2023年4月21日金曜日

妹背山婦女庭訓(1)

国立文楽劇場の4月文楽公演(第170回)は,文楽協会創立60周年記念であり,第1部と第2部が妹背山婦女庭訓の初段,二段目,三段目の通し公演だった。なお四段目は夏休み文楽公演に続く。なお,第3部は近松門左衛門三百回忌の曾根崎心中だが,こちらはパス。

久々に床の真下の席を取った。太夫のつばや汗が飛んできそうな場所だ。迫力はあって,よかったのだけれど,問題がひとつあって,第2部の妹山背山の段を斜めから見ることになるので,川の全体がきれいに見えないことだ。そのかわり,川の流れを表現する波模様のついた長い箱の回転が人力で行われているのが隙間から見えた。2時間近く回し続けるのかと心配になったが,回転させるのは要所だけだった。

さて,第一部では蝦夷子館の段の亘太夫が結構がんばっていた。今回も豊竹咲太夫が休演で竹本織太夫に変更していたため,万歳の段は寝てしまい,千歳太夫と富助が熱演した芝六忠義の段で目が覚めた。本日のメインイベント妹山背山の段は,それぞれ二人の太夫を左右に配置していたけれど,2010年4月に初めて通しで見た時は,住太夫と綱太夫の一人づつはなかったろうか。と調べてみると,それぞれ文字久太夫と呂勢太夫がついており三味線も前後に分かれていた。なるほどベストメンバーで臨む段なのだ。

大阪維新の橋下によって文楽への補助金がカットされ,住太夫が心労で亡くなり,その数年後にコロナ禍が襲うという散々な状況にある人形浄瑠璃文楽だが,いよいよ今年は文楽研修生の応募がゼロになったとNHK大阪が報じていた。当日のロビーには,文楽研修生募集の看板を持ったスタッフが立って宣伝しており,締切も2ヶ月延長された。ロビー前の売店では弁当や飲み物が売られて,昼食をとることができるようになってはいたが,まだまだ先は長い。

#文楽をみようというハッシュタグをつけてSNSに人形や舞台の写真やポスターなどを投稿するとプレゼントがもらえるというイベントをやっていた。早速応募してみたら,クリアファイルがもらえました。後は,インバウンドの観光客をどうやって集めるかかな。



写真:文楽劇場SNS投稿のプレゼント(2023.4.19撮影)

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