の坪枯れの例(撮影 2020.10.11)

2020年10月10日土曜日

村上陽一郎

学術会議(4)からの続き

菅首相は,ついに「会員任命を最終的に決裁したのは9月28日,会員候補リストを拝見したのはその直前だったと記憶している,その時点では最終的に会員となった方(99人)がそのままリストになっていた」(時事通信より抜粋)といい出してしまった。しかし,まともにその論理矛盾を質せるマスコミは皆無の有り様。

そして,村上陽一郎が,「学術会議問題は「学問の自由」が論点であるべきなのか?」などとして,政権擁護(=学術会議批判)発言をはじめたので,ネトウヨや御用学者が大喜びでエサに飛びついている。特に「七期も連続して務めたF氏を中心に,ある政党に完全に支配された状態が続きました」というフレーズが適当に解釈されて拡散されている。F氏が憶測をよんでいるが,伏見康治は7年会長を務めたが,公明党の参議院議員(1983-1989)だったし(日本共産党ではない),福島要一という名前もでてきているが,彼は11期会員を務めている。まともに相手しないほうがよいのだろうけれど,影響力が残存しているので面倒だ。

歴代会長一覧
第1期(昭24.1~昭26.1) 亀山直人
第2期(昭26.1~昭29.1) 亀山直人
第3期(昭29.1~昭32.1) 茅誠司
第4期(昭32.1~昭35.1) 茅誠司
第5期(昭35.1~昭38.1) 和達清夫
第6期(昭38.1~昭41.1) 朝永振一郎
第7期(昭41.1~昭44.1) 朝永振一郎
第8期(昭44.1~昭47.1) 江上不二夫
第9期(昭47.1~昭50.1) 越智勇一
第10期(昭50.1~昭53.1) 越智勇一
第11期(昭53.1~昭56.1) 伏見康治
第12期(昭56.1~昭60.7) 伏見康治
     (昭57.10~昭58.5) 久保亮五
     (昭58.5~昭60.7) 塚田裕三
第13期(昭60.7~昭63.7) 近藤次郎
第14期(昭63.7~平3.7) 近藤次郎
第15期(平3.7~平6.7) 近藤次郎
第16期(平6.7~平9.7) 伊藤正男
第17期(平9.7~平12.7) 吉川弘之
第18期(平12.7~平15.7) 吉川弘之
第19期(平15.7~平17.9) 黒川清
第20期(平17.10~平20.9) 黒川清
第21期(平20.10~平23.9) 金澤一郎
第22期(平23.10~平26.9) 大西隆
第23期(平26.10~平29.9) 大西隆
第24期(平29.10~令2.9) 山極壽一
第25期(令2.10~令5.9) 梶田隆章

村上陽一郎はブルーバックスの「新しい科学論」を大学院時代に読んでいたが,もうひとつわかったようなわからなかったような印象があって,他にも何冊か買ってしまった。しかし,その評価を決定づけたのは,藤永茂先生の「ロバート・オッペンハイマー −愚者としての科学者」などでの,シラードやオッペンハイマーに関する見方である。詳細は,黒木玄さんのまとめ「藤永茂による村上陽一郎批判」に詳しい。それやこれやで,村上陽一郎はほとんど信頼していないのだが,今回更にそれが強化された。

2020年10月9日金曜日

学術会議(4)

学術会議(3)からの続き 

学術会議の在り方問題に話を捩じ曲げてしまおうとする政府与党。在り方問題についてはこれまでも一定の議論がなされてきた。

(1)2003年7月の学術会議国際協力常置委員会による各国アカデミー等調査報告書では,旧7部制時代の各国アカデミーの比較であり,日本学術会議の予算は14億円だが,女性会員比率は3%にとどまっていた(現在は40%を越える)ころだ。科学アカデミーの設置形態は,欧米ではほとんどが非政府・非営利組織であるが,アジアは政府機関に位置づけられている。そうはいっても,例えば全米科学アカデミー(日本の20倍の予算・人員規模)でも設置には法令的根拠があり,年間予算のほとんどは,連邦政府機関から来ている。

(2)同じ2003年の2月には,総合科学技術会議(現在の総合科学技術・イノベーション会議)の専門調査会が「日本学術会議の在り方について」をまとめている。中央省庁改革の一環として当時総務省におかれていた日本学術会議の在り方を検討することになった。これを受けて7部制が3部制になり,会員選出方法も学会推薦から現行のものに変更され,連携会員が導入された。そこでは次のような提言がされている。

