発端は,今年2019年の3月2日に東北大学で開催された国際シンポジウム「ノーベル賞受賞者が主導した科学・技術教育の科学的変革-カール・ワイマン博士とインペリアル・カレッジ・ロンドンの取組-」だ。あの(冨田先生のお友達で橋下時代に活躍された)大森不二雄さんが仕掛け人なのか・・・orz。笹尾真実子さんが日本学術会議の物理教育委員会の物理教育研究分科会の委員長である。そんなわけで,今年の9月末に学術会議が主催する学術フォーラムで物理教育改革をテーマをした集まりが開かれる予定だそうだ。
Discipline-Based Education Researchとは,主にSTEM教育領域の個々の学術分野の知識や世界観に基づいた視点による学習や教育の方法を研究するものである。具体的には,
天文学 Astronomy education research (AER)
生物学 Biology education research (BER)
化学 Chemistry education research (CER)
計算機科学 Computer science education research (CSER)
工学 Engineering education research (EER)
地球科学 Geoscience education research (GER)
数学 Mathematics education research (MER)
物理学 Physics education research (PER)
などの集合であり,PER(物理教育研究)がもっとも早くから研究されているようだ。
PER(物理教育研究)でいえば,物理学−科学哲学−物理学史−認知心理学−教育方法学−&(社会学−言語学−人類学−倫理学)などが関係する学際的な研究分野が物理教育研究になる。
STEM教育の文脈あるいは教育方法学的な立場では,DBERの共通項を議論することに価値があるだろうが,要点は個別の学問領域の固有の関心やアプローチに基づく「学問分野別教育研究」の推進が必要であるということ。
[1]Discipline-Based Education Research(Wikipedia:en)
[2]Physics Education Research (Wikipedia:en)
[3]Discipline-Based Education Research: Understanding and Improving Learning in Undergraduate Science and Engineering(Singer, Nielsen and Schweingruber,2012)
[4]研究領域としての物理教育(新田英雄,2016)
[5]物理教育研究 PER・学問領域に根ざした教育研究 DBER とは何か?(村田隆紀・笠潤平・覧具博義,2017)
[6]日米におけるアクティブ・ラーニング論の成立と展開(西岡加名恵,2017)
[7]米国STEM教育におけるDBER(discipline-based education research)の勃興 ―日本の大学教育への示唆を求めて―(大森不二雄・斉藤準,2018)
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