2019年12月10日に,人工知能学会 倫理委員会・日本ソフトウェア科学会 機械学習工学研究会・
電子情報通信学会 情報論的学習理論と機械学習研究会の三者が連名で「機械学習と公平性に関する声明」を発表した。
声明を出した背景としては,2018年10月にAmazon.comが採用時に利用していた機械学習システムが女性に対して不利益に働くことに気づいてこのシステムの利用を停止したという報道を挙げている。
しかし,それでは時間が開きすぎている。直接書かれてはいないが,東京大学大学院情報学環・学際情報学府の特任准教授が11月20日にTwitter上で差別的な発言をして,それが炎上したことがきっかけになっている。
情報学環長・学際情報学府長の越塚登先生は,11月24日に学内向け文書,11月26日に学生向けMLでメッセージを発しており,それを11月28日には公開している。それなりに迅速な対応がなされたと思う。
一方,当該教員の属する寄付講座についても,マネックス証券はただちに見解を発表し,寄付の停止に至るようだ。
機械学習が社会にもたらす影響は非常に大きなものになりそうだ。センサーが張り巡らされた社会を,センサーの塊をつねに携帯しながら活動する個人が,ほとんどの情報を無担保に預けながら,ブラックボックスにつつまれたプロセスで評価される社会だ。機械学習の説明責任(というか説明システムの理論的な研究や開発)についての議論もスタートしている。
P. S. 大澤昇平はネトウヨにアピールしながら寄付を集め始めたようだ(2019.12.12)。
[1]学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する学生へのメッセージ(2019.11.28)
[2]学環・学府特任准教授の不適切な書き込み等に関する調査委員会の設置について(2019.11.28)
[3]学生留学生委員会から情報学環・学際情報学府の学生の皆さんへ(2019.11.29)
[4]大澤昇平特任准教授による2019.12.12付のSNS書込みに対する見解(2019.12.13)
[5]寄付講座担当特任准教授の不適切な書き込みに関する見解(マネックス 2019.11.24)
[6]寄付講座担当特任准教授の不適切な書き込みに関する当社の見解について(オークファン 2019.11.25)
[7]Japanese academia appears soft on racism(ASIA TIMES 2019.11.25)
[8]Announcement: terminating our business relationship with Daisy AI (Streamer 2019.11.27)
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