日本学術会議が、科学的水準の高い提言等の活動を行い、その権威を高め、社会に貢献していくためには、優れた研究者が科学的業績に基づいて会員に選出されることが重要であり、欧米諸国のアカデミーのco-optation方式(現会員による欠員補充)による選出を基本とすることが適切である。

 政府は,総合的・俯瞰的というのをこのあたりから引いているのかもしれないが,これは学術会議全体として実現されるべき要件であり,会員選出過程の要件としては明文化されていない。なお,設置形態については「 最終的な理想像としては、国家的な設置根拠と財政基盤の保証を受 けた独立の法人とすることが望ましい方向であると考えられる」としている。

(3)これを踏まえて,2015年3月には「日本学術会議の将来展望を考える有識者会議」の報告書が出ている。2005年改革で(2)の大きな課題がクリアされていたため,ここではマイルドな提案しかかでてきていない。例えば,会員選考については次の記述がある。

その会員・連携会員は,自らの専門分野において優れた成果をあげていることに留まらず,様々な課題に対し,自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点をもって向き合うことのできる人材であることが望ましい。

菅政権を支える官僚はこれから,6名を排除した言い逃れの文言を編み出したようだが,抽象度が高すぎ,これを用いればすべての人事に介入する道を開いてしまう。予算の話も同様だ。

2020年10月8日木曜日

ネイチャーの論説

 どうしてこんな世界になってしまったのか。

10月6日号のネイチャーが,"Why Nature needs to cover politics now more than ever" という論説を掲載した。政治が科学を蹂躙している例として,アメリカのトランプ大統領,ブラジルのボルソナール大統領,インドのモディ首相にならんで,日本の菅首相の学術会議の問題も取り上げられている。

その結論を引用すると次のようになる。

国が学術の独立性を尊重するという原則は、現代の研究を支える基盤の一つであり、この原則が侵食されると、研究と政策立案における質の基準と完全性に重大なリスクが生じる。政治家がこの誓約を破れば、人々の健康、環境、社会を危険にさらすことになります。

これが、ネイチャーのニュース特派員が、世界中の政治と研究で何が起こっているのかを見て報告するための努力を倍増させる理由です。それは、私たちの専門家の解説の著者が開発を評価し、批判し続ける理由です。

そして、本誌の編集ページでは、政治家に対して、学習と協力の精神を受け入れ、異なる視点を大切にし、科学的・学術的自治へのコミットメントを尊重するよう、引き続き呼びかけていきます。

科学と政治の関係を導いてきた慣習が脅かされており、ネイチャーは黙って見ているわけにはいきません。

ネイチャー 586, 169-170 (2020)

そして,Scienceにもとりあげられた。"Japan's new prime minister picks fight with Science Council By Dennis Normile Oct. 5, 2020" 

2020年10月7日水曜日

学士院

 インターネットの普及によって,情報の拡散力が圧倒的に強化された。その結果我々の予断(単純な因果/物語による思い込み)と一致するフェイクは瞬く間に拡がるが,複雑な現実を反映した正しい情報での上書きは困難を極めることになる。

学術会議問題でもフェイクが横行している。フジテレビ報道局解説委員室上席解説委員の肩書きを持つ平井文夫がフジテレビ系の番組で,「日本学術会議に6年在籍すれば日本学士院に行き終身で多額の年金がもらえる」というデマを振りまいて,視聴者の「劣情」を煽った。あいかわらずの政権擁護仕草だ。フェイクだという抗議が続いたが本人はまともな謝罪もしない。橋下が始めた維新話法と同じ構造。

日本学士院は,「学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関として文部科学省に設置されており,学術の発展に寄与するため必要な事業を行う」ことを目的としている。日本藝術院が,「芸術上の功績顕著な芸術家を優遇するための栄誉機関であり,芸術の発達に寄与する活動を行うとともに,芸術に関する重要事項を審議し,これを文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述べることができる」とパラレルな関係にある。

日本学士院は,かつては日本学術会議の付置機関であったが,1956年に独立した。ノーベル賞級の学者だけが終身会員として選ばれており,現在の定員は150名である。日本芸術院のほうは,終身会員の定員が120名であり,それぞれ年金は250万円である。なお,文化功労者の年金は350万円,文化勲章にもこれが適用される。また,人間国宝(重要無形文化財の各個認定保持者)の場合は,年額200万円の特別助成金を交付されている。

