元旦の夜,テレビ番組をだらだらと見ていたら,NHKのEテレの「100分de名著」シリーズの特番「100分deナショナリズム」が飛び込んできた。ヤマザキマリが安部公房の「方舟さくら丸」の話をしていて,最初はこれが方舟さくら丸の話とは気付かずにいた。とてもおもしろい切り口でぐいぐいと引き込まれた。4人のゲストが稲垣吾郎の司会の元で,このテーマにも関らず冷静に議論できているのがとてもありがたかった(ふだんの司会の伊集院光もなかなかよい仕事をしていると思う)。
さっそく,自分の本棚を確認すると,新潮文庫の方舟さくら丸を持っていた。しかし,そのイメージは全く記憶に残っていなかった。「箱男」と「密会」も単行本で持っていたはずだが,こちらのストーリーも思い出せない。これにくらべると,「第四間氷期」,「けものたちは故郷をめざす」,「砂の女」,「他人の顔」,「燃えつきた地図」の方はくっきりとした印象が残っている。初期の短編も高校時代の自習時間に図書館でよく読んでいた記憶がある。SFから入門した安部公房だが,「砂の女」と「他人の顔」は大学時代に読んだ文芸作品のベストテンに入る。
番組の方はまとめると次のようなことだった。
大澤真幸 想像の共同体 国民国家・情報技術
島田雅彦 君主論 マキャベリズム・パトリオティズム
中島岳志 昭和維新試論 超国家主義・セカイ系
ヤマザキマリ 方舟さくら丸 棄民・選民
1月5日の再放送を録画して最初からみたが,おもしろかった。
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