2019年10月31日木曜日

沖縄

沖縄に旅行したことが2回ある。

1度目は1977年に,神戸港から真鍋さんペアに見送られながら船で与論島へ向かう米島誠二君との二人旅。与論島に2泊した後の那覇は,沖縄返還後間もない時期で,到着した晩は食べたステーキはアメリカのように?安かった。船を降り,当日の宿泊先を決めていない我々のような旅行者に宿を案内する人が集まってきた。1500円でいいよというおじさんの言葉に誘われて,国際通りの北(辻のあたりだったろうか)の民宿に2泊ほどした。当時は,返還後の1975年に沖縄復興のてこ入れとして沖縄国際海洋博覧会が開かれた後の沖縄旅行ブームが終わり,民宿の経営はたいへんだったのだろう。首里城跡の博物館や,守礼の門まで歩いたような気がする。まだ,首里城の復元は始まっていなかった。帰りも牧志市場から国際通りに向けて歩いて下った。毒のある大きなカタツムリは触らないように注意しなければならない。

2度目は 家族旅行だ。1992年に復元が完成して数年後の首里城を訪れた。子どもたちが小学生の頃だったと思う。宿泊は沖縄中部にあるビーチ(かりゆしビーチ?)のリゾートホテルで,子どもたちと午後から半日海水浴をしただけで,南国の強い日光にやられてしまった。夕食後どんどん体調が悪くなり,水風呂で癒そうとしたが,皮膚呼吸ができずに苦しんだ。翌日,首里城観光へ向ったが,太陽光線を浴びると苦しいので,日陰を選びながらやっとの思いでたどりついた。そんなわけで,首里城の印象より,日焼けで苦しんだ思い出の方が強いのであった。


2019年10月30日水曜日

アシスト瓦

今年の秋は豪雨の被害が続いている。特に千葉から北関東や東北にかけてがたいへんだ。暴風で屋根瓦が破損した状態で,豪雨が襲うという状況のようだ。昨年の大阪北部地震での屋根瓦の被害はまだ回復しておらず,ブルーシートがかかったままの家屋が非常に多い。こうした屋根瓦の破損にたいする応急的な措置として,ブルーシート張に加え,簡易なアシスト瓦で欠けた瓦を補完するアイデアが考えられた。

特定非営利活動法人レスキューアシストの中島武志さんが考案したもので,30cm角の段ボールを防水・対紫外線仕様のシルバーシートでくるみ,防水テープで周囲を止めたものだ。千葉の台風15号の被害に対して緊急支援を募ったところ,全国からアシスト瓦が集まった

[1]アシスト瓦の作り方(レスキューアシスト)

2019年10月29日火曜日

船弁慶

NHKの「にっぽんの芸能」で船弁慶をやっていたので,これは,義経千本桜とどんな関係になっているのか調べようとしたところ,滋賀県立大学能楽部にたどりついた。農学部ではない。これはなかなか素晴らしいサイトだ。謡曲三百五十番集入力やたがらすナビもよい。

2019年10月28日月曜日

ディオファントス方程式 $x^3+y^3+z^3=n$(3)

ディオファントス方程式$x^3+y^3+z^3=n$(2)からの続き)

3つの立方数の和について

 Andrew Bookerが,$x^3+y^3+z^3=n$の$n=33$の解を求めたというニュースを聞いたのは今年の3月のことだった(33は3つの立方数の和で表される)。その時点で未発見で残っていた2桁の解は,$n=42$だけだった。先月のはじめに,彼らのチームがこれを発見したようだ。1000以下で残された$n$は,114, 390, 579, 627, 633, 732, 921, 975の8つとなった。

(-80,538,738,812,075,974)^3 + (80,435,758,145,817,515)^3 + (12,602,123,297,335,631)^3 = 42

[1]ディオファントス方程式$x^3+y^3+z^3=n$(1)(2019.3.13)
[2]Sum of three cubes for 42 finally solved – using real life planetary computer
[3]Craking the problem with 33
[4]On Searching for Solutions of the Diophantine Equation $x^3 + y^3 + z^3 = n$

