2024年9月30日月曜日

ビゲロイ

NHK朝のニュースの特集で,高知大学海洋コア国際研究所客員講師で自宅研究者の萩野恭子さんが取上げられていた。

萩野さんは,ビゲロイという円石藻(えんせきそう)の一種を安定的に培養することに成功し,それによって今回のサイエンスの表紙を飾るような国際共同研究チームの成果を導くこができた。番組では世界で初めて窒素を固定する生物(ビゲロイ)を見つけたというストーリーだったので,ちょっと?となった。根粒バクテリアというのが窒素固定細菌の定番ではなかったのか。

そもそも生物の構成要素として不可欠である窒素だ。その地球上おける窒素循環には,様々な窒素固定細菌の存在が不可欠である。その一部が豆科の植物と共生している根粒菌だ。ところで生物界の分類でいうと,細菌古細菌(アーキア)と並んで真核生物(植物界,動物界,菌界原生生物界)と対比されるドメインを構成している。今回の主役のビゲロイは藻類であり,原生生物界=真核生物ドメインだ。これまでの窒素固定細菌は細菌ドメインなので,初めての真核生物における窒素固定機能の発見ということらしい。

ビゲロイの細胞中にある窒素固定細菌構造(UCYN-A)が,単なる共生なのか細胞小器官(オルガネラ)なのかが問題だったが,ビゲロイの細胞分裂において,核や葉緑体と同様に倍加して分裂することが確認された。



写真:ビゲロイの電子顕微鏡写真(萩野さんの円石藻ページから引用)


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