今年の大学入学共通テストはたいへんだった。オミクロン株の感染者数が急上昇するなか,1月15日(土)には東大の試験会場前で傷害事件があり,1月16日(日)にはトンガの海底火山の爆発にともなう津波警報で試験ができなかった会場がでた。
大学入試センター試験が,いろいろあって,大学入学共通テストに模様替えしたときに「思考力,判断力,表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視した」結果,今年の問題は読解力を必要とする部分が増えて,難易度があがったらしい。
そんなわけで,数学の試験を眺めてみたら,あら,防衛省の不祥事をヒントとしたようにみえる問題があるではないか。2019年にイージス・アショア配備の調査にかかわって露呈した事件だ。配備地の設定根拠を説明する資料において,Google Earthを使って水平方向と鉛直方向の縮尺比を考慮せずに山の俯角を導いて,判断のための重要なデータにしたというお粗末な(悪質な)ものだった。
今回の問題では,水平10万分の1と鉛直2万5千分の1の縮尺比を考慮せずに図を読み取った結果,キャンプ地から山頂を見込む俯角が16度になったのを検証するというものだ。三角関数表からこの16度に対応する正接を読み取り,これを1/4した値を解答し,さらに,この正接値から逆引して真の俯角(4度〜5度)を導くというものだ。
はい,いい問題ですね。しかし,平均点は数学I・数学Aで20点,数学II・数学Bで18点も下がった。
P. S. Twitterの感想によれば,第2問のデータ処理,第4問の整数問題はかなり評判悪い。やはり,その出発点が利権がらみ(後に消失か)だった共通テストは失敗で,センター試験のほうが良質だったようだ。
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