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2019年1月19日土曜日

角運動量の合成への道(1)

(MathJaxの記号一覧は,このEasy Copy MathJax が便利である。)

 角運動量演算子については,次の交換関係から出発して,固有値と固有状態の議論ができる。一般化された角運動量演算子Jはエルミート演算子であり,その成分は交換関係[Ji,Jj]=iϵijkJkを満足すると仮定する。このとき,J2=iJ2i=iJiJiも固有値が正のエルミート演算子となり,[J2,Ji]=0であることから,J2Jzの同時固有状態|λμが存在し,その固有値λ2,μは実数となる(λ0)。
J2|λμ=λ2|λμJz|λμ=μ|λμ
JxJx+JyJy=J2J2zの左辺の |λμによる期待値が正であることから,固有値 λμ20が成り立つ。すなわち,λμλである。

また,昇降演算子,J±Jx±iJyを定義すると,J±=J, [J2,J±]=0,[Jz,J±]=±J±, [J+,J]=2Jzなどが成り立つ。

ここで,J±|λμ がどんな状態かを調べると次のことがわかる。
J2J±|λμ=λ2J±|λμJzJ±|λμ=(μ±1)J±|λμ
すなわち,J±|λμ=C±λμ|λμ±1。ここで,C±λμは比例定数であり,規格化条件を用いて,λμ|JJ±|λμ=|C±λμ|2λμ±1|λμ±1 より,C±λμ=λμ(μ±1)
ただし,JJ±=J2J2zJzであることに注意する。

ある固有状態から出発して,昇降演算子J±を繰り返して作用すると,J2の固有値を共有し,Jzの固有値が離散的に変化する一連の固有状態のシリーズが得られるが,これは,固有値μに対する条件と矛盾することから,μの上限μmaxと下限μminにおいては比例定数C±λμが0となって,シリーズが中断される必要がある。すなわち,
J+|λμmax=0,C+λμmax=λμmax(μmax+1)=0J|λμmin=0,Cλμmin=λμmin(μmin1)=0
これから,μmax(μmax+1)=μmin(μmin1)が成り立ち,因数分解すると,(μmaxμmin+1)(μmax+μmin)=0となる。μmaxμminの差は整数n=0,1,2,となることから,n2=jとおいて,この半整数 j=0,12,1,32,2,に対して,μmax=j,μmin=j,λ=j(j+1)となる。そこでこの場合のμm=j,j+1,j1,jと書くことにする。

そこで,固有状態と固有値を表すシンボルをλ,μからj,mに変えてまとめると,
J2|jm=j(j+1)2|jmJz|jm=m|jmJ±|jm=j(j+1)m(m±1) |jm±1





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