学士院の会員(物故者を含む)で直接話をしたり目視したことがある人をチェックしてみた。大澤文夫(生物物理学),大塚久雄(西洋経済史),関集三(物理化学),中川善之助(民法),湯川秀樹(理論物理学),霜田光一(物理学),難波精一郎(心理学),山崎敏光(物理学)。

授業を受けたのは阪大の教養の心理学の難波先生。音響心理学の話がとても面白かった。心理学の半分はサルの糸魚川先生だったのかな。山崎先生は,学会でもよく見かけたけれど,ミューオン物理の集中講義がM1のときにあった。霜田先生は物理教育学会の理事会つながり。あとは,講演会などなど。1970年前後に金沢大学の学長だった中川善之助先生は金沢一中の先輩だが,自分が金沢泉丘高校の2年か3年のときに講演に来て下さった。「私がこれからする話は,将来きっと忘れてしまうと思うけれど」という講話の最初の部分だけが普遍的な真理としてきっちり記憶に残ってしまった。

ちなみに,ノーベル賞受賞者で目視したことがあるのは,J. バーディーン,湯川秀樹,T. D. リー,南部陽一郎あたりか。

2020年10月6日火曜日

学術会議(3)

学術会議(2)からの続き

安倍政権時代の2017年の前回の学術会議の105名の交代会員の推薦過程で,官邸が介入し110名超の名簿を出させたという話が出てきた。

菅首相は,記者会見を開くかわりに少数のマスコミに対するインタビューという形式を使って,逆宣伝を始めている。(1) 10億の予算を使った組織の,(2) 特別公務員に任命するが,(3) 現行の会員推薦過程は現会員が推薦できる仕組みになっている。という話を組み立てて,違法行為の正当化を図ろうとしている。

予算については,前回眺めたので,今回は会員推薦過程を調べてみた。

(1) 現会員及び現連携会員(特任の連携会員を除く。以下同じ。)は, 幹事会が定めた様式により,新たな会員候補者及び連携会員候補者を合わせて5人 以内(うち会員候補者は2人以内)推薦する。ということは,全分野に渡って,(210+2000)  × (2+3)人以内の会員+連携会員の推薦が出るということか(*)。

(2) 上記の推薦書は選考委員会にあがる。選考委員会は,会長+副会長(3名)+各部の4名(×3)=16名で構成される。各部の4名のうち1名は役員(部長,副部長,幹事)。

(3) 選考委員会の下に3部(人文・社会科学,生命科学,理学・工学)の選考分科会が設けられる。各選考分科会は,各部の会員のうち,副会長,役員,委員会の委員並びに分野別委員会の委員長及び副委員長で構成される。委員会は,関連法規集に20余りあるがどの範囲なのだろうか。なお,この任期は改選前の9ヶ月間くらいである。

(4) 分野別委員会は,言語・文学,哲学,心理学・教育学,社会学,史学,地域研究,法学,政治学,経済学,経営学,基礎生物学,統合生物学,農学,食料科学,基礎医学,臨床医学,健康・生活科学,歯学,薬学,環境学,数理科学,物理学,地球惑星科学,情報学,化学,総合工学,機械工学,電気電子工学,土木工学・建築学,材料工学の30分野からなる。

(5) 選考委員会の結果は,幹事会に伝えられる。日本学術会議法の「第十二条 各部に、部長一人、副部長一人及び幹事二人を置く」と「第十四条 日本学術会議に、その運営に関する事項を審議させるため、幹事会を置く。2 幹事会は、会長、副会長、部長、副部長及び幹事をもつて組織する」から,幹事会は16名で構成される。

(6) この原案が総会で承認された後,改選会員が会長から内閣総理大臣に推薦される。菅政権の説明が匂わせようとしている委員の「世襲」的な恣意性が入る余地はない。

そうこうしているうちにも,研究者の分断は進んでいる。

(*) 改選期の会員が次期の会員を選ぶという話もみかけたので,上限はこれよりもかなり少ないのかもしれない。また,会員と連携会員は推薦数の計算はそれぞれ独立なのかもしれない。

[1]日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議(2015)
[2]日本学術会議における連携会員の主な活動について

2020年10月5日月曜日

学術会議(2)

学術会議(1)からの続き

制御されたネトウヨ(とその周辺のカスケード集団)や新自由主義的な御用学者による直接的な攻撃だけではなく,若手の科学者を中心として,今回の問題に対する冷笑的なあるいは反学術会議的な意見がめだつような気がする。

