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2023年1月23日月曜日

級数の因数分解

鈴木寛太郎の今日の問題を一般化してみると次のような問題になる。
f(n,x)=Σn1k=0xk=1+x+x2+x3+xn1は因数分解できるかというものだ。結論は,nが素数の場合は因数分解できないが,それ以外なら因数分解できる。

g(n,x)=(1x)f(n,x)=1xnとする。nが素数でなければ n=ab などのように自然数abの積で表わすことができる。つまり,g(n,x)=1xab であるから,X=xa とおいて,g(n,x)=1Xb=(1X)(1+X+X2++Xb1)
=(1x)(1+x+x2++xa1)(1+X+X2++Xb1)

となる。つまり与式は,f(n,x)=g(n,x)1x=(1+x+x2++xa1)(1+X+X2++Xb1)と因数分解できる。

問題は,nが素数の場合であって,これはどうしたものかと調べてみると,アイゼンシュタインの既約判定定理というものがあった。その内容は以下の通り。

  P(x)=anxn+an1xn1+a1x+a0を整数係数の多項式とする。

  ある素数 pが存在して,次の条件が満たされるとする。
   ・inの場合,aipで割り切れる。
   ・anpで割り切れない。
   ・a0p2で割り切れない。

  このとき,P(x)は係数が有理数の範囲でこれ以上因数分解できない。

例えば,P(x)=x4+x3+x2+x+1=x51x1の既約性は,P(x+1)の既約性とおなじであり,P(x+1)=(x+1)51x=1x4+5x3+10x2+10x1+5を判定すればよい。この式は素数p=5に対して上の条件を満たしているので,因数分解できないことになる。

全ての係数 ai=1n=p1pは素数)という多項式,P(x)=xp1+xp2+x+1=xp1x1を考える。そこでは,P(x+1)=pCpxp1+pCp1xp2+pC2x+pC1となる。an=ap1=pCp=1pで割り切れない。ai=pCi (i=1n1)pで割り切れる(*)。a0=pC1=pp2で割り切れないので,因数分解はできない。

(*) an1=pCp1=pan2=pCp2=p(p1)2!an3=pCp3=p(p1)(p2)3!,・・・である。 pは素数なので,mod(p1,2)=0mod((p1)(p2),3)=0などから,1p pCiは整数となり,ai=pCi (i=1n1)pで割り切れる。

[1]アイゼンシュタインの定理(高校数学の美しい物語)

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