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2022年8月19日金曜日

LDLコレステロール(2)

 LDLコレステロール(1)からの続き

天理市立メディカルセンターの人間ドックの結果がよろしくなかったので,8月15日に血中脂質の再検査を申し込んでいた。

9時の受付で,体重を測り採血してもらう(血圧は測らなくていいのか)。50分くらい待って診察を受けた。結果は,総コレステロール(130-219 mg/dL)が 257 -> 229,HDLコレステロール(40-75 mg/dL)が 68->64,LDLコレステロール(70-139 mg/dL)が 170 ->145 だった。

朝食のトーストのバターをやめるなどの成果がでたのか。次回は来年の人間ドックでチェックすることにした。お医者さんからは,卵黄・魚卵・肉類の脂肪を減らせと指示された。食品に含まれるコレステロールの摂取と,体内でのコレステロール合成を促進する飽和脂肪酸の摂取の2つがあって,それらを両方とも控えなさいということだった。

帰ってから,コレステロールについてもう一度勉強してみた。胆石はコレステロール98-99%でできてるものなのか。コレステロールが血漿中で輸送されるときには,コレステロールにタンパク質が結合したリポタンパク質の形をとる。これは,その密度のわずかな差によって数種類に分類できる。もっとも密度が大きなものが,HDL(高密度リポタンパク質,ρ=1.063–1.210  d= 7–10 nm),その次がLDL(低密度リポタンパク質,ρ=1.019–1.063  d=19–22 nm)だ。

LDLが酸化してマクロファージに取り込まれたものが血管に沈着すると動脈硬化の原因となって,死因順位第2位の心疾患(16%)や第4位の脳血管疾患(7%)を引き起こすらしい(なお,第1位の悪性新生物の死因割合は27%)。

ところが,WikipediaのLDLの節には次のような記述があった(参考資料)。

以前は悪玉コレステロールとも呼ばれたが、現在では否定されている。最新のACC/AHAガイドラインでは家族性高コレステロール血症の患者以外ではLDLの目標値を設定するエビデンスはないとされている。

 ACC/AHAは,米国心臓病学会と米国心臓病協会のことで,その2018年ガイドラインはこれ。専門的な英文を解読するのが難しいので,日本動脈硬化学会の反論の方をみる。

今回のACC/AHA ガイドラインの特徴の一つは、脂質管理目標値を設定しないことである。LDL-Cの管理目標値を決定するに足るエビデンスは現状では十分ではないことに関しては我々も異論はなく,すでに動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版でも20-30%のLDL-C低下を目標とすることも考慮すると記載されている。

他のリスク要因がなく,単にLDLコレステロールの値が高いだけという場合は,LDLコレステロールを一定値まで下げるということに意味がないということなのか?


図:脂質異常症と栄養の関係(下記参考資料から引用)

[1]日本人の食事摂取基準(2020年版)

2022年5月13日金曜日

LDLコレステロール(1)

人間ドック(2)からの続き

以前から,中性脂肪やLDLコレステロール値にしばしば警告が出ていたが,あまり気にすることはなかった。ところが,今回はいよいよ,要治療領域まであと一歩という説明をドクターから直接受けたので早速以前の結果を見直してみた。 



図:人間ドックにおける2001年以降の血清脂質値

この22年の人間ドックの検査値の平均は中性脂肪(TG=トリグリセリド)が TG=113±24 mg/dL(35-149),LDLコレステロール(悪玉)が LDL-C=139±11 mg/dL(70-139),HDLコレステロール(善玉)が HDL-C=61±4 mg/dL (40-)となった。総コレステロールは,TC=LDL-C+HDL-C+TG/5で求まり,TC=225±12 mg/dL(130-219)である。括弧内が正常値だ。なお 善玉を除いたnon-HDLコレステロールは,non-HDL-C = TC − HDL-C となっている。

中性脂肪とHDLコレステロールはほぼ問題ないのだが,これまでのLDLコレステロールの平均値が,許容値の70-139 mg/dL の上限に達し,上回ることの方が多かった。LDLコレステロールが140 mg/dL以上は高コレステロール血症に該当し,180 mg/dL以上が要治療対象だ。加齢や運動量の不足からか,定年後の3-4年でLDL-CやTCが上昇傾向にあるのがよろしくない。

高コレステロール血症の 2-3割は食物や生活習慣が原因で,7-8割がコレステロールをつくる肝臓の機能の問題らしい。肝臓の機能のうち遺伝的な原因が主ならばなかなか対応が難しいわけだ。ネットで検索するとちょっと怪しいサプリページがどんどんと引っかかってくる。