2019年10月27日日曜日

仏説阿弥陀経

阿弥陀経の極楽の描写がおもしろかった。要約するとこんな感じ。

「極楽國土クラブには,金銀宝石がちりばめられた高級ボトルがずらっと並び,周囲の階段を登って上層階から見下ろすと,お酒を満たしたプールの中で蓮の形をした赤・黄・青・白の発光ダイオードのミラーボール照明が怪しく輝き,室内にはカラフルな紙吹雪が天井から舞い落ちているようだ。このクラブは昼から夜まで24時間,高級服で着飾ったお客さん達でいっぱいだが,ここに来られなかった人達のことをザマアと思っている自分自身に嫌悪している偽善者だ。食事は自宅で済ましてきているので,ここでは呑んで騒いで功徳を積むだけだ。クラブには奇抜なデザインの鳥の扮装をしたコンパニオンが大勢いて,皆で共にカラオケのオーケストラを楽しんでいる。この選曲がサイコーであり,とても心に響く。」

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又舍利弗,極樂國土,七重欄楯 七重羅網 七重行樹。皆是四寶,周帀圍繞。是故彼國,名曰極樂。

(欄楯らんじゅん=玉垣,羅網らもう=四寶でできた網,行樹ごうじゅ=寶果をつけた樹の並木)
四寶とは,金・銀・瑠璃・玻璃)

又舍利弗,極樂國土,有七寶池。八功德水 充滿其中。池底純以 金沙布地。四邊階道,金銀琉璃 玻瓈合成。上有樓閣,亦以金銀琉璃 玻瓈硨磲 赤珠碼碯,而嚴飾之。池中蓮華,大如車輪。青色青光,黄色黄光,赤色赤光,白色白光。微妙香潔。舍利弗,極樂國土,成就如是 功德莊嚴。

七寶とは,金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲・珊瑚・瑪瑙)
八功徳水とは,甘・冷・軟・軽・清浄・不臭・飲時不損喉・飲已不傷腹)

又舍利弗,彼佛國土,常作天樂。黄金爲地。晝夜六時,而雨曼陀羅華。其國衆生,常以清旦,各以衣裓,盛衆妙華,供養他方 十万億佛。即以食時,還到本國,飯食經行。舍利弗,極樂國土,成就如是 功德莊嚴。

復次舍利弗,彼國常有 種種奇妙 雜色之鳥。白鵠孔雀 鸚鵡舍利 迦陵頻伽 共命之鳥。是諸衆鳥,晝夜六時 出和雅音。其音演暢 五根五力 七菩提分 八聖道分 如是等法。其土衆生,聞是音已,皆悉念佛念法念僧。舍利弗,汝勿謂此鳥 實是罪報所生。所以者何。彼佛國土,無三惡趣。舍利弗,其佛國土,尚無三惡道之名。何況有實 是諸衆鳥。皆是阿彌陀佛,欲令法音宣流,變化所作。舍利弗,彼佛國土,微風吹動 諸寶行樹 及寶羅網,出微妙音。譬如百千種樂 同時倶作。聞是音者,皆自然生 念佛念法念僧之心。舍利弗,其佛國土,成就如是 功德莊嚴。

(極楽浄土の六鳥とは,白鵠・孔雀・鸚鵡・舎利・迦陵頻伽・共命)
五根とは,解脱を得るための五つの能力,信,動,念,定,慧)
五力とは,個人の中で主導的な力となった上記の五つの能力)
(七菩提分=七覚支とは,悟りを得る為に役立つ七種の行法,念覚支・択法覚支・精進覚支・喜覚支・軽安覚支・定覚支・捨覚支)
(八聖道分=八正道とは,戒(正語・正業・正命),定(正精進・正念・正定),慧(正見・正思惟)
三惡趣=さんまくしゅ,とは,悪業を重ねた人間が死後に趣く3つの下層世界,餓鬼趣,畜生趣,地獄趣)
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聖教電子化研究会仏説阿弥陀経から引用して注釈)




2019年10月26日土曜日

大学入学共通テスト

大学入学共通テストでの英語民間試験の利用や国語・数学への記述問題の導入はともに大きな問題をはらんでいる。ここにきて様々な反対運動が立ち上がっているが,安倍側近の萩生田光一文部科学大臣は,反対意見を無視して突っ走る構えである。極右の刀を右手に振りかざし,グローバル資本主義のハンマーを左手に掲げ,日本社会を破壊しながら階層の分断化を推進する政策が進んでいく。

筑波大学附属駒場高等学校の2年生がAERAのインタビューに答えた記事「筑駒生、大学入学共通テスト中止を訴える 「ぼくたちに入試を受けさせてください」」はtwitter上で共感を集めている。みわよしこの「貧困高校生を顧みない、大学入試新テストと英語民間試験の「非情」」は共通テストの問題点に迫っている。

