新型コロナウイルス感染症の蔓延にともなって,献血機会が減少し,日本の医療活動に必要な血液が確保できないのではないかというニュースが流れていた。そこで,人工血液というのはまだ開発されていないのかどうか調べてみた。
日本血液代替物学会が存在するくらいなので,研究は進んでいると考えられる。学会誌の「人工血液」は会員以外の誰でも自由にpdfファイルで読むことができるのがありがたい。奈良県立大学の酒井宏水先生が現在の学会長だ。
人工血液の1つとして,赤血球の酸素運搬機能を代替する人工の微粒子である人工赤血球がある。日赤や医療機関で発生する期限切れ非使用赤血球(検査済み)から,酸素を結合するタンパク質ヘモグロビン(Hb)を精製分離し,これを濃度高くリポソームに封入した微粒子であり,ヘモグロビンベシクル(Hb-V)とよばれるものがその一例だ。
また,血小板輸血に関しては,室温保存による細菌繁殖に起因する感染症を防止する目的で,法制上,血小板製剤の保存期間が4日以内に限定されており,血小板輸血に対する抜本的な供給システムの構築が喫緊の課題である。このため,iPS細胞から血小板を大量に生産するための方法が研究されている。
白血球は難しいのではないかと思ったが,逆にこれは薬で代替することができて,赤血球や血小板の方が残念ながら今の医療技術では作れないので献血してほしいとのことだった。
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