そういえば,7月の参議院選挙というのは2022年の話だから,そこで驚かなければならないところだ。幸いなことに立憲民主党は2022年の参議院選挙時点での分裂をかろうじて回避したが,この度いよいよ崩壊過程が迫ってきたことがますます明らかになった。
白井は,現在の政治状況が「ポスト・トゥルース」の政治の本格化だと分析している。ポスト・トゥルースを簡潔にいうと「世論を形成する際に,客観的な事実よりも,むしろ感情や個人的信条へのアピールの方がより影響力があるような状況」ということだ。そしてそれは,民主主義の危機や崩壊ではなく,むしろ民主主義の全面化の帰結であり,インターネットのSNSによるフェイクニュースの拡散やエコーチェンバー現象は,民主主義の本質の増幅過程だというのである。
ドナルド・トランプ現象や,安倍晋三現象や,吉村洋文現象だけでなく,日本のあらゆる場面で,真実ではないにも関わらず,我々大衆の価値観と合致するがゆえに,軽々と真実を乗り越えて拡散し浸透するデマゴギーが充満しているわけだ。その実例は,白井の記事にこれでもかというほどあげられている。
そして,これに対抗するためには,客観的な事実を持ってしては何の効果もなく,価値観それ自身を入れ替える必要があるというのが彼の結論だ。デマゴギーのほうに躍らされて右往左往している立憲民主党の執行部をみれば,その一部と国民民主党と日本維新の会が合体して真の二大政党制(自民≒旧体制宗教右派と維新≒新自由主義右派)の時代が訪れるのも近いかもしれない。その露払いの防衛費倍増はすでに片づいている。あとは学術会議を解体して憲法を改正すれば仕上げのできあがりだ。
詳細な統一地方選挙の分析によれば,必ずしも維新が全面的に勝利しているわけではないといえ,地元天理市の市議会議員選挙でもこれまで泡沫候補として落選続きだった日本維新の会の候補がトップ当選するなど,都市部の地方議会を中心に着実に維新的な価値観の浸透(というか表面化)が進行している。そして,無党派層の自民党離れと公明党の切り崩しと共産党の衰退というのが現今の状況だ。なんとも面倒な民主主義の時代が到来している。
0 件のコメント:
コメントを投稿