国会での英語民間試験活用導入延期法案の動きについては賛否があるが,どうなるだろうか。[6]を見ると,これはもうどうしようもなくて,もっと先に進んでしまうのか。

[1]大学入試英語ポータルサイト(文部科学省)
[2]英語4技能検定の延期及び制度の見直しを求める要望書(全国高等学校校長会)
[3]2019.07.03 TOEIC撤退
[4]2019.07.06 大学入学共通テストの採点
[5]2019.07.07 記述式問題の問題
[6]大学入試改革を民間に丸投げする文科省の狙い(東洋経済オンライン)



2019年10月25日金曜日

量子超越性

先日の日本経済新聞の1面トップ記事でも取り上げられたのが,googleによる初の量子超越性の実験的証明にかかわるNature論文。論文の査読には Scott Aaronson や 藤井啓介さんも関わっている。今日(10/25)の日経朝刊も前のめりになっていた。量子計算の専門家のコメントもなく,いきなり応用と暗号化リスクの話に持ち込んでいる。NHKも同様。これが典型的な日本のメディアの反応だ。まあ,マスメディアというのは本質的にそういうものなのかもしれない。

【タイトル】
プログラム可能な超伝導素子を用いた量子超越性
Quantum spremacy using a programmable superconducting processor
【出典】
23 October 2019 Nature 574, 505-519 (2019)
【著者】
Frank Arute, Kunal Arya, Ryan Babbush, Dave Bacon, Joseph C. Bardin, Rami Barends, Rupak Biswas, Sergio Boixo, Fernando G. S. L. Brandao, David A. Buell, Brian Burkett, Yu Chen, Zijun Chen, Ben Chiaro, Roberto Collins, William Courtney, Andrew Dunsworth, Edward Farhi, Brooks Foxen, Austin Fowler, Craig Gidney, Marissa Giustina, Rob Graff, Keith Guerin, Steve Habegger, Matthew P. Harrigan, Michael J. Hartmann, Alan Ho, Markus Hoffmann, Trent Huang, Travis S. Humble, Sergei V. Isakov, Evan Jeffrey, Zhang Jiang, Dvir Kafri, Kostyantyn Kechedzhi, Julian Kelly, Paul V. Klimov, Sergey Knysh, Alexander Korotkov, Fedor Kostritsa, David Landhuis, Mike Lindmark, Erik Lucero, Dmitry Lyakh, Salvatore Mandrà, Jarrod R. McClean, Matthew McEwen, Anthony Megrant, Xiao Mi, Kristel Michielsen, Masoud Mohseni, Josh Mutus, Ofer Naaman, Matthew Neeley, Charles Neill, Murphy Yuezhen Niu, Eric Ostby, Andre Petukhov, John C. Platt, Chris Quintana, Eleanor G. Rieffel, Pedram Roushan, Nicholas C. Rubin, Daniel Sank, Kevin J. Satzinger, Vadim Smelyanskiy, Kevin J. Sung, Matthew D. Trevithick, Amit Vainsencher, Benjamin Villalonga, Theodore White, Z. Jamie Yao, Ping Yeh, Adam Zalcman, Hartmut Neven & John M. Martinis
【概要−拙訳】
 量子コンピュータへの期待は,ある種の計算が従来のコンピュータより指数関数的に速く実行できるかもしれないというところにある。根本的な挑戦は指数関数的に大きな計算空間で量子アルゴリズムを走らせることができる高信頼プロセッサをつくることである。
 この論文で我々は2^53ビット(10^16ビット)の計算空間に対応する53量子ビットの量子状態を作れるプログラム可能な超伝導キュービット素子について報告する。
 反復された実験の測定は確率分布を与え,それは古典的なシミュレーションでも確認された。我々のシカモアプロセッサは1つの量子回路を100万回動かして1つのインスタンスをとり出すのに200秒かかった。これは,従来型のスーパーコンピュータが1万年かけて計算する仕事に匹敵するものである。
 すべての既知のアルゴリズムに対するこの量子コンピュータの劇的な高速化は,特定の計算において量子超越性を実験的に実証したものであり,予想されていた計算パラダイムの転換の先駆けとなるものである。