この問題は香山リカが指摘しているように,杉田水脈が先鞭を切ったヘイト側の科研費攻撃や国立大学攻撃と一続きの問題である。また,安富歩が指摘しているように,軍事研究への道(閉じた科学への道)を開くかどうかの分水嶺の問題でもある。あるいは,学術会議の担ってきた大学教育の分野別質保証の問題などを踏まえれば,高等教育への介入の先駆現象といえるのかもしれない。

令和二年度の日本学術会議の予算は,令和2年度内閣府所管一般会計歳出予算各目明細書の71pから見ることができる。総額は,10億4千9百万円で,日本学術会議の運営に必要な経費が5.5億円,科学に関する重要事項の審議等に必要な経費が5億円だ。小規模な単科大学の1/7程度のたいへん慎ましい予算である。一般職の職員が50人はりついており,庁舎費や情報処理業務庁の1億を除いた職員の人件費が約4.5億ということか。

業務遂行のための費用は,国際学術組織への分担金が1.1億円なので,会員や委員の手当てと旅費などが3.4億円ほどになる。残り0.5億円は国際会議関係と庁費だ。学術会議の会員自身は210名だが,連携会員が2000名おり,学術会議の会合や各種委員会への出席における旅費や手当てをイメージすればひとり平均20万円オーダーの簡素な運用を行っていることになる。

会員の構成をみても女性がかなり多いことがわかる。まあ,政権側には意図的に不正確な情報を流し,それを自発的に増幅する取り巻きがいるわけで,まともな科学アカデミーを維持できない国が滅びへの歩みを進めていくのは必須と思われる。

2020年10月4日日曜日

稲刈り

稲刈りが始まった。七十二候でも昨日が,秋分・水始涸(みずはじめてかる)。

奈良県農業技術研究開発センターの栽培技術マニュアル水稲「ヒノヒカリ」をつくりこなす7つのポイントによると,このあたりでよく栽培されていると思われるヒノヒカリの刈取適期は10月4日前後である。以下に引用。
6.収 穫適期 刈取で良質米作り!
(1)刈取適期
出穂期の約45日後(全体の籾の9割程 度が黄色く変わった頃)。 平年は10月4日頃。
※刈遅れると、倒伏しやすく、穂発芽粒・胴割粒・茶米が増加し、玄米品 質が悪くなるため、適期刈取に努めること。
(2)乾 燥
  ・乾燥目標水分は14.5%。
  ・刈り取った籾の水分が高いときは、最初は低めの温度で予備乾燥。
(3)調 製
  ・高品質の米に仕上げるため、ライスグレーダー(網目1.8mm)で選別し、 屑米を除くこと。
確かに,昨日当りから稲刈りが始まっている。今朝の様子ではまだ1〜2割程度か。午後からは雨の予報なのだけれど,どうなるかな。

天皇による皇居内の稲刈りは,うるち米の「ニホンマサリ」ともち米の「マンゲツモチ」で,併せて20株,9月15日に行われている。


写真:稲刈りが始まった。(2020.10.04撮影)


2020年10月3日土曜日

学術会議(1)

85万人の日本の研究者から選ばれる日本学術会議の210名の会員は,6年の任期で3年ごとに半数改選される。第25期がこの10月1日から始まったが,菅内閣は日本学術会議から推薦された105名のうち6名の任命を拒否した。これまでは,学問の自由を踏まえるという政府の国会答弁に基づき,学術会議から推薦された会員をそのまま内閣総理大臣が任命してきた。菅内閣はこの慣行を破ったうえに,その説明をまったく放棄している。

 「日本学術会議法」では,学術会議の目的や職務が以下のように規定されている。

日本学術会議法(前文があることに注意)
 日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、 わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する ことを使命とし、ここに設立される。

第一章 設立及び目的
第一条 この法律により日本学術会議を設立し、この法律を日本学術会議法と称する。
2 日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。
3 日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。
第二条 日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。

第二章 職務及び権限
第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。
第四条 政府は、左の事項について、日本学術会議に諮問することができる。
一 科学に関する研究、試験等の助成、その他科学の振興を図るために政府の支出する交付
金、補助金等の予算及びその配分
二 政府所管の研究所、試験所及び委託研究費等に関する予算編成の方針
三 特に専門科学者の検討を要する重要施策
四 その他日本学術会議に諮問することを適当と認める事項
第五条 日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる。
一 科学の振興及び技術の発達に関する方策
二 科学に関する研究成果の活用に関する方策
三 科学研究者の養成に関する方策
四 科学を行政に反映させる方策
五 科学を産業及び国民生活に浸透させる方策
六 その他日本学術会議の目的の遂行に適当な事項
第六条 政府は、日本学術会議の求に応じて、資料の提出、意見の開陳又は説明をすることが できる。
第六条の二 日本学術会議は、第三条第二号の職務を達成するため、学術に関する国際団体に 加入することができる。
2 前項の規定により学術に関する国際団体に加入する場合において、政府が新たに義務を負 担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。