とりあえず,次の検査の3ヶ月後まで,動物性脂肪(飽和脂肪酸)を少しでも減らして,有酸素運動を始めろということか。

[1]脂質異常症(eヘルスネット)
[2]人間ドック学会判定区分(2021年度版)

2024年4月4日木曜日

機能性表示食品

食品衛生法からの続き

ちょっとよそみしていたら,そもそも安倍晋三森下竜一が導入した機能性表示食品が原因ではないかという話が盛り上がっていた。

安倍晋三のアベノミクスの三本の矢の一つが規制改革による民間需要の喚起だった。これを実現するため第2次安倍内閣が2013年1月に復活させたのが規制改革会議だ。そのメンバーにあの大阪の吉村知事肝いりDNAコロナワクチン開発騒動でお馴染の森下竜一が,アンジェスMG株式会社取締役として加わった。

規制改革会議は半年で答申をまとめ,規制改革実施計画[1]として閣議決定される。森下の文章[2]を読めばその意図がわかる。まあ,一般に規制改革には副作用が付き物で,今回の事件もその一端だといえばそうかもしれない。美味しい話にさっそく蟻さんが群がっている。

機能性表示食品は,内閣府による政令,食品表示基準で定義されることになり,企業による届出だけで承認される。また,これについては消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索データベースで調べることができる。

機能性表示食品は,2月9日分までで8154件登録されている。その中でキーワード紅麹を含むものは次の10件だった。
F216 2020/06/29 小林製薬株式会社(4120001077402)
コレステヘルプ 加工食品(サプリメント形状)
米紅麹ポリケチド ・変更 2024/03/22 ・撤回 2024/03/26

G970 2021/12/08 小林製薬株式会社(4120001077402)
コレステヘルプa 加工食品(サプリメント形状)
米紅麹ポリケチド ・変更 2024/03/22 ・撤回 2024/03/26

H98 2022/05/16 株式会社ファンケル(3020001000366)
コレステサポート 加工食品(サプリメント形状)
紅麹ポリケチド・りんご由来プロシアニジン ・変更 2024/01/24

H393 2022/08/10 小林製薬株式会社(4120001077402)
ナイシヘルプ+コレステロール 加工食品(サプリメント形状)
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン、米紅麹ポリケチド ・変更 2023/11/07 ・撤回 2024/03/26

I199 2023/05/17 小林製薬株式会社(4120001077402)
ナットウキナーゼさらさら粒ゴールド 加工食品(サプリメント形状)
納豆菌由来ナットウキナーゼ、米紅麹ポリケチド ・変更 2024/01/31 ・撤回 2024/03/26

I631 2023/08/18 株式会社ZERO PLUS(9290001031420)
悪玉コレステロールを下げるのに役立つ 濃厚チーズせんべい 加工食品(その他)
米紅麹ポリケチド ・変更 2024/03/25 ・撤回 2024/03/27

I773 2023/10/16 小林製薬株式会社(4120001077402)
いきいきヘルプ 加工食品(サプリメント形状)
米紅麹ポリケチド、大豆イソフラボン ・撤回 2024/03/26

I827 2023/10/31 小林製薬株式会社(4120001077402)
コレステヘルプWa 加工食品(サプリメント形状)
米紅麹ポリケチド、EPA・DHA ・変更 2023/12/22 ・撤回 2024/03/26

I873 2023/11/10 小林製薬株式会社(4120001077402)
コレステヘルプb 加工食品(サプリメント形状)
米紅麹ポリケチド ・変更 2024/01/30 ・撤回 2024/03/26

I1027 2023/12/14 小林製薬株式会社(4120001077402)
いきいきヘルプa 加工食品(サプリメント形状)
米紅麹ポリケチド、大豆イソフラボン ・撤回 2024/03/26
小林製薬の8件と,ZERO plusの1件が撤回されている。ファンケルの機能性関与成分は「紅麹ポリケチド」であり,他の9件の「米紅麹ポリケチド」とは異なっている。報道されていた大阪市による回収対象は3種類だけだったけれどいいのかしら。

[1]規制改革実施計画(平成25年6月14日閣議決定,2013年)
[2]「機能性表示食品制度」が始まります!(消費者庁,2015年)

2024年6月6日木曜日

サルコペニア

ピロリ菌からの続き

国保人間ドックの,胃カメラ以外で一番気になったのが,体重である。
前回の2023年は,身長180.9cm, 体重62.6kg,体脂肪率16.8%,筋肉量49.4kg だったのが,
今回の2024年は,身長180.8cm, 体重59.6kg,体脂肪率17.6%,筋肉量46.6kg となった。
体重(筋肉)の一年減少率は 4.8%(5.7%)だ。まずい。