[1]グーグルが主張する「量子超越性の実証」にIBMが公然と反論した理由(Wired.jp)
[2]Googleが量子超越を達成−新たな時代の幕開けへ(Qmedia)
[3]量子コンピューティングの次のステップ:コンピュータサイエンスの役割(Qmedia)
[4]Quantum supremacy: the gloves are off(The Blog of Scott Aaronson)


2019年10月24日木曜日

まちライブラリー

先日訪れた東大阪市文化創造館に,「まちライブラリー」という民営のライブラリーが入館していた。まちライブラリーをはじめた,礒田純充(いそだよしみつ)さんの略歴などがここにある。だれでもがどこにでもライブラリーをつくって集うというものらしい。

第1号は礒田さんが天満ではじめたISまちライブラリー(ここはメンバーシップ制だ)。まちライブラリー@東大阪は, No.715 だった。全く好きではないTSUTAYA風にデザインされた本棚に,テーマ別に選書された本が並んでいた。本には寄贈した人のメッセージカードがあって,借りた人がそれを繋ぐことができるようになっていた。

2019年10月23日水曜日

豆玩舎ZUNZO

奈良から近鉄奈良線の八戸ノ里へ行くには,生駒から先は準急で進み,東花園で普通電車に乗り換える必要がある。諸般の事情でこれに失敗すると河内小阪で降りて歩いて戻る羽目に陥る。なお,近畿大学本部の最寄り駅は,近鉄大阪線の弥刀であることに注意する。

東大阪市は,人口50万人の中核市だ。花園ラグビー場と技術を持った中小企業が集積する町として知られているはずだ。なんと,江崎玲於奈と山中伸弥も輩出しているようだ。

司馬遼太郎や田辺聖子の記念館・文学館や,大阪商業大学アミューズメント産業研究所という,囲碁・将棋・麻雀などのゲームや娯楽についての研究や常設展示をしている施設もあり,見どころは多いと宣伝されていた。

荒本にある東大阪市の教育委員会を訪ねたことがあるが,そこは高層ビルで堺市役所の次に立派な市庁舎の中にあった。東大阪市は儲かっているのだろうか。最近,東大阪市文化創造館という複合施設も完成し,非常に立派なホールができていた。

さて,八戸ノ里駅前には,グリコのおまけを開発で知られている宮本順三が設立した宮本順三記念館(別名豆玩舎ZUNZO)が小さなビルの4Fにあった。宮本順三は,1935年に江崎グリコに入社しており,グリコのおまけのアイディアを求めて世界を回って収集したおもちゃがたくさんあった。

自分がグリコのおもちゃで遊んだ時代は,プラスチック製のものが主流となる少し前だったように思う。木でできた電化製品や乗り物や道具などがあったはずなのだか,展示されているグリコのおまけの中であまり記憶にぴったりはまるものはなかった。江崎記念館に行く必要があるのかな。



写真:豆玩舎ZUNZO(2019.10.22撮影)

2019年10月22日火曜日

1次元井戸型ポテンシャル(2)

1次元井戸型ポテンシャル(1)からの続き)

テレビは朝から即位の礼のニュースで埋めつくされているのでなかなか気持ちが悪い。ラグビーワールドカップが終わった(実はまだ終わっていないの)と思ったらこれだ。オリンピックかIRカジノまでこの調子なのだろうか。

Mathematicaによる1次元井戸型ポテンシャルの解法をjuliaに移植してみた。Mathematicaプログラミングは土地勘があるので,簡単なガイドがあれば大丈夫だ。juliaプログラミングはそこまで熟達していないので,地図とガイドとネットでの評判を駆使して歩き回ることになる。ポイントは2つ。非線形方程式を解くFindRootや代数方程式を解くNSolveをどうするか。グラフをどうするか。それさえクリアすればよいのだが,なかなか難しかった。

非線形方程式を解くパッケージ NLsolve,1次元の数値積分を実行するパッケージQuadGKを導入した。図形描画のためのPlotとGRは既に導入済みである。こういうときに助けになるのが阪大のサイバーメディアセンターの降旗大介さんのページ(Applied Mathematics 9)。NLSolveは生で使うと非常にわかりにくい仕様になっているので,降旗さんがシンタックスシュガーを作ってくれている。おかげで比較的簡単に使うことができるが,MathematicaのFindRootの方がわかりやすいと思うのは気のせいか。規格化条件から波動関数の振幅を求める連立方程式も,MathematicaのNSolveに対応するものが見当たらなかったので,NLsolveを使うことにした。

