2019年5月28日火曜日

「加賀」と「かが」

昔(昭和30年代後半),「少年」か「ぼくら」の付録に帝国海軍連合艦隊の紙模型がついてきたことがあった。月間漫画雑誌の付録なので,イ号潜水艦から空母,戦艦大和までのミニ模型の数は揃っていてもそれほどたいしたものでない。だがなんだかワクワクした。まだ戦後20年もたっていないころである。逆コースは始まっているにせよ,子ども向けの雑誌の付録にこれというのは今ではなかなか想像しにくいかもしれない。合衆国海軍の空母エンタープライズ(1961年就役)の大きな紙模型がついてきたこともある。

プラスチックモデルでも戦争物は多く,小学生の時分にはいろいろ買ってもらった。大きな木の模型の戦艦大和にも1度挑戦したが,低学年だったので最後まで作りきれなかった。一回り小さい70-80cmクラスのプラスチックモデルの戦艦大和やもう少し小振りの航空母艦大鳳などは最後までちゃんと作って水槽に浮かべることもできた。戦車のプラモデルも作ったような気もするが,友達のを手伝っていたのかもしれない。

そんなわけで,昭和30年代の子どもを取り巻く環境はなかなか楽しいものであった。それは一方で,憲法九条や防衛費GNP1%以下などの枠組みに守られた中のサンドボックスのようなものだった。

ところが,いつのまにか,ミッドウェー海戦で沈没した空母加賀(238m,29500トン)はヘリコプター搭載護衛艦かが(248m,26000トン)に生まれ変わり,さらに昨年度末はF35Bを搭載できるよう改修されることが決定し,事実上の空母化といわれるようになった。1年前には恐る恐る「かが」全容を報道していたマスメディアは安倍内閣のもとで変質した。いまや,トランプ大統領の視察にあわせてその内部でTV中継までするはしゃぎよう。過去の長期にわたって積み重ねられてきた政府の説明とはまったく異る,攻撃能力を持った空母の所有と運用が大手を振ってまかり通る時代になってしまった。


(写真:「艦船の戦い〜ミッドウェー海戦(NAVERまとめ)」から引用)


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