参議院議員の小西洋之は,twitterで,「現時点で内閣府が認めた事実。確信犯だ」
として,以下の経緯を明らかにしている。
・H29(2017) に学術会議の軍事研究(抑制的解禁)声明
・H30(2018) に内閣府と内閣法制局で「総理が任命拒否可」の解釈を作成
・本年(2020) 8/31に105名推薦名簿を受理
・9月上旬に上記解釈を再確認
・9/16の菅政権発足後,9/24に6名除外した99名の任命起案を起草し,9/28決裁
また「仮に説明しても任命拒否は違法であり,許されない。なぜなら,日本学術会議法において,総理には推薦に対して形式的任命権しかなく実質的任命権がないからである」としている。

6名が任命されないことが新しい委員の任期がはじまる10/1の2日前に,学術会議側に伝えられたようだが,その結果,時間の猶予もなくこの事態を招くことになった。 

追伸:毎日新聞によれば,2016年の第23期の補充人事(定年70歳によるもの)の際にも「学術会議が候補として挙げ,複数人が首相官邸側から事実上拒否された」とのこと(官邸周辺に生息している日本会議人脈の影響が強く疑われる)。|

[1]国立アカデミー
[2]日本学術会議
[3]日本学術会議の設立と組織の変遷

2020年10月2日金曜日

御旅所

三十八柱神社からの続き

傍示浚で登場した天理市南六条町の三十八神社の御旅所(おたびしょ)が,傍示浚と三十八神社の中間地点にある。神様が宿る依代のような大きな木があるが注連縄は張られていない。Wikipediaの説明によれば祭礼の神輿の休憩地点ということなのだけれど。このマイナーな御旅所がgoogle検索によってあがってくるのは,自分の検索履歴が影響しているのだろうか。


地図&写真:google mapから引用 & 三十八神社の御旅所(2020.9.30撮影)

2020年10月1日木曜日

10月1日では遅すぎる

10月1日では遅すぎる」は,イギリスの天文学者のフォレッド・ホイル(1915-2001)の1966年のSF小説。SFマガジンの1968年2月号から5月号まで4回にわたって連載されていた。SFマガジンの定期購読を始めたのはその年の秋からだったので,リアルタイムでは読めなかった。その後,SFマガジンのバックナンバーを収集したときにも読まなかった。ただ,タイトルはとても気になっていたので,ハヤカワSF文庫で読むことになった。

フレッド・ホイルは,ビッグバンを否定する定常宇宙論を主張したことで有名だ。また,SF作家としても「暗黒星雲」はじめいくつかのよく知られた著作がある。一方,ケンブリッジ大学の天文学研究所に所属し,元素合成の研究でノーベル賞をもらっていてもおかしくない業績があるので,決して変な科学者ということではない。

マイベストSFのひとつ,小松左京の「物体O」にもフレッド・ホイルは登場していた。このフレーズは長らく自分の印象に刻み込まれていた。伏見康治をもじった阪大理学部核物理の三伏教授が京大理学部地球物理の大隅教授に話している。

「この状態下では,いくらやってもやりすぎるということはないよ。むしろ立ちおくれているんだ。とにかく大車輪で情報を流さなくちゃならん。—フレッド・ホイルの"暗黒星雲"を読んだかい?」

「宇宙生成論か?」

「ちがうよ,小説さ。あの中で,非常事態に際しては,最も多くの情報をにぎるものが,権力を握るというアイデアがあるんだ」

「それがどうした?」

「鼻持ちならん学者のエリート意識だと言うのさ。政府相手の駆け引きだけで,政治の迷妄を逃れうるなんて甘すぎる考えだ。—もっと大衆を信頼すべきだよ。僕は出来るだけ多くの大衆に,できるだけ正確な情報を大量に流すつもりだ。とにかく勤労大衆の協力なくしては何もできないんだからね」

(小松左京:ハヤカワSFシリーズ3088「日本売ります」の「物体O」から引用)