検査終了後のドクターの問診では,蛋白質をとって運動しなさいとのこと。問題は,悪玉コレステロールも増加に転じたので,食事の制限条件がちょっとややこしくなることだ。非常勤講師が終了して,まだ4ヶ月しか経っていないのに,朝の散歩だけでは筋肉に対する負荷が足りないのであった。

なお,タニタの体組成計測定結果(最大誤差10%?)によれば,筋肉量はつぎのとおり。
前回の2023年は,上肢5.05kg,体幹部27.30kg,下肢17.05kg,合計49.40kg
今回の2024年は,上肢4.55kg,体幹部26.35kg,下肢15.70kg,合計46.55kg
1年の減少分は,上肢0.50kg, 体幹部 0.95kg, 下肢1.35kg, 合計 2.80kg

この調子だと,5年後には体重45kgで寝たきりになりそうな勢いだ。まずいまずい。

参考文献[3]には,日本人男性の年齢に伴う筋肉量の変化の回帰式が与えられている。
ちなみにこのサンプル集団の平均身長は,167.1±7.2 cm,平均体重は64.6±10.0 kg である。
 上肢筋肉量= 0.035 年齢 -0.0050 年齢^2 + 5.02 kg
 体幹部筋肉量=0.288 年齢 -0.0031 年齢^2 + 21.54 kg
 下肢筋肉量= 0.025 年齢 -0.0013 年齢^2 + 20.79 kg
 全身筋肉量= 0.352 年齢 -0.0050 年齢^2 + 47.28 kg
これを当てはめてみると,次の値が得られる。
70歳=(5.02,26.51,16.17,47.42)
71歳=(4.98,26.36,16.01,47.07)
1年間で,0.35kg減少する。自分の2.80kgはその8倍だ。マズイマズイマズイ。

加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下の状態を,サルコペニアというらしい。日本の65歳以上の健常高齢者におけるサルコペニアの有症率は男女ともに約20%とされている。これだ。調べると続々出てくる。でも調べただけで読まずに安心してしまう症候群がぐぬぬ。論文をコピーしただけで読んだつもりになる症候群と同じだ。

図:年齢に伴う全身筋肉量の変化([3]から引用)

[5]サルコペニアとは(加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のこと)

2020年10月13日火曜日

人間ドック(1)

 昨日は晴れ。大手前病院の人間ドックの受診日だった。今年度になって大阪市に出るのもこれが2回目か。そういえば,政令指定都市の大阪市の存続も風前の灯となっている。菅首相のもとで勢いづいている大阪維新に対し,なかなか有効な反撃の手だてが見つかっていない。

新型コロナ感染症対策が厳重になされている中での人間ドックだったが,受診者は例年より多かったかもしれない。なんだか混んでいた。なじみの職員が入れ替わっていたり,あいかわらず胃X線が荒っぽかったり,このごろ眼底検査の要領が悪かったり(こちらの目が濁ってきているのかな),聴力検査の説明がやけに丁寧だったり,心電図のペーストがべとつかなくなったり,なんとなく例年とは違う空気を感じる。ここでの診断も,共済組合の任意継続が終了するので今年限りかもしれない。

大阪城が見える見晴らしのよい12階のレストラン(職員食堂)の人間ドックサービスメニューが変更されていた。昨年までのうどん+おにぎりが,和定食,洋定食,やわらか食の三択になっており,洋定食を注文したところ,ななかなクオリティが高かった。

血液検査の速報値も出るようになった。あいかわらず悪玉コレステロールの値が高すぎる。


写真:12F職員食堂にて洋定食(2020.10.12 撮影)

2022年5月12日木曜日

人間ドック(2)

人間ドック(1)からの続き

昨日は,天理市立メディカルセンターの人間ドック健診日だった。

天理市の国民健康保険加入者に対する人間ドック補助制度がある,今年から条件に該当することになったので,早速申し込んでいた。メディカルセンターの受付時間は8:30から8:45までで,10分前につくと6番目だ。大手前病院では,家を6:00前に出て,7:15に病院に到着してやっと6番目前後だったので,えらい違いである。

天理市立メディカルセンターは,高井病院の福祉医療法人である高清会が運営していて,設備も比較的新しく普通の病院とあまりかわらない。健診を受けている人数がそもそも少ないので対応はよい。タニタの最新式体重計では,体脂肪率だけでなく身体各部の脂肪量や筋肉量まで算出してくれる。脂肪量は平均値なのだが,筋肉量が平均より2段階下である。どおりで懸垂ができなくなるわけだ。

