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2023年5月28日日曜日

留数計算

GPT-4とBardとPerplexityに実関数の広義積分を複素解析を使って解くようにお願いした。

問題は,0sinxxdx  というものだ。で,三者全員がそれらしい導出過程を示しながら答えはπだと返してきた。どうもおかしいなと思って,Mathematicaで検算すると π2だ。やはり,ちゃんと勉強せずに生成系AIを使うことはできない(何度か試すと正しい答えを返す場合もあった)。

ところが,最近(ここ数十年)留数計算なんかご無沙汰しているので,自分の方が計算の仕方が分からなくなってしまっている。AI以下である。インターネットで復習してから自分で結果を再構成してみた。まだよく理解できていないけれど概ね次のようなものだ。

図:2通りの積分路と極の位置(ChatGPTのtikzコードによる)

複素関数f(z)=eizzの積分を考える。

経路 C1:γ+Γ+γ++Γ
経路 C2:γ+Γ+γ++Γ
とする。

f(z)がコーシーリーマンの関係式を満たす正則関数であるならば,
C1のように閉じた積分路の中にf(z)に極がない場合,f(z)の経路積分の値は,I1=C1f(z)dz=0になる。
またC2のように閉じた積分路の中に極がある場合は,f(z)の経路積分の値は,I2=C2f(z)dz=2πi Resf(z)になる。

C1f(z)dz=εReixxdx+Γeizzdz+Rεeixxdx+Γeizzdz=0

第1項と第3項をまとめて,第2項と第4項は z=reiθと極座標表示して,
これからε0, Rの極限をとると,

2i0sinxxdxπi+0=0

同様に積分路C2については,Res(z=0)f(z)=1 なので
これからε0, Rの極限をとると,

2i0sinxxdx+πi+0=2πi

いずれにしても,0sinxxdx=π2

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