$\displaystyle f(n,x) = \Sigma_{k=0}^{n-1} x^k = 1 + x + x^2 + x^3 + \cdots x^{n-1}$は因数分解できるかというものだ。結論は,$n$が素数の場合は因数分解できないが,それ以外なら因数分解できる。
$g(n,x)=(1-x)f(n,x)=1-x^n$とする。$n$が素数でなければ$\ n=a\,b\ $などのように自然数$a$と$b$の積で表わすことができる。つまり,$g(n,x)=1-x^{a\,b}\ $であるから,$X=x^a\ $とおいて,$g(n,x) = 1- X^b = (1-X)(1+X+X^2+\cdots+X^{b-1}) $
$= (1-x) (1+x+x^2+\cdots +x^{a-1}) (1+X+X^2+\cdots+X^{b-1}) $
となる。つまり与式は,$f(n,x)=\frac{g(n,x)}{1-x} = (1+x+x^2+\cdots +x^{a-1}) (1+X+X^2+\cdots+X^{b-1}) $と因数分解できる。
問題は,$n$が素数の場合であって,これはどうしたものかと調べてみると,アイゼンシュタインの既約判定定理というものがあった。その内容は以下の通り。
$P(x)=a_n x^n + a_{n-1} x^{n-1} + \cdots a_1 x + a_0$を整数係数の多項式とする。
ある素数 $p$が存在して,次の条件が満たされるとする。
・$i \neq n$の場合,$a_i$は$p$で割り切れる。
・$a_n$は$p$で割り切れない。
・$a_0$は$p^2$で割り切れない。
このとき,$P(x)$は係数が有理数の範囲でこれ以上因数分解できない。
ある素数 $p$が存在して,次の条件が満たされるとする。
・$i \neq n$の場合,$a_i$は$p$で割り切れる。
・$a_n$は$p$で割り切れない。
・$a_0$は$p^2$で割り切れない。
このとき,$P(x)$は係数が有理数の範囲でこれ以上因数分解できない。
全ての係数 $a_i=1$で$n=p-1$($p$は素数)という多項式,$P(x)=x^{p-1} + x^{p-2} + \cdots x + 1 = \frac{x^p-1}{x-1}$を考える。そこでは,$P(x+1) = _pC_p x^{p-1} + _p C_{p-1} x^{p-2} + \cdots _p C_2 x + _p C_1 $となる。$a_n=a_{p-1} = _p C_p = 1$ は$p$で割り切れない。$a_i = _p C_i \ (i = 1 \cdots n-1 )$は$p$で割り切れる(*)。$a_0=_p C_1 =p $は$p^2$で割り切れないので,因数分解はできない。
(*) $a_{n-1}=_pC_{p-1}=p$,$a_{n-2}=_pC_{p-2}=\frac{p(p-1)}{2!}$,$a_{n-3}=_pC_{p-3}=\frac{p(p-1)(p-2)}{3!}$,・・・である。 $p$は素数なので,$\mathrm{mod}(p-1,2)=0$,$\mathrm{mod}((p-1)(p-2),3)=0$などから,$\frac{1}{p}\ _pC_i$は整数となり,$a_i = _p C_i \ (i = 1 \cdots n-1 )$は$p$で割り切れる。
[1]アイゼンシュタインの定理(高校数学の美しい物語)
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