気になった点は,(1) 眼底検査がなかなかうまくいかず,3回取り直した。これは私のせいなのか?(2) 聴力検査はかなりアバウトなのであった。(3) 胃X線(バリウム)は検査技師の方はとても丁寧で親切だったけれど,発泡剤を補助液なしにそのまま口に入れ,大量のバリウムで直接流し込む方式には閉口した。診断台で身体を支えるのもなかなか困難になってきたので,来年は胃カメラかな。

問診は,超音波検査を担当していたお医者さんに血液検査のデータを見ながら丁寧に説明してもらった。LDLコレステロールが170mg/dLと後一歩で要治療の180mg/dLに達するということで脅された。さっそく看護師の保健指導をうけつつ3ヶ月後の再検査を申し込むことに。

[1]バックス発泡顆粒(「透視開始に際して、造影剤投与開始直前あるいは投与開始後、年齢、胃内容積の個人差、造影の体位に応じて、約100~400mLの炭酸ガスの 発生量に相当する量を、少量の水または、造影剤と共に経口投与する」なので,補助液なしでもかまわないらしい。)

2024年11月3日日曜日

フレイル予防

天理市から「フレイル予防のための食事」というタイトルで,管理栄養士による講演会の案内がやってきた。気になっていたので早速申し込んでおいた。

天理市立メディカルセンターの2Fにある地域包括ケア広場で,奈良県栄養士会の会長の講演があった。タイトルは「栄養講座〜高齢期のフレイル及び骨粗鬆症予防〜(リンク先は同趣旨の厚生労働省資料)」だ。35pのPowerPoint資料が配られ,健康アンケートと簡易骨密度測定(結果はBで問題なさそう)がついてくる。

25席用意されていて,おしゃべりで元気そうなお婆さん達が20名ほど集まっている。爺さんは,自分を含めて2-3名程度だ。日本は超高齢社会となり100歳以上が 9万5千人いるが,男女比はという質問があった。婆さんらは元気に答える。教室では黙ってしまう若者と大違いだ。答えは1-2割が男で8-9割が女というもの,婆さんら正解。うーむ,男性12%女性88%なのか

講師は,女性の長生きが多いのは皆さんのように活動的でぺちゃくちゃしゃべりし,コミュニティを形成する能力の高さからくるのだとのこと。うーん,確かに爺さんはコミュニケーションが苦手だ。人によるのかもしれないけれど。

厚生労働省の5年ごとに改定される食事摂取基準が,2020年版からその目的に「高齢者の低栄養・フレイル予防」をうたうようになった。そもそも用語としてもフレイルティからフレイルに変更された。ここでのフレイルの定義は「健常状態と要介護状態の中間に位置するもの」である。なお,高齢者の年齢区分も,従来の70歳以上から,前期高齢者65-74歳と後期高齢者75歳以上の2区分に詳細化されている。

食事摂取基準の対象は,,歩行や家事などの身体活動を行っている者であ り、体格〔body mass index:BMI、体重(kg)÷身長(m)2〕が標準より著しく外れていない者」だ。指標としてBMIが頻繁に登場する。自分の平均BMIは18.9であり,幽明の境目だ。高齢者のBMI基準も2020年度版からは若者より高く設定されて BMI=22,自分の場合体重 72 kg が必要なので,10 kgも足りない。

フレイルから元気な状態へは,がんばれば戻れるらしい。そのためには,(1) 筋量の増加のためにたんぱく質摂取量を増やし,(2) 筋力の増加のために筋トレをすること。適切なたんぱくしつ摂取量は,1.3〜1.5/kg/日 なので自分の場合 80g にも達する(食事摂取基準では60 g)。

たんぱく質の多い食品でコレステロールのリストとして挙げられたのが次のものだった。
とりささみ100g,ぶたもも肉100g,牛ひき肉100g,たまご1こ,まぐろ赤身5切れ(トロはダメよ),焼き魚1切れ,木綿豆腐1/2丁,納豆1パック,牛乳200mL,チーズ20g,ヨーグルト100g 等々。1食で 25gとれば3食で目標が達成できる。

後半には,女性も多かったので骨粗鬆症の話が中心になる。血液中には1%のカルシウムが定常的に含まれている必要があって,これを維持するためには1日に700mg程度のカルシウム摂取が必要だ(そのうち実際に吸収されるのは野菜20%小魚30%乳製品50%程度である)。
牛乳1本で1/3はまかなえる。小松菜,ひじき,じゃこ,豆腐,納豆もよい。このとき,魚とキノコを摂取してビタミンDも忘れずに。

ビタミンDの合成は日光にあたった皮膚で行われるため,若い子が日焼け止めクリームを塗りすぎるのもよくないとのことだった。将来の骨粗鬆症を招くことになる。


写真:天理市の栄養講座(2024.10.28撮影)k