湖北省(武漢以外)の新規感染者数データの実測値 K(t) にはバラつきがあるが,次のような傾向を持っている。
・K(t)は40日の範囲で0から増加してその後減衰して0に近づく。
・そのピークはt=14日のK(t)=1200人である。
・この40日間の感染者数の累計数は$\int K(t) dt$ = 17,800人である。
この性質をみたす簡単な近似関数を求めておけば,感染モデルとの比較が容易になる。K(t)の解析的な近似関数をf(t)(一日に報告される新規感染者の数)とし,その積分をg(t)(新規感染者の累計数)とする。
目の子で探すと,tを報告開始からの日数として次のようになる。
$f(t) = 3 t^4 \exp(-t/3)$
f'(12)=0, f(12)=1140, g(40)=17400 など,観測データをおおむね再現している。
感染症の数理シミュレーション(3)で用いたSIIDR2モデルでは,$u_6$がg(t)に対応する。なお,$u_6(t)$は重症感染者数$u_3(t)$の変化分から減少項を除いたものを積分したものである。
図1 湖北省(武漢以外)の新規/累計感染者数の近似関数,上がg(t),下がf(t)(横軸は日,縦軸は1万人当たり)
湖北省(武漢以外)での1万人当りの累計感染者数(t=40)は3.7人,新規感染者数(t=peak)は0.25人,死亡数(t=40)は0.12人である。
P. S.
なお,死亡数についても20日をピークとする滑らかな関数となっているので,新規/
累計死亡数の近似関数を求めることができる。それぞれh(t), i(t)とすると,
$h(t) = 30 \sin^2[ \pi / 40 t]$で与えられる。ピーク時の一日あたりの死亡数は30人であり,40日目にはおおむね収束に近づいている。これをグラフにすると次のようになる。
図2 湖北省(武漢以外)の新規/累計死亡数の近似関数,上がi(t),下がh(t)(横軸は日,縦軸は1万人当たり)
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