問題はグラフだ。MathematicaのPlotルーチンにはなじんでいるので,およその様子はわかるが,juliaの方はさっぱりで難渋した。データを離散的なリストの形にするところまでは問題なかったが,そうすると横軸がデータ数でプロットされる。これをもとの変数に変換するためには,Plotの引数にxのリストを与える必要があることに気付くまで半日要した。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
using NLsolve
using QuadGK
gr()

function nls(func, params...; ini = [0.0])
#
#スカラー変数 x スカラー関数 f(x,params)=0
# nls( f, params, ini = xの初期値 )
#ベクトル変数 x ベクトル関数 f(x,params)=0
# nls( f, params, ini = xの初期ベクトル )
#
    if typeof(ini) <: Number
        r = nlsolve((vout,vin)->vout[1]=func(vin[1],params...), [ini])
        v = r.zero[1]
    else
        r = nlsolve((vout,vin)->vout .= func(vin,params...), ini)
        v = r.zero
    end
#    return v, r.f_converged
    return v
end

function heaviside(t)
  0.5 * (sign(t) + 1)
end

function r2(v0,a)
  r=10^6*v0*a^2/(2000)^2
  return r
end

function h1(x, p)
  a,b = x # x[1] とか x[2] と書くのは面倒なので,a,b で代用
  c,d = p # p[1] とか p[2] と書くのは面倒なので,c,d で代用
  return [b+a/tan(a)+c, a^2+b^2-d]
end

function h2(y, q)
  a,b = y # y[1] とか y[2] と書くのは面倒なので,a,b で代用
  c,d = q # q[1] とか q[2] と書くのは面倒なので,c,d で代用      
  (f,hf) =quadgk(x -> sin(c*x)^2, 0, 1)
  (g,hg) =quadgk(x -> exp(-2*d*x),1,10)
  return [a*sin(c)-b*exp(-d), a^2*f+b^2*g-1]
end

function wf(x,s,t)
  (pa,qa)=s
  (a,b)=t
  return [heaviside(1-t)*a*sin(pa*t)+heaviside(t-1)*b*exp(-qa*t) for t in x]
end

r = [0, r2(50, 2)]
ini_v = [2.0, 1.0]
s = nls(h1, r, ini = ini_v)
ini_u = [1.0, 1.0]
t = nls(h2, s, ini = ini_u)
x = 0:0.01:3
plot(x,wf(x,s,t))
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
図 1次元井戸型ポテンシャルの波動関数


2019年10月21日月曜日

1次元井戸型ポテンシャル(1)

明後日の量子物理学の授業は,1次元井戸型ポテンシャル(復習)の続きなので,数値計算で結果を確認するためのコードをMathematicaで書いてみた。

1次元ポテンシャル $V(x)$に質量$m$の電子が束縛されているとする。$x \le 0$ で$V(x)=\infty$ ,$0 \lt x \lt a $で,$V(x)=0$,$a \le x$で$V(x)=V_0$として [eV]単位で与える。ポテンシャルのレンジ $a$は [Å]単位とする。$2mc^2=10^6$[eV],$\hbar c = 2000$ [eV・Å] と近似した。$r2= \frac{2mc^2 V_0 a^2}{(\hbar c)^2} =(\pi/2)^2$以上で束縛状態が存在する。

In[1]:= r2[V0_, a_] := 10^6*V0*a^2/(2000)^2
In[2]:= Clear[pa, qa]
In[3]:= sol1 = FindRoot[{p^2 + q^2 == r2[50, 2], q == -p/Tan[p]}, {p, 5}, {q, 3}]
Out[3]= {p -> 5.41164, q -> 4.55128}
In[4]:= {pa, qa} = {p, q} /. sol1
Out[4]= {5.41164, 4.55128}
In[5]:= Clear[A, B]
In[6]:= sol2 =NSolve[{A Sin[pa] == B Exp[-qa], A^2 Integrate[Sin[pa x]^2 , {x, 0, 1}] +
                                     B^2 Integrate[Exp[-2 qa x], {x, 1, Infinity}] == 1}, {A, B}]
Out[6]= {{A -> -1.28052, B -> 92.8589}, {A -> 1.28052, B -> -92.8589}}
In[7]:= {A, B} = {A, B} /. sol2[[1]]
Out[7]= {-1.28052, 92.8589}
In[8]:= Plot[A Sin[pa x] HeavisideTheta[-x + 1] +  B Exp[-qa x] HeavisideTheta[x - 1],
{x, 0, 3}, PlotRange -> {-2, 2}]

