凸関数からの続き
夢の中で,n変数の相加平均が相乗平均より大きくなることの証明ができそうになった。
起きてから早速その続きを考えたけれど,残念ながらうまくいなかった。これは以前に
鈴木貫太郎のチャンネルでも証明されていたが数学的帰納法を使っていたことしか憶えていない。
しかたがないので,インターネットで検索してその方法を調べた。簡単な方法として,
イェンセン不等式を利用するものと,帰納法を使うのだけれど関数の極値問題に帰着させるものが見つかった。
イェンセン不等式という名前を聞いたことがなかったのでこちらで考えてみる。これは凸関数の性質を拡張したもので,$f(x)$を凸関数として次式で与えられる。
$\displaystyle \sum_{i=1}^n p_i f(x_i) \ge f(\sum_{i=1}^n p_i x_i )$ (ただし $ 0 \le p_i \le 1 $ かつ $\displaystyle \sum_{i=1}^n p_i = 1 $)
$n=2$の場合は凸関数の定義式を表わしている。$n=k$で成り立つと仮定して,$n=k+1$でも成り立つことを示せば良い。以下で,$q=\sum_{i=1}^k p_i, \quad q_i=p_i/q (i = 1 \dots k), \quad q+p_{k+1}=1$とする。
$\displaystyle \sum_{i=1}^{k+1} p_i f(x_i) = \sum_{i=1}^k p_i f(x_i) + p_{k+1} f(x_{k+1}) = q \sum_{i=1}^k q_i f(x_i) + p_{k+1} f(x_{k+1})$
$\displaystyle \ge q f(\sum_{i=1}^k q_i x_i) + p_{k+1} f(x_{k+1}) \ge f(q \sum_{i=1}^k q_i x_i + p_{k+1} x_{k+1}) = f(\sum_{i=1}^{k+1} p_i x_i ) $
これを使って$n$変数の相加平均と相乗平均の関係を出すために,
$f(x) = -\log x,\quad p_i=1/n$とする。
$\displaystyle \sum_{i=1}^n p_i (-\log x_i) \ge -\log (\sum_{i=1}^n p_i x_i), \quad \frac{1}{n} \log (\prod_{i=1}^n x_i ) \le \log (\frac{1}{n} \sum_{i=1}^n x_i)$
したがって,$n$変数の相加平均が相乗平均より大きくなることが示された。
$\displaystyle (\frac{1}{n} \sum_{i=1}^n x_i) \ge \Bigl( \prod_{i=1}^n x_i \Bigr)^{1/n}$