2023年10月29日日曜日

AI現状リポート

昨年の11月30日にOpenAIChatGPTが公開されてから11ヶ月が経過した。有料のGPT4版を止めて,最近ではAnthropicClaudeを使うことが多い。大量のテキストを簡単に読み込めるからだ。

AI投資家のネイサン・ベナイチとエア・ストリート・キャピタルのチームによって作成されたのが,State of AI Report 2023である。163ページのpdfで,導入,研究,企業,政策,安全,予測の各章から成り立っている。

導入部で2023年のAIの現状は,次のようにまとめられている。
1. GPT-4の登場で,企業モデルとオープンソースのモデルの差が明確になった。強化学習の力が実証された。
2. 小さなモデルやデータセットで企業モデルを克服しようとする試みが進む。データが不足する可能性が指摘される。
3. 生命科学分野での応用が進み,分子生物学等のブレイクスルーが起きている。
4. NVIDIAの株価が1兆ドルを超え,GPU需要が高まる。輸出規制が進む。
5. ChatGPTなどの一般向けAIサービスが普及し,投資が180億ドルに。
6. 各国のAI規制の動きが分かれる。大手研究所がガバナンスの空白を埋める。
7. チップをめぐる各国の争いが続く。AIの社会への影響が懸念される。
8. AIの存在リスク論争が一般にも広がる。安全性確保の取り組みが進む。
9. 性能向上に伴いモデルの一貫した評価が困難に。直感的判断だけでは不十分。
また,今後12ヶ月で起こり得ることが次のように予測されている。
1.  ハリウッド映画で,生成AIによる視覚効果が使われるようになる。
2.  2024年の米大統領選で,生成AIメディア会社の不正使用が調査される。
3.  自己改良型AIエージェントが,複雑なゲームや科学ツールの分野で最高精度を更新する。
4.  技術系新興企業の未公開株の公開市場が回復し,AI企業の新規上場がある。
5.  生成AIの大規模モデル開発で,1社が10億ドル以上を費やす。
6.  マイクロソフトとオープンAIの提携が、,英の規制当局により競争阻害で調査される。
7.  国際的なAIガバナンスは,任意の高度な合意にとどまる。
8.  金融機関がGPU向け融資ファンドを立ち上げ,AI企業の資金調達を支援。
9.  AI生成の楽曲がビルボードチャート上位にランクインする。
10.  推論需要の拡大で,OpenAIなどが推論に特化したAIチップ企業を買収する。

一方,Claude単体での将来予測はこんな感じだ。たいへん穏当な見解である。
・ChatGPTなど一般向けAIサービスの利用が更に広がる。画像や動画などでの生成能力が向上。
・企業ではAIを活用して,顧客対応や文書作成などの業務効率化が進む。
・AIチップの需要が高まり,NVIDIAなど関連企業の業績が伸びる。
・学術分野でのAI活用が加速し,生命科学や材料開発でのブレイクスルーが起きる。
・AIの存在リスクに関する議論が活発に。AIの安全性確保が喫緊の課題に。
・各国の規制動向が注目される。EUがAI規制法を策定するなど,ルール作りが本格化。
・一方で、GAFAなど大手IT企業も自主規制に乗り出す。業界内での調整が進む。
・この1年でAIは自動運転や翻訳などで精度が向上するが,真の汎用AIは実現しない。


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