図 1次元井戸型ポテンシャルの波動関数








2019年10月20日日曜日

体育の授業

大学の教養課程での体育の授業は,とりあえずちゃんと出席すれば単位を取ることができた。種目は選択だったのかもしれないが,憶えているのは半期ラグビーのコースを選択したことだけだ。受講していたのは30人くらいいただろうか。高校時代にラグビーをやったものなどほとんどいないので,一から手取り足取り,スクラムやラインアウトやパスやキックを順番に体験して,ほとんど試合らしくない練習試合までいったかどうか。試験は目標を設定してそこにキックしたボールが入るかどうかだった。それなりにうまく蹴ることができたような気もしたが,結局成績はいつものように並であった。

2019年10月19日土曜日

児童生徒の自殺

先日のNHKニュースによると,児童生徒の自殺者数が増加しており,平成30年度は,昭和63年以来最多の332人に達したとあった。子どもの数は減っているのだから,実数ではなく比率で比較するべきだと思って統計データを調べてみた。

日本の統計データは,総務省統計局政府統計ポータルサイト e-Stat に集約されているとはいうものの,本当に探しにくく使いにくいものが多い。データを改ざんし,廃棄し,まともに整理できないという,さんざんな日本政府なのである。大学にAI教育を強制しているので,そのうち自動化されることを見越しているのだろう。

なんとか次の2つのデータにたどりついた。
[1]学校基本調査年次統計在学者数(e-Stat)
[2]平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(平成30年度) 7.自殺(学校から報告のあったもの)(e-Stat)

あくまでも学校から報告のあったものであり,調査対象の定義も時期によって変動しているが,傾向は捉えられているだろう。小学生の自殺数は1桁以上小さいのでこれを除き,中学生と高校生の各年度の自殺者数をその年度の在学者数で除したものをグラフ化した。

図 日本の中学・高校生の自殺率(1974-2018)

文部科学省には,生徒指導のカテゴリーに自殺予防というページがあり,児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議(平成30年度)が設けられていて,それなりに対応している。しかし,この会議の基本資料であるべき児童生徒の自殺者数推移は横ばいであるという結論を誘導するグラフになっている。出発点がこんな認識なのでこの先が思いやられるのであった。

[1]10代前半の自殺,100年ぶりの高水準に。その要因は(石井志昂:不登校新聞)


2019年10月18日金曜日

プログラミング教育の欠点(2)

以前にプログラミング教育の欠点(1)を書いてそのままだった。

小学校教育現場の状況や教員の負担などを見聞きするとともに,小学校へのプログラミング教育の導入はまずかったという気持ちが強くなってくる。

小学校学習指導要領の「第1章 総則」の「第3 教育課程の実施と学習評価」の「1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」に次の内容がある。
(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施するこ  と。ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要とな   る情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動  イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
これを受けて,「理科」の内容の取り扱いでは,
(2) 観察,実験などの指導に当たっては,指導内容に応じてコンピュータや 情報通信ネットワークなどを適切に活用できるようにすること。また,第 1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,児童の負担に配慮しつつ,例えば第2の各学年の内容の〔第6学年〕の「A物質・エネル ギー」の(4)における電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習など,与えた条件に応じて動作していることを考察し,更に条件を変えることにより,動作が変化することについて考える場面で取り扱うものとする。
また,「総合的な学習の時間」の内容の取り扱いでは,
(9) 情報に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通し て,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響 を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。第1章総則の 第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を 身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミングを体験するこ とが,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。
というわけだ。関連業界や学会のみなさんは,プログラミング教育の導入という燃料を投入されて大変活気づいているようだが,どう考えても無理があるような気がする。余裕のある学校や教員が取り組むことには全く異論がないけれど,学習指導要領で規定してしまうことの副作用の方が気になってしまう。結局これも社会階層の分離を推進する方向に働くのだろう。自分にはていねいに分析や批判する気力とエネルギーがないのが残念。

[1] プログラミング教育(文部科学省)
[2]小学校プログラミング教育の手引き(文部科学省)
[3]小学校プログラミング教育に関する研修教材(文部科学省)
[4]教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取り組み状況等(文部科学省)
[5]小学校プログラミング教育に関する指導事案集(文部科学省)
[6]小学校を中心としたプログラミング教育ポータル(未来の学びコンソーシアム)






