2023年10月23日月曜日

因果関係(1)

因果と相関(2)からの続き

変位電流が磁場を作るか否かいう議論において,因果と相関の区別ということが強調されることがある。これがなかなかやっかいだ。それが,電場や磁場を遅延時間の電荷密度や電流密度で記述するというジェフィメンコ式の評価につながり,近接相互作用による電場と磁場のからみあいのイメージを放棄させようと迫ってくる。

谷村省吾さんのように,相対論的な因果律(光速度を超える情報の伝搬はない)以外の因果関係を物理法則の中に読み取るべきではないという立場はクリアなのだけれども,そう簡単に割り切ることもできないのが凡人の浅ましさである。


最初に出てくるのが,ニュートンの運動方程式である。$\displaystyle m \dfrac{d^2 \bm{r(t)}}{d t^2}=\bm{F(t)}$は,力が原因が加速度がその結果だというのは疑いのないことで,逆にして,加速度が原因で力が結果として生ずるとは読めないだろう。当然だよね。というのが大方の意見である。

水平面内に摩擦がない誘導路で軌道をつくって小球を走らせるとする。その軌道は自分で設計することができ,摩擦が非常に小さければエネルギー損失はないので,速さは一定になる。加速度はその軌道を設計することで自由に与えることができる。3次元で考えればジェットコースターの設計だ。このときに働く誘導路の壁に与える力(慣性力と等しい)は,軌道による加速度を与えた結果として定まるということはできないだろうか。


2つの時間に依存する物理量$A(t), B(t)$を法則的に結ぶ関係式(方程式)$f(A(t), B(t))=0$があれば,その間には常に同時刻の相関関係が存在し,2つの物理量を変数とした座標でグラフを書くことができる。これを因果関係として理解できるためにはどのような条件が必要だろうか。

一つは,一方の物理量を人為的に自由に設定・制御できる場合,これが原因で他方の物理量が結果といえるというものだ。この場合でも法則は常に満足されるように現象は進行している。ということは,両方の物理量が設定・制御可能であれば,因果関係は関係式(方程式)では決まらず,実際の現象を実現する状況に依存するということになる。

これに近いのが,関係式(方程式)では因果関係は決まらず,初期条件や境界条件などが因果関係を決めるというものだ。確かにニュートンの運動方程式では普通,初期条件を与えて初めて運動が定まる。先ほどの誘導路の設定も広義の初期条件や境界条件の設定といえなくはない。

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