2025年7月24日木曜日

パデ近似(3)

パデ近似(2)からの続き

では,$\log x$ の近似式はどうして導かれたのか。ChatGPT o3に教えてもらうことにした。

(1) $x=t^2$ とおいて,$f(x) = \log x = 2 \log t = g(t)$
(2) $h=t-1$ とおいて,$t=1 \ (x=1)$のまわりでパデ近似を行う。
(3) テイラー展開すると, $g(t) = 2 \log(1+h) = 2 (h - \frac{1}{2} h^2 + \frac{1}{3} h^3 -\frac{1}{4} h^4  + \cdots)$
(4) これを $h$について パデ近似して$P_{2,2}(h)$ を求めると$P_{2,2}(h) = \dfrac{2h+h^2}{1+h+\frac{1}{6} h^2}$
(5) これを $h=t-1$ で $t$の関数に戻すと,$g(t) \approx \dfrac{6(t^2-1)}{1+4t+t^2}$ となる。
(6) さらに $t=\sqrt{x}$ で $x$の関数に戻すと,$f(x) \approx \dfrac{6(x-1)}{1+4 \sqrt{x} + x}$となる。
こうして$\log x \approx  \dfrac{6(x-1)}{1+4 \sqrt{x} + x}$ が得られた。なるほどね。

じゃあ,次数を上げて計算し,自分が本当に理解したかどうかチェックしてみよう。

(7) $g(t) = 2 \log(1+h) = 2 (h - \frac{1}{2} h^2 + \frac{1}{3} h^3 -\frac{1}{4} h^4  + \frac{1}{5} h^5 -\frac{1}{6} h^6 + \cdots)$
(8) $P_{3,3}(h) = \dfrac{2h+2h^2+\frac{11}{30}h^3}{1+\frac{3}{2}h+\frac{3}{5}h^2+\frac{1}{20}h^3}$
(9) $g(t) \approx \dfrac{2 (-11 - 27 t + 27 t^2 + 11 t^3)}{3 (1 + 9 t + 9 t^2 + t^3)}$
(10) $f(x) \approx \dfrac{2 (-11 - 27 \sqrt{x} + 27 x + 11 x \sqrt{x}}{3 (1 + 9 \sqrt{x} + 9 x + x \sqrt{x})}$

グラフをみるといちおうもっともらしい。


図:$\sqrt{x}$を含んだパデ近似

実はMathematicaにはパデ近似を求める関数があるので,原点以外でも簡単に求まる。

PadeApproximant[2(t-1)-(t-1)^2+(2(t-1)^3)/3-(t-1)^4/2, {t, 1, {2, 2}}] 

まあ,さきほどのチェックでも連立方程式を解いてもとの変数に戻すところはMathematicaの力を借りている。3元連立方程式を間違えずに解くのは筋トレ以上にたいへんだ。そういえば,中学生のときは2元連立方程式がちょっと苦手だったかもしれない。

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