2019年10月17日木曜日

第二室戸台風

1961年の9月16日に第二室戸台風が日本に上陸して四国・近畿・北陸を縦断した。当時,小学校2年だったが,金沢を通過したのは夜だった。父親が出張で不在であり,父の友人の七野昭治さんが家は大丈夫かと見に来てくれた。雨戸を閉め,台所などの窓を木の板でカバーしていたような気もするが,正しい記憶かどうか。停電になった暗い家の中で母親がバタバタしていた。小学校2年生にはいかんともすることができない。Wikipediaの情報を整理して下記に再掲するが,第二室戸台風はなかなか大きな台風だったようだ。

上陸直前気圧(hPa)の低い台風・・・(陸上での中心気圧の最低値ではない)
1 第2室戸台風 925 1961年 室戸岬西方
2 伊勢湾台風 929 1959年 潮岬西方
3 平成5年台風第13号 930 1993年 薩摩半島南部
4 ルース台風 935 1951年 木野市付近
5 平成3年台風第19号 940 1991年 佐世保市南
5 昭和46年台風第23号 1971年 大隅半島
5 昭和40年台風第23号 1965年 安芸市付近
5 昭和39年台風第20号 1964年 佐多岬
5 昭和30年台風第22号 1955年 薩摩半島
5 昭和29年台風第5号 1954年 鹿児島県西部

最大風速(m/s)の大きな台風・・・(最大瞬間風速ではない)
1 昭和40年台風第23号 69.8 1965年 室戸岬
2 ルース台風 69.3 1951年 細島
3 ルース台風 67.1 1951年 佐田岬
4 第2室戸台風 66.7 1961年 室戸岬
5 昭和29年台風第13号 65.0 1954年 都井岬
6 洞爺丸台風 63.3 1954年 神威岬
7 第2宮古島台風 60.8 1966年 宮古島
8 洞爺丸台風 58.8 1954年 佐多岬
9 昭和45年台風第10号 57.5 1970年 土佐沖ノ島
10 昭和5年台風 57.0推定 1930年 南大東島

(注)地球温暖化・気候変動によって近年台風の威力が増大しているという説は必ずしも正しくないかもしれないことが,上記の記録から見て取れる。

2019年10月16日水曜日

食べログ問題

食べログのスコアの得点分布の3.6点と3.8点に不自然な構造が存在することから,スコアの決定アルゴリズムに対する疑問が涌いていた。これに対して,いくつかの分析がなされていたが,食べログ3.8問題に終止符を打つという因果推論の手法を用いた決定版的な詳細分析がでた。「年会費を払う=有料会員になることはお店のスコアをどれくらいあげるのか」という点にフォーカスされているので結論は物足りない。不自然な構造の説明としては,[3]の話の方がおもしろかった。

[1]食べログ3.8問題を検証
[2]食べログEDA
[3]食べログの得点計算についてのポジティブな可能性を考える−操作されたデータを検証する難しさ−
[4]黒木玄さんの分析

インターネット上の評価システムには,運営側のアルゴリズムが不透明であること,逆に透明化することがスコアハッキングを招くこと,意図的なスコア操作(正も負も)の横行などがあり,評価システムではなくとも溢れる情報の真偽を確かめることはますます困難になっている。上からの単純な情報操作と,これに相互作用する大衆の反応が複雑な社会の意思決定に重大な影響を及ぼすようになっている。

トランプがツイッターを駆使し,政府や政権政党が金任せにネトウヨを操る広告宣伝作戦を進め,対抗側のアクションをツイッターなどSNS企業の一部が潰すという,非常に悲惨な世界への扉が開かれつつある。とりあえずは複数の信頼できる人々の情報を重ね合わせて自分なりの初期情報源とし,後は自力で考えて判断するしかないだろう。ただ,経済問題については何が理論的・実践的に正しいのかが自分にはまったく見えてこないのが残念。

[5]サクラチェッカー(やらせ・サクラレビューを見抜けるレビューチェッカー)


2019年10月15日火曜日

台風の運動エネルギー

台風の重さからの続き)

