三次方程式の解(1)からの続き
大学入試問題で扱われるような三次方程式$\ x^3 + p x + q =0\ $の解についての別のアプローチがあった。まず,$\ x=y+\frac{a}{y}\ $とおいて, $ y $の6次方程式に変換すると,$\ y^3+3a (y+\frac{a}{y}) +\frac{a^3}{y^3} + p (y+\frac{a}{y}) + q = 0\ $が得られる。これが$\ t=y^3\ $の2次方程式になるように,$\ 3a+p=0\ $という条件をつければ,$ a=-\frac{0}{3} $となる。このとき,$\ t^2 + q t -\frac{p^3}{27}=0\ $が成り立つ。
この2次方程式の解は,$\ t_1=-\frac{q}{2} + \sqrt{q^2/4 + p^3/27}, \ t_2=-\frac{q}{2} - \sqrt{q^2/4 + p^3/27} \ $となる。また,6次方程式の解は,$y_1^3=t_1, \ y_2^3=t_2$を満足している。ここで,$x^3=1$の解を,$ \{ 1, \ \omega=\frac{-1+\sqrt{3} i}{2}, \ \omega^2=\frac{-1-\sqrt{3} i}{2} \} $とする。
(1) $\ t_1,\ t_2$が実数の場合:
$\alpha=t_1^{1/3},\ \beta=t_2^{1/3}$を実数とすると,$y_1 = \{ \alpha,\ \alpha \omega,\ \alpha \omega^2 \},\quad y_2 = \{ \beta,\ \beta \omega,\ \beta \omega^2 \}\ $となる。この6つの解からそれぞれ,$\ x=y -\frac{p}{3 y}\ $によって,もとの三次方程式の解がえられるので,解の組が過剰に存在するようにみえるが,$y_2$のセットは,$y_1$のセットと同じになることが確かめられる。
$ \alpha^3 \beta^3 = t_1 t_2 = -\frac{p^3}{27}$で,$\alpha, \beta$がともに実数であることから,$\alpha \beta = -\frac{p}{3}$である。
これから,$x_2 = y_2 - \frac{p}{3 y_2} = \{ \beta-\frac{p}{3\beta},\ \beta \omega - \frac{p}{3 \beta \omega},\ \beta \omega^2 - \frac{p}{3 \beta \omega^2} \} $
$ = \{ -\frac{p}{3\alpha} + \alpha,\ -\frac{p}{3 \alpha \omega}+ \alpha \omega ,\ - \frac{p}{3 \alpha \omega^2} +\alpha \omega^2 \} = y_1 - \frac{p}{3 y_1} = x_1$
つまり,$\beta $からくる解はすべて$\alpha$からくる解の三つ組に帰着する。
三次方程式の解(3)に続く。