前回は台風の質量と並進運動エネルギーを求めた。次に,台風の重心に対する風の回転運動エネルギーを見積もってみる。そのために,台風の風速分布を調べてみると,中心から50kmあたりをピークとして台風の外側に向けて緩やかに,中心側にむけて急速に減少している。そこで,半径 $R$[m],高度 $h$[m]の台風の平均風速を中心からの距離$ r$[m] の関数として,$v(r)=60(1-r/R) $[ m/s]とモデル化する。中心では過剰に,周辺では過小に評価している。

これを用い,空気の密度を $\rho = 1$ [ kg/m^3] とすると,回転の運動エネルギー$T_R$は,$\int_0^R \rho \pi h r v(r)^2 dr = 5 \pi h R^2 $[J]より,R=500km  h=10km の場合,$T_R$=4×10^16 [J]となり,前回求めた並進運動エネルギー5×10^16 [J]と同じオーダとなった,というかかなり粗い見積もり。これらを加えた台風の風の運動エネルギーは 10^17[J]である。

さて,インターネットでこれがリーズナブルかどうか調べてみようとしたが,台風の運動エネルギーについてのわかりやすい情報はほとんどない。どういうことか。日本科学協会立方体地球には台風ができるの?に,台風の運動エネルギーは10^18[J]とあった。まあまあ正しかった。

Wikipediaにはエネルギーの比較というページがある。日本語版には地震の記述はあるが,台風はない。しかし英語版の Orders of magnitude (energy) には,"Energy released in 1 day by an average hurricane in producing rain (400 times greater than the wind energy)" が 5×10^19 [J]とあるので,風のエネルギーは 10^17 [J] でほぼほぼあっているのかもしれない。

2019年10月14日月曜日

台風の重さ

台風とは,熱帯の海上で発生する低気圧(熱帯低気圧)のうち
(1)北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し,(2)低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s以上のものを指す。

気象庁の台風の大きさと強さの解説ページによれば,最大風速の大きさの範囲によって,台風は,無印(17m/s以上33m/s未満),強い(33m/s以上44m/s未満),非常に強い(44m/s以上54m/s未満),猛烈な(54m/s以上)の4段階に分類される。また,風速15m/s以上の半径を基準とする大きさは無印(500km未満),大型=大きい(500km以上800km未満),超大型=非常に大きい(800km以上)の3段階に分類される。

そこで,台風の半径を500km高さを10kmとすると,その体積は,10^6 km^3となる。空気は1Lで1.25gだから1m^3で約1kg 1km^3で10^9 kgであるから,台風の領域に含まれる空気の全質量は10^15 kgとなる。1辺が10kmの水の質量と同じくらいだ。

実際には空気だけの塊でなく凝結した水蒸気(雲)混じりの流体だが,飽和水蒸気圧は気圧の数%のオーダーなので,ほぼ空気の塊とした質量と変わりがないと思われる。台風の中心が時速36kmで運動しているならば,台風の重心の並進運動の運動エネルギーは5×10^16 Jとなる。

台風の運動エネルギーに続く)

2019年10月13日日曜日

レオーノフ

台風19号による河川の氾濫は広範囲の地域に渡って甚大な被害となっている。地震を含め,当分はこのような自然災害が続くことが予想される。米国のためのイージス・アショアや辺野古移設利権などに税金を投入するくらいであれば,自衛隊の体制を災害救助目的で強化するほうに使うほうがよほど人命を救い国富を守ることにつながるように思える。

数日前にソ連の宇宙飛行士で世界初の宇宙遊泳に成功したアレクセイ・レオーノフ(1934-2019)がなくなったというニュースがあった。ニュース等ではあまり強調されなかったが,レオーノフといえば宇宙をテーマとした絵画を見たことが印象に残っている。たぶん,千里の万博公園あたりだったように思うのだが,1970年の大阪万博の時だったのかどうか(たぶん時期的に違うような・・・),既に記憶がはっきりしない。

2019年10月12日土曜日

台風の角運動量

台風を,時間的に変化するある領域を区画した巨視的な物体だとしたときに,その質量や速度を考えることができる。このとき台風の中心が重心とほぼ近いものになったらわかりやすいが,衛星写真で雲の分布をみると,必ずしもそうなのかどうかはよくわからない。で,この巨視的物体の速度は,さきほどの仮定がよければ,台風の中心の移動速度とほぼ等しくなる。このとき台風の角運動量はどうなるかと思って検索してみると,琉球大学の伊藤耕介さんの数値天気予報研究室が最初のほうに現れた。角運動量に関する記述もある。